業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況

の概要は次のとおりであります。

 なお、当事業年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用して

おります。

 これに伴い、当事業年度における売上高及び売上原価は、前事業年度と比較して821百万円減少しておりますが、

営業損失、経常損失及び税引前当期純損失には影響はありません。

 そのため、当事業年度における経営成績に関する説明は、売上高については前事業年度と比較しての増減額及び

前期比(%)を記載せずに説明しております。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりで

あります。

①財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度における我が国経済は、長引く新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けており、ワクチン接種

の普及に伴い経済活動には回復の兆しが見られるものの、変異株による感染症の再拡大、地政学的リスク増大を

要因とした原油価格の上昇に伴う運賃やエネルギー費の高騰が懸念される等、依然として先行きは不透明な状況が

続いております。

 当社の主要取引先であります外食産業におきましても、全国各地で緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置

の適用が繰り返し行われたことで、外食市場は落ち込みと持ち直しを繰り返しました。

 2021年通年の外食市場規模はコロナ禍前の2019年比で16.8%減、2020年比は1.4%減と、前年に続き市場規模の

縮小が進みました。テイクアウトやデリバリーの売上構成比が高いファストフードのような一部業態を除き、

営業時間や酒類提供の規制を受けた飲酒業態、宴会やインバウンドを主とする宿泊業態では依然として厳しい状況が続いており、当社も難しい事業運営を強いられました。

 このような状況下、当社は組織的に感染予防に取組みつつ、当事業年度では基本方針に「取引先への貢献」

「在庫管理の徹底」「構造改革の推進」を掲げ、感染症拡大の影響が比較的少ないヘルスケアフード業態と

中食業態への営業を強化しました。

 ヘルスケアフード業態について、コロナ禍後はオンラインでしか実施することのできなかった、病院や高齢者

施設を対象にした「やさしいメニュー提案会」を東京、大阪、名古屋、高松の4会場で開催いたしました。また、

同業態向けプライベートブランド商品(以下、PB商品)として「サンホーム 国産きざみ長芋」「サンホーム ミニカットわかめ」「サンホーム 十五穀米の素」「サンホーム かぼちゃダイス(皮無し)」「サンホーム

サイコロカット高野豆腐」を発売しましたところ、食事に課題を抱える喫食者から高評価をいただき、ヘルスケア

フード業態の売上は前期比108.0%と、計画通りに伸ばすことができました。更に、緊急事態宣言の発出・延長に

より延期や中止を余儀なくされていたリアル提案会を秋季に4会場、春季に9会場で実施し、4,000名以上の

お客様に来場いただくことができました。その中では中食業態へのデリバリー・テイクアウト向けメニューや食材

の提案が特に好評を得、同業態への売上は前期比で120%以上も拡大させることができました。

 外食業態や宿泊業態のユーザーに対しては仕入先と協同で「お客様大応援セール」を3ヶ月間にわたって

実施し、業績回復に向けて外食業界を盛り上げました。

 また、PB商品の取組みとしては上記商品のほか、「サンプラザ サクッと美味しいミンチカツ」を含む計17品を新たに発売しました。使いやすい規格の「サンホーム 今すぐ使えるスーパースイートコーン」は、品種の特徴

である甘味に加え、自然解凍でそのまま使える利便性が多くの採用に繋がり、PB商品全体の売上は前期比で114%と大きく伸長しました。

 経費削減の取組みでは、物量の増減幅が大きいコロナ禍に対応するために自社配送の比率を高めることに

注力し、物流経費は前期比約5%の削減を図ることができました。また、当事業年度の基本方針の一つである

「在庫管理の徹底」に基づき在庫管理の精度を高めた結果、在庫差異の改善に加え、食品ロスの原因でもある

商品廃棄は、前期比約70%の削減を達成することができました。

 拠点政策としましては、2022年3月末現在では、全国46事業所(11支店、33営業所、サンプラザ2店

(業務用食品スーパー))と前期末と同数であります。2021年6月に新築移転した和歌山営業所は順調に

稼働しており、労働環境の改善のみならず商圏の拡大といった新たな役割を果たしております。

 

 以上の結果、当事業年度の業績につきましては、売上高704億57百万円、営業損失△7億81百万円(前期は

営業損失△18億36百万円)、経常損失△5億60百万円(前期は経常損失△12億36百万円)、当期純損失

△1億14百万円(前期は当期純損失△29億93百万円)となりました。

 なお、当社は食品卸売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(資産)

 当事業年度末の総資産は、274億35百万円となり前事業年度末と比較して6億26百万円の増加となりました。

 主な要因は、流動資産のその他が1億3百万円、建物附属設備が1億13百万円、建設仮勘定が1億85百万円、

投資有価証券が4億57百万円減少した一方で、現金及び預金が2億84百万円、売掛金が10億6百万円、商品が

3億21百万円が増加したことによります。

 

(負債)

 負債は、179億15百万円となり前事業年度末と比較して10億1百万円の増加となりました。

 主な要因は、繰延税金負債が2億42百万円、長期借入金が4億11百万円減少した一方で、買掛金が

10億92百万円、賞与引当金が1億88百万円、退職給付引当金が1億24百万円増加したことによります。

 

(純資産)

 純資産は、95億20百万円となり前事業年度末と比較して3億75百万円の減少となりました。

 主な要因は、繰越利益剰余金が1億14百万円、その他有価証券評価差額金が2億61百万円減少したことに

よります。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物は32億12百万円(前期比9.7%増)となり、前事業年度末と比較して

2億84百万円増加いたしました。

各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金収支は、5億20百万円の収入(前期は18億51百万円の支出)となりました。

 これは、減価償却費が6億81百万円、賞与引当金の増加が1億88百万円、退職給付引当金の増加が

1億24百万円、仕入債務の増加が10億92百万円であったことに対し、税引前当期純損失が2億82百万円、売上債権の増加が10億7百万円、棚卸資産の増加が3億21百万円、その他の流動資産の増加が84百万円であったことが

主たる要因であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金収支は、2億1百万円の収入(前期は3億31百万円の支出)となりました。

 これは、有形固定資産の取得による支出が2億39百万円であったことに対し、投資有価証券の売却による収入が

3億58百万円、敷金及び保証金の回収による収入が1億15百万円であったことが主たる要因であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金収支は、4億36百万円の支出(前期は15億28百万円の収入)となりました。

 これは、長期借入れによる収入が15億円であったことに対し、リース債務の返済による支出が83百万円、

長期借入金の返済による支出が18億52百万円あったことが主たる要因であります。

 

③生産、受注及び販売の実績

  当社は、食品卸売事業の単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の実績については

セグメント情報を記載しておりません。

a.商品別売上高

商品別

第62期

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

前期比(%)

常温食品

24,865,958

冷蔵食品

7,113,521

冷凍食品

36,350,249

酒類

394,193

非食品

1,733,981

合計

70,457,905

 (注)地区別売上高は、次のとおりであります。

地区別

第62期

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

前期比(%)

東日本地区

21,008,649

中日本東部地区

12,652,889

中日本西部地区

23,349,792

西日本地区

12,802,393

その他

644,180

合計

70,457,905

b.商品別仕入高

商品別

第62期

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

前期比(%)

常温食品

21,044,908

冷蔵食品

5,926,574

冷凍食品

30,148,736

酒類

310,690

非食品

1,190,004

合計

58,620,915

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

  当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

この財務諸表作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、期末日における資産及び負債の残高、

収益及び費用等に影響を与える仮定や見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを過去の経験や

その時点の状況として妥当と考えられる合理的見積りを行っておりますが、前提条件やその後の環境等に変化が

ある場合には、実際の結果がこれらの見積りと異なる可能性があります。

 当社の財務諸表を作成するに当たり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1財務諸表等

(1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりであります。なお、新型コロナウイルス感染拡大に

伴う会計上の見積りに係る仮定は、「第5 経理の状況 1財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の

見積り)」に記載しております。

a.有価証券

 投資有価証券につきまして、株価の下落により帳簿価額に対し時価が50%以上下落した場合には減損処理を

行い、30~50%未満下落した場合には、時価の回復可能性等を考慮して必要と認められた額について株式の

減損処理を行います。市場価格のない株式等の場合は、株式の実質価額が帳簿価額の50%以上下落した場合、

株式の減損処理を行います。

 

b.棚卸資産

 取得原価と正味売却価額のいずれか低い金額で棚卸資産を評価します。正味売却価額が取得原価を下回った

場合、在庫の評価減を行います。

 

c.固定資産

 収益性の低下により投資額を回収する見込みが立たなくなった資産について、その帳簿価額を、一定の条件の

下で回収可能性を反映させるよう、帳簿価額を減額するとともに減損損失を計上します。

 

d.貸倒引当金

 売掛債権、貸付金等の回収で多額の回収遅延や不良債権が発生した場合、貸倒引当金が増加する場合が

あります。

 

e.退職給付費用

 従業員の退職給付に備えるため退職給付債務及び年金資産の見込み額に基づき計上しています。

 使用した数理計算上の仮定は妥当なものと判断しておりますが、仮定自体の変更により、前払年金費用、

退職給付引当金及び退職給付費用に悪影響を与える可能性があります。

 

f.繰延税金資産

 当社は、繰延税金資産について、将来の事業計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性が

あると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の

課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、課税所得の見積りが

変動し、回収可能な繰延税金資産の金額が変動する可能性があります。

 

②財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態及び経営成績等の分析について

 当社の当事業年度の財政状態及び経営成績等の詳細につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績

及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。当事業年度の基本方針の一つに「構造改革の推進」を掲げ、注力商品・業態の取組強化による

売上確保及び物流費を中心とした販売管理費の削減に努めましたが、既存店の売上減少に伴う操業度低下の影響を

カバーするに至りませんでした。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

c.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社のキャッシュ・フローの状況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー

の状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社の運転資金及び設備投資資金は、原則として自己資金を原資としております。必要に応じ、金融機関からの

借入れも検討いたします。当事業年度においては、安定した資金繰りを行うため、設備投資に係る資金を含む運転

資金として金融機関より長期借入金1,500百万円の調達を行いました。今後も適切な資金確保、流動性の維持及び

財務体質の健全性を堅持してまいります。

 経営資源の配分に関しては、株主還元はもとより、将来への投資としまして、事業所の新築移転を積極的に

行い、労働環境の改善及び商品の安全性追求を図ってまいります。また業務の効率化を踏まえたシステム投資も

行っております。

 

d.経営戦略の現状と今後の方針

 翌事業年度につきまして、新型コロナウイルス感染症の収束は一定程度見込まれるものの、当面は感染防止対策

と経済活動の両立が求められることから、非対面取引の拡大といった生活様式や消費行動の変化への対応が急務で

あります。

 また、不安定な世界情勢が継続することからエネルギーや農作物の価格高騰が更に強まり、経営環境のリスクに

対応できる収益体制の再構築が求められます。

 このような市場環境下、当社といたしましては企業の安定成長のために、翌事業年度から始まる第5次中期経営

計画に沿って収益基盤の強化を図ってまいります。更に激しくなる競争環境や市場の変化に打ち勝つために

「Change! Challenge! Create!」(変われ! 挑め! 創り出せ!)を新スローガン

とし、「収益力の強化」「成長戦略の取組強化」「経営基盤の強化」を重点戦略に掲げ、全社一丸となって目標

達成に向けて邁進いたします。

 

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