課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、2021年度を初年度とした5カ年の「中期経営計画2025」を策定しています。10年後の2030年を見据え、経済価値と社会価値を両輪として企業価値向上を図り、部品メーカーとして存在意義のあるポジションを獲得するためのマイルストーンとして2025年を位置付けています。

また、当社グループのミッション「おもしろ科学で より大きく より社会的に」を新たに設定しました。体系化された知識や経験に加え、わくわくする体験や思いがけない発見、驚きなどをもたらす「おもしろ科学」で、人びとの安心・安全で、快適・便利な暮らしを支えるエレクトロニクス技術の進化を支え、社会に貢献していきます。

 

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当社グループの経営理念は、「従業員の幸福」、「地域社会への貢献」、「株主に対する配当責任」です。太陽誘電の創業者は、従業員とその家族が幸福に豊かな生活ができるようにすることで企業の社会性や公益性、公共性を全うすることができると考え、これらの経営理念を掲げました。当社グループ共通の価値観として、従業員は日々、これらを実践することを意識して業務を遂行しています。

また、当社グループのビジョンは、「すべてのステークホルダーから信頼され 感動を与えるエクセレントカンパニー」になることです。顧客、取引先、株主、地域社会、従業員などの期待や要求に応えて信頼を獲得し、さらにはその期待や要求を上回る価値を提供することで感動を与えられる企業であり続けることを目指します。このビジョンを実現するために、市場のニーズに合った安全で高品質なスマート商品を開発・生産・販売し、労働・人権・安全衛生・環境・倫理という取り組みにおいても責任を持ち、活動を継続していきます。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標

当社グループは、2021年度を初年度とした5カ年の「中期経営計画2025」を策定しています。「中期経営計画2025」では、経済価値と社会価値それぞれの目標を以下のとおり定めこの実現に向けた活動を通し、さらなる企業価値向上を目指していきます。

 

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経済価値目標を実現するため、自動車、情報インフラ・産業機器を中心とした注力すべき市場の売上比率を50%に高めることを目指します。また、需要拡大に対応するための継続的な能力増強に加え、環境対策やIT整備に向けた積極的な取り組みを実施し、5年間で3,000億円規模の設備投資を計画しています。

また、社会価値の向上については、ESG(環境、社会、ガバナンス)の取り組みを強化します。環境面では、地球規模の課題である気候変動対応のため、SBT(Science Based Targets)のガイドラインに沿ったGHG(温室効果ガス)排出量削減の目標を設定するとともに、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明しました。社会面では、引き続き安全第一を根幹とし、健康経営と働き方改革に取り組んでいきます。ガバナンスにおいては、事業の成長を支える経営品質の向上に向けた取り組みを強化します。

 

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(3)会社の対処すべき課題

当社グループは、中長期の観点から自動車、情報インフラ・産業機器、環境・エネルギー、ヘルスケア市場において電子部品の需要が拡大し、今まで以上に高い品質、高い信頼性が求められると想定しています。また、スマートフォン等の通信機器市場においては、機器の高機能・高性能化、通信方式の進化、電子部品の高密度実装化に伴い、小型・薄型で特性の良い最先端の電子部品が数多く求められると考えられます。

このような市場に対して当社グループでは、機器の技術進化に貢献できる競争優位性の高い最先端商品をいち早く開発しています。自動車、情報インフラ・産業機器を中心に注力すべき市場と位置付け、高信頼性商品の販売推進、システムソリューション提案の強化、商流の拡大と多角化に努めています。また、安定的な供給を実現するために国内外の生産能力を増強するなど、将来の成長に不可欠な投資を継続していきます。さらに、ものづくり力の向上や分散生産の体制構築、AIなどを活用した生産効率の改善にも努めていきます。

一方で、不透明さが増す国際情勢、新型コロナウイルスの世界的大流行、大規模な自然災害の発生などにより、社会の在り方や経営環境に急激かつさまざまな変化が生じています。特に、国際情勢の混乱が長期化した場合には、景気減速による自動車市場の低迷、資源価格の高騰による仕入価格の上昇、原油価格の高騰及び航空輸送の経路変更による物流費の上昇などの間接的な影響を受ける可能性があります。当社グループでは、引き続き情報を多角的に収集し、顧客やサプライヤー等と連携を密にすることで影響を最大限抑えられるように努めていきます。

また、新型コロナウイルスの感染拡大に対しては、従業員や取引先をはじめとするステークホルダーの健康と安全を考慮し、BCP(事業継続計画)に基づいた各種対応策を実施しています。国内外の生産拠点においては、各国政府及び自治体の指示や指導に従いながら、感染防止策を徹底した上で生産活動を継続しています。また、生産部門以外の従業員につきましては、各国政府及び自治体の感染拡大防止に関する指示や要請に基づき、地域の感染状況に応じて在宅勤務などを実施することで業務の遂行と感染リスクの低減に取り組んでいます。

なお、当社グループは925億70百万円の現金及び預金を有し、自己資本比率は63.1%と健全な財務体質を維持しています。また、複数の金融機関との間で総額300億円のコミットメントライン契約を締結するなど、不測の事態への対応手段を確保して事業を継続していきます。

当社グループは、これからも経済価値を高めると同時に、ステークホルダーからの要求や期待に応えることにより社会価値を高めることで、企業価値向上を目指していきたいと考えています。「中期経営計画2025」では、SDGs目標と紐づけたマテリアリティ(重要課題)を設定しています。特に、気候変動への対応としてGHG(温室効果ガス)排出量削減、ダイバーシティの実現に向けた対応として新卒女性採用率や女性管理職比率などの数値目標を掲げて、社会価値向上への取り組みを加速しています。

 

 

(4)TCFD提言への取り組み

頻発する風水害など気候変動が社会に及ぼす影響が甚大になる中で、脱炭素社会の実現に向けて企業が果たすべき役割はより重要なものとなっており、当社は気候変動への対応強化を重要な経営課題として捉えております。

地球規模の課題である気候変動について当社では、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指すため、脱炭素思想に基づくものづくりを推進する中で、徹底した省エネ・創エネ・再エネを実行していきます。なお、GHG排出絶対量削減はSBT(Science Based Targets)に準じた目標値を設定しています。

当社は、SDGsやパリ協定で示された国際的な目標達成への貢献を目指し、当社グループ各社と連携の上、幅広いステークホルダーとの協働を通して、これに取り組みます。また、当社は、気候関連財務情報開示の重要性を認識し、TCFDを支持するとともに、TCFDに沿った情報開示の拡充を行います。

 

①ガバナンス

当社は、気候変動を重要な経営課題の一つとして認識しており、事業活動を通じたサステナビリティ課題への取組みを全社的に推進することを目的とし、2021年4月に代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」(年4回開催)を立ち上げました。

同委員会ではマテリアリティ(重要課題)の設定や課題の共有及び課題解決に向けた施策に関する審議を行い、取締役会へ報告しています。

同委員会の下位委員会にあたる環境推進委員会では気候変動問題に対応するための定量目標に対する取組み及び実績モニタリングが行われ、目標に対し未達成もしくは未達成の可能性が考えられる場合には、その原因と改善に向けた追加施策等(投資と効果を含めた)を求められ、改善指示が出されます。この環境推進委員会での審議・決定内容は、上位委員会であるサステナビリティ委員会に報告されます。

 

②戦略

a.リスク・機会の特定

当社事業に影響を及ぼす気候関連リスク・機会の特定にあたり、IEA、IPCCなどの気候変動シナリオを参考にして、当社事業における気候関連リスク・機会を抽出し、それらの性質を定性的に評価しました。今後は特定したリスク・機会について分析を進めていきます。

 

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b.シナリオ分析のテーマ設定

抽出・整理した気候関連リスク・機会について、事業への影響度、事業戦略との関連性、ステークホルダーの関心度等を勘案し、当社として「重要度が高い」と評価した次のテーマについてシナリオ分析を実施しました。

 

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③リスク管理

当社は、グループ会社を含めた気候変動におけるリスクについて、安全環境を担当する取締役副社長を責任者として定め、グループマネジメントシステムに従い、コンプライアンス部会とリスク管理部会を通して内部統制委員会にて報告・審議を行っています。気候変動に関するリスクを把握する手法としては、社会状況の分析、顧客やサプライヤーからの聞き取り調査、投資家とのESGに関するエンゲージメント活動などを参考としながら、リスクを抽出しています。それらの項目については、財務的影響や経営戦略との関連を合わせて検討し、インパクト評価を実施します。

 

 

④指標と目標

[GHG排出量に関する目標]

当社グループでは、自社の事業活動でのGHG排出量について2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指すため、2030年度までに2020年度比でGHG排出量を42%削減することを目標として設定しました。

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上記目標の達成に向けて、省エネ活動の推進、創エネ設備の導入、再生可能エネルギーの活用等を通したGHG排出量削減への取り組みを着実に進めていきます。

 

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