業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における経済環境は、新型コロナウイルス感染症が再拡大を繰り返す中で、経済活動の制限緩和等が進展し、景気は回復基調で推移しました。しかしながら、ロシア・ウクライナ情勢による、原材料、エネルギー及び物流コスト等の高騰が加速しており、先行きは予断を許さない状況となっております。国内経済においても、資源・原材料価格の高騰及び急速な円安の進行による調達リスクの拡大等により、先行きは不透明さが増しております。
 当社グループが注力する市場におきましては、半導体・電子部品市場が好調であったことや、自動車部品市場が当連結会計年度上半期までに急回復したこと、さらには産業用機器・部品市場も一部で高い需要に支えられ回復を継続しました。一方で、衛生用品機器・医療用部品市場は、需要環境の変化等もあり、回復は緩やかなものに留まりました。

このような経済環境のもと、当社グループは、2024年度を最終年度とする「日本タングステングループ2024中期経営計画」の初年度において、突発的な環境変化においても安定した利益を創出するための利益体質強化に注力することにより、成長に向けた基盤強化を推進してまいりました。

上記の結果、当社グループの売上高は、前年度比21.7%増120億3千8百万円となりました。

損益面では、調達コストや工程内不良の削減等、徹底した改善活動により製造原価の低減を図りました。また、ニューノーマルに適応した販売活動の改善及びWEB会議システムの積極活用による移動コストの継続的な削減等の経費圧縮の取り組みにより、営業利益は、前年度比231.9%増9億1千3百万円となりました。経常利益は、急速な円安の進行による為替差益の計上等により、前年度比92.6%増12億3千9百万円となりました。また、特別利益として、投資有価証券売却益2千2百万円を計上し、特別損失として、医療・照明機器事業の収益性の低下に伴い、減損損失4千6百万円を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は、8億7千万円(前年度は6千2百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

セグメント別の状況については次のとおりです。

なお、セグメント別の金額については、売上高はセグメント間の取引を含んでおり、営業損益は全社費用等調整前の金額であります。

 

(機械部品事業)

■衛生・医療市場
 おむつなどの衛生用品製造設備であるNTダイカッターは、新型コロナウイルス感染症のまん延が継続する中で、顧客の新規設備投資の抑制及び延期の影響や、海外企業との競合といった市場環境の変化もあり、回復は緩やかなものに留まりました。

■半導体・電子部品市場
 情報機器関連のハードディスクドライブ(HDD)用磁気ヘッド基板は、データセンター市場が拡大する中で、大容量HDDの需要が旺盛であり、増収となりました。

■産業機器市場
 製鉄向けの耐摩耗部材が上半期に好調であったことや、塗付工具用並びに電池製造用の超硬長尺製品の需要が回復したこと、さらには、発電所で使用される軸受け用耐摩耗部材の一時的な受注もあり、増収となりました

 

この結果、機械部品事業の売上高は前年度比19.7%増67億3千2百万円となり、営業利益は同144.2%増9億3千6百万円となりました。

 

 

(電機部品事業)

■自動車市場

  EV用接点は、当連結会計年度下半期より半導体供給不足による自動車生産の一部停滞等の影響を受けているものの、上半期が好調だったこともあり増収となりました。また、電装部品溶接用の抵抗溶接電極も自動車メーカーの需要が堅調であり、安定した受注を維持し、増収となりました。

■産業用機器・部品市場

  産業用設備向けのブレーカー用電気接点が、直近では在庫調整の影響がみられるものの、工作機械及び半導体製造装置の需要の高まり等により、増収となりました。

■衛生用品機器・医療用部品市場

    医療関連部材のカテーテル用タングステンワイヤー製品が、新型コロナウイルス感染症禍で減少した外科手術等の症例が増加に転じたこと等により、増収となりました。

 

この結果、電機部品事業の売上高は前年度比25.1%増53億6千7百万円となり、営業利益は同38.0%増5億3千万円となりました。

 

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べ14億5千2百万円増加164億4千6百万円となりました。これは主に棚卸資産及び固定資産が減少したものの、現金及び預金や売上債権が増加したことによるものです。負債は、7億2千6百万円増加し、57億9百万円となりました。これは主に仕入債務及び未払法人税等が増加したことによるものです。純資産は、7億2千5百万円増加し、107億3千6百万円となりました。これは主に利益剰余金が増加したことによるものです。
 

② キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物の期末残高は、営業活動により19億8百万円の資金を獲得し、投資活動により2億5千2百万円の資金を支出し、財務活動により2億4千6百万円の資金を支出した結果、前連結会計年度末と比較して、14億5千万円増加し、39億1千万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により獲得した資金は19億8百万円となり、前年度比5億7千1百万円の収入増となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が増加したこと及び売上債権の増減額が減少したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により支出した資金は2億5千2百万円となり、前年度比2億6千1百万円の支出減となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が減少したことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により支出した資金は2億4千6百万円となり、前年度比3億5百万円の支出減となりました。これは主に配当金の支払が増加したものの、短期借入金の返済による支出が減少したことによるものです。

 

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

機械部品事業

6,492

13.7

電機部品事業

5,091

23.4

その他

合計

11,583

17.8

 

(注) 金額は、販売価額をもって表示しており、セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

b 受注状況

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

機械部品事業

7,109

18.2

1,880

30.4

電機部品事業

5,510

27.4

927

18.4

その他

合計

12,620

22.0

2,807

26.2

 

(注) セグメント間の受注高及び受注残高については、相殺消去しております。

 

c 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

機械部品事業

6,671

19.0

電機部品事業

5,367

25.1

その他

合計

12,038

21.7

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

日立金属株式会社

1,189

12.0

1,455

12.1

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成において見積りが必要となる事項につきましては、過去の実績やその時点で合理的と考えられる情報に基づき会計上の見積りを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果とは異なる場合があります。
 当社グループの連結財務諸表の作成において採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。また、当社グループの連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a 財政状態の分析

(流動資産)

当連結会計年度末の流動資産の残高は、前連結会計年度末と比較して18億2千2百万円増加100億2千8百万円となりました。これは主に売上高の増加に伴い、現金及び預金が14億5千万円、売上債権が7億4百万円増加したこと及び棚卸資産が3億6千3百万円減少したことによるものであります。 

 

(固定資産)

当連結会計年度末の固定資産の残高は、前連結会計年度末と比較して3億7千万円減少64億1千7百万円となりました。これは主に有形固定資産が、医療・照明機器事業の収益性の低下に伴う減損損失4千6百万円を含む計3億6百万円減少したこと及び投資その他の資産が5千4百万円減少したことによるものであります。

 

(流動負債)

当連結会計年度末の流動負債の残高は、前連結会計年度末と比較して7億5千9百万円増加53億9千3百万円となりました。これは主に売上高の増加に伴い仕入債務が2億8千8百万円、未払法人税等が1億9千2百万円及び設備投資の減少により設備関係未払金が1億2千7百万円増加したことによるものであります。

 

(固定負債)

当連結会計年度末の固定負債の残高は、前連結会計年度末と比較して3千2百万円減少3億1千5百万円となりました。これは主に繰延税金負債が政策保有株式の一部売却等により2千1百万円減少したこと及びリース債務が1千万円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産の残高は、前連結会計年度末と比較して7億2千5百万円増加107億3千6百万円となりました。これは主に利益剰余金6億5千3百万円、為替換算調整勘定が7千万円増加したことによるものであります。

 

b 経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、前年度比 21.7%増 120億3千8百万円 となりました。

当社グループが注力する市場におきましては、半導体・電子部品市場が好調であったことや、自動車部品市場が当連結会計年度上半期までに急回復したこと、さらには産業用機器・部品市場も一部で高い需要に支えられ回復を継続しました。一方で、衛生用品機器・医療用部品市場は、需要環境の変化等もあり、回復は緩やかなものに留まりました。

詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①業績」に記載しております。

 

(売上総利益)

当連結会計年度の売上総利益は、調達コストや工程内不良の削減等、徹底した改善活動により製造原価の低減を図り、 前年度比 36.4%増 30億7百万円 となりました。

 

(営業利益)

当連結会計年度の営業利益は、 ニューノーマルに適応した販売活動の改善及びWEB会議システムの積極活用による移動コストの継続的な削減等の経費圧縮の取り組みにより、 前年度比 231.9%増 9億1千3百万円 となりました。

 

(経常利益)

当連結会計年度の経常利益は、急速な円安の進行による為替差益の計上等により、前年度比 92.6%増 12億3千9百万円 となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純 損失

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、 特別利益として、投資有価証券売却益2千2百万円を計上し、特別損失として、医療・照明機器事業の収益性の低下に伴い、 減損損失 4千6百万円 を計上したこと等により、 8億7千万円 (前年度は 6千2百万円 の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。

新型コロナウイルスの影響につきましては、前連結会計年度末にかけて概ね業績が回復しました。

ロシア・ウクライナ情勢に対する影響につきましては、今後、情勢の悪化に伴う原材料価格のさらなる高騰による業績への影響が懸念されますが、 原材料調達、価格の変動のリスクについては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク (8) 原材料調達、価格の変動」に記載しております。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

a キャッシュ・フロー

 当社グループの当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して、14億5千万円増加し、39億1千万円となりました。
 なお、各キャッシュ・フローの状況と増減につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フロー」に記載しております。

 

 

b 資金需要

当社グループの資金需要の主なものは、運転資金、設備資金、法人税等の支払、借入金の返済、配当金の支払等であります。
 また、その資金の源泉といたしましては、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入等により必要とする資金を調達しております。

なお、当社は、機動的な資金調達を目的として、限度額を20億円とするコミットメントライン契約を締結しており、大きく資金不足となることは想定しておりません。

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