当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) 経営成績
当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の断続的な感染拡大に伴う、緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の適用等により、先行き不透明な状況が続きました。住宅業界においては、引き続き感染拡大防止策を踏まえた営業活動など柔軟な対応が求められるとともに、新型コロナウイルス感染拡大や地政学リスク増大を背景とする原材料価格の高騰やサプライチェーンへの影響について注視していく必要があります。
また、新設住宅着工戸数は2021年4月~2022年3月累計で前期比6.6%の増加となりました。当社グループが主力とする賃貸住宅分野においても、貸家着工戸数が2021年4月~2022年3月累計で前期比9.2%の増加となりました。
今後も利便性の高い、安心・快適な賃貸建物の需要は引き続き底堅く推移するものと見込まれます。賃貸住宅分野は、入居需要に基づく健全な賃貸建物経営のノウハウに加え、入居者様の多様化するニーズに応え、災害に強い防災賃貸住宅、環境に配慮した賃貸住宅、ライフスタイルに合わせたスマート賃貸住宅など、サステナブルな付加価値を生み出していく必要があります。
以上の結果、当社グループの連結業績は、売上高1兆5,830億3百万円(前期比6.3%増)、利益面では、営業利益995億94百万円(前期比14.8%増)、経常利益1,036億71百万円(前期比14.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益695億80百万円(前期比11.7%増)となりました。
なお、会計方針の変更として、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度から適用しています。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。
売上高は、前連結会計年度に比べ940億88百万円(6.3%)増加し、1兆5,830億3百万円となりました。これは主に、工事が順調に進捗したこと等により完成工事高が311億21百万円(7.7%)増加し、一括借上物件の増加等に伴い不動産事業売上高が499億68百万円(4.9%)増加したことによるものです。
売上総利益は、前連結会計年度に比べ212億77百万円(8.9%)増加し、2,601億42百万円となりました。これは主に、完成工事高の増加により、完成工事総利益が25億11百万円(2.4%)増加し、一括借上物件の増加及び入居者斡旋件数の増加等により不動産事業総利益が150億5百万円(13.8%)増加したことによるものです。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ84億21百万円(5.5%)増加し、1,605億48百万円となりました。これは主に、人件費が90億10百万円増加したことによるものです。
この結果、営業利益は、前連結会計年度に比べ128億55百万円(14.8%)増加し、995億94百万円、経常利益は、前連結会計年度に比べ130億64百万円(14.4%)増加し、1,036億71百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
建設事業は、工事が順調に進捗したこと等により、完成工事高が4,328億31百万円(前期比7.7%増)となりました。完成工事総利益率は、輸入木材価格の高騰等の影響により、24.7%(前期比1.3ポイント低下)となりました。完成工事高の増加により、完成工事売上総利益は1,069億82百万円(前期比2.4%増)、営業利益は353億12百万円(前期比8.2%増)となりました。
建物種別の完成工事高及び次期繰越工事高は、次のとおりです。
(注)前事業年度及び当事業年度において完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
受注工事高は、4,207億54百万円(前期比17.3%増)となり、2022年3月末の受注工事残高は、7,109億47百万円(前期比6.1%減)となりました。
受注実績は、次のとおりです。
(注)当社グループでは、建設事業及び不動産事業の一部以外は受注生産を行っていません。
生産実績を定義することが困難であるため、「生産の状況」は記載していません。
②不動産事業
不動産事業の売上実績の内訳は、次のとおりです。
管理戸数は、前期比2.3%増の1,231,879戸となりました。
入居者斡旋件数(注1)は、342,365件(前期比1.5%増)となりました。また、2022年3月の家賃ベース入居率(注2)は、居住用で98.1%(前年同月比0.3ポイント上昇)、事業用で99.3%(前年同月比0.5ポイント上昇)となりました。
(注) 1.大東建託リーシング㈱、大東建託パートナーズ㈱の合計件数(他社管理物件含む)
2.家賃ベース入居率=1-(空室物件の借上家賃支払額/家賃総額)
③金融事業
金融事業は、土地オーナー様、入居者様へ家賃や家財を補償する少額短期保険ハウスガード株式会社の契約数の増加、大東ファイナンス株式会社の利息収入の減少等により、売上高が前連結会計年度比0.2%増の100億40百万円、営業利益は前連結会計年度比17.8%減の45億76百万円となりました。
④その他
その他事業は、2020年11月に連結子会社化した株式会社インヴァランスの売上・利益が年間を通じて計上されたことや米国賃貸住宅の投資ファンドからの分配金が増加したこと、およびガス供給事業における延べ稼働メーター数が増加したこと等により、売上高が前連結会計年度比20.6%増の759億1百万円、営業利益は前連結会計年度比26.7%増の98億73百万円となりました。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前期末比864億24百万円増加の1兆58億79百万円となりました。これは主に、現金預金601億40百万円、収益認識に関する会計基準等の適用により棚卸不動産が153億58百万円及び有形固定資産54億82百万円が増加した一方、営業貸付金76億50百万円が減少したことによるものです。
セグメントごとの資産は、次のとおりです。
①建設事業
建設事業の総資産は、前連結会計年度末に比べ184億11百万円増加し、1,189億19百万円となりました。これは主に、収益認識に関する会計基準等の適用による棚卸不動産の増加によるものです。
②不動産事業
不動産事業の総資産は、前連結会計年度末に比べ152億49百万円増加し、3,548億37百万円となりました。これは主に、一括借上修繕引当金の増加に伴う繰延税金資産の増加、太陽光発電設備の新規設置による増加及び一括借上物件の増加に伴う前払家賃の増加によるものです。
③金融事業
金融事業の総資産は、前連結会計年度末に比べ14億44百万円減少し、1,353億75百万円となりました。これは主に、大東ファイナンス株式会社による営業貸付金の減少によるものです。
④その他
その他事業の総資産は、前連結会計年度末に比べ207億72百万円増加し、1,620億62百万円となりました。これは主に、JustCo DK Japan株式会社のフレキシブル・ワークスペース事業の本格稼働開始に伴う資産の増加、ガス供給事業におけるLPガス設備の増加及び株式会社インヴァランスの販売用不動産の増加によるものです。
当連結会計年度末の負債は、前期末比288億43百万円増加の6,400億91百万円となりました。これは主に、前受金248億94百万円、一括借上修繕引当金176億90百万円及び社債109億20百万円が増加した一方、収益認識に関する会計基準等の適用によりその他流動負債が240億64百万円減少したことによるものです。
当連結会計年度末の純資産は、前期末比575億80百万円増加の3,657億87百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により695億80百万円及び収益認識に関する会計基準等の適用により期首利益剰余金が162億24百万円増加した一方、配当金の支払いにより335億37百万円減少したことによるものです。
この結果、自己資本比率は前期末比2.8ポイント増加して36.5%となりました。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度において現金及び現金同等物は、前連結会計年度末比600億64百万円増加し、当連結会計年度末の残高は2,588億25百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,124億83百万円の獲得(前連結会計年度は984億61百万円の獲得)となりました。主な獲得要因は、税金等調整前当期純利益の計上1,032億17百万円、一括借上修繕引当金の増加額176億90百万円、減価償却費161億82百万円及び仕入債務の増加額88億94百万円です。一方、主な使用要因は、法人税等の支払額429億25百万円です。
投資活動によるキャッシュ・フローは、195億11百万円の使用(前連結会計年度は247億40百万円の使用)となりました。主な獲得要因は、投資有価証券の売却及び償還による収入32億91百万円及び有価証券の売却及び償還による収入15億円です。一方、主な使用要因は、有形固定資産の取得による支出113億92百万円、無形固定資産の取得による支出59億62百万円及び投資有価証券の取得による支出41億68百万円です。
財務活動によるキャッシュ・フローは、340億89百万円の使用(前連結会計年度は343億15百万円の使用)となりました。主な獲得要因は、社債の発行による収入110億円です。一方、主な使用要因は、配当金の支払額335億37百万円及び長期借入金の返済による支出135億26百万円です。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、営業活動によるキャッシュ・フローにより獲得した資金及び金融機関からの借入れ及び社債発行により調達した資金を運転資金、投資資金並びに配当金の支払等に投入しています。
(キャッシュ・フロー関連指標の推移)
(注)1.自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
2.いずれも連結ベースの財務数値により算出しています。
3.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。
4.キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。
5.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としています。また利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。
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