業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

財政状態及び経営成績の状況

a.経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による経済活動の停滞から持ち直しの動きが見られたものの、依然として感染が収束せず、先行きの不透明な状況が続きました。建設業界におきましては、同ウイルス感染症拡大の影響下において、公共工事は底堅く推移いたしましたが、民間工事は弱含む展開となりました。

このような状況のなか、当社グループは2023年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画(2020年4月~2023年3月)(以下、「本計画」といいます。)を策定し、新たなスタートを切りました。本計画では、当社の本業であるシステム建築事業をコア事業に据え、システム建築の持つ「省力化」「安定したコスト」「短工期」という特徴を発揮し、当社の得意とする2,000㎡未満の建築市場においてシェア拡大を目指すとともに、土地活用事業、総合建設事業及び駐車場事業とのシナジー創出により、それぞれの事業の成長を目指してまいります。

当社は、本計画に基づき、グループ戦略及びそれを支える重点施策の推進にグループ一丸となって取り組んでまいりました。本計画においてグループ戦略の一つに掲げているPPP/PFI事業では、2,000㎡未満の建築市場においてシステム建築の特徴を発揮できる分野に集中するとともに、グループ事業間で連携しコスト面や利便性において付加価値を高めることでグループ全体の利益に貢献できるよう同事業への取り組み強化に努めてまいりました。また、2020年10月にホテル開発用地(京都市)の譲渡を完了するなど、本計画の重点施策に基づき、財務体質の健全化に向けて本業とはかかわりの薄い資産の整理を推し進めてまいりました。以上の結果、当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高は 77,510 百万円(前年同期比90.7%、7,970百万円減)となりました。損益面につきましては、売上高の減少に加えて、総合建設事業の一部案件において追加工事が発生したことを受け、工事損失引当金を計上したことにより売上総利益は減少、人員の適正配置に伴う人件費の増加や内部管理体制の維持・強化にかかる費用等の計上による販売費・一般管理費の増加により、営業利益は 14 百万円(前年同期比0.6%、2,468百万円減)、経常利益は 732 百万円(前年同期比25.7%、2,122百万円減)となりました。また、ホテル開発用地(京都市)の譲渡に伴う固定資産売却益の計上があったものの、駐車場機器等の固定資産の減損損失を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は 329 百万円(前年同期比33.0%、668百万円減)となりました。

 

セグメント別の概要は、次のとおりであります。

(システム建築事業)

システム建築事業につきましては、販売事業では事務所の建築は堅調に推移いたしましたが、工場、倉庫、店舗の建築が低調に推移したことから売上高は29,221百万円(前年同期比91.5%、2,704百万円減)に留まりました。レンタル事業では、学校施設の耐震化等に伴う仮設校舎の建築が減少したものの、公共施設の大規模改修工事が貢献し、売上高は 13,829 百万円(前年同期比105.7%、744百万円増)となりました。これらの結果、同事業全体の売上高は43,051百万円(前年同期比95.6%、1,959百万円減)となりました。

 

(立体駐車場事業)

立体駐車場事業につきましては、販売事業では主にホテルやテナント等の商業施設関係の立体駐車場の建設が減少したことから、売上高は6,992百万円(前年同期比83.7%、1,360百万円減)に留まりました。メンテナンス事業ではリニューアル工事が減少した結果、売上高は2,124百万円(前年同期比86.1%、343百万円減)に留まりました。また、駐車場運営・管理事業では、国内は2021年3月末において駐車場403件4,255台(73台純減)及び駐輪場76件12,906台(805台純減)、海外は2021年3月末において駐車場290件123,164台(7,328台純減)となった結果、売上高は4,259百万円(前年同期比84.7%、766百万円減)となりました。これらの結果、同事業全体の売上高は13,375百万円(前年同期比84.4%、2,470百万円減)となりました。

 

(総合建設事業)

総合建設事業につきましては、マンションの大規模修繕工事や土木工事が堅調に推移したものの、鉄道工事や建築工事が減少したことにより、売上高は17,967百万円(前年同期比84.8%、3,213百万円減)となりました。

 

(開発事業)

開発事業につきましては、大手コンビニエンスストアやドラッグストア開発の推進による賃料収入の積み上げに加えて、開発物件の一部譲渡により、売上高は 2,165 百万円(前年同期比104.7%、96百万円増)となりました。

(ファシリティマネジメント事業)

ファシリティマネジメント事業につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴う商業施設の清掃業務が低調に推移したことにより、売上高は950百万円(前年同期比69.2%、423百万円減)に留まりました。

 

b.財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における資産合計は、主に時価評価により投資有価証券が増加したものの、ホテル開発用地の譲渡及び駐車場機器等の減損処理などで有形固定資産が減少したことにより、前連結会計年度末と比べ131百万円減少し、79,175百万円となりました。

(負債)

負債合計は、主に借入金及び工事損失引当金が増加しましたが、支払手形・工事未払金等及びレンタル前受収益の減少により、前連結会計年度末と比べ1,469百万円減少し、53,279百万円となりました。

(純資産)

純資産合計は、主にその他有価証券評価差額金の増加により、前連結会計年度末と比べ1,337百万円増加し、25,895百万円となりました。

これらの結果、自己資本比率は32.6%(前連結会計年度末は30.9%)となりました。

 

②キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ2,437百万円増加し 6,564 百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は 3,768 百万円(前年同期比158.5%)となりました。これは、主に仕入債務の減少(2,718百万円)、レンタル前受収益の減少(1,719百万円)があったものの、減価償却費の計上(3,809百万円)、売上債権の減少(2,163百万円)など、キャッシュ・フローの増加要因によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は 465 百万円(前連結会計年度は3,102百万円の獲得)となりました。これは、主にホテル開発用地などの有形固定資産の売却による収入(1,287百万円)があったものの、有形固定資産の取得による支出(1,705百万円)、無形固定資産の取得による支出(218百万円)など、キャッシュ・フローの減少要因によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は 882 百万円(前連結会計年度は8,846百万円の使用)となりました。これは、主に短期借入金の増加(5,896百万円)、長期借入金の借入れによる収入(1,240百万円)があったものの、長期借入金の返済による支出(6,220百万円)、リース債務の返済による支出(1,262百万円)など、キャッシュ・フローの減少要因によるものであります。

 

当社は、「2 事業等のリスク (13)継続企業の前提に関する重要事象等」に記載のとおり、一部の金融機関と締結しているタームローン契約の財務制限条項に抵触しております。

当社としては、当該状況を解消すべく各金融機関と協議を行い、財務制限条項への抵触に関して、期限の利益喪失の権利行使を行わないことについて承諾を得ております。

以上により、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社の生産品目は広範囲かつ多種多様であり、セグメントごとに生産実績を示すことは困難なため、当連結会計年度の各社における工場生産実績合計を示すと、次のとおりであります。

 

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

日成ビルド工業株式会社(百万円)

6,283

83.8

株式会社システムハウスアールアンドシー(百万円)

1,215

76.4

合 計

7,498

82.5

(注)1.上記の金額は製造原価によっております。

2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

受注高

前年同期比(%)

受注残高

前年同期比(%)

システム建築事業(百万円)

44,181

102.6

23,216

105.8

立体駐車場事業(百万円)

8,999

141.0

7,576

113.7

総合建設事業(百万円)

16,763

118.8

11,389

90.4

合  計

69,944

110.1

42,182

102.4

(注)1.受注生産を行っていない立体駐車場事業におけるメンテナンス事業の定期点検及び駐車場運営・管理事業並びに不動産の売買、賃貸、仲介、管理及びコンサルティングを行う開発事業については、受注高に含めておりません。

2. 前連結会計年度以前に受注した工事において、契約の変更等により請負金額の増減がある場合は、当連結会計年度の受注高にその増減額を含めております。

3.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

システム建築事業(百万円)

43,051

95.6

立体駐車場事業(百万円)

13,375

84.4

総合建設事業(百万円)

17,967

84.8

開発事業(百万円)

2,165

104.7

ファシリティマネジメント事業(百万円)

950

69.2

合  計

77,510

90.7

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、 77,510 百万円(前年同期比90.7%、7,970百万円減)となりました。これは、システム建築事業は概ね横ばいとなったものの、立体駐車場事業及び総合建設事業が低調に推移したことによるものであります。立体駐車場事業の減収要因は、販売事業では、主に民間設備投資意欲の減退を背景に商業施設関係の立体駐車場建設が減少したことに加えて、駐車場運営・管理事業では、コロナ過による外出自粛の影響により駐車場利用率が低下したことなどによるものであります。総合建設事業の減少要因は、主に前期堅調に推移したマンションの新築等の建設工事や相模鉄道の都心直通にかかる鉄道工事が一巡したことによるものであります。

なお、セグメント業績の詳細は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

(売上総利益)

当連結会計年度における売上総利益は、10,236百万円(前年同期82.2%、2,213百万円減)となりました。これは、主に総合建設事業の一部案件において追加工事が発生したことを受け、工事損失引当金を計上したことによるものであります。

(営業利益)

当連結会計年度における営業利益は、 14 百万円(前年同期比0.6%、2,468百万円減)となりました。これは、主に売上総利益の減少に加え、人員の適正配置に伴う人件費の増加や内部管理体制の維持・強化にかかる費用等の計上により販売費及び一般管理費が増加したことによるものであります。

(経常利益)

当連結会計年度における経常利益は、732百万円(前年同期比25.7%、2,122百万円減)となりました。これは、助成金収入により営業外収益は増加したものの、上記のとおり営業利益が減少したことによるものであります。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、 329 百万円(前年同期比33.0%、668百万円減)となりました。これは、特別利益にホテル開発用地の譲渡益を計上したものの、特別損失に駐車場設備機器等の固定資産の減損損失を計上したことにより、特別損益による貢献はなく、上記のとおり経常利益が減少したことによるものであります。

 

b.財政状態の分析

財政状態の分析については「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 

②資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループは、事業活動に必要な流動性を保ちつつ、健全なバランスシートを維持することを基本とし、キャッシュ・フローを重視した経営を推進しております。また、当社グループの運転資金及び設備投資資金の調達は、自己資金及び借入金等により賄っており、余剰資金については借入金の返済に充当するなど資金の効率化を図っております。

また、当社グループの有利子負債の状況及びキャッシュ・フロー関連指標のトレンドは、次のとおりであります。

期  別

2020年3月期

2021年3月期

有利子負債残高 (百万円)

24,275

25,125

総 資 産 額 (百万円)

79,307

79,175

有利子負債比率   (%)

30.6

31.7

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

10.2

6.7

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

8.9

20.8

自己資本比率    (%)

30.9

32.6

時価ベースの自己資本比率(%)

16.5

35.3

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー/利払い

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

(注)1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

3.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。

なお、キャッシュ・フローの状況については「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フロー」をご参照ください。

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表作成にあたっては、経営者の会計上の見積り及び判断が行われている項目があります。見積り及び判断については、継続して評価し、事象の変化等により必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

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