課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1) 経営基本方針

当社は、「限りある大地の最有効利用を広範囲に創造し、実践して社会に貢献する」を経営理念として掲げています。この経営理念を具現化していくため、賃貸住宅分野において土地所有者と入居者双方のニーズを最大限に活かし、良質な賃貸住宅の供給に努めるとともにその周辺分野へも事業拡大していきます。

また、事業活動における具体的な指針とするため、当社では以下の5項目を経営基本方針として定めています。

① 顧客第一主義に徹する(CS重視の経営)

② 重点主義に徹する(経営資源の重点的な投入)

③ 顧客の要望に合わせ、当社を創造(造り変え)する(市場環境への適応)

④ 現金取引主義を貫徹する(キャッシュ・フロー重視)

⑤ 高い生産性を背景とした高賃金主義に徹する(成果主義の人事処遇)

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、「売上高営業利益率7%以上」「ROE(自己資本当期純利益率)20%」を確保することを重要な経営指標目標として定めています。当期においては、売上高営業利益率6.3%、ROE20.1%となっています。

 

(3) 経営環境と対処すべき課題

当連結会計年度における国内経済は、国内外における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の断続的な感染拡大に伴う、緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の適用等により、先行き不透明な状況が続きました。住宅業界においては、引き続き感染拡大防止策を踏まえた営業活動など柔軟な対応が求められるとともに、新型コロナウイルス感染拡大や地政学リスク増大を背景とする原材料価格の高騰やサプライチェーンへの影響について注視していく必要があります。

今後も利便性の高い、安心・快適な賃貸建物の需要は引き続き底堅く推移するものと見込まれます。賃貸住宅分野は、入居需要に基づく健全な賃貸建物経営のノウハウに加え、入居者様の多様化するニーズに応え、災害に強い防災賃貸住宅、環境に配慮した賃貸住宅、ライフスタイルに合わせたスマート賃貸住宅など、サステナブルな付加価値を生み出していく必要があります。

このような状況の中、当社グループは中期経営計画「新5ヵ年計画」(2019年度~2023年度)の4年目として、基本方針「夢や将来を託され、継続した成長ができる企業へ」の下、建設事業においては、営業要員の確保や契約質の向上を図りつつ、新型コロナ禍で構築した税理士・金融機関とのネットワークおよびデジタルマーケティングなどの新規チャネルを活かし、契約拡大を目指していきます。また、不動産事業においては、緻密なマーケティングに基づく入居率の維持や家賃の維持・上昇を図り、さらに盤石な収益基盤を築くとともに、他社建物の管理受託獲得、不動産売買を取り扱う店舗の拡大など、新たな収益機会の創出にも注力してまいります。

今後も、120万戸超の管理戸数を活かしたストックビジネス等、賃貸住宅事業および周辺事業の更なる強化を図っていくとともに、賃貸住宅事業以外の新しい取り組みも着実に促進させ、賃貸住宅事業を基盤とした生活総合支援企業を目指し、収益の最大化を図ってまいります。

 

(4) 気候変動への取組みとTCFDへの対応

当社グループは、環境への取り組みを、企業価値を高めるための取り組みとして捉え、この考えを軸に、環境経営戦略「DAITO 環境ビジョン2050」を策定しました(2020年)。さらに、当社グループが特に重点的に取り組むべき課題として「7つのマテリアリティ(重要課題)」を設定し(2021年)、その一つとして「事業活動による気候危機への対応」を掲げています。今後、当社グループの持続的な成長のためには、環境経営と成長戦略の一体化は不可欠であると考えています。経営資源や蓄積したノウハウなど、グループ全体の強みを活かしながら、環境課題の解決と利益創出の両立を目指します。

また、当社は、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同し、気候変動が事業に与える「リスク」と「機会」の把握に努めるとともに、環境報告書や統合報告書などにおいて透明性の高い情報開示を行っています。

 

<組織体制(ガバナンス)>

当社グループが特に重点的に取り組むべき課題「7つのマテリアリティ」の推進に向け、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ執行企画会議」を設置し、課題解決に向けた具体的な取り組みの協議、推進を行っています。ここで協議した内容は、定期的に取締役会へ報告を行い、進捗管理をしています。同時に、取締役(環境経営プロジェクト担当)を委員長とした環境経営プロジェクト委員会を設置し、グループ会社も含めた環境経営体制を構築しています。定期的な全体会議を通して、現状の把握と課題解決に向けた議論を行い、グループ全体の環境に関する取り組みを推進しています。

 

<事業戦略>

(事業のリスクと機会)

当社グループが特に重要だと考えている環境課題は、「7つのマテリアリティ」にも設定している「気候危機(気候変動)」です。

気候危機は当社グループの事業活動に対して、さまざまな「リスク」と「機会」をもたらす可能性があり、企業としてそれらに対応していくことが重要であると考えています。

具体的には、風水害の増加による工事費用の増加や太陽光発電設備の損害増加、炭素税の導入による費用の増加等のリスクが考えられます。一方、消費者の環境意識の向上に対応した商品・サービスの提供やそれらへの投資は、当社グループの企業価値を高める機会であると捉えています。

今後、当社グループが長期的に存続・成長していくために、これらの「リスク」と「機会」を見極め、企業としての強み(経営資源・専門性など)を活かしながら環境課題の解決と利益創出を両立していきます。

 

(財務的影響の分析・算定)

事業への財務的影響については、気候変動シナリオ等(2℃未満シナリオ、4℃シナリオ)に基づき分析し、短期・中期・長期の事業への影響を評価の上、財務的影響について算定しています。

リスクについては、移行リスクとして、将来のエネルギー関連費用の増加を予測し、長期的に、炭素税導入による操業コスト増加(約12.7億円)および炭素税導入に伴う材料コスト増によるオーナー様需要減少(約64.2億円)、EV化による充電スタンド設置費用増加(約1.1億円)、再生可能エネルギーの購入費用(30.6億円)、ZEH市場の拡大によるZEH以外の住宅に対する需要低下(約8,800億円)等を算定しています。

物理的リスクとして、気温上昇が2℃未満に抑制されたとしても急性的に台風・豪雨等での水害が発生しうると予測しています。長期的に、工事中の風水害の増加(約1.2億円)およびオーナー様のコスト増による需要減少(約11.7億円)、労働時間の制限とそれに伴う完成遅延の増加(約4.2億円)、空調費用の増加(約10.1億円)、建設コストの増加(約2.2億円)等を算定しています。

機会については、再生可能エネルギー販売量増加による収益(約43億円)、ZEH市場拡大による収益(約8,800億円)等を算定しています。今後も様々な動向を踏まえ定期的に分析し、評価の見直しと情報開示の充実を進めていきます。

 

 

(前提要件)

対象期間:2020年~2040年代後半(短期:2023~2025年頃、中期:2030年代前半、長期:2040年代後半)

対象範囲:大東建託グループ

算定要件:気候変動シナリオ(SDS・NPS・STEPS・CPS・RTS等)に基づき分析

     項目別に対象期間内に想定される利益影響額を算定

     リスクは事象が発生した際の影響額で算定

     公共事業等のインフラの強化やテクノロジーの進化等は考慮しない

 

(気候変動によるリスクおよび機会)

(単位:億円)


 

<リスク管理>

当社グループでは、重大な財務上または戦略的な影響を及ぼすリスクと機会の特定・評価は、取締役会の諮問機関である「リスクマネジメント委員会」にて実施しています。リスクマネジメント委員会では、当社グループ事業に影響を与える「①あらゆるリスク項目」を各事業部門にて洗い出し、リスクマネジメント委員会にて集約し、短・中・長期における発生可能性と当社事業への影響度等を踏まえスコアリングを行い、「②重要リスク項目」の評価・特定を行っています。その項目を踏まえ、取締役会にて、さらなる分析・評価を実施し、特に重大な財務上または戦略的な影響を及ぼす「③重点管理リスク項目」の特定を行っています。気候変動を起因とする異常気象・自然災害については、「③重点管理リスク項目」として特定しており、大規模な自然災害により、顧客・従業員・管理建物・建築建物・事業所が被災し、復旧に多大な時間とコストを要することで、個々の事業継続に支障をきたすと考え、具体的対策を協議・実施しています。

 

<指標と目標>

・温室効果ガスの削減については、グループ全体の温室効果ガス削減目標「2030年までに(2017年度比)Scope1+Scope2を55%削減」(SBT1.5℃水準)、「2030年までに(2017年度比)Scope3を16%削減」(SBT2℃水準)が、SBTの認定を受けています。

・2040年までに当社グループの事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーにすることを目標に掲げ、「RE100」に加盟しています。

・2030年までに当社グループのエネルギー効率(売上高/エネルギー消費量)を2017年度比で2倍にすることを目標に掲げ、「EP100」に加盟しています。

・当社グループは、国際的な環境非営利団体であるCDPの質問書へ回答することを通して、質の高い情報開示を行っています。最新のスコアリングとしては、「CDP気候変動2021」では「A-リスト」に、「CDPフォレスト2021」では「Bリスト」に選定されました。

 

 

(5) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、「夢や将来を託され、継続した成長ができる企業」に向けて、コア事業である建設事業・不動産事業の強化に加え、商業施設・サービスオフィス等の住宅以外の賃貸事業へ事業領域を広げ、さらにエネルギー事業やオンライン・プラットフォーム事業等、生活に密着したサービス事業へ領域を拡大することで、総合賃貸業を核とした「生活総合支援企業」を目指します。

数値目標としては、2024年3月期に、売上高1兆7,500億円以上、営業利益1,300億円以上、連結営業利益率7%以上、ROE(自己資本当期純利益率)20%以上の実現を目指すとともに、貸家着工戸数においては、シェア20%以上を獲得することを設定しています。

なお、売上高及び営業利益目標については、新型コロナウイルス感染症の拡大、輸入木材・エネルギー価格の高騰などの影響をふまえ、2022年4月に、当初計画からの修正を発表しています。(売上高:2兆2,000億円→1兆7,500億円以上 営業利益:1,800億円→1,300億円以上)

 

セグメント別の中長期的な経営戦略は以下のとおりです。

① 建設事業

建設事業では、コロナ禍を契機に、デジタルマーケティングや金融機関等からの紹介など、当社の強みであるダイレクトセールスの推進に加え新たな営業チャネルの強化を図るとともに、リフォームや民間入札案件への参加など、領域の拡大に取り組んでいきます。また、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)などの環境配慮型賃貸住宅への取り組みを積極的に行い、社会的課題の解決に寄与していきます。

 

② 不動産事業

不動産事業では、蓄積されたデータに基づくマーケティング力と高い入居斡旋力を背景に、高水準の入居率の維持に努め、入居者様のライフスタイルに合わせた良質な住空間と暮らしのサービスを引き続き提供していきます。また、オンライン・プラットフォームサービス「ruum」や、「いい部屋ネット」のフランチャイズ展開、不動産売買仲介事業への参入により、更なる収益の拡大を図っていきます。

 

③ その他の事業(金融事業及びその他事業)

その他の事業では、感染症の断続的な影響を受けているマレーシアのホテル事業の早期回復を図るとともに、インヴァランス社による投資マンション事業や、JustCo DK Japan社のサービスオフィス事業の拡大に取り組んでいきます。今後もグループシナジーを追求しつつ、社内ベンチャー制度による新規事業の育成・強化やM&Aに取り組み、事業領域を広げるとともに、収益の拡大を図っていきます。

 

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