(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
なお、当連結会計年度から、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の日本経済は、新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発出、原材料価格の高騰、また、ウクライナ情勢等の地政学的な要因により、先行き不透明な状況で推移しました。
当社グループの主要事業である建設業界においては、政府建設投資が引き続き20兆円を上回る水準を維持し、民間建設投資も製造業を中心に一部回復傾向が見られたものの、企業の設備投資マインドは慎重化しました。
このような状況下、当社グループは、官庁工事は総合評価・積算精度の向上による受注確保、民間工事は安定成長実現に向けグループ一体となったエリア戦略による受注拡大に注力しましたが、工事受注高は120,340百万円(前連結会計年度比12.0%減)、工事売上高は129,532百万円(同0.4%増)、製品等を含めた総売上高については156,379百万円(同0.9%減)となりました。
利益については、製造・販売事業において原油価格の高騰で利益が減少したこと等により、売上総利益は16,968百万円(同12.1%減)、営業利益は8,202百万円(同23.9%減)、経常利益は8,582百万円(同24.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,667百万円(同25.4%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。(セグメントごとの経営成績については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しています。)
(建設事業)
当社グループの主要部門であり、売上高は129,537百万円(同0.4%増)、営業利益は8,939百万円(同0.2%減)となりました。
(製造・販売事業)
売上高は29,256百万円(同1.2%減)、営業利益は1,914百万円(同57.4%減)となりました。
(賃貸事業)
売上高は6,354百万円(同4.8%減)、営業利益は417百万円(同3.4%増)となりました。
(その他)
売上高は1,428百万円(同42.1%減)、営業利益は302百万円(同209.2%増)となりました。
また、当連結会計年度の財政状態は、次のとおりです。
(資産の部)
当連結会計年度の資産合計は、152,194百万円(同723百万円減、0.5%減)、流動資産は110,142百万円(同876百万円減、0.8%減)、固定資産は42,051百万円(同152百万円増、0.4%増)となりました。
主な要因は、受取手形・完成工事未収入金等が6,511百万円及び土地が1,205百万円増加し、現金預金が6,533百万円減少したことによります。
(負債の部)
当連結会計年度の負債合計は、57,187百万円(同3,496百万円減、5.8%減)、流動負債は51,102百万円(同4,380百万円減、7.9%減)、固定負債は6,084百万円(同883百万円増、17.0%増)となりました。
主な要因は、借入金を1,500百万円返済し、未払費用が569百万円及び未払法人税等が512百万円減少したことによります。
(純資産の部)
当連結会計年度の純資産合計は、95,006百万円(同2,773百万円増、3.0%増)となりました。
主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益を5,667百万円計上し、株主配当金を2,285百万円支払ったことによります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況については、営業活動により2,360百万円資金が増加し、投資活動により5,140百万円、財務活動により3,788百万円それぞれ資金が減少しました。
その結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ6,533百万円減少し30,158百万円(前連結会計年度末は36,691百万円)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益を8,532百万円計上し、売上債権の増加により6,514百万円資金が減少したこと等により2,360百万円の資金増加(前連結会計年度は8,155百万円の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
製造・販売拠点の拡充更新及び技術研究施設等を集約した建設用地の購入に伴う有形固定資産の取得等により5,140百万円の資金減少(同4,904百万円の減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払等により3,788百万円の資金減少(同1,584百万円の減少)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
(a) 受注実績
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
建設事業(百万円) |
136,764 |
(8.3%増) |
120,340 |
(12.0%減) |
(b) 売上実績
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
建設事業(百万円) |
128,997 |
(7.3%増) |
129,532 |
(0.4%増) |
製造・販売事業(百万円) |
21,209 |
(1.2%増) |
20,217 |
(4.7%減) |
賃貸事業(百万円) |
5,647 |
(2.8%増) |
5,311 |
(6.0%減) |
その他(百万円) |
1,941 |
(2.9%減) |
1,319 |
(32.1%減) |
合計(百万円) |
157,796 |
(6.1%増) |
156,379 |
(0.9%減) |
(注)1.当社グループでは建設事業以外の受注実績はグループ各社の受注概念が異なるため記載しておりません。
2.当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。
3.セグメント間の取引については相殺消去しております。
4.( )内は、前連結会計年度比です。
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりです。
建設事業における受注工事高及び完成工事高の状況
受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
期別 |
工種別 |
前期繰越 工事高 (百万円) |
当期受注 工事高 (百万円) |
計 |
当期完成 工事高 (百万円) |
次期繰越 工事高 (百万円) |
前事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
舗装工事 |
44,645 |
81,379 |
126,024 |
78,805 |
47,218 |
土木工事 |
19,396 |
35,567 |
54,964 |
31,982 |
22,981 |
|
建築工事 |
289 |
1,655 |
1,944 |
1,290 |
654 |
|
計 |
64,331 |
118,602 |
182,933 |
112,078 |
70,854 |
|
当事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
舗装工事 |
47,081 |
72,106 |
119,188 |
76,352 |
42,836 |
土木工事 |
22,880 |
32,999 |
55,879 |
36,042 |
19,836 |
|
建築工事 |
654 |
485 |
1,140 |
800 |
339 |
|
計 |
70,616 |
105,591 |
176,208 |
113,195 |
63,012 |
(注)1.前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含んでおります。したがって当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。
2.次期繰越工事高は、(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)です。
3.当事業年度の前期繰越工事高は、当事業年度から、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用し、収益認識基準第84項ただし書きに定める経過的な取扱いに従ったことにより、前事業年度の次期繰越工事高より調整を行っております。
受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
期別 |
工種別 |
特命(%) |
競争(%) |
計(%) |
前事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
舗装工事 |
59.5 |
40.5 |
100 |
土木工事 |
61.5 |
38.5 |
100 |
|
建築工事 |
100.0 |
- |
100 |
|
当事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
舗装工事 |
71.5 |
28.5 |
100 |
土木工事 |
70.2 |
29.8 |
100 |
|
建築工事 |
100.0 |
- |
100 |
(注)百分率は請負金額比です。
完成工事高
期別 |
工種別 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
計(百万円) |
前事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
舗装工事 |
38,491 |
40,314 |
78,805 |
土木工事 |
4,971 |
27,010 |
31,982 |
|
建築工事 |
- |
1,290 |
1,290 |
|
計 |
43,463 |
68,615 |
112,078 |
|
当事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
舗装工事 |
34,959 |
41,393 |
76,352 |
土木工事 |
7,348 |
28,694 |
36,042 |
|
建築工事 |
- |
800 |
800 |
|
計 |
42,307 |
70,888 |
113,195 |
(注)1.完成工事のうち主なものは、次のとおりです。
前事業年度
発注者 |
工事名 |
国土交通省 関東地方整備局 |
東京港臨港道路南北線舗装等工事 |
中日本高速道路㈱ |
東名阪自動車道 桑名管内舗装補修工事(2019年度) |
西日本高速道路㈱ |
平成30年度 九州自動車道 北九州高速道路事務所管内舗装補修工事 |
学校法人浪速学院 |
(仮称)学校法人浪速学院 高天原スポーツキャンパス(2期工事)計画 |
大和エネルギー㈱ |
浪江町谷津田地区メガソーラー発電所設置工事 |
当事業年度
発注者 |
工事名 |
国土交通省 北海道開発局 |
新千歳空港 誘導路新設外工事 |
東日本高速道路㈱ |
北陸自動車道 R2長岡管内舗装補修工事 |
松山市 |
坊っちゃんスタジアム内野グラウンド改修工事 |
学校法人順天堂 |
順天堂大学さくらキャンパステニスコート新設工事 |
学校法人花巻学院 |
花巻東高等学校グラウンド改修工事 |
2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりです。
期別 |
相手先 |
金額(百万円) |
完成工事高総額に対する割合(%) |
前事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
国土交通省 |
12,878 |
11.5 |
清水建設㈱ |
13,223 |
11.8 |
|
当事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
清水建設㈱ |
13,144 |
11.6 |
次期繰越工事高(2022年3月31日現在)
工種別 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
計(百万円) |
舗装工事 |
23,446 |
19,390 |
42,836 |
土木工事 |
4,077 |
15,759 |
19,836 |
建築工事 |
- |
339 |
339 |
計 |
27,523 |
35,488 |
63,012 |
(注)次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりです。
発注者 |
工事名 |
完成予定年月 |
国土交通省 関東地方整備局 |
令和3年度 東京国際空港B滑走路舗装改良工事 |
2022年12月 |
中日本高速道路㈱ |
東海北陸自動車道 一宮木曽川IC~岐阜各務原IC間舗装補修工事 |
2023年4月 |
防衛省 九州防衛局 |
馬毛島(R3)仮設プラント製作・設置工事(その5) |
2024年4月 |
㈱三菱UFJ銀行 |
(仮称)MUFG PARK ランドスケープ工事 |
2023年6月 |
積水化学工業㈱ |
群馬工場 駐車場整備工事 |
2023年12月 |
製造・販売事業におけるアスファルト合材等製品の販売状況
期別 |
アスファルト合材 |
その他売上高 (百万円) |
売上高合計 (百万円) |
|
売上数量 (千t) |
売上高 (百万円) |
|||
前事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
2,107 |
19,283 |
3,447 |
22,731 |
当事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
1,996 |
18,527 |
3,313 |
21,841 |
(注)その他売上高は、砕石等の販売、機械の賃貸等の売上高です。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、総売上高は156,379百万円(前連結会計年度比0.9%減)、営業利益は8,202百万円(同23.9%減)、経常利益は8,582百万円(同24.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,667百万円(同25.4%減)となりました。
(単位:百万円)
|
2020年度 実績 |
2021年度 実績 |
増減率 |
建設事業受注高 |
136,764 |
120,340 |
12.0%減 |
建設事業売上高 |
128,997 |
129,532 |
0.4%増 |
製造・販売事業売上高 |
21,209 |
20,217 |
4.7%減 |
賃貸事業等売上高 |
7,589 |
6,630 |
12.6%減 |
総売上高 |
157,796 |
156,379 |
0.9%減 |
営業利益 |
10,776 |
8,202 |
23.9%減 |
経常利益 |
11,293 |
8,582 |
24.0%減 |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
7,598 |
5,667 |
25.4%減 |
(建設事業)
「エリア環境に適合した積極的かつ戦略的営業を実行し、質の高い受注を拡大する」を重点実施事項とし、スピードと攻めの姿勢に徹した民間営業、民間の得意先への提案型営業強化等を展開し、特に、自動車関連、スポーツ施設、物流関連を重点3分野と位置付けて営業強化を行い、新型コロナウイルス感染症の影響による得意先の設備投資の延期又は中止等もありましたが、当社での民間受注高は71,999百万円(前事業年度比4.6%増)となりました。期首計画時には民間の建設設備投資が減少することを予想し、官庁受注を確保するため総合評価・積算精度の向上に注力しましたが、官庁受注高は33,592百万円(同32.5%減)となりました。その結果、連結での工事受注高は120,340百万円(前連結会計年度比12.0%減)、工事売上高は129,532百万円(同0.4%増)となりました。
利益については、「現場力(施工体制面+管理面)向上による収益力のアップ」を重点的に展開し、中・小規模工事におけるIT施工活用拡大により民間工事でのコストダウンに努めましたが、セグメント利益は8,939百万円(同0.2%減)となりました。
(製造・販売事業)
エリアごとに得意先分類別戦略の展開でシェアアップを図り、また、拠点の再構築(新設、増設、移設、JV化、計画的な設備更新等)を行い、コスト意識の徹底による収益の向上に注力しましたが、製品売上高は20,217百万円(同4.7%減)となりました。
利益については、原油価格の高騰により、主要材料であるアスファルト価格が高価格で推移したことにより、セグメント利益は1,914百万円(同57.4%減)となりました。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、2019年5月に「中期経営計画2019(2019~2023年度)」を策定しており、当社グループを取り巻く事業環境を認識し、重要課題とその施策を具体的に打ち出した企業価値向上に向けた取り組みとして、民間受注の拡大、営業利益率の向上等を挙げ、働き方改革にも対応し、「成長よりも安定的な経営基盤の構築」を重視した計画としております。
2年目である2020年度までの経営指針の進捗については概ね順調に推移しておりました。
3年目となった2021年度は、製造・販売事業において原油価格の高騰と価格転嫁の遅れにより、利益が大幅に計画を下回りました。
4年目の2022年度は、引き続き原油価格の高騰が見込まれ、2021年度比減益を見込んでおりますが、2023年度の主要資材の価格動向は不透明なため、現時点では「中期経営計画2019(2019~2023年度)」は変更しておりません。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、運転資金需要の主なものとして、工事施工に係る工事原価、合材製造に係る製造原価、販売費及び一般管理費等の営業費用、設備投資等があります。設備投資については、建設事業における施工用機械、製造・販売事業におけるアスファルトプラント設備更新、拠点増設による土地購入、賃貸事業における賃貸資産の購入等があります。
運転資金については、自己資金、金融機関からの借入による資金調達の他、取引銀行2行と43億円の貸出コミットメント契約(借入実行残高なし)及びコマーシャル・ペーパー発行のための格付を取得するなど、必要に応じた資金調達方法を確保しております。
また、資金の流動性を確保するために、グループ資金を当社に集中させ、当社の運転資金及び資金需要のある子会社に短期貸付を行っております。
当連結会計年度末の当社グループの借入金は8,200百万円、現金及び現金同等物は30,158百万円です。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、一定の期間にわたり履行義務を充足し収益を計上する方法の適用、棚卸資産の評価、固定資産の減損、繰延税金資産に対する評価性引当額、従業員の退職給付制度等、会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、財務諸表等に反映されております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
これらの見積りについては、継続して評価、見直しを行っていますが、自然災害、感染症の感染拡大等予期せぬ事態が発生し、国内外において経済活動に多大な影響を与える等の環境の変化により、実際の結果は見積りと異なることがあります。
新型コロナウイルス感染拡大の影響については、民間の得意先からの工事受注時期に懸念はあるものの、具体的な対応策により、現時点では当社グループの経営成績等に与える影響は軽微と判断しており、それに基づき見積りをしております。
また、新型コロナウイルス感染症が長期間に及び国内外における経済活動に多大な影響が出て、当社グループの経営環境にも大きな変化が出る場合には、必要に応じて見積りを見直します。
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