課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

長期ビジョン:「世界を舞台にオリジナリティで存在感を持つ企業」

競争力の源である技術力・開発力を常に磨き、特定の分野において特長を持った製品を創り出し、グローバル市場に提供し続け、お客様から選ばれる企業を目指してまいります。

 

価値観:「イキイキ、ワクワク。」

現状に満足することなく常に向上を目指し、果敢に挑戦を続けることにやりがいを感じ、イキイキと仕事に取り組む。

そして、私たちの挑戦にお客様がワクワクし、私たちの製品・サービスにお客様の笑顔が湧く。

これが私たちの喜び(イキイキ、ワクワク。)です。

 

行動指針

向上心:「もっと○○したい。」この思いを常に持ち続けます。

現状に満足することなく、「思い」を実現するため、一日一日を大事に積み重ねます。

「どうやればできるか」を常に考え、粘り強く徹底的に追求します。

挑戦  :私たちは、お客様へより良い製品・サービスを提供するために、挑戦を続けていきます。

挑戦の先には、お客様の喜びが待っている。だから、挑戦は楽しく、おもしろい。

「お客様の期待を超えたい。」この永遠のテーマに挑み続けます。

信頼  :「思い」の実現に向けて「挑戦」するために、部下を信じて任せ、成功に向けてサポートします。

挑戦せずに何もしないよりも、たとえ挑戦に失敗したとしても、挑戦したことを評価します。

失敗を糧にし、成功に向けて努力することを重視します。

 

ステークホルダーに対する経営基本方針

顧客 : 自社の強みを軸に新たな価値の創造を続け、患者様、医療従事者の満足を獲得します。

社員 : 社員が会社とともに成長を感じ、イキイキ・ワクワク働ける職場環境を構築します。

株主 : 株主の長期的信頼に応える経営を着実に実践します。株主還元は、安定配当を基本方針とし、

    配当性向は25%以上を目安とします。

社会 : 医療を通じた事業活動により、地域・社会の発展に貢献します

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 2018年5月に決定した中期経営計画において、最終年度の第64期について、以下のような目標を設定しております。

(単位:億円)

回次

決算年月

第64期

2021年3月

売上高

220

営業利益

10

 

(3)経営環境

当社を取り巻く環境は、各国の医療費抑制政策、新興国メーカーの台頭などによる市場環境面の競争の激化、為替変動や原油価格に影響を受ける原燃料の調達コストへの市況影響など、厳しい経営環境が引き続き予想されます。

販売面では、成長分野と位置付けている血管内治療分野や消化器分野などにおいて求められる高い専門性とタイムリーな情報提供の強化を進め、国内外で販売力を強化してまいります。

生産面では、これまで培ってきた医療機器、医薬品の「作る技術」を全体的に底上げし、品質とコスト両面において国際的な競争力を確保する取組みを実行してまいります。

研究開発面では、血管外科・消化器等の分野を主力として積極的に研究開発活動を行うとともに、患者様の身体的負担の少ない先端医療機器の研究開発にも力を入れ、時代とともに変化する医療ニーズに応える製品を開発してまいります。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

1.構造改革実施の背景について

 当社を取り巻く既存事業の事業環境は、透析事業をはじめとする一部製品において、薬価の下落や国内外での競争激化により、将来的な収益の確保が困難となってきておりました。一方で、競争力の源である技術力・開発力を磨き、特定の分野において特長をもった製品を創り出す開発型企業となるべく、土台作りを進めてきた結果、研究開発テーマも予定通り進捗し、新製品が売上に貢献出来るかたちが見えてきました。

 このような状況から、選択と集中の事業構造改革が必要であると判断し、2018年5月15日開催の取締役会において、企業価値向上に向けた収益力の強化と体質改善を目的とした構造改革を含め中期経営計画を策定し、これをすすめてまいりました。

 

2.構造改革の進捗

  中期経営計画の2年目にあたる当連結会計年度までの構造改革の進捗状況は以下のとおりです。

(1) 体外循環事業の見直し

①不採算事業からの撤退

・国内生産ダイアライザーは2019年3月末をもって生産を終了し、血液浄化製品の自社国内販売とともに、2020年3月末をもって販売も終了いたしました。その他不採算製品につきましても、2019年6月末をもって生産を終了しております。

・国内の希望退職者の募集については、130名程度を計画していたところ、134名の実績となりました。海外の退職者182名とあわせ、予定通り人員の適正化が完了いたしました。

②営業拠点の統廃合

・国内営業拠点は2018年9月末で東京・大阪・福岡の3拠点への集約が完了いたしました。また、2018年12月末でナムシントレーディング(タイ)の事業を終了しております。

 

(2) 血管内分野の拡大と新分野への進出

①新製品による新たな収益基盤の確立

・2018年9月に製造販売承認を取得した「川澄ダックビル胆管ステント」は、2018年11月から限定した施設向けに販売を開始し、2019年6月より全国展開を開始しております。

 2019年6月に製造販売承認を取得した「川澄ジャバラ大腸ステント」は、2019年9月から限定した施設向けに販売を開始し、2020年度より全国展開を開始する予定です。(「川澄ジャバラ大腸ステント」は「2019年グッドデザイン賞」を受賞いたしました。)

・新研究開発拠点(神奈川県川崎市キングスカイフロント)については、2020年3月に着工し、2021年4月竣工、2021年10月稼働予定です。開発に関連する業務および本社機能を集約し、開発から上市に至る流れを加速させます。

②グローバル展開の加速

・ステントグラフトについては、イタリアを皮切りにドイツ他欧州での販売拡大を計画しています。

 

(3) 生産性の向上

①業務の効率化

・より生産性の高い組織となるために、2019年4月に営業部門と生産部門の組織改編を行っております。営業部門においては、マーケティング、国内・海外、法人向けなどの機能別組織から、透析・浄化、消化器、血液、血管内といった事業分野別の組織へ改組し、販売戦略立案から実行まで一貫して行える体制に変更しました。また、生産部門においては生産管理部を新たに設置し、国内外生産の一元管理を開始するとともに、管理人員を削減いたしました。この他、本社を含めた間接部門の業務効率化をすすめております。

②働き方改革

・従業員が活き活きと働ける人事・処遇制度の改定を2019年10月に実施いたしました。

 

3.住友ベークライト株式会社との資本業務提携について

当社は、2019年3月20日に住友ベークライト株式会社(以下“住友ベークライト”)との間で資本業務提携契約を締結し、血管内治療や内視鏡治療などの低侵襲治療分野における両社のプレゼンスの強化・拡大につなげるべく協議・検討を進めております。

 

具体的な成果が生みだせるよう、以下の事項について協議・検討をすすめております。

①両社が有する医療機器製品に関する情報等の共有、および当該情報に基づく次世代医療機器製品の共同研究・開発の可能性

②両社が有する日本国内外における医療機器製品の拠点の相互活用

③住友ベークライトが有するポリマー分析・評価技術の当社の医療機器製品への活用

④上記①ないし③のほか、両社で協議・検討の上、本業務提携に含めることとした事項

 

これまで生産部門や研究開発部門において、具体的な情報交流や試作品の製作支援への取り組みなどを行っております。現時点で業績に直接影響をおよぼす進捗はございませんが、医療機器製品情報の共有やそれに基づく次世代製品の共同研究・開発の可能性についての協議・検討や、拠点の相互活用の協議・検討を今後も行ってまいります。

 

(5) 新型コロナウイルス感染症に対する取組み及びリスク情報

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対策として、国内外にある全事業所において感染拡大の防止に努め、お客さま・従業員の安全確保を最優先に対応を進めております。今後とも、医療機器製品の安定供給確保に努めるとともに、医療現場で尽力されている全ての関係者を支えるべく全力をあげてまいります。

当社の現状における感染予防対策および働き方、生産の状況は以下の通りです。

 

〈実施中の感染予防対策について〉

・出勤前に必ず検温、体調確認を行う事(発熱等の体調不良が見られる場合は自宅静養)

・ソーシャルディスタンスの確保、換気の悪い場所で仕事をしないこと、手指消毒、咳エチケットの徹底

・国内・海外の出張の原則禁止及び会議等の電話・Web会議等へのシフト

・顧客訪問や、外部との会議・セミナー・イベントの参加を原則禁止

 

大分県及び海外(タイ)に所在する工場においては、上記に加えて以下の対策を取っております。

・部外者の入場制限、入場が必要な部外者については、検温・マスク着用の確認と記録

・感染発生施設への出入り調査等と該当者に対する自宅待機等予防措置

 

〈働き方について〉

・本社・営業拠点の従業員は在宅勤務を継続(米国拠点も在宅勤務実施中)

・小学校等の臨時休業に伴う特別休暇の付与

 

〈国内・海外の生産状況について〉

工場は通常通り生産を行っており、製品の供給に対する影響はございません。今後も、上記対策をはじめ、感染予防に細心の注意を払いつつ、製品の安定供給確保に努めてまいります。

 

新型コロナウイルス感染症に関する今後の動向を精緻に予測することは非常に困難ですが、引き続き、当社グループ社員、ステークホルダーの皆さまの安全を最優先として、当社グループとしての社会的責務を全うすべく、政府の方針・行動計画・要請に基づいた感染予防・感染拡大防止に努めてまいります。

 

 

※将来に関する事項については提出日現在において判断したものでありその達成を保証するものではありません。

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