当社グループは,多様化する社会及び客先からのニーズに迅速に対応し、市場に密着した研究開発を行っております。当連結会計年度の研究開発費として
なお、当企業集団における研究開発活動は、おもに「国内建設」に係るものであり、セグメントに区分して記載しておりません。
(1)各種共同研究の実施
現在、インフラ構造物(一般道路、高速道路、鉄道、電力、港湾等)を管理する各機関において、高度成長期に造られた施設の更新や補修を行う時期が訪れております。また、各機関はインフラを使用しながら手当をする必要があるため、補修の比率が大きくなります。現在、各機関特有の個別ニーズに沿った独自長寿命化対策工法の共同研究を各機関や施工会社と常時進めており、実際の施設における試験施工等で補修効果を確認しております。
(2)樹脂補修材料の開発改良
樹脂補修材料は当社の保有する主要技術であり、常時市場のニーズに合わせて開発改良を行っております。近年では、熟練工以外でも容易に施工できるよう作業工程の少ないコンクリート被覆工法や、取り扱いが容易な一液性の塗布材の研究開発を行っております。また、サステナビリティを意識した植物由来の原材料も検討し始めております。
(3)セメント系補修材料の開発
上記樹脂補修材料の他、近年では独自性、施工性に優れるセメント系補修材料の開発も行っております。近年交通量の多い都市部の高架橋等では橋梁床版上面の損傷が問題視されております。損傷の補修材料には通行止め時間短縮のための速硬性、橋梁床版と同一挙動を行う適切な硬さ、接着性等が求められております。これらの性能を満足する補修用特殊コンクリートと専用接着剤を現在開発中であり、最終的には実橋梁の通行車両荷重を模擬した輪荷重移動載荷試験装置で補修効果を確認する予定です。
(4)その他の材料、工法開発
上記以外にも、橋梁床版内の複雑なひび割れに接着剤を注入する特殊アンカーや、鉄筋防錆剤をコンクリート表面から確実に内部まで浸透させる予防保全工法等の開発を行っております。
(5)AIによる補修設計の生産性向上システム開発
従来、コンクリート構造物の劣化原因特定・補修設計は詳細な調査と採取サンプルの材料分析結果に基づいておりました。このプロセスの生産性向上ツールとして劣化診断・補修工法選定AIを開発しました。基本システムは社内の豊富な補修事例をAIにディープラーニングさせることで構築し、対象構造物の劣化画像と位置情報を与えるだけで劣化要因の特定と最適な補修工法を提案できるようになりました。
なお、研究開発活動は主に連結子会社のショーボンド建設株式会社で行われており、その他の子会社では研究開発活動は特段行っておりません。
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