当社グループは、切断・穿孔工事事業、ビルメンテナンス事業等を全世界を対象に行い、これによって最良の企業となることを基本方針としております。施工に於けるより高いレベルの品質管理、安全管理、工程管理及び研究開発により差別化と市場競争力の強化をはかり、安定した健全な企業の発展を目指しております。環境変化に伴うお客様のニーズの多様化に対応できることが社会への貢献であり株主の皆様に報いることと考えております。
法令遵守はもとより内部統制を確立し、事業の拡大と経営基盤及び財務体質の強化により、業界ナンバーワン企業としてのゆるぎない地位を堅持し、さらなる成長を推し進めてまいります。
当社グループが属している建設市場は今までの「モノづくり」から「モノ壊し+モノづくり」の両産業が融合した「モノを造りかえる」リニューアル・補強する時代へと、変化しております。「モノ壊し」に伴う騒音・粉塵・振動は社会問題化しており、それに対応した環境にやさしい「ダイヤモンド工法」及び「ウォータージェット工法」による耐震・免震の改修工事・老朽化したコンクリート構造物のリニューアル化が着実に増加しております。当社グループは数年前よりリニューアル市場への営業強化を図っており、今後も成長が見込まれる同分野の拡大を図ってまいります。具体的な経営戦略は以下のとおりです。
① 営業部門・工事部門・管理部門のマニュアルの作成とシステムの確立により内部体質の強化を図り、顧客ニーズに対応できる質の高い営業と技術力により、さらなる受注の拡大を図る。
② 当社グループで確立した各部門のマニュアルとシステムを、増設する営業所(M&A先の企業も含む)に適用し、全国展開を図る。
③ 研究開発部門、営業部門の一体化を図り、多様化するお客様のニーズに対応するため、迅速な研究開発を促進し新技術の開発、提案営業の拡大、安全性と効率性の向上と環境にやさしい施工技術の改良を図る。
今後の経営環境につきましては、新型コロナウイルス感染症が再度急拡大する傾向を示しており、経済活動の停滞がさらに長引く恐れがあります。また、ウクライナ情勢に端を発する資源価格の高騰や物価高が国内景気に及ぼす影響も懸念されております。当社グループが主力事業を展開しております建設業界におきましても、原材料等の建設コストの増大が見込まれるため、受注環境は厳しくなるものと考えております。当社グループはこのような厳しい経営環境に対処すべく、グループ全体として、①人材採用・育成の強化・拡充、②営業展開の強化、③協力会社ネットワークの強化、④研究開発の強化を基本戦略としております。
この基本戦略を念頭に、各事業ごとに以下の取り組みを行ってまいります。
まず、切断・穿孔工事事業につきましては、公共、民間ともに老朽化対策が推進されるなか、市況の影響を受けにくい高速道路・鉄道などの輸送インフラ、及び長寿命化計画や修繕・改修が不可欠となる産業インフラをターゲットとした営業展開を図ることで、計画的な売上確保・案件獲得を進めてまいります。
ビルメンテナンス事業につきましては、今後もエリアの拡大及び作業員の増員を行うことで施工体制の強化・新規顧客の獲得に努めてまいります。
最後に、リユース・リサイクル事業につきましては、引き続き新規顧客の開拓及び付加サービスの拡充に努めてまいります。
全事業に共通する取り組みとして、施工の効率化、技術レベルのアップ及び原価管理の促進を図り、収益の向上に努めてまいります。また、新型コロナウイルス感染症拡大への対応といたしまして、当社グループ全体で事務所内における3密(密閉、密集、密接)回避等の対策を実施しており、今後も感染拡大防止に努めてまいります。
当社は、2021年8月6日付「第三者委員会設置に関するお知らせ」で公表いたしましたとおり、当社連結子会社である㈱光明工事で発覚した不正資金流用疑惑について、外部の専門家から構成される第三者委員会を設置して実態の解明に努め、2021年10月8日付で調査結果報告書を受領いたしました。調査の結果、㈱光明工事において、一部の役職員が内部書類の偽造等による旅費の過剰計上により「旅費交通費」の名目で資金を引き出し、接待等に費消していたこと、及び㈱光明工事と㈱バランスコントロール(本社:愛媛県松山市)との間において、物品の発注や外注工事の発注が行われており、その一部に利益相反取引に該当する取引や不適切な取引が含まれていたことが判明いたしました。
当社は、上記の調査結果報告書の提言を踏まえ、関係者の処分の実施や、以下のような再発防止策に取り組みました。今後も継続して取り組むことで、同様の事象の再発を防止するとともに、より一層強固なガバナンス及びコンプライアンス体制の構築、維持を図ってまいります 。
1)コンプライアンスを真ん中に置く企業文化を創る
① 第一カッターグループにおけるコンプライアンス基本理念及び行動指針を策定・公開し、グループ全体で、リベート文化等、旧態依然とした建設業界の悪しき慣習と決別する決意の下、特化した技術と高いサービスの提供で選ばれる会社になるべく、社内外にその決意を表明する。
② 上命下服的な風通しの良くない企業風土を改善し、全社員特に若い人達が自分らしさ、創意工夫を発揮できる企業風土を創るため、グループ全体で、1on1ミーティングやエンゲージメント評価など、心理的安全性を高めるあらゆる施策を講じる。
2)役員・従業員のガバナンス・コンプライアンスに対する意識改革のための教育
① グループ全体の役員・従業員に対して、外部講師による役職別・階層別の講義スタイルの研修のほか、役員から従業員への縦の教育、ケーススタディ、ディスカッションなど、多種多様な「自分事化する」取り組みを定期的に実施する。
② 定期以外にも、グループ全体の役員を含め、管理監督者には、役付のタイミングで、各階層にあったコンプライアンス研修を義務付け実施する。
③ 定期以外にも、グループ会社の全従業員には、メンターメンティー制度を通じ、斜めの関係から面でも複合的に、コンプライアンス基本理念の浸透を図ってゆき、グループ全体の意識改革を推進する。
④ 教育効果を確認するため、グループ全体の役員・従業員に対して、コンプライアンスの理解度テストを定期的に実施する。
⑤ 幹部育成研修の一環として、ガバナンス・コンプライアンス教育を定期的に実施する。
3) 取締役会のあり方の見直し
a. 当社の取締役会のあり方を見直すため、
① 社外取締役を過半数とした構成とし、社外取締役による取締役会の監督機能の実効性を確保する。
② 取締役規程における付議、報告事項をコンプライアンスを重視し、見直しを行う。
③ 取締役会の下位の業務執行機関である経営会議に、管理系の執行役員を参加させ、取締役会への議
案、報告の適法性と妥当性のチェック、社内と社外取締役の情報の非対称の解消に努める。
b. グループ子会社の取締役会のあり方を見直すため、
① 当社からグループ子会社への派遣取締役・監査役には、管理系の執行業務兼任者を派遣する。
② グループ子会社取締役会の議案、報告の適法性と妥当性の監督機能向上を図る。
4) コンプライアンス体制の強化
① 業務執行部門の支援に加え、牽制機能としての経理・財務・法務等の管理部門の充実化
② 内部監査室の体制及び権限強化
③ 内部監査室から代表取締役のみならず社外取締役や監査役会へのダブルレポートラインの実施。
④ コンプライアンス委員会の実効性向上の為に、従来の部署長・グループ子会社社長の参加メンバーに加
え、監査役、法務部、内部監査室が参加するよう、メンバーの見直しを行う。
⑤ コンプライアンス委員会から取締役会、監査役会へのレポートラインの見直しを行う。
5) グループ全体のガバナンスシステムの構築
① 外部コンサルタント起用による、当社の内部監査規程・要綱の見直しを行う。
② 外部コンサルタント起用による、グループ子会社の現行業務フロー評価および管理規程のチェックと見直しを行う。
③ グループ子会社マネジメントに関するグループ全体のプラットホームを整備する。
1. グループ会社統括業務を管理本部長が行う。
2. 親会社内部監査室による適法性の監査の充実。
3. 親会社からの派遣取締役・監査役による適法性と妥当性の監督の充実。
4. 親会社監査役、内部監査室、派遣取締役、派遣監査役による最新の監査状況の共有や教育に
関して情報交換会を実施し、グループ全体で、重層的に、不正の見落としの防止を行う体制を整備す
る。
5. グループ全体の監査・監督に係る役職員の力量を担保するため、ガバナンス・コンプライアンスに関
する最新情報の入手の為の講習会等受講の統制を、管理本部長が行う。
6) 内部通報制度の充実化
① 内部通報制度を社内、社外の2系統とし、社外の通報窓口(法律事務所等)を新設する。
② 内部通報窓口を現在の目安箱制度と統合して従業員の利用しやすさを改善する。また、グループ全体へ、
定期的に、制度の周知徹底を行う。
③ 従業員の利便性改善、確かなフィードバック、確実に通報を管理できるよう、管理本部において調査体制
を改善する。
④ 役員の法令等違反に関する専用通報窓口を創設する。
⑤ 通報者保護の為、グループ全体へ、定期的に、公益通報者保護制度の周知徹底を行う。
7) グループ全体の内部監査、監査役監査、監査人による会計監査の連携強化及び実効性確保への再発防止策
① 内部監査室は執行だけでなく監査役にも報告を行うダブルレポートラインを実施する。
② 親会社の内部監査室は、グループ会社の派遣取締役や派遣監査役とも連携して監査計画を策定する。
③ 会計監査人・監査役・内部監査室長は、メーリングリスト等を利用して、最新の監査状況の情報が共有で
きるよう連携する。
8) コンプライアンス重視の人事
① 人事考課にあたっては、法令遵守の意識、社内規程の習熟度や理解度テスト結果等を重要な評価項目とする。
② 役員の選定においては、候補者のコンプライアンス意識を確認する場として、指名・報酬諮問委員会がインタビューし、取締役会が最終的に判断できるシステムを構築する。
9) 社内コミュニケーションの改善
① 情報統制は必要最低限として、可能な限りの情報公開と新しい情報共有の手段を実現していく。
② チームビルディングによって、対話・よく聞く文化・心理的安全性(議論できる)を高めていくために、ワークショップの手法をグループ全体に展開していく。
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