文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、野菜苗生産をコア事業として取り組み「良い苗をいつでも・どこでも・いくらでも」の経営方針の基、使いやすさ、環境への配慮、お客様一人ひとりにあった苗づくりを目指し、閉鎖型育苗施設などの新設設備による安定した生産体制と全国各地のパートナー農場との連携により事業展開を拡大してまいりました。そして、当社グループのフィールドは、野菜苗の枠組みを超え、ITを活用した農業やロボット開発、種や培土などの農業資材等の新商品開発、家庭園芸を楽しむ個人のお客様へのサービス拡充を行い、さらには、アジアを中心とした世界市場へ向けて進み始めています。全ては「人々の食と暮らしを豊かにするために」日本から世界の農業に革命を興すことができる企業を目指し、企業価値の向上に努めてまいります。
当社グループは、2020年12月に中期経営目標(2021-2023)「Change&Innovation2023」を策定しており、2022年10月期は2年目となります。今後も引き続き、成長戦略として掲げている3つの柱「全国農場展開」「多角化・多品目化」「グローバル化」の基、グループ一丸となって企業価値の向上、業績目標の達成に向けて取り組んで参ります。また、これまで以上に研究開発にも注力し、既存の「苗品質及び付加価値」の向上を目指した研究や「品種特性、資材評価のための栽培実証試験」「新たな商品の開発」に加え、2022年10月期から連結子会社であるベルグ福島株式会社において「植物ワクチン」の開発を本格的に開始し、化学農薬に依存しない効果的な防除対策の実現、環境に配慮した生産と安定的な生産、品質向上が期待されており、今後の日本農業に貢献し、当社グループの事業発展に向け必要な研究活動を積極的に行ってまいります。さらに、2021年11月30日に株式交換により連結子会社となった伊予農産株式会社との経営統合により、苗事業における原材料の調達力を上げることによる収益の改善、また、地域に根付いた営業活動を推し進め、農業生産者を含む顧客への新たなサービスを提供することが可能となることにより、当社の掲げる成長戦略を加速させ、中期経営目標の達成に向け、更なるスピードアップが期待されます。
「地域への恩返し」をスローガンに、愛媛から全国へ、日本から世界へ向けて、その地域に貢献できる企業を目指し事業構造の見直しと事業基盤の確立を図ってまいります。
中期経営目標(2021-2023) 「Change&Innovation2023」の概要
1.基本方針
アグリベンチャー企業として、革新的な技術やひらめきを形にする新たなビジネスに挑戦し「人々の食と暮らしを豊かに」をテーマに、農業を中心としたフードバリューチェーンの構築に挑戦いたします。新技術の創出、人材を最大限に活かし、農業に革命を興し「農業界」を牽引する企業へ更なる進化を遂げてまいります。
2.3つの戦略テーマ
戦略1:苗事業の更なる拡大及び強化
❖全国農場展開による生産能力の拡大
❖生産効率アップのための設備・機械装置の導入
❖研究・技術開発を中心とした新商品・新技術の開発
戦略2:事業の多角化・多品目化による事業領域の深化
❖国内資材メーカーとの連携強化並びに新たな品種開発による事業の多角化
❖蓄積されたノウハウを用いた育苗・栽培設備の開発、AI技術を用いた生産ロボットの開発
戦略3:グローバル化による事業拡大
❖中国国内で日本技術を用いた栽培装置の普及と野菜苗の生産・販売事業の稼動開始
❖東アジアを中心に、日本国内資材メーカーと連携強化による資材・種子販売強化
主力の苗事業を中心に次の時代へのステップアップのため、長期的な視野に立ちグループ一丸で目指せる中期経営目標を策定いたしました。本計画では、2023年10月期に連結ベースで売上高6,380百万円、売上総利益1,670百万円、営業利益140百万円を目標とし収益力改善に努めてまいります。
当社グループは、全国へ安定的に野菜苗の生産供給を行うため、育苗設備の増設、新たな生産設備導入など積極的に設備投資を行っております。また、農業を中心としたフードバリューチェーンの構築に向け、種子の開発、農業関連資材等の仕入販売、小売事業展開、海外での苗事業及び農業資材販売等を積極的に行っており、事業活動及び人材強化を図ってまいりました。このような中、2020年10月期は、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、移動制限が実施され十分な営業活動が行えなかったことに加え、コロナ禍での人員確保を優先したことにより製造コストにおける労務費が増加、また、新規事業への取り組みに向けて人材を確保したこと等により販売費及び一般管理費も増加いたしました。2021年10月期は、中期経営目標を設定し、3つの成長戦略を柱とした事業展開及び収益改善を目指し、販売費及び一般管理費の見直し、生産工程や生産効率の改善により当初の業績予想より改善はされましたが、2期連続での営業損失計上となりました。
この結果、継続的に営業損失が発生しており継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在しているものと認識しております。当社グループは、これらの事象等を解消し、経営基盤の安定化に向け、以下の事項に取り組んでまいります。
野菜苗・苗関連事業につきましては、自社農場の増設及び連携企業との農場展開により、安定的な供給と生産者により近い農場からの出荷体制を整え、新規需要の開拓を行い、売上拡大を図ります。また、閑散期対策の一つでもある「苗の多品目化」へ向けて自社での花苗、葉菜苗等の生産品目の拡大、パートナー農場や農業関連企業との関係を強化し、戦略的なパートナーシップを構築することで安定的な生産と多様な品種・品目の供給が可能となり、閑散期における売上拡大と収益力向上を実現させ、当事業を重要な経営基盤として強化してまいります。
一方で、生産拡大に向けて、雇用確保が重要となり、条件等含め今後も厳しい状況が続くと想定されます。そのため、生産量の増加に伴い労務費の増加も見込んでおりますが、生産工程の見直しを図り、作業効率を改善することにより収益力の向上に努めてまいります。また、新たに連結子会社となる伊予農産株式会社との連携により購買力を強化し、原材料の調達コストの削減を図ります。
農業・園芸用タネ資材販売事業につきましては、生産者のニーズに応える高付加価値商品の推進及び横展開での売上の拡大を図り、関連会社である株式会社むさしのタネと共同で耐病性などに優れた付加価値の高い種子の開発等を行い国内外への供給を目指してまいります。また、日本国内の農業関連メーカーとの連携を高め、農業生産者の持続可能な生産に貢献できる商品、サービスにも注力し農業資材等の売上拡大を目指してまいります。
海外事業につきましては、コロナ禍でのアジア情勢の変化により事業戦略の見直しを進めてまいります。まずは、中国においては肥料を中心とした農業資材の販売事業を現地の優良パートナーと連携し事業基盤を構築いたします。また、関連会社との協業により中国・台湾・韓国などから優良な種子を日本へ輸入し売上拡大を目指します。連結子会社の青島芽福陽園芸有限公司につきましては、生産規模縮小に伴い人件費などの製造経費が削減され収益改善に努めながら、今後は、現地の育苗事業会社と連携し技術指導を行いながら苗の普及やマーケティング活動を行い事業確立に取り組んでまいります。
小売事業につきましては、連結子会社のファンガーデン株式会社が愛媛県内において2店舗を運営しており、店舗及びインターネット販売を通じて家庭園芸を行う一般消費者からプロ生産者向けに各種種苗をはじめ、農業園芸用資材の販売を行っております。よりお客様のニーズに合った商品を充実させ、イベント等の開催による集客率の向上を図り売上拡大に努めるとともに、商品構成の見直し、仕入先の選定等により収益の確保を目指してまいります。また、伊予農産株式会社との連携により愛媛県内の一般消費者への販売活動にも注力し、愛媛県内で唯一無二の存在となれる総合園芸店を目指し店舗運営を行ってまいります。
以上の各事業セグメントにおいて、一つ一つの戦略を実行し、収益力の回復と経営基盤の安定化に向けて努めてまいります。
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