(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が依然として残るなか、ワクチン接種の進展や各種政策の効果もあり、段階的な経済活動の再開に伴い景気持ち直しの動きが見られました。その一方、ロシアのウクライナ侵攻により、原油をはじめとする各種資源や穀物の価格高騰、流通の滞りが、物価の上昇や食料の供給制約へとつながり、下振れリスクとなりました。加えて、円安による海外からの調達価格の値上がりが国内の物価上昇につながるなど、依然として先行きは不透明な状況が続きました。
住宅業界におきましては、コロナ禍におけるテレワークの普及により、戸建住宅への関心が高まりました。住宅ローン減税の特例措置に係る駆け込み需要なども後押しし、堅調に推移したものの、変異株の蔓延による営業活動への影響やウッドショックをはじめとした住宅資材の不足と原材料価格の高騰から、受注動向は落ち着きはじめております。また国土交通省発表の2021年7月から2022年6月までの新設着工数(全国の持家)では274,895戸(前年比1.6%増)であり、7か月連続で減少と弱含んでいます。
当社グループはこのような環境の中、「VISION2030」に掲げた戸建プラットフォーマーへ邁進すべく、デジタルマーケティング戦略をさらに強化しました。Amazonのマーケットプレイス型の「e建売net」を開設し、新たに仲介事業を開始しました。続けて、電子カタログサイト「eマイホームnet」、住宅情報メディア「リブタイムズ(旧:家づくりオンライン)」を開設したほか、さらにAIがプラン提案する「マイホームロボ」を開設し、全国の工務店向けサブスクリプションサービスとして事業化しました。また、デジタルマーケティングにおける新規見込客獲得については「中期経営計画 NEXT STAGE 2023」のKPIである前年比150%増を上回り、前年比169.5%となり、好調であります。加えてYouTubeチャンネル「Lib Work ch」は総再生回数1,420万回を突破しました。まだ営業拠点のないエリアからも反響が発生し、受注に繋がっていることから新しい販売手法として定着したと考えています。
加えて、エリア拡大を進めました。東京都渋谷に東京オフィスを開設したほか、千葉市稲毛の住宅総合展示場に「千葉店」を開設し、関東圏への本格的営業を開始しました。また同時に顧客層の拡大および他社との強い差別化として、コラボレーション商品での出店をおこないました。前述の「千葉店」および九州最大級の住宅総合展示場に出展した「福岡マリナ通り店」の両店は、サザビーリーグ社とコラボレーションした「Afternoon tea HOUSE」を開設したほか、福岡では唯一となる「無印良品の家福岡店」を開設し、多くの来場を獲得しました。なお千葉店と福岡マリナ通り店は、出展している各総合展示場内において集客数1位を維持し、マーケティング力を高く評価されております。
一方、住宅版SPAとなる主要5工種の内製化については2工種にて成功しているものの、世界的なコロナウイルス感染拡大の影響で、外国人実習生の導入が遅れたほか、ウッドショックをはじめとする住宅関連資材の高騰から、戸建住宅の粗利率は27.7%に留まりました。また事業成長のため、デジタルマーケティング投資、新拠点の拡大や積極的な人材採用等により、販売費及び一般管理費は膨らんでおります。
この結果、当連結会計年度におきましては、売上高は 13,761,128 千円(前年同期比 46.3%増 )、営業利益は 666,438 千円(前年同期比 36.9%増 )、経常利益は 706,580 千円(前年同期比 21.2%増 )、親会社株主に帰属する当期純利益は 444,581 千円(前年同期比 31.9%増 )となりました。
なお、当社グループは戸建住宅事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
当連結会計年度末における財政状態は、次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ15,783千円増加し、7,620,581千円となりました。
流動資産については、前連結会計年度末に比べ197,435千円減少し、6,444,713千円となり、主な内訳は、現金及び預金1,021,018千円の減少、未成工事支出金212,849千円の増加、販売用不動産393,709千円の増加、仕掛販売用不動産129,157千円の増加であります。
また、固定資産については、展示場新設等により前連結会計年度末に比べ213,219千円増加し、1,175,868千円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ12,943千円減少し、4,220,078千円となりました。
流動負債については、前連結会計年度末に比べ520,097千円増加し、3,413,284千円となり、主な内訳は、工事未払金の増加219,742千円、短期借入金の減少36,200千円、未払法人税等の減少151,190千円、未成工事受入金の増加297,188千円等によるものであります。
また、固定負債については、前連結会計年度末に比べ533,041千円減少し806,794千円となりました。主な内訳は、長期借入金の減少491,000千円であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は前連結会計年度末に比べ28,727千円増加し、3,400,502千円となりました。主な内訳は、当期純利益の計上による利益剰余金の増加444,581千円、剰余金の配当による利益剰余金の減少124,191千円、自己株式の取得の計上299,883千円等によるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して1,031,018千円減少し、2,293,858千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は138,657千円(前年同期は134,033千円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益686,018千円の計上、仕入債務の増加219,742千円、未成工事受入金の増加297,188千円があった一方で、棚卸資産の増加754,107千円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は281,716千円(前年同期は599,132千円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出251,083千円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は887,959千円(前年同期は3,046,753千円の獲得)となりました。これは長期借入金の返済による支出421,000千円、自己株式の取得による支出302,038千円、配当金の支払額124,053千円等があったことによるものであります。
当社グループは、注文住宅及び建売住宅の企画、設計、販売、施工、監理を主な事業内容とする戸建住宅事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載に代えて事業部門別に記載しております。
当社が営む事業では生産実績を定義することが困難であるため、生産実績は記載しておりません。
当連結会計年度の受注実績は、次のとおりであります。
(注) 1.金額は販売価格によっております。
2.前年の受注高は、タクエーホーム株式会社の2020年8月31日(みなし取得日)以前の受注金額を除外して算定しております。
ハ 販売実績
当連結会計年度の販売実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
(注) 主たる販売先は不特定多数の一般消費者であり、相手先別販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の販売先はありません。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次のとおりであります。
(売上高)
当連結会計年度においては、売上高は、13,761,128千円となりました。デジタル集客やショッピングモール向けブランド「sketch」が好調で集客が大幅に増加しました。子会社のタクエーホームでも、建売建設地の仕入が順調に進捗し、販売棟数が前連結会計年度から倍増しました。その結果売上高の増加につながりました。
(営業利益)
当連結会計年度においては、ウッドショック及び世界的なインフレ等による資材価格高騰の影響を受け、利益を圧迫しました。また、エリア拡大のため前連結会計年度に引き続き従業員採用を積極的に実施したことに伴う人件費及び採用費、住宅展示場の新設に伴う減価償却費、他社ブランドとのコラボレーション費用及びネット広告などの販売費などが生じた結果、売上原価は、10,457,662千円、販売費及び一般管理費は2,637,027千円となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は666,438千円となりました。
(経常利益)
営業外収益は、受取手数料及び助成金収入などにより67,991千円となりました。また営業外費用は、支払利息及び自己株式取得費用などにより27,850千円となりました。この結果、当連結会計年度の経常利益は706,580千円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、444,581千円となりました。
財政状態につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります
当社グループにおける資金需要の主なものは、販売用不動産の取得及び一般管理費などの運転資金、並びに常設展示場や賃貸用不動産建設などの設備投資資金、その他新規事業投資資金があります。
当社グループは現在、これらの資金需要につきましては主に内部資金により充当しておりますが、資金の適正保有水準を維持するため、内部資金に加えて金融機関からの有利子負債による調達も一部行っております。当連結会計年度におきましては、20.6億円を借入金により調達した一方で、借入金25.1億円の返済を行いました。
また、当社グループは必要資金の安定的かつ機動的な調達を行うため取引金融機関と18.4億円の当座貸越契約を締結しております。
当社グループでは、住宅性能やデザイン性の向上による高品質高付加価値の住宅提供を行い収益の安定的な成長を目指すとともに、その基盤として一定の財務安全性の維持に努めてまいります。そのため、「自己資本当期純利益率」の向上を目標とし、派生する指標として、収益性の観点から「売上高経常利益率」、「棚卸資産回転期間」、財務安全性の観点から「自己資本比率」を重要な経営指標としております。当連結会計年度における「自己資本当期純利益率」は13.1%、「売上高経常利益率」は5.1%、「棚卸資産回転期間」は118日、「自己資本比率」は44.6%となりました。
今後のわが国の経済は、新型コロナウイルスの変異株「第7波」の世界的感染拡大が継続している一方で、ワクチン接種の効果からも感染予防や重症化のリスク低減に繋がっていることから、徐々に経済活動は回復していくと期待されます。しかしながら、金融資本市場の変動や急激な円安における物価上昇、資源価格の高騰などもあり、依然先行きは不透明な状況にあります。
このような環境の中、当社グループは「中期経営計画NEXT STAGE2023」の達成に向け、独自のデジタルマーケティング戦略による業績拡大と、戸建業界でのプラットフォーマーを目指してまいります。カテゴリサイトは新たに開設した「eマイホームnet」、「リブタイムズ(旧:家づくりオンライン)」、「e間取りプランnet」を強化していくほか、今後も年に3サイトほど新規立ち上げをおこないます。YouTubeチャンネルにおいては、アーキテクツ・スタジオ・ジャパン社とのコラボレーションした建築家のプレタポルテ(高級既成住宅)のルームツアーが好調で1か月で約45万再生を獲得し、チャンネル登録者数も増加しました。今後もYouTubeチャンネルでのコラボレーションを強化するなどし、インターネット集客からの受注を最大化します。また顧客層の拡大を目的とした異業種コラボレーション商品の立ち上げは、さらにバリエーションを増やしてまいります。「無印良品の家」、「niko and ...(ink)」、「Afternoon tea HOUSE」は強い集客力があり、当社グループの受注に大きく貢献しております。加えて、新しい異業種パートナーとの商品開発も複数社と進めているほか、販売手法についても今後は戸建プラットフォーマーを見据え、ECプラットフォーム活用の検討を開始しました。また、建売事業やリフォームリノベーション事業にもこれらのコラボレーションを掛け合わせて、マネタイズを進めてまいります。エリア拡大についても、総合住宅展示場やショッピングモールへの出店を計画しているほか、九州および関東圏において建売型モデルハウスを新設し、販売拡大を加速します。2023年6月期までの営業拠点目標である35店舗は達成見込みであります。新規事業としてスタートした全国の工務店向けサブスクリプションサービス「マイホームロボ」は、当面はデータベースのプラン数の蓄積拡大とUI・UXの改善に努め、収益化は下半期以降となる見通しです。2023年6月期の業績予想につきましては、長期化する新型コロナウイルス感染症の蔓延による販売活動への影響やウッドショックによる住宅建築資材の不足及び原材料価格の高騰、住宅設備の値上がりを見込んでいるほか、エリア拡大における攻めの設備投資や人的投資を見込んでおります。
上記により、当社グループの連結業績予想は、売上高 17,000 百万円(前連結会計年度比 23.5 %増)、営業利益 900 百万円(同 35.0 %増)、経常利益 920 百万円(同 30.2 %)、親会社株主に帰属する当期純利益 570 百万円(同 28.2 %増)を見込んでおります。
なお、当社は株主の皆様に対する利益還元を重要な経営課題の一つであると考えており、中長期的な事業展開に備えた内部留保の充実を図るとともに、安定的な配当の実施に努めていくことを基本方針としております。次期の1株当たり配当金は、普通配当1.6円を四半期毎に予定しており、年間配当は6.4円(前連結会計年度は年間5.8円にて、0.6円の増配)を予定しております
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