業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

また、当社グループは、電子部品事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。

 

(1)経営成績

当連結会計年度(2021年4月1日から2022年3月31日まで)における当社グループを取り巻く経営環境は、多くの国や地域において新型コロナウイルス感染症拡大防止のための厳しい行動制限に緩和の動きが見られる一方で、一部地域では大規模なロックダウンが実施されるなど、収束の兆しが見えない状況が続いています。世界景気は持ち直しに向かっているものの、地政学リスクの増大などによる原材料費、物流費の上昇などのリスク要因が顕在化しつつあります。先行きについては、景気回復傾向の継続が期待されますが、感染症の動向や国際情勢、各国の通商問題、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があります。

当社グループは、中期経営計画2025に掲げた目標の実現に向けて自動車、情報インフラ・産業機器を中心とした注力すべき市場の売上比率を50%に高めることを目指しています。さらに、ハイエンド商品、高信頼性商品を中心とした高付加価値な電子部品を創出し、主力事業の積層セラミックコンデンサのさらなる成長に加え、インダクタと通信デバイスを強化してコア事業として確立していきます。また、需要拡大に対応するための継続的な能力増強に加え、環境対策やIT整備に向けた積極的な取り組みを実施し、5年間で3,000億円規模の設備投資を計画しています。

当連結会計年度の連結売上高は3,496億36百万円(前年同期比16.2%増)、営業利益は682億18百万円(前年同期比67.3%増)、経常利益は721億91百万円(前年同期比75.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は543億61百万円(前年同期比90.0%増)となりました。新型コロナウイルス感染症の影響により、第2四半期連結累計期間中にはマレーシアの生産子会社において稼働制限が生じましたが、自動車、情報インフラ・産業機器向けなどを中心とした需要拡大により、増収増益となりました。

当連結会計年度における期中平均の為替レートは1米ドル111.56円と前年同期の平均為替レートである1米ドル105.97円と比べ5.59円の円安となりました。

 

製品別の売上高は次のとおりであります。

なお、第1四半期連結会計期間より、製品区分「フェライト及び応用製品」の名称を「インダクタ」に変更しました。製品構成は従来どおりです。

 

[コンデンサ]

積層セラミックコンデンサなどが含まれます。

当連結会計年度は、すべての機器向けの売上が前年同期比で増加したことにより、売上高は2,303億83百万円(前年同期比18.0%増)となりました。

 

[インダクタ]

巻線インダクタ、積層インダクタなどの各種インダクタ商品が含まれます。

当連結会計年度は、民生機器向けの売上が前年同期比で減少しましたが、情報機器、通信機器、自動車、情報インフラ・産業機器向けの売上が前年同期比で増加したことにより、売上高は489億25百万円(前年同期比17.7%増)となりました。

 

[複合デバイス]

モバイル通信用デバイス(FBAR/SAW)、回路モジュールなどが含まれます。

当連結会計年度は、回路モジュールなどの売上が前年同期比で増加したことにより、売上高は487億99百万円(前年同期比4.0%増)となりました。

 

[その他]

アルミニウム電解コンデンサ、蓄電デバイスなどが含まれます。

当連結会計年度の売上高は215億27百万円(前年同期比25.0%増)となりました。

 

 

生産、受注及び販売の実績

①生産実績

当連結会計年度における生産実績を製品別に示すと、次のとおりであります。

 製品別

生産高(百万円)

前年同期比(%)

コンデンサ

235,371

18.7

インダクタ

50,341

18.4

複合デバイス

37,094

2.0

その他

18,526

26.2

合計

341,335

17.0

(注)1 金額は、期中の平均販売単価を用いております。

2 当連結会計年度より、従来の「フェライト及び応用製品」は「インダクタ」に名称変更しております。なお、この変更による生産実績に与える影響はありません。

 

②受注実績

当連結会計年度における受注実績を製品別に示すと、次のとおりであります。

製品別

受注高

(百万円)

前年同期比(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比(%)

コンデンサ

227,840

2.6

68,489

△3.6

インダクタ

49,891

13.8

9,172

11.8

複合デバイス

44,463

△22.7

14,261

△23.3

その他

28,214

21.5

16,061

71.3

合計

350,409

1.1

107,984

0.7

(注) 当連結会計年度より、従来の「フェライト及び応用製品」は「インダクタ」に名称変更しております。なお、この変更による受注実績に与える影響はありません。

 

③販売実績

当連結会計年度における販売実績を製品別に示すと、次のとおりであります。

 製品別

販売高(百万円)

前年同期比(%)

コンデンサ

230,383

18.0

インダクタ

48,925

17.7

複合デバイス

48,799

4.0

その他

21,527

25.0

合計

349,636

16.2

(注)1 主要な販売先は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。

2 当連結会計年度より、従来の「フェライト及び応用製品」は「インダクタ」に名称変更しております。なお、この変更による販売実績に与える影響はありません。

 

(2)財政状態

① 資産

当連結会計年度末における総資産の残高は4,745億22百万円となり、前連結会計年度末に比べ698億79百万円増加しました。流動資産は450億8百万円増加しており、主な要因は、仕掛品の増加140億60百万円、商品及び製品の増加96億54百万円、現金及び預金の増加82億73百万円であります。また、固定資産は248億71百万円増加しており、主な要因は、有形固定資産の増加257億63百万円であります。

 

② 負債

当連結会計年度末における負債の残高は1,742億35百万円となり、前連結会計年度末に比べ135億34百万円増加しました。主な要因は、未払法人税等の増加81億64百万円、長期借入金の増加69億61百万円、短期借入金の増加17億円、1年内返済予定の長期借入金の減少94億26百万円であります。

 

③ 純資産

当連結会計年度末における純資産の残高は3,002億86百万円となり、前連結会計年度末に比べ563億44百万円増加しました。主な要因は、利益剰余金の増加462億円、為替換算調整勘定の増加149億16百万円であります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは673億15百万円の収入(前年同期比27.3%増)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益718億72百万円、減価償却費312億87百万円、棚卸資産の増加額242億14百万円、法人税等の支払額98億93百万円であります。

投資活動によるキャッシュ・フローは506億22百万円の支出(前年同期比19.9%増)となりました。主な要因は、固定資産の取得による支出515億51百万円であります。

財務活動によるキャッシュ・フローは147億11百万円の支出(前年同期は126億4百万円の収入)となりました。主な要因は、長期借入れによる収入110億円、配当金の支払額81億46百万円、長期借入金の返済による支出134億65百万円であります。

以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に対して68億23百万円増加し、886億9百万円となりました。

 

当連結会計年度末の外部からの資金調達は、短期借入金202億円、1年内返済予定の長期借入金40億35百万円、長期借入金487億49百万円からなっております。借入金は原則として日本において固定金利で調達しております。更に、財務の安定性のため期間3年、300億円のコミットメントライン借入枠を設定しておりますが、2022年3月末現在未使用であります。

当社グループは、健全な財務状態と営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力を有しており、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えております。

 

(4)経営上の目標の達成・進捗状況

当社グループは、2021年度を初年度とする「中期経営計画2025」を策定しており、目標とする経営指標は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標」に記載のとおりであります。当連結会計年度における連結売上高は3,496億36百万円、営業利益率は19.5%、ROE(自己資本利益率)は20.0%、ROIC(投下資本利益率)は15.7%となりました。連結売上高の目標4,800億円は、最終年度である2025年度までの達成を目指し、事業成長や経営の効率化に取り組んでまいります。

 

(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

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