業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績

 当連結会計年度(2021年1月1日から2021年12月31日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大影響により、引き続き不透明な状況で推移しております。ワクチン接種の広がり等により、経済正常化への動きは続いているものの、緊急事態宣言の再発令が繰り返されるなど、予断を許さない状況が続いております。

 このような状況のもと、当社グループは、今年を最終年とした中期経営計画「持続的な成長力の獲得 Smart & Sustainable Transformation 2021」として、メリハリを意識したスマートな稼ぐ力の向上と中長期事業成長を前提とした効率的な事業運営に取り組んでまいりました。結果として、中計期間を通じて取り組んできたマネジメント改革が結実し、グループ全体の収益性改善が大きく進展したため、当初計画において掲げた営業利益率目標を上回るなど、今後更に推し進めていく事業ポートフォリオ経営の礎を築くことができました。

 新型コロナウイルス感染拡大影響によって、当社グループを取り巻く経営環境は激変し、大きな影響を受けました。しかしながら、各顧客企業がコロナ禍における新しい働き方を模索する中、当社グループがこれまで行ってきた価値提供を活かし、新たな需要の取り込みができているものと考えております。

 売上高は、前年同期比6.5%増の3,201億円となりました。売上総利益は、前年同期比7.7%増の1,157億円となりました。売上総利益率は、0.4ポイント改善の36.1%となりました。販売費及び一般管理費は、前年同期比3.4%増の957億円となりました。グループ経営を推進し、販管費支出の効率化や人員等のリソース配分の見直しによる筋肉質化を推し進めた結果、売上高販管費率は29.9%となり前年同期比での改善が継続しております。

 以上により、営業利益は、前年同期比35.1%増の200億円となりました。経常利益は、第1四半期において持分法適用関連会社であるぺんてる㈱にかかる減損損失50億円を営業外損失として計上したものの、前年同期比15.8%増の164億円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、第2四半期において投資有価証券売却益35億円、第4四半期において固定資産売却益25億円を特別利益として計上したこと等により、前年同期比65.2%増の137億円となりました。

 なお、2021年12月期の目標(2021年7月30日公表)に対し、売上高は目標比99.4%の3,201億円、営業利益は目標比99.0%の200億円、営業利益率は6.2%となり、目標の6.3%を0.1ポイント下回りました。また、ROEは6.0%となり、前年の3.7%を2.3ポイント上回りました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

①空間価値ドメイン

空間価値ドメインでは、働き方・空間ニーズの多様化を取り込んだ新たな価値を創りつつ、盤石な収益基盤の構築に取り組んでおります。

国内事業は、顧客に対してニューノーマルな働き方に向けた新しいオフィスづくりの提案へ注力し、新型コロナウイルス感染拡大防止対策への相談対応やオフィスのリニューアル需要の取り込み、差別化されたソリューション提案が期初想定以上に進捗し、過去最高水準で推移しました。

海外事業は、非日系顧客へ向けて、国内で培った知見を活かしたワークスタイル提案に注力しました。中国では今後も成長が見込める市場へ販売活動を推進しております。

㈱アクタスは、インテリア需要の高まりへの対応として顧客へのオンライン商談や事前予約制の接客サービス、インテリアサポートキャンペーン等の営業活動に取り組み、受注が好調に推移しております。

このような状況のもと、売上高は、前年同期比8.5%増の1,570億円となりました。営業利益は、前年同期比34.2%増の186億円となりました。

 

②ビジネスサプライドメイン

ビジネスサプライドメインでは、流通基盤の統合とお客様にとって最適な販売体制の構築を図るマイグレーション戦略が順調に進捗しており、収益改善が進んでおります。

カウネット事業は、繰り返される緊急事態宣言の発令によるオフィス出社率低下や在宅勤務拡大の影響を受けましたが、伸長するEC市場における成長機会を獲得するために、新規顧客数獲得施策の実行や非オフィス市場での売上拡大、ECサービスレベルの向上等の取り組みを推進しております。

代理店販売事業は、顧客の購買行動のEC等への切り替えが継続している現状に鑑み、販売面及び物流面の効率化を推進しております。

このような状況のもと、売上高は、前年同期比2.2%増の1,155億円となりました。営業利益は、前年同期比0.3%減の24億円となりました。

 

 

③グローバルステーショナリードメイン

グローバルステーショナリードメインでは、国内市場における事業環境の大きな変化に向けて体制整備を含む柔軟な対応を行うことによって収益の維持を目指すとともに、今後も成長が見込める海外市場の収益確保に取り組んでおります。

国内事業は、新型コロナウイルス感染拡大影響によってBtoB市場とBtoC市場がそれぞれ影響を受けておりますが、BtoC市場におけるシェアの拡大、顧客ニーズに合わせたノートや文具を中心とした付加価値の高い学び商材の販売強化へ取り組みました。

海外事業は、インド等において新型コロナウイルス感染拡大影響による需要回復の遅れが見られるものの、経済環境がいち早く回復しつつある中国においては、女子中高生をターゲットとした文具売上が好調に推移しました。

このような状況のもと、売上高は、前年同期比2.6%増の733億円となりました。営業利益は、前年同期比29.0%増の62億円となりました。依然として事業環境は厳しい状況が続いておりますが、国内事業における販管費支出効率化等による筋肉質化や海外事業の成長によって、営業利益はコロナ前の2019年を上回りました。

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

①生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

空間価値ドメイン

14,188

102.4

グローバルステーショナリードメイン

24,627

125.7

合計

38,815

116.0

(注)1 金額の表示は製造原価による。

2 上記金額は消費税等を含まない。

3 ビジネスサプライドメインは生産活動を行っていないため、記載を省略している。

 

②受注実績

 当社グループは、主として見込生産のため、受注実績の記載を省略しております。

 

③販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

空間価値ドメイン

154,875

108.9

ビジネスサプライドメイン

109,897

102.2

グローバルステーショナリードメイン

54,934

108.8

その他

463

126.1

合計

320,170

106.5

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去している。

2 上記金額は消費税等を含まない。

3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略している。

 

(2)財政状態

 当連結会計年度末の総資産は3,245億円となり、前連結会計年度末に比べ42億円増加しました。

 流動資産は2,031億円となり、前連結会計年度末に比べ139億円増加しました。主な要因として、有価証券が56億円、現金及び預金が49億円、受取手形及び売掛金が12億円、商品及び製品が11億円、それぞれ増加したためであります。

 固定資産は1,214億円となり、前連結会計年度末に比べ96億円減少しました。主な要因として、有形固定資産が10億円増加した一方、投資有価証券が104億円減少したためであります。

 当連結会計年度末の負債は944億円となり、前連結会計年度末に比べ5億円増加しました。主な要因として、未払法人税等が47億円増加した一方、1年内返済予定の長期借入金が30億円、繰延税金負債が8億円、短期借入金が5億円、それぞれ減少したためであります。

 当連結会計年度末の純資産は2,301億円となり、前連結会計年度末に比べ37億円増加しました。主な要因として、利益剰余金が88億円、為替換算調整勘定が11億円、それぞれ増加した一方、その他有価証券評価差額金が21億円、自己株式の増加により39億円、それぞれ減少したためであります。

 

(3)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、1,005億円と前連結会計年度末に比べ99億円の資金増となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により獲得した資金は217億円(前年同期比25億円の収入増)となりました。これは、主として税金等調整前当期純利益218億円、減価償却費68億円、持分法による投資損失52億円の資金収入等があった一方、投資有価証券売却損益34億円、固定資産売却益28億円、法人税等の支払額31億円、たな卸資産の増加12億円の資金支出等があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により獲得した資金は25億円(前年同期は61億円の支出)となりました。これは、主として投資有価証券の売却による収入56億円、有形固定資産の売却による収入41億円の資金収入等があった一方、設備投資による支出60億円、関係会社株式の取得による支出9億円の資金支出等があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により支出した資金は150億円(前年同期比91億円の支出増)となりました。これは、主として配当金の支払額48億円、自己株式の取得による支出39億円、長期借入金の返済による支出31億円、リース債務の返済による支出12億円、自己株式取得のための預託金の増加10億円の資金支出等があったことによるものであります。

 

(資本の財源及び資金の流動性)

 当社グループは、「長期ビジョンCCC2030」にて、成長戦略により2030年売上高5,000億円との目標を掲げており、その達成に向けて第3次中期経営計画「Field  Expansion 2024」を2021年11月29日に公表し、既存事業のブラッシュアップと新たなニーズを取り込んだ事業領域の拡張への取り組みを開始しております。この計画を進めるにあたり持続的な企業価値向上に向けた戦略投資500億円を実行していく予定です。

 運転資金及び投資資金につきましては、内部留保のほか金融機関からの借入により調達しております。また、内部留保により必要な資金の流動性を確保するとともに、当社グループにおいてキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、グループ内資金の効率化を図っております。

 このほか当社は、当連結会計年度末において運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行10行と130億円の貸出コミットメント契約を締結しております。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(5)経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

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