(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下、「収益認識会計基準」という。)等を適用しております。これに伴い、当連結会計年度における売上高については、経営成績に関する説明において前期比(%)を記載せずに説明しております。
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が和らぐもとで持ち直しの動きがみられたものの、ウクライナ情勢の長期化や資源価格の上昇、円安の急激な進行に伴う物価上昇等により、景気の先行きが不透明な状況が続きました。
インターネット広告市場は、動画広告需要の高まりやデジタルプロモーションの活用拡大を受け、2021年の「インターネット広告費」は前年比21.4%増の2兆7,052億円となりました(株式会社電通調べ)。
こうした事業環境のもと、当社グループは、就業規則の改定や職場環境の改善によって、テレワークとオフィスワークのハイブリッドを推進し、「働き方の新しいスタイル」の実践と定着を図り、グループ業績の向上に取り組んでまいりました。
アフィリエイトサービス「アクセストレード」においては、顧客支援体制の強化とともに金融・サービス分野の成果獲得に尽力いたしました。リアルアフィリエイトサービス「ストアフロントアフィリエイト」においては、引き続き継続課金型コンテンツの販路拡大を図りました。海外事業においては、東南アジア初となる成果報酬型インフルエンサープラットフォーム「ACCESSTRADE Influencers」をリリースしました。また、ママ向け情報サイト「ママスタ」においては、ママの悩みに寄り添ったコンテンツの拡充に取り組み、2022年5月には月間コンテンツ閲覧数が過去最高となる8.5億ページビューを突破いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の当社グループの売上高は7,123百万円(前連結会計年度は売上高23,142百万円)、営業利益は1,067百万円(前連結会計年度比120.6%増)、経常利益は1,292百万円(同106.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は563百万円(同31.7%増)となりました。なお、当社は、2022年4月から東京証券取引所の市場再編により、スタンダード市場に移行いたしました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
<インターネット広告事業>
当連結会計年度のインターネット広告事業において、主力の「アクセストレード」では、証券口座開設等の金融ジャンルや、求人やマッチングアプリ等のサービスジャンルが大きく伸長いたしました。また、アフィリエイト広告健全化に向けた取り組みとして、消費者庁との検討会への継続的な参加や個人関連情報の法制化への対応を実施したほか、一般社団法人薬機法医療法規格協会が実施するYMAA(薬機法医療法遵守広告代理店認証)およびKTAA(景表法特商法遵守広告代理店認証)の団体認証マークを取得いたしました。
「ストアフロントアフィリエイト」では、販売チャネル拡大により継続課金型コンテンツの収益を順調に積み増し、過去最高の事業利益を計上いたしました。また、新たな継続課金型コンテンツの開発にも取り組みました。
海外事業では、タイ、インドネシアにおいてECや金融ジャンルの大手クライアント案件が順調に推移いたしました。また、アフィリエイトサービスの登録メディア数は、前期比約2倍の216万サイトを超えるまでに伸長いたしました。
以上の結果、当事業の売上高は4,563百万円(前連結会計年度は売上高21,446百万円)となり、営業利益は655百万円(前連結会計年度比97.9%増)となりました。
<メディア運営事業>
当連結会計年度のメディア運営事業では、「ママスタ」やライフスタイルメディア「saita」等のコンテンツ型メディアにおいて、コロナ禍でのニーズやトレンドを捉えたコンテンツの充実により閲覧数が増加し、ネットワーク広告収益は過去最高となりました。また、ヨガオンラインメディア「ヨガジャーナルオンライン」においては、タイアップ広告が好調に推移いたしました。
以上の結果、当事業の売上高は2,562百万円(前連結会計年度は売上高2,311百万円)となり、営業利益は412百万円(前連結会計年度比169.8%増)となりました。
また、当連結会計年度における財政状態の概況は次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は9,650百万円となり、前連結会計年度末に比べ924百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が298百万円、売掛金及び契約資産が616百万円増加したことによるものであります。売掛金及び契約資産の増加は前第4四半期連結会計期間に比べて当第4四半期連結会計期間の売上高が増加したことに伴うものであります。固定資産は1,416百万円となり、前連結会計年度末と比べ137百万円減少いたしました。これは主に有形固定資産が25百万円、無形固定資産が199百万円減少したこと、投資その他の資産が86百万円増加したことによるものであります。
この結果、資産合計は11,066百万円となり、前連結会計年度末に比べ786百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は5,643百万円となり、前連結会計年度末に比べ889百万円増加いたしました。これは主に買掛金が588百万円増加したこと、未払法人税等が195百万円増加したことによるものであります。固定負債は68百万円となり、前連結会計年度末と比べ5百万円減少いたしました。
この結果、負債合計は5,711百万円となり、前連結会計年度末に比べ884百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は5,355百万円となり、前連結会計年度末に比べ97百万円減少いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益563百万円及び剰余金の配当135百万円により、利益剰余金が428百万円増加したこと、および自己株式を522百万円取得したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は、48.4%(前連結会計年度末は53.0%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ、298百万円増加し、5,756百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は下記のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金収入は1,180百万円(前連結会計年度は1,366百万円の収入)となりました。
主な資金増加要因は、税金等調整前当期純利益1,066百万円、減価償却費193百万円、減損損失226百万円、仕入債務の増加額568百万円によるものであります。主な資金減少要因は、売上債権及び契約資産の増加額593百万円、法人税等の支払額334百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金支出は263百万円(同129百万円の支出)となりました。
主な資金増加要因は、投資有価証券の売却による収入1百万円であり、主な資金減少要因は、有形固定資産の取得による支出23百万円、無形固定資産の取得による支出185百万円、投資有価証券の取得による支出55百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金支出は657百万円(同135百万円の支出)となりました。
主な資金減少要因は、自己株式の取得による支出522百万円、配当金の支払額135百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産活動をおこなっておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループにおいては、受注高および受注残高の金額に重要性がないため記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
前年同期比(%) |
インターネット広告 (千円) |
4,561,189 |
- |
メディア運営 (千円) |
1,863,147 |
- |
調整額 (千円) |
698,953 |
- |
合計 (千円) |
7,123,290 |
- |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度より「収益認識会計基準」等を適用しております。なお、収益認識に関する会計基準第84項ただし書きに定める経過的な取扱いに従い、前連結会計年度に対し、新たな会計方針を遡及適用しておりません。これにより、当連結会計年度と比較対象となる前連結会計年度の収益の計上基準が異なるため、売上高の増減率の記載は省略しております。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年10月1日 至 2021年9月30日) |
当連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
株式会社Macbee Planet |
2,592,486 |
11.2 |
- |
- |
(注)株式会社Macbee Planetに対する当連結会計年度の総販売実績に対する割合は100分の10未満のため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
また、この連結財務諸表作成にあたり必要となる会計上の見積りは、合理的な基準に基づいておこなっております。会計上の見積りは、その性質上入手し得る情報や判断に基づいておこなうため、実際の結果は異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りのうち、重要なものは以下のとおりです。なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りに関しては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産の計上にあたり将来の課税所得およびタックス・プランニングを合理的に予測し、繰延税金資産の回収可能性を判断しております。経営環境等の変化により、将来の課税所得およびタックス・プランニングに関する予測が変動する場合、繰延税金資産の計上金額が変動し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち収益性が著しく低下した資産または資産グループについて、その帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
売上高は、期初の連結業績予想7,000百万円を上回る7,123百万円となりました。売上高の詳細については「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
利益につきましては、営業利益が期初の連結業績予想600百万円に対し1,067百万円、経常利益が同635百万円に対し1,292百万円、および親会社株主に帰属する当期純利益が同420百万円に対し563百万円と、いずれも期初の連結業績予想を上回りました。
インターネット広告事業において主力の「アクセストレード」の「金融」「サービス」等のカテゴリが好調に推移したほか、メディア運営事業のママスタにおいてユーザー閲覧数が過去最高水準で推移した一方で、メディア運営事業に属する連結子会社ユナイトプロジェクトの事業に関し減損損失を計上したため、上記の結果となりました。
b.キャッシュ・フローの状況の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
c.資本の財源及び資金の流動性について
当社グループにおける資金需要の主なものは、売上原価、販売費及び一般管理費等の営業費用等に係る運転資金ならびにシステム開発等に係る設備投資資金であります。当社グループは事業上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保するために、資金は内部資金でまかなうことを基本とし、必要に応じて銀行借入もしくは社債発行による資金調達を実施する方針であります。
当連結会計年度末における内部資金および上記の資金調達を併用することにより、当社グループの事業を継続していくうえで十分な手元流動性を確保するとともに、必要とされる運転資金および設備投資資金を調達することは可能であると判断しております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は5,756百万円であり、借入金の残高はありませんでした。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、法的規制、海外展開に伴うリスク等の要因に重大な影響を受ける可能性があります。当社は、内部統制の運用、コンプライアンスに関する教育および関係子会社の適切な管理等をおこなうことにより、これらのリスク要因に対応してまいります。
④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、「売上高」「営業利益」の2指標を重視しております。第24期において、当社グループは「生産性向上と新規プロダクトの開発」「メディアの継続成長と規模拡大」「グローバル展開のさらなる推進」をおこなうことで、「売上高」「営業利益」を成長させ企業価値の向上を目指してまいります。
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