業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の脅威が未だ大きいものの、徐々にではありますが、経済活動を再開する動きが活発化しつつありました。しかしながら、オミクロン株の感染拡大に加え、ウクライナ情勢を主因とした原油高や世界的なサプライチェーンの混乱による資材・食料等の不足・高騰等により、国内景気や企業収益の先行きは、不透明な状況であります。
 当社が属する建設業界においては、建築受注が回復傾向にあるものの、資材調達への懸念が高まっているうえ、建設技能労働者の需給が依然として逼迫しており、コスト面で不安の残る状況が続いております。そのような中で当社が専業とする解体事業におきましては、高度経済成長時代に建築された建物の維持・更新時期の到来に伴う老朽化建物の増加、ネット社会到来に伴う産業構造の変化、再開発案件の活発化等を背景に、引き続き堅調な受注環境が続いております。
 当社は、2020年5月に中期計画TANAKEN“ビジョン100”を策定し、当期が計画の2期目となり、中期計画で謳った“当社の確固たる企業基盤の構築”と“当面の売上目標100億円の早期達成”に目途を付ける期と位置付け、中期計画の最終着地人員(特に施工管理者60名体制の構築)の当期確保を図ると共に、“営業力の更なる強化”、“施工管理体制及びバックアップ体制の強化”、“BIM三次元モデルの更なる活用強化”、“ERPシステムの本格運用による事務の効率化”及び“役員体制の強化によるガバナンスの強化”を主要施策として、当社の足腰を強化しつつ業容の拡大と企業価値の向上を目指しております。

 

*BIM(Building Information Modeling:コンピューター上に現実と同じ建物の立体モデル(BIMモデル)を再現するソリューション。解体工法の検討や施主へのプレゼンテーション、解体工事コストの算定等への活用が可能。)

 

 以上の結果、当事業年度の経営成績は、売上高は9,824,388千円(前事業年度比9.0%増)、営業利益は1,418,169千円(同1.1%減)、経常利益は1,434,676千円(同1.7%減)、当期純利益は967,393千円(同1.5%減)となりました。利益面では一部大型工事の原価増等により、同期間比でわずかながら減少となっておりますが、売上面では豊富な手持ち工事が順調に消化できたことにより、同期間比で大きく増加しております。なお、新型コロナウイルス感染症による業績への大きな影響は見られておりません。

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、売上高は6,958千円増加し、営業利益、経常利益はそれぞれ527千円増加しております。

 

(2) 財政状態の状況 

(流動資産)

 当事業年度末における流動資産は、前事業年度末に比べて47,692千円増加し、5,864,002千円になりました。主な要因は、現金及び預金の増加1,265,059千円、電子記録債権の増加184,709千円及びその他の増加50,334千円が生じた一方で、完成工事未収入金の減少1,451,275千円が生じたこと等によるものです。
 

(固定資産)

 当事業年度末における固定資産は、前事業年度末に比べて6,755千円減少し、1,186,395千円になりました。主な要因は、建物の減少9,331千円及び投資有価証券の減少7,015千円が生じた一方で、車両運搬具の増加4,434千円、繰延税金資産の増加3,170千円及びソフトウエア仮勘定の増加2,980千円が生じたこと等によるものです。
 

(流動負債)

 当事業年度末における流動負債は、前事業年度末に比べて632,129千円減少し、1,510,765千円になりました。主な要因は、短期借入金の減少300,000千円、未払法人税等の減少149,327千円、工事未払金の減少123,997千円、未払消費税等の減少45,953千円及び未成工事受入金の減少15,139千円が生じたこと等によるものです。
 

(固定負債)

 当事業年度末における固定負債は、前事業年度末に比べて15,419千円増加し、100,397千円になりました。主な要因は、役員退職慰労引当金の増加13,381千円及び退職給付引当金の増加2,037千円が生じたことによるものです。
 

(純資産)

 当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べて657,647千円増加し、5,439,234千円になりました。主な要因は、利益剰余金の増加671,628千円並びにその他有価証券評価差額金の減少13,981千円が生じたことによるものです。なお、利益剰余金の増加671,628千円は、当期純利益の計上による増加967,393千円並びに配当金の支払による減少295,765千円によるものです。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」)は、前事業年度末に比べ1,265,057千円増加し、2,795,535千円(前事業年度は1,530,477千円)となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動による資金の増減は、1,902,552千円増加(前年同期は23,688千円増加)となりました。主な要因は、税引前当期純利益の計上による増加1,434,265千円、売上債権の減少1,265,372千円及び減価償却費31,731千円が生じた一方で、法人税等の支払による減少607,762千円、仕入債務の減少123,997千円、その他の増加58,101千円及び未払消費税等の減少45,953千円が生じたこと等によるものです。
 
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動による資金の増減は、41,939千円減少(前年同期は64,455千円減少)となりました。主な要因は、定期預金の預入による支出231,121千円、有形固定資産の取得による支出22,497千円、投資有価証券の取得による支出13,136千円及び無形固定資産の取得による支出4,441千円が生じた一方で、定期預金の払戻による収入231,118千円が生じたことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動による資金の増減は、595,555千円減少(前年同期は125,869千円増加)となりました。主な要因は、短期借入金の返済による支出1,300,000千円、配当金の支払い295,555千円が生じた一方で、短期借入れによる収入1,000,000千円が生じたことによるものです。

 

(4) 生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

② 受注実績
当事業年度における受注実績は、次のとおりであります。

 

項 目

金額
(千円)

前期比
(%)

前期繰越工事高

4,427,295

98.6

当期受注工事高

9,941,920

111.1

当期完成工事高

9,824,388

109.0

次期繰越工事高

4,544,827

102.7

 

 

 

③ 販売実績
当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比

(%)

解体事業

9,824,388

109.0

合計

9,824,388

109.0

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前事業年度

当事業年度

販売高
(千円)

割合(%)

販売高
(千円)

割合(%)

株式会社長谷工

コーポレーション

1,787,682

18.2

名古屋プロパティー

特定目的会社

1,357,325

13.8

 

※前事業年度においては、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

 

  顧客区分別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

顧客区分別

前事業年度

当事業年度

販売高
(千円)

割合(%)

販売高
(千円)

割合(%)

デベロッパー

3,280,298

36.4

3,188,184

32.4

ゼネコン

3,326,952

36.9

4,580,657

46.6

エンドユーザー

1,922,553

21.3

1,980,761

20.2

官公庁

再開発

481,563

5.3

74,784

0.8

合計

9,011,368

100.0

9,824,388

100.0

 

(注) 当社が受注した案件について、顧客区分別に集計しております。

(1) デベロッパー  : マンション・オフィスビル等を開発する不動産会社

(2) ゼネコン    : 総合建設業会社

(3) エンドユーザー : 上記(1)及び(2)を除く一般法人等

(4) 官公庁     : 官公庁・自治体等の公的機関

(5) 再開発     : 再開発組合・団地再生組合等(デベロッパー、ゼネコン経由の販売を含む)

 

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社の将来の財政状態及び経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に関しては「第2 事業の状況」「2 事業等のリスク」に記載しております。

 

(6) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

 

① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a 経営成績

(受注高及び売上高)
 受注高は、毎期実施している営業力強化策や上場効果もあり、地方案件を含めた好調な新規受注の増加並びに大型工事の受注を主因に、前期比993,408千円増11.1%増)の9,941,920千円と大幅に増加し、過去最高の受注高となりました。

 

 売上高は、豊富な手持ち工事の消化に加え、好調な受注の出来高増を背景に、前期比813,020千円増9.0%増)の9,824,388千円と増加し、前期に引き続き過去最高の売上高となりました。

 当期は、主要な施策として営業力の強化を掲げ、特に再開発等への営業強化、地方案件への対応強化、官公庁工事受注体制の強化並びに新たな営業ソースの開拓を目的に、前期に新設した営業開発部にて関西地区での営業強化を図って参りました。また既存3部に於いても、引き続き成長戦略の一つである“新規顧客の開拓”の具体策としている“既存先で営業が出来ていない先への営業強化(再新規先開拓)並びに営業で連携している取引金融機関との関係強化による新規顧客の開拓強化“を図って参りました。これらの施策の実施が成果となって現れて来たものと考えております。

 

(売上総利益)
 売上総利益は、売上高の増加により前期比58,302千円増2.8%増)の2,138,336千円となりましたが、一部大型工事の原価増等を要因として売上総利益率は前期比1.3%減の21.8%となっております。

 

(営業利益・経常利益)
 営業利益は、売上総利益は増加したものの、販売費及び一般管理費は、主に中期計画の実施に伴う人件費の増加により前期比73,980千円増11.4%増)となり、前期比15,678千円減1.1%減)の1,418,169千円となりました。
 経常利益は、営業利益の減少に伴い、前期比24,258千円減1.7%減)の1,434,676千円となりました。

 

(当期純利益)
 当期純利益は、経常利益の減少に伴い、前期比14,875千円減1.5%減)の967,393千円となりました。

 

b 財政状態及びキャッシュ・フロー

 財政状態及びキャッシュ・フローの分析に関しては、「第2 事業の状況」「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照下さい。

 

c 資本の財源及び資金の流動性

 当社の運転資金需要の主なものは、工事原価、販売費及び一般管理費等の営業経費、法人税等の支払いであります。当社の事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 当社の営業戦略であり、また、ビジネスモデルでもある元請工事比率の維持・拡大には、大きな資金需要が伴います。これは回収条件と支払い条件の差から生じる運転資金(立替資金)需要であり、大型工事ほど資金需要が多く発生するため、積極的に受注営業を展開する上で流動性の確保が必須となっております。

 当社では、豊富な手元流動資金により対応しておりますが、大型案件の増加に対応すべく金融機関に信用枠を設けており、必要に応じて信用枠を利用しております。2022年3月31日現在の信用枠の合計は2,700,000千円となっております。

 上記運転資金以外の資金需要としては、現状システム投資と株主への利益還元が主なものとなります。当社ではリスクのある運用は原則行わないこととしており、運用は短期的な預金に限定しております。

 株主還元については経営における重要課題の一つと考えており、配当性向30%以上を目標としております。当社の配当政策に関しては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認下さい。

 

 

② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況」「1 財務諸表等」「(1) 財務諸表」「注記事項 重要な会計方針及び重要な会計上の見積り」に記載しております。

なお、現時点では新型コロナウイルス感染症の拡大による影響について、当社業績への大きな影響はございませんが、今後の事業に対する影響につきましては、注視していく必要があるものと考えております。

 

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