研究開発活動

 

5 【研究開発活動】

当社の方針のひとつに「技術開発や異業種とのコラボレーションによるイノベーションにも積極的に取り組み、将来に向けて一歩先の先鋭的技術(テクノロジー)の取得と活用に努めます。」と掲げています。

これらの研究開発を具現化するにあたっては、技術開発研究所をはじめとする各事業部門などの全社組織に加え、有力な技術を持つ企業や大学等の社外パートナーと連携を図り、技術融合させながら展開しています。

当連結会計年度における研究開発費の総額は、470百万円であります。

 

なお、これらの研究開発成果や当社の保有技術を「見える化」させるショールーム『e-Labo®』(当社本社、工学センター、技術開発研究所の3施設に開設)にて展示しています。

 

(主な研究開発活動)

1) 微粒子可視化技術を核とした「ソリューション事業」の深耕

浜松ホトニクス㈱との協業体制のもと、微粒子可視化技術の適用範囲の拡大と技術の深耕に向けた活動を継続しています。この微粒子可視化技術と飛沫計測を用い、新型コロナウイルス飛沫感染リスクの低減効果の検証など、様々な感染対策の検証に貢献しています。

 

2) 自立型パーソナル温熱快適性デバイスの開発に着手

ZEB化要素のタスク&アンビエント空調に属するパーソナル空調方式に着目し、働く環境におけるウェルネスの評価や認定に貢献する自立型パーソナル温熱快適性デバイスの開発に着手しました。ロボットアームのような仕組みを採用することにより、空調空気を吹き出す高さ、距離、風向を人の好みに応じて自由自在に調整でき、体感を調節しながら人を囲うタスク域の温熱環境を整えることができます。これにより、テレワークが推奨される中での少数の在室者におけるパーソナル空間、またはコワーキングスペースで多用される個室や集中ブースなどの、温熱環境の改善と覚醒度の維持および作業効率の向上に役立ちます。

 

3) 継手レス加工技術による次世代配管システムを実用化

自動車用排気系部品メーカーである株式会社三五と共同で、配管システムの長寿命化、低炭素化、及び施工作業の省力化を実現する、フェライト系ステンレス鋼材の継手レス加工技術による次世代配管システム FP35(エフピーサンゴ)を開発、実用化しました。耐腐食性、耐熱性、耐酸化性、熱疲労特性などに優れるSUS436を、建築設備用配管材料に採用し、工場で製作した継手レス加工部材を、施工現場においてプレス式管継手とハウジング式管継手により接続するシステムで、従来の配管用炭素鋼鋼管(SGP)と比較して、継手数の削減により配管施工時間を最大70%低減することができます。

 

4) 改良型可搬式抗菌フィルターユニット(ウイルスキャプチャー・プラス)を開発

新型コロナウイルス飛沫感染防止対策を目的に、従来のダクト接続型可搬式抗菌フィルターユニットを改良し、単独の空気清浄機として機能する「ウイルスキャプチャー・プラス」を日進技研株式会社と共同開発し、販売を開始しました。なお、可搬式抗菌フィルターユニットは、(一社)減災サステナブル技術協会主催の「防災・減災×サステナブル大賞」のソリューション部門において最高位となるグローバル賞を、(一社)レジリエンスジャパン推進協議会主催の第7回「ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)2021」の「第1回STOP感染症大賞」で優秀賞を、(一社)建築設備綜合協会主催の「第20回環境・設備デザイン賞」で入賞しました。

 

5) 環境測定用無線センシングシステム「Wi Musu (ワイムス)」に風速測定機能を拡充

空調設備の品質確保と現場測定作業の省力化を実現する当社独自技術である環境測定用無線センシングシステム「Wi-Musu(ワイムス)」に、新しくLED発光機能付き風速センサを追加し、風速測定機能を拡充しました。これにより従来の「温湿度・CO2濃度・照度・浮遊粉塵濃度・騒音値」に加え、風速を同時に無線でリアルタイムに遠隔監視しながら計測できるようになりました。

 

 

6) AIを活用した空調制御最適化技術を開発

省人化と省エネに寄与する、AI(人工知能)を活用した空調制御技術を公立諏訪東京理科大学と共同開発しました。本技術は、セントラル空調システムの試運転調整をAIにより自動化し、人の手を加えることなく運転状況に応じて高精度な空調制御が可能となります。また、試運転時の省力化に加え、運転パラメータの最適化と自動チューニングによって省エネ化にも寄与し、CO₂の排出量削減と運転コスト削減が実現でき、サステナビリティ向上につながります。

 

7) オゾン清浄装置『Ex-ViC™』(エクスヴィック)を開発

空調機内やフィルタなどに付着する病原性微生物対策および臭気対策を目的に、空調機内に設置可能なオゾン清浄装置『Ex-ViC』を開発しました。本装置は株式会社オーク製作所が有する独自の「pureO(ピュアオー)」技術によりNOxフリーなオゾンを発生し、これに当社の空調制御技術を組み合わせることで低濃度オゾンの安定供給を実現し空調機内やフィルタなどの表面に付着したウイルスなどの感染源を99.9%不活化・低減することが期待できます。

 

8) 小型空調機用ダクト接続型空気清浄装置『L-ViC™』(エルヴィック)を開発

新型コロナウイルス感染症対策を目的に、ホテル客室や病院などに設置される天井埋込型のファンコイルユニットやエアコンを主な対象とした、空調ダクトに接続可能な空気清浄装置『L-ViC™』を、(株)SML-Technology、(株)フォレストウェル、(株)荻野製作所、ウエタックス(株)と共同開発しました。本装置は、電気集塵機などの原理として広く普及している放電技術(コロナ放電)を利用した放電ユニットを搭載し、ダクトに接続する構造となっており、(一財)北里環境科学センターで実施した本装置の性能評価試験では、25立方メートルの空間内に噴霧したウイルスの残存率を、9分で84%低減できることを確認しました。

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