課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「常にお客さまの信頼にこたえ、彩りの知と技をもとにこころをこめた作品を創りだし、情報・文化の担い手としてふれあい豊かなくらしに貢献する」ことを企業理念として掲げ、お客さまや社会とともに発展していくことを経営の基本方針としております。

21世紀の企業像と事業領域を定めた「TOPPAN VISION 21」に基づき、全社員が目的意識と価値観を共有し、新しい技術や事業の確立に挑戦するとともに、社会との関わりのなかで企業倫理を遵守し環境と安全に配慮した企業活動を推進してまいります。

「TOPPAN VISION 21」の実現を通して事業領域の拡大と新たな利益の創出を図り、当社グループの永続的な発展と、株主の皆さまやお客さまはもちろん、広く社会や生活者から評価され信頼される企業を目指してまいります。

 

(2) 経営環境及び優先的に対処すべき課題

トッパングループは、世界的な新型コロナウイルス感染症拡大やウクライナ情勢を踏まえ、BCPのさらなる強化を進めると同時に、感染症収束後の消費者行動や価値観の変化に向けた対応を推進してまいります。中期的な経営課題を、①事業ポートフォリオの変革、②経営基盤の強化、③ESGへの取り組み深化とし、「Digital & Sustainable Transformation」をキーコンセプトに、次の施策を展開することにより経営資源の最適配分と有効活用を進め、事業の拡大を図ってまいります。

 

① 事業ポートフォリオの変革

「事業ポートフォリオの変革」につきましては、DX事業、海外生活系事業、フロンティアビジネスを重点事業と位置付け、収益力の向上を目指してまいります。

DX事業については、全社を挙げて取り組むDXのコンセプトを「Erhoeht-X(エルへートクロス)」とし、ビジネスのあり方や生活者の嗜好、行動が大きく変容しデジタル化が加速するなか、マーケティングテクノロジーを活用した企業ブランド・製品・サービスのCX(カスタマー・エクスペリエンス)提供支援、デジタル技術と高度なオペレーションノウハウを掛け合わせたハイブリッドBPOの構築、海外におけるセキュア事業の拡大などを図ってまいります。

海外生活系事業については、M&Aを活用したグローバルネットワークの構築により地産地消体制をさらに強化し、国内で培った技術とのシナジーを創出してまいります。また、世界的にサステナブルニーズが高まるなか、バリアフィルムを活用したサステナブル包材を武器に、グローバルな需要を獲得してまいります。

フロンティアビジネスについては、競争優位を持つテクノロジー・ビジネスモデルを核に、サステナブル関連や5G・6G関連、ヘルスケア関連など、マクロトレンドの変化により生み出される事業機会の獲得を目指します。

また、事業ポートフォリオの変革を実現すべく、トッパングループ一丸となってシナジーの最大化を図るとともに、グループガバナンス強化を通じた経営資源の最適配分、環境変化に対応するための迅速な意思決定を可能とするため、持株会社体制への移行を検討してまいります。

 

 

② 経営基盤の強化

「経営基盤の強化」につきましては、DXを軸に自社競争力のさらなる強化を図り、システム基盤のモダナイゼーション、スマートファクトリーの推進、研究開発機能の強化、人財の育成・活用によって、事業変革の基盤を形成してまいります。

システム基盤のモダナイゼーションについては、営業面、業務面の効率化・高度化を図るとともに、データドリブン型の経営を実現し、ビジネスモデル改革や新事業への迅速な対応を可能にする、有機的に繋がったグループシステムの構築を目指してまいります。

スマートファクトリーの推進については、AIを活用した自動化・少人化、次世代MES(製造実行システム)を活用した全体最適の実現により、「安全・安心、高品質で少人化された持続可能なスマートファクトリー」を目指します。さらに、カーボンニュートラルと循環型工場の構築にも積極的に取り組み、持続可能な工場の実現を目指してまいります。

研究開発機能の強化については、技術起点の新事業を創出することで事業ポートフォリオの変革を牽引すべく、デジタル技術を活用したツール導入などによる研究開発の効率化や、グローバルな研究開発体制の構築を図ると同時に、知財戦略も強化してまいります。

人財の育成・活用については、社会のデジタル化やグローバル化に対応するため、採用チャネル拡大による新たなタレント獲得、リスキル教育プログラムの充実、人財シフトといった複合的な施策により、人員の最適化を推進します。また、「トッパン版ジョブ型人事処遇制度」の導入をはじめとした人事諸制度の改革や、2021年10月に策定した「トッパングループ人権方針」の浸透、ダイバーシティ&インクルージョンの推進などにより、社員の働きがいの向上に取り組んでまいります。

 

③ ESGへの取り組み深化

「ESGへの取り組み深化」につきましては、社会的価値創造企業として、ESGへの取り組みを積極的に推進し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

気候変動への取り組みとしては、地球環境課題への長期的な取り組み方針を定めた「トッパングループ環境ビジョン2050」を策定しています。本ビジョンに沿った活動を強化し、「ふれあい豊かでサステナブルなくらし」の実現を目指してまいります。また、2019年5月には「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」による提言に賛同を表明しました。リスクと機会の両面からその影響についてさらなる情報開示を進めてまいります。

SDGsへの取り組みとしては、SDGsが示す課題への事業を通じた貢献において特に注力すべき分野を特定した「TOPPAN Business Action for SDGs」のもと、これまで以上に社会から信頼される強い企業グループを目指してまいります。

 

■参考情報 気候変動への対応(TCFDに基づく情報開示)

 当社は、中期経営計画の重点施策の一つとして「ESGへの取り組み深化」を設定し、ESG課題のガバナンスを強化しています。気候関連課題に関してもTCFDが提言する4つの要求事項に基づく情報開示を実施しております。今後も情報開示の強化と経営戦略への統合を推進していきます。

 

ガバナンス

当社はESG課題に対し、取締役会がサステナビリティ推進委員会(委員長:代表取締役社長)において検討・審議された活動内容について報告を受けており、取り組みの目標設定及び進捗を議論・モニタリング・監督しています。気候関連課題においても、サステナビリティ推進委員会が下部組織であるTCFDワーキンググループと連携して気候関連課題の評価と対応策のとりまとめ及び取締役会への報告を行っております。取締役会は、その気候関連課題を考慮し、経営戦略の策定などについて総合的な意思決定を行っています。

リスク管理

TCFDワーキンググループは、リスクマネジメントワーキンググループと連携し、気候関連リスクの評価・対応策検討及び推進を行っています。それら対応策は、サステナビリティ推進委員会へ報告され、取締役会で承認を得ることとしています。

また、経営に与える影響が大きいと考えられるリスクを本社主管部門において検討し、リスクマネジメントワーキンググループにより年度毎の「重大リスク」を定めています。気候関連リスクも重大リスクとして総合的リスク管理の枠組みに含まれています。

戦略

TCFDワーキンググループに本社関連部門及び事業部門が参画し、シナリオ分析として気候変動に関する重要リスク・重要機会の洗い出し、財務面のインパクト評価、その評価に基づいた対応策検討を行っています。2021年度の検討については、研究開発・調達・生産・製品供給までのバリューチェーン全体を、1.5℃シナリオ、4℃シナリオで、2050年までの長期想定で考察しました。

気候関連課題解決への貢献として、当社が掲げる中期経営戦略のキーコンセプトである「Digital & Sustainable Transformation」により事業機会の創出を図ります。 具体的には、化石燃料由来のプラスチックごみを削減するリサイクル対応商材、サプライチェーンの温室効果ガス排出量削減に貢献するDX支援サービスなどを事業機会と捉えています。 一方リスクにおいては、「移行リスク」としてカーボンプライシング制度の拡大によるコスト負担の増加、「物理的リスク」として生産事業所の洪水などによる浸水被害による生産停止や復旧費用の増加が挙げられ、その対応を進めていきます。

当社は継続的なシナリオ分析を通してその精度を高め、経営戦略への統合をさらに推し進め、不確実な将来に向けたレジリエンス(強靭さ)を高めていきます。

(気候関連リスクについては後掲の「2 事業等のリスク (2)気候変動リスク」にも記載しております。)

指標と目標

当社は、「トッパングループ環境ビジョン2050」及び「トッパングループ2030年度中長期環境目標」において温室効果ガス排出削減量等の目標値を設定し、気候関連リスクの指標としています。

 

 

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