課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

Ⅰ 会社の経営の基本方針

当社グループの経営理念は、社名の「リンテック」すなわち"リンケージ(結合)"と"テクノロジー"、および社是「至誠と創造」に裏付けされる人の和、技術開発力を基軸とし、国内・海外の業界において、誰からも信頼される力強い躍動感あふれる会社として社会に貢献し、株主各位・顧客・社員家族の期待に応える斬新な経営を推進するというものであります。

当社グループは、粘着応用技術、表面改質技術、システム化技術、並びに特殊紙・剥離材製造技術という四つの固有技術を基盤とし、さらにそれらを高次元で融合させることによって、より差別化された独自性の高い製品創りを進めてまいります。また、高い倫理観の下、CSRの精神を徹底し、社会から信頼される会社たるべく邁進してまいります。

 

Ⅱ 中長期的な会社の経営戦略と会社の対処すべき課題

 地球温暖化や世界的な人口の増加、日本における少子高齢化・人口減少、市場縮小による競争激化など、経営および事業環境は一層先行き不確実な時代へと進んでいくことが予想されます。

 当社グループが持続的な成長を遂げていくためには、2030年のあるべき姿を明確なビジョンとして掲げ、その実現に向けてグループ全社員が一丸となって邁進することが重要であります。

 2030年3月期を最終年度とする長期ビジョン「LINTEC SUSTAINABILITY VISION 2030」(略称:LSV 2030)を掲げるとともに、その実現に向けた3年ごとの中期経営計画をマイルストーンと位置づけ、2021年4月から2024年3月までの3か年を対象とする中期経営計画「LSV 2030 - Stage 1」を推進しております。

 当社グループは、これまで培ってきた独自の技術力を生かしつつ、イノベーションによる揺るぎのない企業体質の強靭化と新たな製品や事業領域を創出・拡大していくことで、持続的な成長を目指してまいります。 

 さらに、脱炭素・循環型社会の実現への貢献、人権の尊重、コーポレートガバナンスの強化などさまざまな社会的課題の解決に向けた取り組みを着実に実行し、事業活動を通じてサステナブルな社会の実現に貢献し続けていくことを基本的な考え方とし、各重点テーマに対して積極的に取り組んでまいります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

≪長期ビジョンの概要≫

Ⅰ.

名  称

 

「LINTEC SUSTAINABILITY VISION 2030」(略称:LSV 2030)

Ⅱ.

基本方針

 

イノベーションによる企業体質の強靭化と持続的成長に向けた新製品・新事業の創出を通じて、サステナブルな社会の実現に貢献する

Ⅲ.

重点テーマ

 

1.社会的課題の解決

(1) 環境 … 脱炭素社会・循環型社会の実現への貢献 など

(2) 社会 … 人権の尊重、ステークホルダーへの情報開示とコミュニケーション強化 など

(3) ガバナンス … コーポレートガバナンスの強化、取締役会の実効性のさらなる向上 など

(4) 事業活動を通じたSDGs達成への貢献

2.イノベーションによる企業体質の強靭化

(1) DXによる設計・開発・製造・物流・業務プロセスの変革

(2) ビルド&スクラップによる省エネ、高品質、高効率、省人化を目的とした新規生産設備の導入

(3) 生産プロセス革新によるコスト競争力の強化

(4) 低成長・不採算事業の構造改革とグループ会社の経営健全化

(5) 強固な財務基盤の維持と資本効率の向上

3.持続的成長に向けた新製品・新事業の創出

(1) 技術革新による新製品・新事業の創出

(2) 戦略的投資の拡大と機動的M&A

(3) さらなるグローバルプレーヤーへの飛躍

(4) ローカリゼーションの確立

Ⅳ.

2030年3月期 財務指標

 

売上高営業利益率

12%以上

ROE(自己資本当期純利益率)

10%以上

 

 

≪中期経営計画の概要≫

Ⅰ.

名称/期間

 

「LSV 2030 - Stage 1」/2021年4月~2024年3月

Ⅱ.

各事業セグメントの主な取り組み

 

■印刷材・産業工材関連

米国やアジア地域など海外での生産拠点拡充と営業力強化

MACTACグループとのシナジー発現

国内外でのウインドーフィルムの拡販と高機能製品の拡充・展開

ラベリング技術をコアにした自動化システムの拡販 など

(印刷・情報材事業部門)

今後の成長に向けては、やはり海外市場での拡販が不可欠です。昨年4月に買収によって生産能力の増強などを図った米国子会社のマックタック・アメリカ社では、今年2月にも同業メーカーの粘着製品事業を譲り受け、スピネカー社を設立しました。これにより多品種小ロット対応が可能な同社と、一般ラベル用粘着製品を大量生産するマックタック・アメリカ社とのシナジー効果が期待されます。そしてもう一つのキーワードが環境配慮であり、有機溶剤を使用しないホットメルト処方の製品展開を国内外で拡充していく方針です。また、プラスチックの使用量削減や容器などのリユース・リサイクルといったニーズに応える製品も積極的に市場投入していきます。

(産業工材事業部門)

製品構成の見直しや品種統合、適正在庫の見直しといった収益性の改善に向けた取り組みを徹底していきます。また、国内のインターネット通販市場は今後も大きな成長が見込まれており、産業システム関連では大規模事業者への拡販に加え、中小事業者向けのラベリングマシンの開発にも注力していきます。ウインドーフィルムは国内外でブランド力の強化に努め、さらなる成長が期待される東南アジア市場において、現地材料を活用した競争力の高い製品の投入を目指していきます。近年業績低迷が続いている米国のウインドーフィルム生産子会社のマディコ社では、製造効率の向上や品質改善による業績の立て直しを図っていきます。

 

■電子・光学関連

積極的な投資による半導体・電子部品関連製品のシェア拡大

次世代デバイス製造プロセス用薄膜・高密度・多積層製品の開発

次世代ディスプレイ用粘着剤の開発

OCA(Optical Clear Adhesive)新製品の開発・拡販 など

(アドバンストマテリアルズ事業部門)

将来の需要増加に応えていくために生産能力の増強を図っており、愛媛県と埼玉県の2工場に総額約190億円を投じて積層セラミックコンデンサ関連テープの新工棟の建設を進めているほか、半導体関連粘着テープについても群馬県の工場に約45億円を投じて新規生産設備の導入を計画しています。また、事業基盤整備の一環として海外子会社の販売システムを継続強化するほか、原材料の複数社購買や一括発注による調達リスクの軽減も図っていきます。新製品開発においては、次世代ディスプレイとして期待されるマイクロLED向けのテープや、半導体メモリーのさらなる多層化を実現する半導体製造プロセス向けのテープなどの開発を進めていきます。

(オプティカル材事業部門)

協業する偏光フィルムメーカーと共に高い品質が求められるハイエンド向けを伸ばしていくとともに、品種統合などを進めることで効率操業を目指し、利益の確保に努めていきます。同時に偏光フィルムの粘着加工事業以外の分野を伸ばしていくことも当事業部門にとって成長の鍵となります。中でも車載用の光学透明粘着シートには大きな手応えを感じており、自動車に実装されるディスプレイの面積が拡大していく中で、シェアの向上を図っていきます。優れた性能を維持しつつ、環境にも配慮した無溶剤タイプの拡販に注力するほか、UVカット、着色、光拡散といった機能を付与したタイプを車載用途以外にも展開していきます。

 

 

■洋紙・加工材関連

脱プラ・フードロス対応新製品の開発・拡販

新製品の開発と市場展開

剥離紙の無溶剤化と脱ポリ化の推進

エナメル調および車両向け合成皮革用工程紙の技術開発・拡販 など

(洋紙事業部門)

パルプをはじめ、薬品や電力、ガスなどの原燃料の高騰をカバーすべく、対応を進めています。また、ペーパーレス化の流れの中で、当事業部門が成長していくためには環境配慮製品の拡充が不可欠です。脱炭素・脱プラスチックといったニーズの高まりを受け、石油由来のフィルムを代替する素材として「紙」には大きな可能性があります。特に、コンビニ弁当の容器などにも使用できる厚物の耐油耐水紙やフィルム加工が不要な耐水印刷用紙、プラスチック製クリアファイルの代替となる半透明紙、紙ストロー用原紙などの拡販に努めていきます。そのほか、薬品を無駄なく塗工できる新設備を活用した製品開発や既存品のコストダウンにも注力していきます。

(加工材事業部門)

現下の原燃料価格などのコスト上昇への対応に注力するほか、中長期的なテーマとして、剥離紙用原紙に剥離剤を塗工する際に有機溶剤を使わない無溶剤化や、剥離紙にポリエチレン樹脂を塗工しない脱ポリ化を推進していきます。こうした環境対応は脱炭素・脱プラスチックという流れの中で今後ますます求められてくることであり、剥離紙の国内トップメーカーとして業界をリードして取り組んでいきます。また、合成皮革用工程紙については車両用を中心に、国内はもとより北米などの未進出地域も含む海外でのさらなる拡販を目指していきます。そのほか、撥水性を付与できる工程紙や成膜用途の剥離材などの開発も進めていきます。

Ⅲ.

2024年3月期(最終年度)経営目標

 

昨年5月に公表した2024年3月期(最終年度)の経営目標を初年度でクリアすることができたことから、今年5月に下記のとおり経営目標を変更いたしました。

 

 

変更前 

変更後 

売上高

2,550億円

3,000億円

営業利益

210億円

240億円

親会社株主に帰属する当期純利益

140億円

170億円

売上高営業利益率

8%以上

8%以上

ROE(自己資本当期純利益率)

7%以上

8%以上

 

 

◆当社のESGおよびSDGsに関する取り組みについて◆

 当社は長期ビジョン「LSV 2030」で掲げた重点テーマ「社会的課題の解決」において、ESG(環境・社会・ガバナンス)およびSDGsに関する取り組み課題として、次の項目を設定しております。

 


 

 当社グループ全社員による取り組みを一層加速し、国際社会の課題解決に貢献することのできる企業グループを目指してまいります。また、マテリアリティ(重点課題)については毎年見直しを行っており、「CSRレポート」および「統合報告書」並びに当社ウェブサイトにて開示しております。

 当社はこれからも社是「至誠と創造」の下、各項目に対して着実に取り組んでまいります。

 

◆当社のTCFDに関する取り組みについて◆

 当社では気候変動が自社の事業活動にさまざまな影響を及ぼすことを認識し、これを重要な経営課題の一つとして捉えています。リスク管理体制や各リスクへの対応を強化するとともに、新たな事業機会を見いだしていくことなどによって、持続的成長とサステナブル社会実現への貢献を目指していきます。気候変動への対応に関する情報開示については、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に沿って積極的に行い、ステークホルダーの皆様とのエンゲージメントを通じて、さらなる企業価値向上に努めていきます。

 

 TCFDでは下記の4項目が開示内容の大枠として示されており、当社ではそれぞれの項目につき当社ウェブサイトにてTCFDの提言に沿った開示を進めていきます。

 

  1.ガバナンス

気候変動関連課題への対応を含むサステナビリティに関する具体的な取り組み施策については、「サステナビリティ委員会」(原則年4回開催)において、対応方針や実行計画についての議論と進捗状況の監督を行っています。同委員会は代表取締役社長が委員長を務め、全取締役および下部委員会の推進担当役員が参加しており、討議結果は取締役会において報告される体制としています。

 気候変動関連課題は「TCFD分科会」を通じて「環境委員会」で一次評価を実施し、「サステナビリティ委員会」において最終的な評価を行います。課題への対応策は各拠点で実行・管理され、対応状況は「環境委員会」にて取りまとめ、「サステナビリティ委員会」において全取締役および推進担当役員に報告されています。

 

 

  2.戦略

当社では、気候変動に伴うさまざまなリスク・機会を事業戦略策定上の重要事項の一つとして捉えており、外部機関が公表する「4℃シナリオ」と「2℃シナリオ」の二つのシナリオを参照して、2030年までの国内事業を対象としたシナリオ分析を実施しています。

シナリオ分析の結果特定された気候変動に関連するリスクと機会の対応策を長期ビジョン「LSV 2030」の取り組みに反映させるとともに、今後は海外事業も含め、より長期的視点での分析を進めていきます。

 

  3.リスク管理

当社ではリスク管理体制強化のため、各本部長と社長直轄組織である各室の室長で構成される「全社リスク管理委員会」を2018年4月に設置し、定期的に委員会を開催しています。

2021年4月にサステナビリティ活動の推進体制が刷新・強化され、同委員会の目的を「事業におけるリスクと機会の把握、対応方針策定、職制への落とし込みおよび検証」として、改めて明確にしました。同委員会では、主に各委員の課題認識と管理職などを対象に毎年実施しているリスク洗い出しの結果に基づいて、自然災害を含む各リスクの評価・分析を行っています。その結果は四半期ごとに「サステナビリティ委員会」と取締役会で報告され、対応などについての指示を受けています。

また、気候関連リスクに係る情報は「環境委員会」が収集して識別・評価を行い、その結果を「サステナビリティ委員会」に報告しています。同委員会では対応の必要性を検討後、適宜、下部委員会を通じて推進担当役員に業務指示を行っており、指示を受けた推進担当役員はそれぞれの所管部署を通じて対応策を実行します。「環境委員会」はその後の状況の変化を継続的に確認し、当初掲げた指標・目標が達成できているかどうか定期的に把握しています。

今後も各委員会が連携してリスク管理能力の強化に努めるとともに、リスク管理体制の継続的な改善を図ることで、当社グループの持続的成長につなげていきます。

 

  4.指標と目標

当社は、気候変動への対応として温室効果ガス排出量の削減が重要であると認識し、研究開発・製造・販売・物流面などにおいてさまざまな施策を推進しています。脱炭素に向けたこれらの取り組みはメーカーとしての使命であると同時に、気候関連の新たな機会獲得につながると考えています。当社グループでは長期ビジョン「LSV 2030」において、「CO 2 排出量を2030年までに2013年度比で50%以上の削減」の数値目標を設定しています。

 

 

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