事業等のリスク

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

ニチイグループでは、医療・介護保険制度に依存しない高付加価値サービスの開発・提供に注力するなど、事業構成バランスの改良を図ることで、グループ内のリスク軽減に努めておりますが、予想を超える事態が発生した場合は、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす事もあります。

なお、下記内容は、有価証券報告書提出日(2020年6月25日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)事業に関するリスク

≪医療関連部門について≫

ニチイグループの医療関連部門は、各種医療機関が行う医療行為以外の医事業務、医事周辺業務、医業経営のコンサルティング業務、医療事務講座をはじめとする医療関連講座などを提供しております。医療機関は、2年に1度を目処に行われる診療報酬の改定、医療保険制度改革に連動し、医業収入が大きく左右されることとなります。医療機関においてサービス提供を行っているニチイグループにおいては、改定への迅速な対応、新たなニーズに対するサービス開発、受託医療機関との契約内容の見直し等を行っておりますが、社会保障改革の内容、診療報酬改定率、IT化の進捗等により、契約料金、契約内容に影響を受ける可能性があります。

医療関連講座につきましては、時代とともに変化するニーズに合わせて、講座内容の改訂、通信講座や短期講座等の開講による受講形態の充実化に努めておりますが、雇用環境の変化等により受講生数が大きく変動し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

≪介護部門について≫

ニチイグループの介護部門は、介護保険法をはじめとする各種関連法令によって規制を受ける公的介護保険法内のサービスが中心となっております。これらのサービスは5年毎の介護保険制度の改定、3年毎の介護報酬の改定により収益に影響を受ける可能性があります。当社では、介護保険外サービスやサービスラインナップの拡充により、リスク分散に取り組んでおりますが、報酬引下げ等による減少分を吸収できない場合、収益に大きな影響を及ぼすことがあります。

当社企業グループが展開する介護施設(グループホーム、有料老人ホーム、通所介護施設等)においては、賃貸借契約による地域に密着した事業展開を行っております。契約期間は20年契約が中心となっているため、入居者の減少による施設稼働率の低下や、入居費用等の相場が下落した場合には、介護部門の収益に影響を及ぼす可能性があります。

介護職員初任者研修をはじめとする介護関連講座は、雇用環境の変化等により受講生数が大きく変動し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

≪保育部門について≫

ニチイグループの保育部門は、認可保育所、企業主導型保育所をはじめとする保育施設の運営、保育系講座(ベビーシッター講座等)を提供しております。待機児童問題の解消に向け、保護者・子ども・地域のニーズに応える保育サービスの提供に努めておりますが、これらのサービスは保育制度の改正等により、サービスの展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

≪ヘルスケア部門について≫

ニチイグループのヘルスケア部門は、家事代行サービス「ニチイライフ」および国家戦略特区における地域限定の家事代行サービス「サニーメイドサービス」を提供しております。

両サービスにおいて、スタッフの指導・研修等の実施による顧客満足度の向上に努めておりますが、「サニーメイドサービス」につきましては、国が推進する国家戦略特区の政策のもと展開しているため、政策動向等により、サービスの展開および業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

≪教育部門について≫

ニチイグループの教育部門は「Gabaマンツーマン英会話」を提供しております。これらの英会話スクールでは申込時に入金された受講料のうち、未受講レッスン相当額が前受金として貸借対照表上の負債の部に計上されております。日頃より、レッスンクオリティの向上や、受講生サポート体制の強化に努めておりますが、短期間に多くの受講生が中途解約を行った場合等には、多額の前受金の返金が発生し、当社の財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

セラピー部門について≫

ニチイグループのセラピー部門は、犬専用グルーミングサロン・ホテルの運営、ペット犬の飼育・販売等を行っております。スタッフの技術の向上や、顧客ニーズに合わせたプラン内容の見直し等により、顧客満足度の向上に努めておりますが、これらのサービスは、動物愛護管理法に基づく第一種動物取扱業であり、法改正や各自治体の定める管理基準の改正等により、サービス及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

≪グローバル部門について≫

ニチイグループのグローバル部門は、中国における介護、家政サービス等に従事する人材の養成および各種サ

ービスの提供、オーストラリアにおける語学学校運営・セラピー犬のブリーディング活動、カナダ・フィリピンにおける語学学校の運営等を行っております。

海外における事業展開にあたっては、政府動向や法改正、治安情勢等に関する情報収集、リスク抑止策や適切な対処を行うべく努めておりますが、以下のような想定できない、または想定以上の変化があった場合、事業推進及び経営成績に影響を受ける場合があります。

 

・予期せぬ法令・規定の変更

・テロや紛争等の政治的・社会的混乱

・想定以上の市場や経済動向及び為替レートの変動

・労使関係、商習慣の相違

 

(2)内部管理態勢に関するリスク

ニチイグループでは、業務上の人為的ミスや社員による不正行為等が生じることのないよう、自律ある業務管理態勢及び内部牽制機能の強化に努めております。しかしながら、将来的に業務管理上の問題が発生した場合、ステークホルダーに対する信頼性の喪失が生じ、当社業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

≪個人情報に関するリスク≫

ニチイグループにおいては、個人情報保護法に定められた個人情報を取扱っております。ニチイグループは、個人情報の保護については、極めて重要な経営課題と認識し、個人情報の適正な取得及び利用管理の義務付けを行うため、個人情報保護委員会を設置し、各種規程の策定、研修等の社内教育等を通して個人情報の漏洩・再発防止に努めております。

しかしながら、万一、個人情報が漏洩した場合は社会的信用の失墜、損害賠償請求等により業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)人材ビジネスにおける許認可及び法的規制

医療関連部門、介護部門において実施している人材派遣業務については、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)」に基づき一般労働者派遣事業の許可を取得しております。「労働者派遣法」は、派遣事業を行う事業主が欠格事由に該当した場合や違法行為を行った場合、派遣事業の認可取消しや業務停止となる可能性があります。

ニチイグループでは、コンプライアンスの徹底に努めておりますが、万一、法令等に抵触する場合は、当社企業グループの業績が影響を受ける可能性があります。

また、労働者派遣法および関係諸法令については、今後も雇用情勢等に応じて改正される可能性があり、改正の内容によっては、業績に影響を受ける可能性があります。

 

(4)人材の確保に関するリスク

ニチイグループは、「人」によるサービスを中心に展開しており、人材の確保・定着・育成によるサービス供給態勢の構築に努めております。

医療関連部門、介護部門では、「教育から就業まで」というビジネスモデルのもと、人材確保に向けて当社独自の人材獲得スキームを有しております。また、保育部門では採用活動の強化や全国展開のスケールメリットを活かした人材マッチングによる人材確保を実施しております。

併せて、正社員化・無期雇用化や処遇改善、職場環境改善等による現場社員の雇用安定化および、研修やキャリアアップ制度に基づく人材育成を図っておりますが、欠員補充や新規人材の確保が計画どおり進まず、サービス提供体制の維持や人員基準を満たせなくなった場合には、サービス提供に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)各種感染症の流行に伴うリスク

ニチイグループでは、医療関連や介護、保育、家事代行、教育等、日常生活の維持に欠かすことのできない、人による、人のためのサービスを提供しております。当社では各事業所において日頃より新型コロナウイルスを含む感染症の対策を徹底し、サービス提供体制に努めておりますが、従業員・お客様の感染や、自治体・保健所の要請等により、やむを得ずサービス提供ができなくなる場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

(6)自然災害・事故に関するリスク

ニチイグループでは、国内外の介護施設、教室や国内の契約医療機関、保育施設等においてサービスを展開しております。地震や津波等の大規模な自然災害や事故が発生した場合、当該エリアにおいて、スタッフ及び当社事業所が稼動できない状況になると考えられます。ニチイグループでは、事業所機能の早期復旧や支援スタッフの派遣等、サービス提供態勢の維持に努めてまいりますが、サービス提供ができなくなる場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

各支店・事業所において、緊急時における事業継続に係るリスク対策を総点検し、顧客の安全を最優先とした危機管理態勢の強化を図ってまいります。

 

(7)情報セキュリティに関するリスク

ニチイグループでは、サービス利用、各サービスの資料請求等により発生した多くのお客様の個人情報を保持しております。これらの重要な情報の紛失、誤用、改ざん等を防止するため、情報管理に対する適切なセキュリティ対策、外部からの攻撃に対するフィルタリングの強化、PC端末・クラウド利用に関するセキュリティ強化、クラウド利用に関する規定類の整備と遵守の徹底、従業員の情報セキュリティ啓発を実施しております。

しかしながら、停電、災害、コンピューターウイルスの感染、不正アクセス、サイバー攻撃等の予測の範囲を超える事態が発生した場合には、情報システムの崩壊、停止による一時的な混乱、顧客情報を含めた内部情報の消失、漏洩、改ざん等のリスクがあり、業績と財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

8)減損会計が適用されるリスク

ニチイグループでは、各事業の収益性が著しく低下した場合には、保有する土地・建物・のれん等について減損損失の計上が必要となることも考えられ、その場合は、ニチイグループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。減損の兆候がある場合には、当該資産から得られる将来キャッシュ・フローによって資産の帳簿価額を回収できるかを検証し、適切に処理を行ってまいります。

なお、「のれん」につきましては、今後、IFRSが導入された場合、「のれん」が非償却となるため、最低年1回実施される減損テストにより回収可能価額と帳簿価額に毀損が発生した際は、一時に減損損失が計上される可能性があります。

 

(9)繰延税金資産に関するリスク

ニチイグループでは、繰延税金資産について、課税所得の将来の見積額や一時差異等のスケジューリングの結果に基づき計上しております。今後、経営環境の悪化等により課税所得の見積りを減額した場合等には、繰延税金資産を取り崩す必要が生じ、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

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