研究開発活動

5 【研究開発活動】

当社グループにおける研究開発活動は、主に連結財務諸表を作成する当社が行っております。

また、当社における研究開発活動はSI事業に係るものであり、その活動状況は次のとおりであります。

 

(1) 研究開発体制

当社の研究開発につきましては、イノベーション統括部、技術管理統括部、再生医療研究部をはじめとする各研究開発部門において、最新の技術動向を調査・研究すると共に、実践レベルでの各種検証を行っております。

なお、当連結会計年度末の研究開発に従事する人員数は、94名であります。

 

(2) 研究開発費用

当連結会計年度において当社グループが支出した研究開発費の総額は、633百万円であります。

 

(3) 研究開発の概要

① AI技術

大型GPUサーバーを導入し、開発者に提供することで早期提案の実現や開発の生産性を向上する取り組みを行っております。この取り組みの実現により、お客様のサービス提供スピードの向上とともに高付加価値の実現への貢献を果たします。医療分野においては大学病院と共同研究を実施しており、特定部位において現役の医師と同程度の精度のAIを作成しました。現在は他の部位や異なる症状についての共同研究を進めております。今年度は特に自然言語分野のAIやシミュレータに関する研究をしており現在実施している社内適用を経て社外へも公開予定です。後期ではさらにIVA(インテリジェントビデオアナリティクス)分野を新たに研究テーマに加え、動画分析結果のマーケティングへの活用によるお客様のビジネスの拡大、あるいは犯罪の予防などに適用して安心できる社会生活への貢献へ取り組んでまいります。

今後も市場の動向や研究で発表される新たな技術の調査・検証を進めると共に、開発の生産性や品質の向上、お客様へより良いAIシステムの提供に繋げられるよう、継続して研究を進めてまいります。

 

 

② IoTデバイス監視技術

 昨今、IoTサービスの商用化の増加に伴い、「IoT関連の保守・運用」の必要性が高まってきております。当社への相談も増えており、今までの経験を活かし、まずは、セキュリティ確保の観点から、IoTデバイスの監視の研究開発を実施いたしました。
 これまでに、デバイスのセキュリティ監視機能の試作開発および有用性の検証、デバイスセキュリティ監視結果の情報収集検証が完了しております。これらの検証等をもって、技術的な課題に対する調査・研究は完了とし、まずは需要の見込まれる監視サービスを4月より事業化する計画であります。今後は更なるサービスメニューの充実を図り、市場のニーズに応えてまいります。 

 

③ サイバー・セキュリティ技術

国立大学法人横浜国立大学と連携し「IoTマルウェアの分析」、「標的型攻撃の識別・検知」等についての調査研究を行っております。また、社内システム・自社プロダクト・受託開発のセキュリティ強化のため、「セキュア開発・運用プロセス」、「脆弱性検査・管理」、「ハッキング・堅牢化手法」、「セキュリティアーキテクチャ」等の研究を実施しております。

 

④ ローカル5G技術

2021年6月よりローカル5G技術研究及び検証強化のためラボプロジェクトを開始し、ローカル5G基地局より研究検証ラボ施設機材の調査及び選定を行いました。
今後選定した機材構築及びローカル5G免許取得等、ラボ開設に向け準備を進め、2022年春以降の開設を目指してまいります。

 

⑤ 農業ロボット技術

国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(NARO)より「イノベーション創出強化研究推進事業/ジャガイモシロシストセンチュウ土壌調査のためのハヤブサ型ドローンの開発」に関わる開発委託の採択を受け、2018年9月より研究開発を進めております。本研究開発では、農業分野でも導入が進んでいるドローンと情報管理技術の活用により、人力による「土壌サンプリングと線虫調査情報管理」(*1)を自動化する技術を新たに開発することを目的としております。当期は、基礎研究3か年の最終年度として、土壌サンプリングの基礎機能となる、採土機構の小型軽量試作版が完成し、ドローンとの簡易的な接続飛行試験および一定量の土壌採取に成功しております。また、線虫調査情報管理システムにてサンプリング設計から土壌採取、解析結果の入出力までを管理する基本プログラムを開発し、基礎研究の目標を達成しております。
 

*1:土壌サンプリングと線虫調査情報管理

馬鈴薯(ジャガイモ)の難防除害虫であるジャガイモシロシストセンチュウの蔓延を防ぐため防除活動

 

⑥ 車載ソフトウェア技術

 旧来からの組込み制御技術に加えて、ISO26262(機能安全)、ISO/SAE21434(セキュリティ)などのプロセス開発に取り組んでおります。新技術分野では、MBD/CIを活用した再利用性の高い開発手法、HILS/SILSを活用したシミュレーション環境構築および従来より高い精度と効率を実現する画像AIアルゴリズム開発への取組みなど外部の有力企業と連携して研究開発に取り組んでおります。さらに、今後増えていくE/EアーキテクチャなどECU統合化に向けて、旧来より取り組んできたAUTOSAR SPFの知見と資産を活かした次世代技術への対応を進めております。
 自動運転の要素技術となるAI分野においては、自動車業界で採用が見込まれるGPU/AIプラットフォームの技術調査、2021年より新たに取り組みを開始した、MaaS分野においては、まだ個々のユーザー企業のクローズドシステムであるMaaSシステムについて、いずれインフラ基盤として共通化されることを視野に入れた調査研究に取り組んでおります。2021年9月には、自動車業界で必要となるAutomotive SPICE、ISO26262(機能安全)など国際規格に準拠した車載ソフトウェア開発標準プロセスを構築し、プロジェクトに適用して実用レベルへ引き上げたことにより、主要なプロセスにおいてAutomotive SPICE Level3の認証を取得いたしました。
 今後、機能安全含めてアセスメントできる資格保有者を育成することで、車載ソフトウェア対応力の強化を進めてまいります。

 

⑦ 再生医療技術

国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)より「先天性顔面疾患に用いるインプラント型再生軟骨」に関わる新技術開発委託の採択を受け、産官学連携による研究開発を経て再生軟骨(口唇口蓋裂向け)の製造販売承認申請を行い、GCTP適合性調査を進めて参りました。しかしながら、この調査の過程において幾つかの問題が見つかったため、解決の目途が立つまで適合性調査を休止する事を決定し、2021年10月4日に製造販売承認申請の取下げが受理されました。
私立大学から委託案件である臨床研究試験の1件については、計画番号が発番され、臨床研究を開始しています。
 ・14例すべて登録され、7例が研究終了、5例経過観察中、2例試験実施中です。
私立大学からは委託案件である非臨床研究1件を実施しております。
 ・1件目は動物実験開始前の準備中です。
国立大学との共同研究は、新規治療との併用療法を実施しております。

 

 

⑧ データ分析技術

データ分析技術活用によるビジネスの拡大を研究目的としております。DX時代に必要なデータ分析基盤の調査研究と合わせて取り組んでおり、これらの活動を経て、お客様のデータドリブン経営の実現に貢献してまいります。

 

⑨ 仮想オフィス技術

コロナ禍以前のオフィスで行われていた、「ちょっとした相談」「雑談」「声掛け」や、一緒に働いているという「一体感」をバーチャル上で再現すべく、気軽にコミュニケーションが行えるシステムとして、仮想オフィスを開発いたしました。アフターコロナにおいてもニューノーマルな働き方が浸透すると考えており、仮想オフィスへのニーズは無くならないことが期待されます。また、拠点が分散した組織においても、一緒に働くという「一体感」の醸成に寄与すると考えております。仮想オフィスでは多様なデータの取得も可能なため、働き方の可視化や、勤務状態のエビデンス取得、生産性向上への寄与などとしても利用できると考えており、旧来の勤務形態では不可能であった、仮想空間ならではのより発展した働く空間としての可能性の調査研究を進めながら、大学研究機関と共同研究を実施し、仮想オフィスの有効性の検証も実施しております。
 また、仮想オフィスのコア技術は、展示会や懇親会などにも流用可能と考えており、仮想空間コミュニケーションシステムのプラットフォーム開発も調査研究を進めております。

 

⑩ 車載シミュレーション技術

自動車メーカーやサプライヤ様に車両制御機能の検証コスト削減を提唱し、当社のシミュレーションを活用した車両制御機能の検証環境構築業務に対するコスト競争力を高めることを目的とした研究開発を行っております。併せて、NVIDIA社の製品を先行利用することにより、先進的なシミュレーション環境の知見を得ております。主要課題としては、多数ある検証向けの車両シミュレーションツール、地図や交通流ソフトなどを最適に組み合わせ、カスタマイズを容易にするプラットフォームの実現方法と技術的な課題問題の洗い出しや、高精細なシミュレーションを行うための環境構築方法、必要なツールおよび連携手法等が挙げられます。
 これまでの研究成果として、CarMakerとCARLAを連携実行できるデモ環境と、実現するためにCarMakerとCARLAに組み込むアプリケーションの開発を行いました。NVIDIA社のツールに関しては、高精細映像精度の数値化まで検証を進めております。
 今後も、車載シミュレーションに関連するエキスパート技術者を中心とした体制にて調査研究を進めてまいります。

 

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