研究開発活動

5 【研究開発活動】

当社グループは“はかる”を事業領域として様々な計測機器を開発しておりますが、顧客要求に応える機器開発及び未来を支える計測技術の追求を研究開発活動の基本としております。

現在の研究開発は主として当社の設計開発本部において推進しておりますが、研究開発スタッフは、当社グループ総従業員数の約15.5%の402名、当連結会計年度における研究開発費の総額は4,874百万円であり、セグメント別の研究開発の状況は次のとおりであります。

 

(1) 計測・計量機器事業

当事業における研究開発スタッフは325名、当連結会計年度における研究開発費は3,943百万円であり、分野別の主要課題及び成果は次のとおりであります。

①  計測・制御・シミュレーションシステム(DSPシステム)

DSPシステムは、計測・制御・シミュレーション・解析を様々な分野に応用が可能なフレキシブルなシステムでありますが、当連結会計年度も前期に引き続き製品ラインナップの強化及びアプリケーションシステムの充実に努めました。

自動車産業では、「CASE(Connected:コネクティッド、Autonomous:自動化、Shared:シェアリング、Electric:電動化)」時代を迎え、中でも特に電動化への対応を加速する必要性の高まりを受け、MBD(Model-Based Development)を活用した開発プロセスの効率改善がますます求められています。それに寄与するためのソリューションとして、台上試験やシミュレーションを行う各種ツールやサービスを提供していますが、知見や得意分野を補完しあえるパートナーを得て、共同でより良いソリューションを提供できるよう活動を推し進めました。昨年度の株式会社ユビキタスAIとの共同開発によるSILS(Software In the Loop Simulation)ツールの市場提供に続き、本年度は、業界最大規模のFPGA(Field Programmable Gate Array)デバイスを搭載し高度なシミュレーションが可能なモーターHILS(Hardware in the Loos Simulation)製品をトヨタテクニカルディベロップメント株式会社(TTDC)との共同開発により市場投入し、多くの反響をいただいております。

DSP応用試験機では、かねてより開発を進めていた、タイヤHILS試験機の初号機を受注、納入を果たしました。さらに、今後の需要増大を見込み、タイヤ試験機の分野で「三種の神器」の1つとされるタイヤ静荷重試験機の開発を進め、シリーズ化を目指します。このシリーズは国内のみならず、海外への展開も行ってまいります。

②  計測機器

計測機器につきましては、引張試験機においてテンシロンRTHシリーズでは、高容量タイプを新規に追加リリースしました。同シリーズは、コロナ禍前の出荷台数を超え、販売は好調に推移しました。また、卓上タイプの小型引張試験機MCTシリーズについても、新規追加したMCT2140Wが予想を超える販売台数となり、MCTシリーズ全機種にわたり、eコマースをはじめ多くの販売チャネルで好調に推移しました。

③  半導体露光装置関連ユニット

電子ビーム偏向制御用のデジタル/アナログ変換器(D/A変換器)につきましては、顧客要求によるコンパクト化、低消費電力化、空冷方式から水冷方式へ転換するための開発が、試作段階を経て出荷に至りました。現在は装置としての評価中です。また、経営統合した㈱ホロン向けのアナログユニットも試作段階から装置に組み込んでの評価を行い、性能の確認を終えることが出来ました。今後は、さらに踏み込んだ性能評価を実施予定です。

一方、ビームユニットにおきましては、荷電ビーム用の高精度の大電流高圧電源を継続して開発を進めております。また、鏡筒制御用の高精度低ノイズの電流源、電圧源を開発しました。電子銃ユニットでは高安定の電子ビームを作り出す電子銃・鏡筒の試作を㈱ホロンと共同で進めております。

④  計量機器

計量機器につきましては、元素分析やHPLC(High Performance Liquid Chromatography:高速液体クロマトグラフ)分析に適したマイクロ天びん/分析天びんBA-Tシリーズ/BAシリーズを新製品として開発、市場投入を行い製品ラインナップを強化しました。

開閉ドアは新規開発の静音・高耐久の自動ドア機構を採用し、また無風イオナイザーにより静電気を帯びた測定物も正確に測ることができます。なお、BA-Tシリーズでは、タッチパネル付きカラー液晶表示を採用し、設定・操作性を向上させました。

商品検査機シリーズでは、国内の計量制度見直しに伴い2024年度からの自動補足式はかりの検定開始に向け、AD4963シリーズがすでに型式承認を取得しております。AD4963とほぼ同じ構成で、従来機と同様の高分解能の非型式承認モデルであるAD4961Aシリーズを先行して市場投入し、取引証明に使用しない国内ユーザーおよび海外ユーザーへの拡販を進めております。さらに、課題となっていた選別機のラインナップに、ベルト幅350mmの検査機用のフリッパー選別機AD4981-3585を追加しました。今後も商品シリーズ、選別機のラインナップを増やしていき、総合的に販売できるようにしたいと考えております。

 

(2) 医療・健康機器事業

当事業における研究開発スタッフは77名、当連結会計年度における研究開発費は931百万円であり、分野別の主要課題及び成果は次のとおりであります。

① 医療機器

医療用電子血圧計につきましては、ガイドライン推奨の複数回血圧測定機能を追加した「全自動血圧計TM-2657VP(音声ガイド・プリンタ内蔵)」の販売を開始しました。「全自動血圧計TM-2657シリーズ診之助Slim」は、軽量・コンパクトを追求した、設置場所を選ばない省スペース型の製品である為、出張検診など持ち運びが必要な場面でも手軽に移動することが可能です。医療機関のみならず、薬局、スポーツ施設、公共機関、健康診断など、幅広い場所でご使用いただける自動血圧計です。

パルスオキシメータにつきましては、持ち運びに便利な軽量小型のクリップタイプの「パルスオキシメータTM-1111(Pulse Pro J)」の販売を開始しました。血液中の酸素量(動脈酸素飽和度)を手軽に計測できます。

医療用計量器につきましては、介護を含む市場向けにベッド形状、椅子形状どちらも可変する「リクライニングスケールAD-6042」、新型液晶の採用とバックアップ機能を追加した「デジタルスケールベッドWAK-820」の2種を販売開始しました。

②  健康機器

自動電子血圧計につきましては、「Bluetooth Low Energy内蔵血圧計UA-651BLE Plus」、「音声機能付き血圧計UA-1030T Plus」などPlusシリーズとして5モデルの血圧計を日本市場向けに販売を開始しました。Bluetooth Low Energy内蔵の製品群は、アプリと血圧計を連携させることで、簡単にスマートフォンで血圧データ管理ができます。

家庭用超音波吸入器につきましては、携帯に便利なポケットサイズの「ポータブル型超音波吸入器UN-302(ポケットシャワー)」の販売を開始しました。生理食塩水が使用でき、むせずにスムーズな吸入が可能な超音波方式を採用しています。

その他、血圧計を中心にグローバルに多機種の自社ブランド、OEM、ODMの製品展開を行い、販売の拡大に繋げることができました。

 

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