文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
① 経営理念
水産物のサプライチェーンの中で新しい価値を創造し、最適な水産流通ネットワークの実現を通して、人々に健康と豊かさをお届けすることにより社会に貢献する。
② 経営方針
冷蔵物流事業を収益の基軸に、水産物に対する多様な流通サービス機能をグループ内各社との「協働」によって構築し提供できる先進的な水産物卸となることを目指します。
③ 経営姿勢(行動基準)
当社グループは経営理念に基づき次の行動基準を遵守します。
イ.法令・規則等のルールを遵守し、常に“正しい仕事”を意識して行動する。
ロ.グループ各社の機能を協働により成長発展させていく。
ハ.提供する商品およびサービスは常に高いレベルの品質を目指す。
ニ.地球の“恵み”を大切にし、持続可能な資源の有効活用と環境に配慮した事業活動を展開する。
(2) 経営戦略等
当社グループは、上記の経営方針に基づき、顧客のニーズに的確に応え得る価値あるパートナーとして、堅実な成長をめざします。親会社である中央魚類株式会社を含めて当社グループ各社の経営資源(顧客・商材・人材・機能)を相互に活用しながら、水産物流通における役割を効率的に果たし、消費者の皆様に水産物の「おいしさ」や「安全・安心」をお届けします。
また、人材育成に注力し全社的な組織体制の強化を図ってまいります。
(3) 経営環境
① 事業を行う市場の状況
イ. 冷蔵倉庫事業
市場の動向としては、水産物が減少し、畜産物・畜産加工品・農産物・冷凍商品が増加の傾向にあります。また製品の占める割合が増加の傾向にあります。製品については、かさ高品で種類が多く、冷蔵庫の多くのスペースを必要とします。
ロ. 水産食品事業
水産食材卸売部門については、日本の水産物消費量は2001年をピークに大きく減少し、逆に世界的消費量は年々増加しております。そのような環境において、海外産地などでは価格が上昇志向であり、逆に国内消費はデフレ志向が続き、収益が圧迫される傾向となっております。
リテールサポート部門については、水産物の国内消費および当社の主要顧客である量販店の売上は概ね横ばい基調です。その中で通販の売上が拡大しています。消費スタイルの変化に伴い多様なサービスが求められています。
食品製造販売部門については、新型コロナウイルス感染症の影響下、外出自粛による業務用食品販売の苦戦が続いており、収益面で厳しい状況となっております。
② 競合他社との競争優位性
イ.冷蔵倉庫事業
今後は、多品種の商品に対する入庫・保管・ピッキング・出庫・配送等の一連の作業について、スピードと正確性を発揮できる物流センター機能が重要と考えます。当社の厚木・市川・川島といった物流センターは、インターチェンジに隣接した広い土地に建てられており、こうした物流センター機能を果たす上で利点となっております。
ロ.水産食品事業
水産食材卸売部門については、エビなどの主力商材は、消費者のニーズに対応するため、海外の生産者と直接コンタクトを取り、加工品などを生産しております。それにより在庫や相場のリスクを軽減させ収益に結びつかせております。
リテールサポート部門については、水産物の消費地流通に必要な機能を好立地に集積して有しています。市場流通と市場外流通それぞれの長所を活かすことができます。
食品製造販売部門については、機械化が進んだ現在でも職人による味と品質にこだわった商品でお客様のニーズをつかみ、市場を開拓しています。
③ 主要商品・サービス
当社グループの企業構造は、冷蔵倉庫事業と水産食品事業の二つの事業構成となっております。主要商品・サービスは以下のとおりです。
イ.冷蔵倉庫事業
水産物を中心に畜産物、農産物およびその加工品の保管事業を行っております。
ロ.水産食品事業
水産食材卸売部門はえび、カニ、凍魚、魚卵などの卸売りが主要な商品となります。
リテールサポート部門は食材調達、加工、納品業務の請負を行っております。
食品製造販売部門は厚焼玉子、あんこ、水産練製品などを主要な商品とし、それらの製造・加工販売を行っております。
④ 顧客基盤・販売網
イ.冷蔵倉庫事業
水産会社、商社、食品メーカー、問屋、物流会社等が主要な顧客基盤となります。このうち、特に商社系の問屋が全国的な物流網を持っております。
ロ.水産食品事業
水産食材卸売部門については、東京の水産営業部を中心とし、仙台・大阪・福岡に支店を設け、各所間にて情報の共有を図りつつ、全国的な販売網を築いております。
リテールサポート部門については、量販店をはじめ鮮魚専門店、外食チェーン、通販及び卸業者に多様なサービスを提供しています。
食品製造販売部門については、東京、大阪の2拠点を中心に、中央魚類グループ各社の協力も得て全国の量販店、外食チェーン店を中心に販売しております。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 冷蔵倉庫事業
新型コロナウイルス感染症については、いまだ収束の見通しが立たず厳しい状況ではありますが、各事業所間での連携を密にし、集荷に努め、前項(2)経営戦略等 でも述べましたとおりグループ各社の経営資源相互活用の観点から、安定した収益のためにグループ会社全体を有効活用するとともに安全・安心をモットーに顧客満足の向上に努めてまいります。また、人材確保や社員教育の充実を図り、低温流通の品質向上を継続してまいります。
② 水産食品事業
水産食材卸売部門については、消費に見合った堅実な事業経営を継続し、お客様のニーズに合わせた商品開発や商品買付けの選択を図ります。また安定した収益が見込める組織作りを目指すため、人材の育成と充実を図り、更なる事業の拡大に向けて取り組んでまいります。
リテールサポート部門については、人材確保と組織体制の強化を推し進めるとともに、作業生産性の向上、新商品開発及び新規業務の獲得に努めます。また、新たな事業拠点を築き業容拡大を図ってまいります。
食品製造販売部門については、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期し、前項(2)経営戦略等 でも述べましたとおり、「安全・安心」な食品の安定供給に努めるとともに、鳥インフルエンザによる鶏卵相場上昇による製造原価増加に耐えうる企業体質の改善を図ってまいります。
(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、安定的な収益力の確保とグループ全体の業績向上のため、連結ベースの売上高、営業利益、売上高営業利益率ならびに営業キャッシュ・フロー、事業別の売上高営業利益率、自己資本利益率(ROE)といった経営指標の向上を目標としております。
当連結会計年度の各指標の前年比較は次表のとおりであります。
当連結会計年度につきましても、今までと同様、前項(2)経営戦略等 に掲げております当社グループ各社の経営資源(顧客・商材・人材・機能)の相互活用を進めて参りました。また、相互活用を軸として、安定的な収益力の確保とグループ全体の業績向上を目指して参りました。
前年比較で各指標をみると、売上高・営業利益ともに増加し、売上高営業利益率も向上いたしました。営業キャッシュ・フローも増加し、自己資本利益率も利益の増加により、改善いたしました。
当社グループは、前掲の経営方針・経営戦略に基づき、引き続き各経営指標の改善に努めて参ります。
経営指標 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
|
金額・率 (百万円・%) |
金額・率 (百万円・%) |
||
売上高 |
80,492 |
83,265 |
|
営業利益 |
839 |
1,230 |
|
営業キャッシュ・フロー |
2,277 |
4,367 |
|
売上高営業利益率 |
1.04 |
1.48 |
|
事業別 売上高営業利益率 |
(冷蔵倉庫事業) |
5.89 |
9.11 |
|
(水産食品事業) |
0.59 |
0.76 |
自己資本利益率(ROE) |
7.29 |
11.96 |
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