課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

(1)経営の基本方針

長期的な視点に立った会社経営を基本に、経営の効率化と収益力の向上によって、企業価値をより高めていくことを目標としており、その実現を通じて、株主、顧客、取引先、従業員、地域社会など、すべてのステークホルダーの信頼と期待に応えられる経営を目指している。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題

① 経営環境

 当社グループの経営環境については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績」に記載のとおりである。

 

② 対処すべき課題

ア 大林グループ中期経営計画2022「事業基盤の強化と変革の実践」

 2017年度から5ヵ年計画で取り組んできた「大林グループ中期経営計画2017」において、資本の蓄積は順調に進捗し、自己資本は9,556億円、自己資本比率が39.5%となり、財務体質の強化が進んだ。一方、売上高、営業利益等は2019年度までは概ね計画に沿って順調に推移したものの、2021年度は国内建設事業における損失発生等に伴い大幅な減益となった。

 当社グループを取り巻く社会・経済情勢は、新型コロナウイルス感染症拡大によって人々の行動様式や価値観が変容するとともに、カーボンニュートラルやウェルビーイングへの取組みがグローバルに加速するなど、大きく変化している。建設事業においては、国内市場の大幅な成長が見込めず競争が激化する一方で、国土強靭化政策による社会インフラ整備、再開発事業、リニューアル、スマートシティやグリーンエネルギー等の分野で堅調な需要が期待されており、不確実性を増す時代の中で、事業環境の変化に迅速かつ柔軟に対応する経営がますます重要となっている。

 当社グループは、直面する事業環境の変化や「中期経営計画2017」の継続課題を踏まえ、企業理念である「持続可能な社会の実現への貢献」に向けて、新たに「大林グループ中期経営計画2022『事業基盤の強化と変革の実践』」を策定した。

 新たな「中期経営計画2022」では、①建設事業の基盤の強化と深化、②技術とビジネスのイノベーション、③持続的成長のための事業ポートフォリオの拡充、の3つの基本戦略に取り組むことで、連結営業利益1,000億円をボトムラインとして安定的に利益を創出できる事業基盤を構築するとともに、計画期間内の更なる収益向上を実現していく。

 

 

(ア) 経営環境と継続課題

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(イ) 全体像

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(ウ) 財務指標

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<株主還元指標について>

 中期経営計画2017においては、「連結配当性向20~30%の範囲」を配当額の目安としていたが、新たな中期経営計画2022では、「自己資本配当率(DOE)3%程度」を配当額の目安とした。

 連結配当性向は、年度ごとの利益に応じて配当額の目安が決定されるのに対し、自己資本配当率(DOE)は、期末の自己資本に応じて配当額の目安が決定されることとなる。

・DOE3%={(前期末自己資本+当期末自己資本)÷2}×3%→年間配当総額(中間+期末)の目安

 

 これまでの利益の蓄積である自己資本に応じて配当額の目安を決定するため、利益の蓄積が配当の増額につながり、自己資本の充実が中長期的に株主にも還元されることとなる。

 なお、2021年度の年間配当金(1株当たり32円)をDOEに当てはめると2.4%となり、新たに定めた「自己資本配当率(DOE)3%程度」という目安は、これを上回る水準となる。

 2022年度の年間配当金については、当該年度の業績予想に基づきDOE3%程度で配当金を算定し、1株当たり42円を予定している。

 

(エ) 基本戦略の2つのステージ

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(オ) 非財務定性指標

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(カ) 基本戦略① 建設事業の基盤の強化と深化

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(キ) 基本戦略② 技術とビジネスのイノベーション

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(ク) 基本戦略③ 持続的成長のための事業ポートフォリオの拡充

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(ケ) 投資計画

 経営基盤強化のため、人材関連投資やデジタル関連投資、技術関連投資といった無形資産に対して「中期経営計画2017」期間中よりも積極的に経営資源を投入し、さらなる企業価値向上を目指す。

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<政策保有株式に関する方針>

 当社は、顧客との取引関係の維持強化を目的として取引先の株式(以下「政策保有株式」という。)を保有しており、保有意義については、取締役会において当該株式評価損益を定期的に報告し、資本コストや取引関係の維持強化による事業上のリターン等の収益性評価の指標を総合的に勘案したうえで、中長期的な経済合理性を検証している。検証の結果、営業上の保有意義が希薄化した株式については適宜売却している。

 「中期経営計画2022」においては、政策保有株式の保有意義や投資効率の見直しを更に進め、2027年3月末までのできるだけ早い時期に連結純資産の20%以内とすることを目処に、2021年度から合計1,500億円程度の売却を実行することとしている。

 当社は政策保有株式の売却代金を企業価値向上につなげていくため、安定的な投資収益の獲得を目的とした投資に加え、中長期的な成長性等も視野に入れ、持続的な成長に資する分野への投資等にも有効に活用する方針である。

 

 当社グループは、全役職員が多様な力を結集して「大林グループ中期経営計画2022」を実行し、事業基盤の強化と変革の実践に取り組むことで、企業価値の持続的な成長を実現していく。

 

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