(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
ア. 売上高
エンジニアリングソリューション事業の大型案件の進捗が順調で売上高は、前連結会計年度と比べ 215億円増加し、5,948億4千万円(前年同期比 103.8%)となりました。
イ. 営業利益
売上高が増加したことにより、営業利益は、前連結会計年度と比べ 57億5千7百万円増加し、423億8千万円(前年同期比 115.7%)となりました。
ウ. 経常利益
営業利益の増加により、経常利益は、前連結会計年度と比べ 70億3千万円増加し、452億1千7百万円(前年同期比 118.4%)となりました。
エ. 親会社株主に帰属する当期純利益
経常利益の増加により、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比べ 35億7千3百万円増加し、277億6千6百万円(前年同期比 114.8%)となりました。また、自己資本利益率(ROE)は 0.6ポイント増加し、9.4%となり、1株当たり当期純利益(EPS)は 33.31円増加し、250.64円となりました。
なお、当連結会計年度における新型コロナウイルスの流行による影響は、限定的でした。
また、当連結会計年度におけるセグメント別の概況は、次のとおりであります。
(単位:百万円) |
報告セグメント |
エクシオグループ (注)3、4 |
シーキューブ グループ |
西部電気工業 グループ |
日本電通 グループ |
||||
金額 |
前年 同期比 |
金額 |
前年 同期比 |
金額 |
前年 同期比 |
金額 |
前年 同期比 |
|
受注高 (注)2 |
417,253 |
98.7% |
78,605 |
82.9% |
54,267 |
84.3% |
45,247 |
91.9% |
売上高 (注)2 |
411,379 |
109.1% |
77,836 |
89.0% |
60,760 |
102.8% |
44,864 |
90.0% |
セグメント利益 |
30,804 |
122.2% |
6,080 |
108.0% |
3,535 |
111.4% |
2,215 |
78.3% |
(注)1. 記載金額は、百万円未満の端数を切り捨てて表示しております。
2. 「受注高」「売上高」については外部顧客への取引高を記載しております。
3. 従来の「協和エクシオグループ」の数値を記載しております。
4. 報告セグメントにおけるエクシオグループには、シーキューブグループ、西部電気工業グループ、
日本電通グループは含んでおりません。
② 財政状態の状況
資産は、前連結会計年度末と比較して 440億4千3百万円増加し、 5,356億1千7百万円(前年同期比 109.0%) となりました。これは主に現金預金及び受取手形・完成工事未収入金の増加によるものであります。
負債は、前連結会計年度末と比較して 258億7千5百万円増加し、2,285億6千4百万円(前年同期比 112.8%) となりました。これは主に短期借入金及び長期借入金の増加によるものであります。
純資産は、前連結会計年度末と比較して 181億6千8百万円増加し、3,070億5千3百万円(前年同期比 106.3%)となりました。これは主に利益剰余金の増加によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ 124億8千万円増加し、537億2千7百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
ア.営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果獲得した資金は 264億6百万円(前期は 63億1百万円の獲得)となりました。これは主に売上債権及び仕入債務が減少したことによるものであります。
イ.投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は 203億8千8百万円(前期は 92億4千9百万円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出によるものであります。
ウ.財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果獲得した資金は 50億2千3百万円(前期は 17億5千万円の使用)となりました。これは主に短期借入金及び長期借入金の増加によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
ア. 受注実績
当連結会計年度のセグメントごとの受注実績については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。
なお、当連結会計年度の受注実績を事業区分ごとに示すと次のとおりであります。
事業区分の名称 |
受注高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
次期繰越工事高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
エンジニアリングソリューション |
436,350 |
94.5 |
250,575 |
98.5 |
システムソリューション |
159,023 |
93.8 |
39,328 |
113.0 |
合計 |
595,373 |
94.3 |
289,904 |
100.2 |
イ. 売上実績
当連結会計年度のセグメントごとの売上実績については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。
なお、当連結会計年度の売上実績を事業区分ごとに示すと次のとおりであります。
事業区分の名称 |
売上高(百万円) |
前期比(%) |
エンジニアリングソリューション |
440,145 |
105.4 |
システムソリューション |
154,694 |
99.4 |
合計 |
594,840 |
103.8 |
(注)1.当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載しておりません。
2.主な相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
売上高 (百万円) |
割合(%) |
売上高 (百万円) |
割合(%) |
|
東日本電信電話株式会社 |
81,411 |
14.2 |
87,633 |
14.7 |
西日本電信電話株式会社 |
86,068 |
15.0 |
84,829 |
14.3 |
株式会社NTTドコモ |
50,197 |
8.8 |
47,414 |
8.0 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の財政状況及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルスに対する対策の徹底及びワクチン接種が促進されるなか、新規感染者数の減少に伴う経済の持ち直しが期待されたものの、度重なる新たな変異株の発現と感染再拡大により、新型コロナウイルスの猛威は未だ衰えず、また、ロシア・ウクライナ情勢によって生じるリスクの懸念等もあり、原材料価格の上昇やサプライチェーン毀損による影響などに十分注意を要する状況が続いております。
当社の事業領域である情報通信分野におきましては、NCC各社によるモバイル基地局投資が継続しているほか、デジタル社会の基盤となる情報インフラの整備が加速しており、情報格差の解消のための投資も継続すると想定されます。また、建設分野におきましては、民間設備投資は持ち直しの傾向がみられるとともに、公共投資については、道路等社会インフラ老朽化対策のための維持管理・更新工事などが堅調に推移していく見通しです。
このような事業環境のなか、当社グループは、新型コロナウイルスの感染防止に努め、社内のテレワーク環境を整備・推進するとともに、ワクチンの職域接種をいち早く申請し、計3回のワクチン接種を実施するなど慎重かつ柔軟な事業運営を行ってまいりました。通信キャリア事業におきましては、地方エリアにおける高度無線環境整備推進事業を着実に進めたほか、モバイル分野における5Gをはじめとする基地局等インフラ構築に対して全国的に対応を実施しております。都市インフラ事業におきましては、大規模データセンター構築やリニア中央新幹線関連の大型案件を受注するなどが順調に推移したほか、再生可能エネルギー関連では、木質バイオマス発電所の建設を進めるとともに、将来の洋上風力発電事業への参画を狙い、人財の育成を加速しております。システムソリューション事業におきましては、働き方改革等を契機とするDX推進に関連するソリューションの展開とともに、文教系のお客様に対して引き続き積極的な営業活動を展開しました。グローバル分野では、通信建設分野を中心に各国のロックダウンの影響を受けたものの、デジタル貿易プラットフォームをはじめとするソリューション事業などが順調に進展したことにより、着実に利益改善を実現し、ビジネスの基盤確立から成長フェーズへと移行を果たしました。なお、都市インフラ及びシステムソリューション事業におきましては、更なる事業拡大を目的に、今後成長が期待できる分野において強みを持った企業の子会社化を積極的に実施いたしました。
当社グループは、各事業分野における技術者育成に継続して取り組んでおり、2021年12月に開催された「第59回技能五輪全国大会」において、情報ネットワーク施工職種で水谷匠吾社員が金メダルを獲得しました。同全国大会における当社の金メダル獲得は3大会連続・通算9回目となりました。今後もさらなる技術力の強化・向上並びに優秀な技術者の育成を図り、社会に貢献してまいります。
また、当社は、「2030ビジョン」及び「中期経営計画(2021~2025年度)」の達成に向け取り組みを進めておりますが、グループ会社とともに経営リソースと技術を結集して新たな価値を創造し、さらに大きく成長したいという思いを込め、2021年10月1日に「エクシオグループ株式会社」に商号を変更しました。
なお、当連結会計年度におけるセグメント別の状況は、次のとおりであります。
(エクシオグループ)
通信キャリア事業におきましては、アクセス分野では光回線工事や高度無線環境整備推進事業の工事が順調に進捗しました。NCC各社を含むモバイル分野では、下期にNTTグループのモバイル工事の発注が抑制されたものの、総じて無線基地局工事は順調に進捗しました。都市インフラ事業におきましては、大規模データセンターやリニア中央新幹線関連の大型案件、トンネルの更新工事などを獲得し、堅調に推移しております。今年度は送電線敷設事業を手掛ける株式会社リョウセイ、推進工事において豊富な実績と高い技術力を有している機動建設工業株式会社、空調、給排水衛生などの管工事を行っており高い工事品質と優良な顧客基盤を有する光陽エンジニアリング株式会社を子会社化しました。シナジーの最大化に向けて、グループ内の連携を強化するとともに、人財交流・育成の取り組み等を開始しています。システムソリューション事業におきましては、テレワーク環境整備の受注に努め、また、ICT保守・ヘルプデスク業務を中心に安定した事業基盤を有している株式会社アイティ・イットを子会社化しました。
当社は、2022年3月に経済産業省と東京証券取引所が共同で女性活躍推進に優れた上場企業を選定する、令和3年度「準なでしこ」に選定されました。2016年より組織活性化を目指した経営戦略としてダイバーシティ推進に取り組んできたことが評価され、令和元年度「なでしこ銘柄」、令和2年度「準なでしこ」選定に続き、3年連続3度目の選定となります。
(シーキューブグループ)
通信キャリア事業におきましては、アクセス分野・ネットワーク分野において一部工事量が減少したものの、光アクセスのサービスエリア拡大工事が増加したほか、高度無線環境整備推進事業においてエクシオグループ内での施工支援を行いました。また、モバイル・NCC分野では、5G関連工事やサービスエリア拡大工事の受注増により、売上・利益共に向上しました。都市インフラ事業におきましては、半導体部品供給不足による物品納期遅延に伴う工事延伸が一部であったものの、高速道路やトンネル照明設備等の道路インフラ工事が堅調に推移しました。システムソリューション事業におきましては、GIGAスクール関連を継続受注したほか、ICT支援員事業やコンテンツ等のアフターGIGA関連の受注が伸長し、文教系ビジネスを中心とした事業展開に取り組みました。
(西部電気工業グループ)
通信キャリア事業におきましては、アクセス分野で光開通工事等が堅調に推移し、高度無線環境整備推進事業による光ファイバの整備工事に取り組んだほか、モバイル分野では、5G無線基地局の整備工事等を推進しました。都市インフラ事業におきましては、電線共同溝PFI事業の大型案件を受注したほか、メガソーラー建設工事及び新築ビルの電気・機械設備工事に取り組みました。システムソリューション事業におきましては、文教系ビジネスの大型案件を受注したほか、高速道路交通システム関連工事や防災行政無線更改工事などに取り組みました。
その他、更なる社員の健康保持・増進に向けた取り組みの一環として「健康経営優良法人」の認定を3年連続で受けたほか、社会貢献活動として熊本県菊池市での植林活動や福岡県糸島市での松林再生・保全活動に継続して取り組みました。
(日本電通グループ)
通信キャリア事業におきましては、アクセス系の光開通工事、ネットワーク工事、土木工事が堅調に推移したほ
か、NCC分野の無線基地局工事・局外伝送局設備構築の受注・施工に注力しました。また、施工体制の整備・効率化に努めた結果、売上・利益共に向上しました。都市インフラ事業におきましては、CATV工事において、自治体・地元住民との信頼関係と理解のもと、順調に工事が進捗しました。システムソリューション事業におきましては、前年度に続き、関西エリアにおいて、高等学校タブレット機器導入等文教系ビジネスの大型案件を受注しました。さらに、SI分野では、ISV(独立系ソフトウェアベンダ)と連携したDX推進案件への事業転換が順調に推移しており、今後の更なる成長を目指して取り組んでおります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
ア.キャッシュ・フローの状況の分析
当社グループのキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
イ.資金需要の動向
当社グループの資金需要は、経常的な運転資金のほか、生産性向上を目的とした不動産等への設備投資資金、事業拡大を目的としたM&A等の投資資金であります。
また、株主還元については、積極的かつ安定的な配当を継続していくことを基本方針としており、連結自己資本配当率(DOE)3.5%を目途に配当を実施するとともに、自社株式の取得についても機動的に実施いたします。
ウ.資金調達の方法
当社グループの資金調達の源泉は主に営業活動によって獲得したキャッシュでありますが、不足が生じた場合は、健全な財務体質の維持を考慮しつつ、負債を中心とした資金調達を実施しております。一時的な資金不足に対しては、金融機関からの短期借入により調達し、投資等の長期的な資金需要が生じた場合は、普通社債やSDGs債発行を主に検討し、対応しております。
また、国内子会社の資金は当社において一元管理しており、当社グループ内の資金効率化、および流動化を図っております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項」の(重要な会計上の見積り)に記載しております。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える可能性がある事象につきましては、「2 事業等のリスク」に記載しております。
(4)経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
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