課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは「姿かたちを変えながら一生に寄り添い、幸せの時を広げる。」を企業理念として掲げております。「おいしい」「たのしい」「うれしい」など、人が生きている幸せを実感するときにそばにいることを事業活動の目標とし、その事業の源である自然への感謝を忘れずに、その恵みを様々な姿かたちにして広く社会に届け、幸せの時が広がる未来にずっと貢献できる企業グループを目指して一歩ずつ挑戦してまいります。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループでは、ROE(自己資本当期純利益率)7%以上を経営目標達成のための客観的な指標の一つとしております。引き続き成長分野への経営資源の投入を進めながら収益力の強化を図ってまいります。また、将来の成長に向けて取得してきた事業・資産に伴うのれん等の償却負担が増大している財務上の特徴を踏まえ、キャッシュ創出力を表すEBITDA指標を参考として、当社グループの財務の実態把握に努めてまいります。

 

(3)経営環境、事業上及び財務上の対処すべき課題等

当社グループは、砂糖事業が売上高の大半を占めており、砂糖事業を取り巻く環境変化や、農業政策・通商政策の影響を受けやすい事業構造にあります。国内の砂糖消費量は、人口減や甘味需要の多様化を受け漸減傾向にある中、健康寿命の延伸や新しいライフスタイルの定着などが、人々の食のあり方そのものに新たな広がりをもたらしております。最先端のITを活用したフードテックにより、食品ロスが削減され環境保全に大きく影響するなど、食の持つ新たな可能性に期待の眼差しが向けられており、DXの推進やサステナビリティ意識の向上に対する取り組みは、さらに速度を増すことが想定されております。また、少子化と高齢化の一段の進行による国内の労働力・労働者層の変化や人材獲得競争の激化、さらには、他国との経済連携の進展、原油価格の上昇や円安、原材料価格の高騰、新型コロナウイルスの感染拡大や地政学的リスクの増大による世界的な政治経済の不安定化などにより、当社グループの事業を取り巻く環境は、より一層厳しさを増しております。

このような状況下、当社は、2023年3月期から2026年3月期までを対象とする中期経営計画-2026 Diversify into Nutrition & Healthを策定いたしました。新たな中期経営計画では、グループ全体の成長戦略と掲げる基本方針「グループビジネスモデルの変革」と「経営資源の再配分」のもと、グループ内事業の最適化を図ることで、①国内砂糖事業の強靭化、②海外事業の拡大、③ライフ・エナジー事業の成長、④グループの持つ研究開発力の集積・強化、⑤持続可能な社会実現への貢献を推進いたします。中期経営計画の達成に向け、グループの全役職員が多様な力を結集し、人と社会の幸せの ちからになるために必要とされる栄養と健康のソリューションを届ける企業グループを目指してまいります。

国内砂糖事業につきましては、バリューチェーン全体を抜本的に見直し、最適な原料調達や物流体制の構築による輸送・配送効率の向上を図ります。また、環境に配慮した生産体制のもとでのエネルギー使用量の削減や、付加価値のある販売戦略を推進してまいります。本年10月(予定)には、連結子会社である三井製糖㈱と大日本明治製糖㈱が合併し、商号もDM三井製糖㈱に改め始動いたします。両社のこれまでの経営ノウハウを結集し、合併効果の最大化と収益力の向上に取り組んでまいります。また、国内砂糖産業の長期安定への貢献として、2021年1月付で日本甜菜製糖㈱と締結した資本業務提携契約に基づき、連結子会社である北海道糖業㈱の生産体制の見直しを始めとするビート糖業の課題解決に向け取り組んでまいります。

海外事業につきましては、堅調な経済成長を持続するASEAN・中国・中東において、①シンガポール連結子会社のBtoC製品の充実及び事業エリアの拡大、②中国の巨大マーケット需要獲得、③タイ国関連会社での高品質砂糖の提供を推進するとともに、④ベトナムなど新たなエリアにも進出してまいります。

ライフ・エナジー事業につきましては、糖質・糖質由来成分に関する長年の知見を含む「栄養」「健康」領域に視野を広げ、日々のパフォーマンスや個々人のライフステージに適した栄養補給食を提供することで持続可能な社会に貢献してまいります。5大栄養素のうち、特に「タンパク質」の機能に着目し、R&Dを軸に新たな事業の柱を創出することで、国内では在宅市場への展開を見据えた介護・栄養療法食品の拡大を、また、各国市場に即した既存製品の海外展開などで、進むシニア市場の獲得を目指してまいります。他社との連携やM&Aなどによる外部資源の活用により、成長に必要な機能と新たな知見を獲得し、収益力の強化を図ってまいります。

不動産事業につきましては、引き続き所有不動産の活用による安定的なキャッシュ創出に努めるとともに、一層の資産の効率化並びに収益力の強化を図ってまいります。

研究開発につきましては、エネルギー源となる機能性糖質・タンパク質の開発、健康食の新たな提供方法・効率的な摂取方法の研究に着眼し、外部共同研究やM&Aなども活用しながら、グループが有する商材・知見・技術を活かした多様な商品開発を進めてまいります。

サステナビリティにつきましては、その重要課題、推進方針や施策等を継続的に審議するために、2021年11月1日付でサステナビリティ委員会を設置いたしました。サステナビリティの取り組みに対する基本方針として、「5つの「寄り添い」(※)で持続可能な社会の実現を目指す」を掲げ、企業を取り巻く地球環境や社会の課題に真摯に向き合い、その解決を図りながら新たな価値を生み出してまいります。

(※)①「環境」に寄り添う…気候変動・水資源問題への取り組み、廃棄物の削減をとおして環境改善に貢献します。

②「人」に寄り添う…労働安全衛生を強化し、ダイバーシティ&インクルージョン(人財の多様性と包摂性)への配慮をつうじて、人権が尊重される社会の実現に貢献します。

③「健康」に寄り添う…食品安全の徹底とともに、健康寿命の延伸、栄養ニーズの充実、美味しさの革新をとおして、皆さまの健やかな生活に貢献します。

④「地域社会」に寄り添う…産業の振興をとおして、地域社会の維持・発展に貢献します。

⑤「幸せ」の時に寄り添う…「適糖」生活を広げ、食の基盤づくりをとおして皆さまの幸せな未来に貢献します。

当社は、2022年4月4日付で、東京証券取引所市場第一部から新市場区分「プライム市場」に移行いたしました。今後もコーポレート・ガバナンスのさらなる充実を図るとともに、ステークホルダーからの信頼と期待に応えるべく、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。

 なお、過去数年に亘り、当社グループの業績に大きな貢献をしてきたフィンゴリモド「FTY720」の開発権及び販売権の許諾に基づく受取ロイヤリティーにつきましては、当社の共同特許権者である田辺三菱製薬㈱と「ノバルティス社との間で仲裁手続きが継続しているため、仲裁において疑義が提起されている部分について収益の認識を行わない会計処理を継続いたします。

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