サービス業 <1717> 明豊ファシリティワークス株式会社 課題

１ 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当事業年度末（2022年３月31日）現在において当社が判断したものであります。

ＣＭ（コンストラクション・マネジメント）＝発注者支援事業は、この数年の間に様々な公共団体、民間企業のニーズに応え、建設プロジェクトやオフィスづくりに取り組む発注者を支えるサービスとして一定の認知を得たと考えております。しかし社会の変化は常に想定を超え、経済環境は不透明さを増し、急激な資源高、物価上昇、納期遅延等による投資延期や期間の見直しリスク等、多くの発注者は、より困難な課題に直面しています。

短期的な課題として、現在進行中または計画中の建設プロジェクトにおける採算性や工期など事業性の確保、長期的な課題として、所有する建物資産の老朽化に対する低コストで効率的な維持保全方法の確立、更にＥＳＧに基づく脱炭素の実現や調達の透明性の担保など、建設及び維持保全における課題は、全ての発注者に共通した社会的、公共的な課題へと変化しています。

これらの社会的リスク増大において、ＣＭへの期待を実感すると共にＣＭの一層の社会的意義を高める好機であると考えております。一方で、発注者が直面している複雑且つ高度な課題に対して、より具体的で専門性の高いプロの価値で貢献することが求められています。企業価値を一段上に高める時機と捉え、緊張感を新たにし、当社の経営課題とそれに対する取り組み方針を以下のように理解し、対応してまいります。

経営課題：

より高度な発注者支援事業の社会的存在価値と当社の企業価値を向上させるための中長期の成長基盤を確立すること。それを目的として、これからの社会の変化と発注者の課題に対応した顧客本位のＣＭ事業を創造し、同時にそれを実現する当社最大の資産である人の成長と組織能力の向上に向けて人的資本経営の推進に取り組むこと。

取り組み方針：

①社会の変化と発注者の課題に応える、より高度な独自のＣＭ事業創造

ⅰ．建設プロジェクトの採算性や工期の確保及び品質における顧客の事業目的の実現

・物価上昇、納期遅延等に関する最新情報の把握、データベース活用、対応実績によるノウハウの蓄積及び全社での知恵の結集による企業としての総合力強化

・顧客のプロジェクト目的を理解した上での、品質向上に対する適切な選択肢の提示と意思決定支援

・顧客の働き方改革実現のためのソフト面のコンサルティング及び当社システム（ＡＭＳ）を活用した働き方の可視化・定量化支援

※ＡＭＳとはActivity Management Systemの略称です

ⅱ．当社システム（ＭＰＳ）の活用で顧客のＤＸ化を支援し、低コストで効率的な維持保全を実現することで、顧客との持続的な関係を構築する

※ＭＰＳとはMeiho Project Management Systemの略称です

・課題及び優先順位の可視化による経営判断支援

・維持保全プロセスの可視化による業務の効率化支援

・データ蓄積による将来の経営計画立案支援

ⅲ．ＥＳＧに基づく脱炭素の実現や調達の透明性の確保

・当社の建築、設備、ＤＸ推進チームによるＺＥＢの導入、省エネ手法及び再生可能エネルギーの選択支援

・ＭＰＳを活用した脱炭素化の成果の可視化

・独立資本による発注者と利益相反のない当社独自の公正な調達スキームの提供

ⅳ．上記の事業創造により主要顧客と多面的な接点を築き、当社の事業基盤を強固にする

・建設及びオフィスプロジェクトのＣＭ

・働き方改革支援

・維持保全のＤＸ化支援

・ＥＳＧ（環境課題や透明性）実現支援

②人的資本経営の推進

ⅰ．研修制度の定着

・全社研修（当社独自の経営戦略、ＣＭ実務等）、マネジメント及び新規採用者研修

・スキルアップや自律的なキャリア形成を促す学習機会の提供

ⅱ．組織マネジメント及びＯＪＴの推進

・リーダー層とメンバーの対話推進、ＯＪＴの体系化

ⅲ．採用の促進

・女性、若手、高い専門性を持つ人材の採用推進

ⅳ．ダイバーシティ、インクルージョン

・多様な人材が活躍できる企業風土を醸成する経営の実践

ⅴ．ナレッジセンターの活用

・ＩＴ活用によるリーダー層の持つ高度な技術・ノウハウの形式知化

・業務の精度向上に不可欠なドキュメントレベルの向上施策

ⅵ．デジタルな働き方の実践

・ペーパーレス化とデジタル基盤構築による「いつでも、どこでも」働ける環境の実現

・ＡＩ、ＲＰＡを活用した定型業務の効率化

③リスク管理

ⅰ．コーポレート・ガバナンスの強化とリスク管理体制構築

ⅱ．新型コロナウイルス、気候変動、資源高騰等の情勢変化に対する柔軟かつ適時な対応による事業継続

④情報発信

ⅰ．ＣＭ＝発注者支援事業の社会性、公共性に関する認知度向上

ⅱ．ＥＳＧ/ＳＤＧｓ　社会的な課題への貢献を軸とした当社の役割に関する情報発信、社会に貢献する経営戦略及び事業の創造