課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは、「ビッグコンビニエンス&ディスカウントストア」を事業コンセプトとする時間消費型小売業「ドン・キホーテ」を中核企業として、「顧客最優先主義」を企業原理に掲げ、「企業価値の拡大」を経営の基本方針として事業活動を行っております。

この企業原理及び経営の基本方針のもと、お客さまに満足いただける商品の質や価格及びサービスの提供を実践し、あわせて当社グループ独自のユニークな営業施策を推進しながら、お客さまと感動を共有できる店舗運営を心がけ、豊かな生活文化の創造を実現していく所存です。

また、地域に根ざした店舗運営とこだわり抜いた商品の提供により、地域社会になくてはならない存在として衣・食・住・余暇にわたる総合小売業「アピタ」「ピアゴ」などを運営するユニー株式会社については、個店経営強化を推し進め、最もお客さまに支持される店舗を目指してまいります。

当社グループは、お客さまが小売業に求めている購買動機は、「より便利に(CV:コンビニエンス)」、「より安く(D:ディスカウント)」、「より楽しく(A:アミューズメント)」という3点に集約されていると考えております。当社グループは、この3点の頭文字を取って、事業コンセプトを「CV+D+A」と呼んでおります。

小売業において、お客さまの大きなニーズである「便利さ(CV:コンビニエンス)」と「安さ(D:ディスカウント)」を基本コンセプトとした店舗運営は、一定数のお客さま支持と売上高を確保することは可能と考えられますが、それだけでは、「1+1=2」の結果しか得ることができません。

当社グループは、お客さまにとって「ワクワク・ドキドキ」というプラスアルファの付加価値が創造され、購買意識を呼び覚ます「アミューズメント性」こそ重要であり、これは、「1+1=∞」という公式を導き出す魔法のエッセンスであると考えております。

当社グループは、この事業コンセプトを前面に繰り広げ、全従業員が「便利で安くて楽しい」店舗作りを実践し続けることにより、他の小売業との差別化を図り、より高い水準の顧客満足と社会貢献が実現できるものと確信しております。

 

(2)経営戦略等

当社グループは、新たな中長期経営計画である「Visionary2025/2030」を策定いたしました。当該経営計画は、2020年2月に発表した「Passion2030」の直後から新型コロナウイルスが流行し、当社グループを取り巻く環境が大きく変化したことから、今後の成長戦略及び数値目標を修正したものであり、2025年6月期に売上高2兆円、営業利益1,200億円、2030年6月期に営業利益2,000億円の達成を目標としております。

この目標を達成するため、国内事業においては、⑴事業のバリューチェーンの拡大 ⑵DXを通じた新しいCV+D+Aの提供 ⑶組織統合や生産性改善の推進 ⑷組織的な業態創造により、収益性の向上に努めてまいります。海外事業においては、アジア及び北米とも出店継続による規模の拡大を目指し、さらに、グローバルバリューチェーンの構築による利益率改善を行ってまいります。

当社グループの不変の企業原理である「顧客最優先主義」を基軸とした「業態創造企業」として、当社グループの差別化要因である、Convenience(便利さ)、Discount(価格の安さ)、Amusement(楽しさ)という3つの要素をさらに強化し、お客さまに支持していただける店舗作り実現のため、さまざまな営業施策を実行し、中長期的に持続可能な成長を実現していく所存であります。

 

(3)経営環境

当社グループを取り巻く小売業界におきましては、新型コロナウイルスの影響が長期化しており、インバウンド需要の回復は引き続き見通せず、資源価格や物流コストが上昇し、消費マインドが低下する状況においては、企業間での価格競争が拡がり、引き続き厳しい状況が続いていくものと考えております。

小売業界の今後の課題としては、少子高齢化の進行による市場規模の縮小、単身世帯や働く女性の増加による消費者ニーズの多様化、円安進行やウクライナ問題の長期化等による商品価格の高騰など、様々な問題に取り組む必要があります。さらに、インターネット取引の拡大により、有店舗小売業のさらなる変革が求められるなど、今後も競争は激化するものと予想されます。

このような経営環境の中、当社グループは、引き続き環境(Environment)・社会(Social)の課題解決に努め、また経営の効率性と透明性を高めるためのガバナンス(Governance)の強化にも積極的に取り組むなど「守りの経営」を推進すると同時に、競合他社との差別化要因である現場主義・個店主義に立脚した強みを遺憾なく発揮しながら、積極的な営業戦略に基づく「攻めの経営」をバランス良く実施することが重要と考えております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

個人消費の低迷や企業間競争の激化という状況が続く中で、当社グループは、本来のビジネスそのもので社会との共生を追求しながら、中長期的に持続可能な成長を目指すため、投資効率の高い案件に経営資源を重点的に、かつ適正な配分を行っていきます。

① 新たなる業態創造への挑戦

a.商品構成の絶えざるリニューアル

消費者ニーズが多様化し、さらに個別化を強めている中で、当社グループはお客さまの期待に応じて、画一化・標準化されたルールにとらわれることなく、お客さま視点に立った商品構成の継続的な見直しと提案を機動的に行ってまいります。

当社グループのプライベートブランドである「情熱価格」を今後さらに強化し、これまで以上にお客さまに「ワクワク・ドキドキ」を感じていただけるような、お買い得感や魅力ある商品をお届けしてまいります。また、他社との差別化を行うため、日本未発売の輸入品や独自性を発揮した商品を展開するなど、様々な施策を実行してまいります。

b.立地に応じて柔軟な対応を可能とする多様な店舗出店パターン

商圏規模や立地特性に合わせた店舗フォーマットで、全国展開を推進していきます。すなわち、当社グループの主力業態として独自のビジネスモデルを展開する「ドン・キホーテ(標準売場面積1,000㎡~3,000㎡)」を中核に、都市部には標準売場面積1,000㎡未満の小型店舗「ピカソ」などの小商圏型店舗を展開し、さらなるネットワーク拡大に取り組んでいきます。

ファミリー向けの総合ディスカウントストア及びポストGMS業態として、「MEGAドン・キホーテ(同8,000㎡~10,000㎡)」及び「New MEGA ドン・キホーテ(同3,000㎡~5,000㎡)」のビジネスモデルを一層進化させて、顧客層拡大に向けた全方位型の店舗開発を進めていく所存であります。

また、トレンドに特化した店舗の開発やアピタとドン・キホーテのハイブリッド型店舗など、引き続き新たな業態の開発を行い、収益の最大化を図ってまいります。

幅広い年代層のお客さまに支持されているユニー株式会社は、既存店の活性化策と併せて、権限委譲に基づいた個店経営を引き続き強化し、消費者志向の変化に迅速に対応した顧客満足度の高い魅力ある店舗を創造してまいります。

海外においては、日本産品を提供するジャパンブランド・スペシャリティストアを引き続き積極的に出店するとともに、日本食の魅力を伝えるための業態開発に取り組み、日本の農畜産物などを積極的に展開することで、海外におけるジャパンブランド商品のさらなる認知向上と消費拡大に寄与してまいります。

c.店舗運営に資する後方支援システムの稼動と全国展開

基幹ITシステムや物流システムはもとより、お客さま一人ひとりの価値観やライフサイクルに合わせた最適なサービス・商品を提供することにより、顧客満足度を高めるためのCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)システムを推進していきます。

さらに、当社グループの「majicaアプリ」を活用し、お客さまのニーズにあった販売促進活動を行い、お客さま支持のさらなる向上を目指してまいります。

② 持続可能な社会の実現に向けて

当社グループは不変の企業原理である「顧客最優先主義」のもと、本業である小売業の事業活動を通じて環境・社会の課題解決に取り組み、持続可能な社会の実現を目指しています。

当連結会計年度においては、取締役兼執行役員CFOの管掌のもと、サステナビリティ委員会を設立し、ESGの各領域を網羅する推進体制を整えました。方針及び目標の策定や重要な取り組みについて取締役会で議論し、承認を得て策定・実行されており、取締役会による関与・監督についても強化しております。

また、ステークホルダーとのエンゲージメントを通して重要課題(マテリアリティ)を以下の5項目に刷新しました。

当社グループ 重要課題(マテリアリティ)

⑴ 事業活動で生じる環境負荷の低減

⑵ 多様性の容認と働きがいのある職場づくり

⑶ 持続可能な商品調達と責任ある販売

⑷ 地域社会との共生による社会課題の解決

⑸ 確固たるガバナンス体制の構築

それぞれの重要課題については、各委員会及び管掌本部が現状課題を認識した上で目標及び指標を定め、目標達成のための取り組みを企画・立案し、グループの事業活動に反映させ進捗をモニタリングしています。

当連結会計年度の主な取り組みとしては、2022年2月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同し、TCFD提言の枠組みにそった情報開示を行い「店舗から排出するCO₂排出量を2030年までに 50%削減(2013年度比)」「2050年までにCO₂排出量を総量でゼロ」にする「PPIHグループ 脱炭素目標」を設定したほか、「PPIHグループ サステナブル調達方針」「PPIHグループ サプライヤー行動規範」を策定し、サプライチェーン上での人権・環境課題に対応した商品調達を推進しました。加えて、「女性店長の拡大」「女性社員の定着率の向上」を定量的な指標とする女性活躍推進目標を定め、ダイバーシティ・マネジメント委員会が中心となり、管理職の意識改革を目的としたダイバーシティ研修の実施等、女性が活躍するダイバーシティ型組織の確立に向けて積極的に取り組みました。

今後も、「顧客最優先主義」のもと、環境・社会の課題解決に取り組んでまいります。

なお、新型コロナウイルスの影響については、将来的な広がり方や収束時期等について、正確に予想することは困難であり、今後も企業活動に様々な影響が出てくることが予想されます。当社グループでは、今後も新型コロナウイルス感染症の状況や経済への影響を注視し、柔軟に対応してまいります。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、「自己資本の充実」及び「収益力強化に向けた資本の有効的かつ戦略的な活用」のバランスを採りながら、持続的成長及び企業価値の向上に資する「事業投資を優先」してまいりますが、特に重要視する経営指標は、売上高及び利益の持続的増加を継続していくことであり、中長期経営計画として「Visionary 2025:2025年6月期に売上高2兆円、営業利益1,200億円」、「Visionary 2030:2030年6月期に営業利益2,000億円」を目標としております。

 

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