当社グループは、経営理念及び指針に基づき「人と地球がよろこぶ住まい」をブランドに掲げ、社会課題を解決すべく、お客様が持つお困り事を解決し、暮らし満足の向上と、地球環境に配慮した高性能・高品質・高付加価値な住宅の供給を目指しており、その実現のため、暮らし提案力・デザイン力・工業化技術力に基づく品質の向上及びコスト削減を目的に研究開発活動を行っております。また、暮らし提案システム「life style KURASI'TE」を導入し、さまざまな暮らし方に応じて、より満足を得る舞台(生活を演じる舞台)を提案することを基本とし、それぞれのご家族が、どのようなライフスタイルを送りたいのかを把握することで、お客様の希望を反映した住まいを提案することが当社の使命であると考えております。
事業コンセプトである「エコ&セーフティ」を主軸に置いた独自の技術開発をベースに、長寿命で環境性能に優れ、安心・安全で、快適に暮らして頂ける住宅を供給することが社会課題の解決に繋がると考えております。そこで長期優良住宅やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)(注1)を普及、促進させ、質の高い築古建築が価値を持つ日本となることを目標として、独自技術の研究開発に取り組んでおります。
本年度につきましては、国策でもある2030年ZEH義務化に向けた目標を背景に、ZEH基準である外皮平均熱貫流率(以下「UA値」という)がZEH基準であるUA値0.6(当社販売エリア)よりも高い性能値であるUA値0.5(モデルプラン)として2016年度より市場導入し、鉄骨構造でありながらハイスペックな高断熱住宅として販売しております。政府による2020年10月の「2050年カーボンニュートラル宣言」を受け、尚一層のZEH対応住宅の促進を図り、その結果2021年度においては新築戸建住宅のZEH化率93%を達成しました。これらのことが評価され、一般財団法人日本地域開発センターが主催する優れた省エネルギー住宅を表彰する制度「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー2021」において「優秀賞」を受賞しました。これにより、7年連続の「優秀賞(特別優秀賞含む)」受賞となります。また、「省エネ住宅特別優良企業賞」も同時に2年連続受賞し、これは「特別優秀企業賞」を含め5年連続の受賞となりました。
また、ZEH化率100%に向けた施策として、PPA(Power Purchase Agreement(電力販売契約))等の太陽光の第三者所有スキームを構築し、太陽光設置初期費用を抑えることで、建物性能を高めたいお客様にとって近年の物価上昇にも伴う予算超過への解決策になると考えております。さらに、賃貸集合住宅においては、住まいへの不満として温熱環境に対してストレスを感じる、自宅で仕事をすることで使用電力が増えたという声もあり、断熱・気密性能に優れた快適な住環境が求められていることから、高い断熱性能や省エネ設備に加えて太陽光発電の導入により、集合住宅のZEHに定義される仕様を満たす提案を標準化いたしました。これにより、国が掲げるカーボンニュートラルの観点から、住宅を通じたCO2の排出削減の普及を進めるだけでなく、冬は暖かく夏は涼しい年中快適な室内空間の実現や、省エネ設備等による光熱費の削減、災害による大規模停電が発生した際にも太陽光発電が非常用電源として利用できるなど、オーナー様にも入居者様にも喜ばれる 土地活用を提案しております。
近年、多様化した住宅市場が潜在化してきていることに対応するために、顧客層に応じた「暮らしの提案」をビジュアル化する「life style KURASI'TE」を導入することで、お客様へ住まいに対する「気づき」を得て頂き、「購買意欲」を高めるだけでなく、お客様満足を満たして頂くことで、経営理念である「快適空間の創造」と「退屈しない人生の提案」の実現を図っております。また、世界的に猛威を振るっているコロナ禍により、テレワークやオンライン授業がしやすい間取りや手洗いを習慣化しやすい間取りなど「新しい生活様式」に変わりつつあります。そのような中、自宅で過ごす時間が増え、健康に対する意識が高まっており、今まで以上に室内の空気環境への配慮が求められるようになると考え、2021年4月にブラッシュアップした健康住宅提案「元気いっぱいの暮らし」を導入しております。 帰宅時に外からの汚れた空気を室内に持ち込まない「クリーンクローク」や、住まい全体の空気を清浄する「ビルトイン全館空気清浄システム」、リビングに人が集まったことを感知し、自動で換気を促進する「CO2センサー自動換気」を住宅業界で先駆けて取り組むなど、家族が安心して暮らすことができる提案により、健康で快適な暮らしをより充実させることができると考えております。この室内空気環境提案の取組み「スマeAir・プレミアムパッケージ」が評価され、特定非営利活動法人キッズデザイン協議会が主催する「第15回キッズデザイン賞」を受賞いたしました。さらに、一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会が制定する「ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)2022」の、感染症対策に資する先進的な取り組みを表彰する部門賞「STOP感染症大賞」において「最優秀賞」を受賞いたしました。
今般、コロナ禍の影響による将来への不安や共働き世帯の増加により仕事と家事・子育ての両立を望む声が多くあります。親世帯にとっては、加齢による将来への健康不安や、孫と会う機会の減少等により、日々満たされない現状があり、子世帯にとっては、2世帯同居に躊躇しながら、子育て環境の充実のため、近居を選択している状況にあることから、2021年8月に課題解決型「2世帯住宅」を導入しております。これにより、これまでの2世帯住宅の提案に加え、イマドキの親世帯や子世帯が不安に思う、もしくは住んでから気づく、①家族の様子が気になる、②資金は抑えたいが性能にはこだわりたい、③家族が集まることでの3密不安、④冬場のヒートショックなどの温度差による健康不安などの課題を丸ごと解決いたします。さらに、住宅のIoT化が進む中、当社はこれまで、住まう方のアシストとして住宅設備機器の遠隔操作から家族の帰宅通知による見守りなど幅広く提案しておりますが、社会環境やライフスタイルが今後ますます変化していくことから、まだまだ開発の余地があると考え、2021年10月コミュニケーションロボットと暮らす「AI・IoTで快適な暮らし with ロボホン」を導入いたしました。本提案は、シャープが提供するモバイル型ロボット「ロボホン」をベースに、当社オリジナルアプリケーションを搭載させることで、家族(一人一人)を見分ける機能をプラスし、スケジュール管理や音声会話によって家族(一人一人)をサポートするものです。住宅業界で先駆けとなる今回の提案で、IoTを通じてこれからの高齢化社会や共働き家庭における子供やシニアの孤立化など、住まう方へのライフアシストが実現できると考えております。
研究開発の方針については、市場環境の変化や住生活へのニーズ・ウォンツの変化に対応すべく、適時見直しを行っております。昨今の建築業界の法令関連に対する更なる強化として、住宅の基礎となる技術開発、そして商品企画立案から部材設計・施工・品質、設計・建築統括部門までの一気通貫体制としております。更に、暮らし提案や設計、施工の品質確保、お引渡し、アフターサービスに至るまでのお客様対応を担当することで、市場の変化に対応しやすい体制としております。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は
主要課題としては、以下のとおりであります。
1.エコロジー
(1)創エネルギー
①太陽光発電と連動した蓄電池や太陽熱利用等、自然エネルギー自給住宅の開発
②設置コストを低減し経済性に優れた太陽光発電システムの開発
(2)省エネルギー
①高断熱・高気密技術の導入によるZEH・LCCM住宅の開発
②HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)を用いた先進住宅の開発
2.セーフティ
(1)安全
①30年後・60年後と強さが変わらない鉄骨軸組工法による高耐震、制震住宅の開発
②ライフサイクル変化に対応できる長寿命住宅の開発
(2)安心
①快適な温熱環境、音環境、防犯など住まいの基礎技術の開発
②見守り・健康介護・ヘルスケアなどライフサポートの提案
3.くらし提案
①ライフスタイルの変化に応じた住まい方提案
・住まう方の主観的価値を訴求する暮らし方提案
・コミュニティ賃貸住宅の提案
②シニア市場への対応
・高齢者居住商品(福祉施設、サービス付高齢者向住宅)
・既存住宅へのリニューアル、点検、保証などセット提案による価値の提案
③健康住宅の提案
・バリアフリー、ユニバーサルデザインの研究
・PM2.5・CO2など室内空気質における快適提案
・アンチエイジング提案
・健康素材の研究
④AI/IoTへの対応
・センサーによる見えないものの見える化の研究
・センサー技術を活用した暮らしの提案
・センサーデータによる更なる快適な暮らしへの活用研究
(注1)住宅の高断熱化と高効率設備により、快適な室内環境と大幅な省エネルギーを同時に実現した上で、太陽光発電等によってエネルギーを創り、年間に消費する正味(ネット)のエネルギー量が概ねゼロ以下となる住宅
お知らせ