当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。また、過年度の決算訂正を行っており、遡及処理後の数値で比較分析を行っております。
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が発出され、経済活動や社会活動が制限されるなど厳しい状況が続きましたが、新型コロナウイルスのワクチン接種が進んだことや各種制限が解除されたことなどから、持ち直しの動きがみられました。海外においても、需要は回復に向かっているものの、年度の後半には地政学的リスクの高まりにより原材料及び資源価格の上昇基調に拍車がかかるなど、依然として先行きは不透明な状況で推移しました。
当社グループの属する設備工事業界におきましては、資機材価格の高騰及び労働力不足が続く中、データセンター・半導体分野などにおける投資は引き続き堅調に推移しました。また、当社が事業展開している東南アジアにおいては、新型コロナウイルス変異株拡大に伴う活動制限の影響により、厳しい状況が続きました。
このような状況のもと、当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大の防止に努めるとともに、事業戦略及び営業戦略の徹底強化による物量の確保、持続的成長に向けた投資による経営基盤の強化、生産性向上に向けた業務改善の徹底による働き方改革の推進を重点課題として、事業環境の変化に柔軟に対応しながら引き続き競争力の強化に向けて取り組んでまいりました。
当連結会計年度の業績につきましては、受注高868億円(前期比12.2%増)、売上高820億円(前期比10.6%増)となりました。利益面では、売上高の増加並びに原価低減及び経費削減等により、営業利益65億92百万円(前期比10.2%増)、経常利益67億6百万円(前期比12.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益46億7百万円(前期比16.8%増)となり、過去最高益を更新しました。また、中期経営計画の最終年度である2023年度の営業利益目標60億円、当期純利益目標38億円をそれぞれ前倒しで達成しました。なお、今年度から適用の「収益認識に関する会計基準」の影響により、売上高は12億円、営業利益は27百万円増加しております。
報告セグメントの工事分野及びセグメント別の状況につきましては、次のとおりであります。
[電気設備工事業]
受注高は626億円(前期比6.6%増)、売上高は580億円 (前期比12.9%増)、営業利益は44億22百万円(前期比15.2%増)となりました。
主な受注案件は、ファナック株式会社・忍野工場R棟ニューアル工事に伴う電気設備工事、株式会社瑞光・特高変電設備工事、主な完成工事案件は、南西石油株式会社・電気設備リニューアル工事、富士電機株式会社・東京工場プラントシステム棟新築工事等であります。
受注高は工作機械メーカーなどの民間設備投資の増加により前期を上回りました。売上高及び営業損益は民間設備投資案件が堅調に推移したことから前期を上回りました。
[空調設備工事業]
受注高は225億円(前期比30.0%増)、売上高は223億円(前期比4.5%増)、営業利益は15億15百万円(前期比11.0%減)となりました。
主な受注案件は、富士電機株式会社・松本工場5-2C棟1階改修工事、主な完成工事案件は、東洋平成ポリマー株式会社・茨城Cfファクトリー増築棟建設計画工事等であります。
受注高は医薬・医療分野及び半導体分野の大型案件があったことから前期を上回りました。売上高は医薬分野及び半導体分野の大型案件の進捗が堅調だったことなどから前期を上回りました。営業損益は前期に産業プロセス空調工事の大型高採算案件があったことなどから前期を下回りました。
[その他]
受注高は16億円(前期比26.3%増)、売上高は16億円(前期比22.4%増)、営業利益は6億54百万円(前期比49.2%増)となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
(注) 1 当連結企業集団では生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。
2 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。
なお、参考のために提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。
受注工事高及び施工高の状況
(注) 1 前期以前に受注したもので契約の変更により請負金額に増減のあるものについては、当期受注工事高にその増減額が含まれております。
2 次期繰越工事高の施工高は、支出金により手持工事高の施工高を推定したものであります。
3 当期施工高は(当期完成工事高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致いたします。
工事の受注方法は、特命と競争に大別され、請負金額比率は次のとおりであります。
(注) 1 完成工事高のうち主なものは、次のとおりであります。
第111期請負金額4億円以上の主なもの
第112期請負金額4億円以上の主なもの
2 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
④ 手持工事高 (2022年3月31日)
(注) 手持工事高のうち請負金額4億円以上の主なものは、次のとおりであります。
当期末における総資産は、前期末に比べ63億円増加し、626億円となりました。主な要因は受取手形・完成工事未収入金及び契約資産の増加(34億円)、預け金の増加(30億円)、電子記録債権の増加(15億円)、現預金の減少(9億円)、未成工事支出金の減少(8億円)であります。
負債は前期末に比べ23億円増加し、289億円となりました。主な要因は支払手形・工事未払金等の増加(21億円)であります。
純資産は前期末に比べ39億円増加し、336億円となりました。主な要因は親会社株主に帰属する当期純利益の計上(46億円)、配当金の支払(8億円)であります。
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は164億円となり、前連結会計年度と比べ、21億円増加しました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は34億円(前期は78億円の増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益の計上及び仕入債務の増加による資金の増加、売上債権及び契約資産の増加による資金の減少が主な要因であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は3億円(前期は3億円の減少)となりました。これは、関係会社株式の売却による収入及び有形固定資産の取得による支出、無形固定資産の取得による支出が主な要因であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は10億円(前期は4億円の減少)となりました。これは、配当金の支払が主な要因であります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、事業運営上必要な流動性と資金を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資本及び金融機関からの短期借入を基本としております。
なお、株主還元につきましては、中期経営計画に掲げる2023年度配当性向30%以上を目標に、市場環境及び資金余力等を鑑みて継続的に実施してまいります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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