業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

1) 経営成績の状況

 当連結会計年度の我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、個人消費はワクチン接種などの対策により一時持ち直しの動きがみられたものの、年明け以降のオミクロン株の感染者の急増により、まん延防止等重点措置の適用を受けた自粛ムードの再燃を背景に消費関連業種の景況感が下振れする等、年度を通し総じて厳しい状況となりました。

 原料穀物は、世界的に旺盛な需要に加え、ウクライナ情勢の深刻化による供給懸念により、原料穀物相場は歴史的高値で推移しております。また、油脂原料である菜種は天候不順による油分低下に伴い歩留が悪化しております。さらに、為替相場の円安ドル高進行による輸入コストの上昇やエネルギーコストの高騰なども重なり、極めて厳しい経営環境が続いております。

 このような状況の中、当社は創立90周年を迎える2025年度のありたい姿(長期ビジョン)「SHOWA Next Stage for 2025」の実現に向けた2nd Stage「中期経営計画20-22」に取り組んでおります。長期ビジョンの「確立」のステージと位置づけ、5つの基本戦略においては、これまでの「①基盤事業の強化」に注力しつつも、軸足を「②事業領域の拡大」「③社会的課題解決への貢献」へと大きく移し、それらを支える「④プラットフォームの再構築」「⑤ステークホルダーエンゲージメントの強化」についても優先度を高めて各施策の推進に努めております。

 当連結会計年度の経営成績は、連結売上高が287,635百万円と前年同期に比べ31,637百万円(12.4%)の増収となりました。営業利益は5,564百万円と前年同期に比べ2,029百万円(26.7%)の減益、経常利益は6,576百万円と前年同期に比べ2,637百万円(28.6%)の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は4,006百万円と前年同期に比べ6,108百万円(60.4%)の減益となりました。

 なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収

益認識会計基準」と言う。)等を適用しております。

 これに伴い、当連結会計年度の売上高は19,102百万円減少し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益

には影響ありません。詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。

 

 セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 

<製粉事業>

 製粉事業は、新型コロナウイルス感染症の影響により、外食や土産品、コンビニエンスストア向けの日配品等において厳しい状況が継続しております。マーケット分析力を生かし、ターゲット業態別での提案型営業の強化を行ってまいりましたが、業務用小麦粉の販売数量については、前年同期を下回りました。一方で、冷凍食品やテイクアウト等の新たな市場や需要への取り組みに注力したこと等により、業務用プレミックスの販売数量については、前年同期を上回りました。ふすまの販売数量については、前年同期を上回りました。販売価格については、輸入小麦の政府売渡価格が昨年4月に平均5.5%(税込価格)、10月にさらに平均19.0%(税込価格)引き上げられたことを受け、小麦粉製品の価格改定を実施いたしました。

 営業利益については、焼成パン事業の収益改善や業務用プレミックスの販売増などにより前年同期を大幅に上回りました。

 これらの結果、製粉事業の売上高は78,154百万円と前年同期に比べ3,838百万円(5.2%)の増収、営業利益は3,555百万円と前年同期に比べ1,850百万円(108.5%)の増益となりました。

 

<油脂食品事業>

 油脂食品事業は、原料穀物相場の過去に例を見ない急激かつ大幅な高騰により、大変厳しい状況となりました。原料コストの上昇に伴い、油脂製品については昨年3月、6月、8月、11月、本年3月の5度にわたる価格改定を発表し、販売価格の改定を最優先に取り組んでまいりました。しかしながら、秋以降は乾燥によるカナダ産菜種の油分低下による歩留悪化や円安ドル高進行の影響も加わり、原料コスト上昇を吸収することができませんでした。

 業務用については、油脂と食材(プレミックス・パスタ)のシナジー効果を生かし、課題解決型の営業活動を強化してまいりました。製粉・糖質事業等と連携を図ることで販売拡大と新たな販路開拓に取り組んだことに加え、2020年7月にボーソー油脂株式会社を子会社化したことにより、業務用油脂の販売数量は、前年同期を上回りました。また、主要販売先である外食向けの売り上げが回復したこと等により、業務用食材の販売数量についても、前年同期を上回りました。

 家庭用では、依然として内食消費傾向は堅調に推移しております。しかしながら前年の巣ごもり需要に伴う大幅増加の反動を受け、家庭用食用油、小麦粉、プレミックス(お好み焼き粉、ホットケーキミックス等)、パスタの販売数量については、前年同期を下回りました。

 これらの結果、油脂食品事業の売上高は100,426百万円と前年同期に比べ11,892百万円(13.4%)の増収、営業利益は1,020百万円と前年同期に比べ2,098百万円(67.3%)の減益となりました。

 

<糖質事業>

 糖質事業は、当社子会社である敷島スターチ株式会社や2020年12月に子会社化したサンエイ糖化株式会社との連携を図り、提案型営業の強化による低分解水あめ、粉あめなどの独自商品群の拡販に努めてまいりました。新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい市場環境が続きましたが、糖化品の販売数量については、前年同期を大幅に上回りました。コーンスターチの販売数量については、工業用途等の需要が減少し前年同期を下回りました。加工でん粉の販売数量についても、食品用途・工業用途ともに需要が減少したことから前年同期を下回りました。

 営業利益については、サンエイ糖化株式会社の子会社化による増益要因がありましたが、原料穀物相場の高騰や円安ドル高進行、エネルギーコスト上昇の影響等により前年同期を下回りました。

 これらの結果、糖質事業の売上高は51,349百万円と前年同期に比べ14,742百万円(40.3%)の増収、営業利益は550百万円と前年同期に比べ1,126百万円(67.2%)の減益となりました。

 

<飼料事業>

 飼料事業は、原料穀物相場の高騰や円安ドル高進行により原料コストが大きく上昇する中、コストに見合った適正価格での販売を進めてまいりました。また、顧客のニーズに対する提案型営業や畜産物の販売支援による畜産生産者との取り組み強化、高付加価値商材の拡販に努めてまいりました。配合飼料の販売数量については、前年同期を下回りました。鶏卵の販売数量については、前年同期を上回りました。配合飼料の販売価格については、価格改定により前年同期を上回りました。また、鶏卵相場が前年同期を上回る水準で推移したことから、鶏卵の販売価格についても前年同期を上回りました。なお、配合飼料につきましては、新型コロナウイルス感染症による影響は限定的でした。

 これらの結果、飼料事業の売上高は52,819百万円と前年同期に比べ1,199百万円(2.3%)の増収、営業利益は484百万円と前年同期に比べ532百万円(52.4%)の減益となりました。

 

<その他>

 倉庫業は、新型コロナウイルス感染症の影響による荷動きの停滞により貨物収容スペースが圧迫される中、隣接する当社関連サイロ会社との連携を図り、効率的な荷役に努めてまいりました。

 これらの結果、不動産業、保険代理業、自動車等リース業、運輸業、植物工場等もあわせたその他の売上高は4,886百万円と前年同期に比べ35百万円(0.7%)の減収、営業利益は1,543百万円と前年同期に比べ283百万円(15.5%)の減益となりました。

 

2) 財政状態の状況

 総資産は、231,306百万円と前連結会計年度に比べ17,996百万円増加しております。主な増加要因は、棚卸資産が10,819百万円増加したこと、売上債権が7,995百万円増加したことであります。

 負債は、122,216百万円と前連結会計年度に比べ11,987百万円増加しております。主な増加要因は、有利子負債が7,649百万円増加したこと、仕入債務が6,987百万円増加したことであります。一方、主な減少要因は、設備関係債務が1,449百万円減少したことであります。

 純資産は、109,089百万円と前連結会計年度に比べ6,009百万円増加しております。主な増加要因は、親会社株主に帰属する当期純利益4,006百万円の計上により増加したこと、新株予約権の行使により資本金1,515百万円及び資本剰余金1,515百万円が増加したことであります。一方、主な減少要因は、配当金の支払による2,135百万円の減少であります。

 これらの結果、自己資本比率は46.7%から45.7%となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益5,832百万円、減価償却費9,990百万円及び仕入債務の増加等による資金の増加がありましたが、法人税等の支払3,298百万円、売上債権の増加及び棚卸資産の増加等があった結果、合計では1,334百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ12,435百万円(90.3%)収入が減少しました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得11,187百万円及び投融資による支出447百万円等で資金を使用した結果、合計では11,729百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ14,646百万円(55.5%)支出が減少しました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払2,135百万円、長期借入金の返済1,466百万円及び転換社債型新株予約権付社債の償還による支出1,175百万円等がありましたが、コマーシャル・ペーパーの発行13,000百万円等により8,405百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ5,395百万円(39.1%)収入が減少しました。

 以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は9,170百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,989百万円(17.8%)の減少となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

 1) 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりとなります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

製粉事業

70,250

4.1%

油脂食品事業

74,166

41.9%

糖質事業

43,200

65.0%

飼料事業

33,833

31.7%

その他

182

1,479.8%

合計

221,634

29.1%

(注)1 金額は製造原価によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。

2 当該内容は、製品ベースの生産実績によっております。

 

 2) 受注実績

 当社グループは、受注生産を行っておりません。

 

 3) 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりとなります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

製粉事業

78,154

5.2%

油脂食品事業

100,426

13.4%

糖質事業

51,349

40.3%

飼料事業

52,819

2.3%

その他

4,886

△0.7%

合計

287,635

12.4%

(注)1 セグメント間取引については相殺消去しております。

2 総販売実績に対する主要な取引先の販売実績の割合が10%未満のため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表等は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準等に基づき作成されております。この連結財務諸表等の作成にあたっては、期末日における資産および負債、会計期間における収益および費用に影響を与えるような仮定や見積りを必要とします。過去の経験および状況下において妥当と考えられた見積りであっても、仮定あるいは条件の変化等の不確実性により、実際の結果と異なる場合があります。

 また、連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 なお、当連結会計年度の連結財務諸表の作成にあたっての、新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定については「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」をご参照下さい。

 当社グループはこの仮定のもと、会計上の見積り(固定資産の減損、棚卸資産の評価、繰延税金資産の見積り等の検討)を行っておりますが、翌連結会計年度の経営成績および財政状態に与える影響については、現時点において重要な影響はありません。

 

②財政状態及び経営成績の分析・検討内容

 「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性の分析

1) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。

 

2) 財務政策
 当社グループは、経済環境や金利動向を考慮しながら、「金利優位性の高い資金を、必要な金額だけ、安定的に調達すること」を基本方針とし、事業運営上必要な資金の確保及び経済環境の急激な変化に耐えうる流動性の維持に努めております。
 当連結会計年度末における自己資本比率は45.7%ですが、この水準を維持するとともに、㈱日本格付研究所における格付(A-、安定的)の維持、向上を目指してまいります。

 

3) 資金需要
 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループ製品製造のための原材料の購入等の製造費並びに販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは人件費及び発送配達費です。
 投資資金需要のうち主なものは、製造工場の設備新設、維持、更新等、基盤事業における生産効率向上のための設備投資です。
 また、長期ビジョン実現のための資金需要として、将来の企業価値の源泉となる投資については、財務健全性の維持と資本効率性の向上を考慮しながら積極的且つ継続的に実施していく方針です。

 

4) 資金調達
 当社グループの調達手段として、長期運転資金及び設備投資資金については、原則営業活動により得られたキャッシュ・フロー及び金融機関からの長期借入を基本とし、必要に応じて社債等による資金調達も実施してまいります。短期資金調達については、営業活動により得られたキャッシュ・フロー、コマーシャル・ペーパーの発行及び金融機関からの短期借入を基本としております。
 また、当社グループは、当社及び国内連結子会社にキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入し、グループ内資金を一元管理しております。グループ内の余剰資金を集中、配分することで、コスト低減に努めつつ資金の流動性確保、資金効率の向上及び金融負債の極小化を図っております。さらに、緊急時の流動性確保への備えとして、複数年のコミットメントライン契約を締結しております。

 

④新型コロナウイルス感染症の影響

「2.事業等のリスク (6)世界規模での感染症拡大(パンデミック)」をご参照下さい。

 

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