業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

経営者の視点による当社グループの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。

 

a.財政状態

 当社グループは、適切なる流動性の維持、事業活動のための資金確保および健全なバランスシートの維持を財務方針としております。

 

(資産)

当連結会計年度末の資産合計は10,404百万円(前連結会計年度末比1,755百万円の増加)となりました。これは主として、現金及び現金同等物が1,085百万円、営業債権及びその他の債権が233百万円、使用権資産が222百万円増加したことによるものです。

 

(負債)

負債合計は、4,509百万円(前連結会計年度末比474百万円の増加)となりました。これは主として契約負債が204百万円減少したものの、営業債務及びその他の債務が93百万円、リース負債が206百万円、その他の流動負債が355百万円増加したことによるものです。

 

(資本)

資本合計は、5,895百万円(前連結会計年度末比1,281百万円の増加)となりました。これは主として、資本金が52百万円、資本剰余金が52百万円、利益剰余金が1,178百万円増加したことによるものです。

 

b.経営成績

<EMC事業の概況>

EMC事業では、EMCカンパニーを中心に、大手企業向けにデジタルを活用したビジネス成果とユーザーエンゲージメントを向上し続ける専任チーム“EMC(Engagement Marketing Center)”を編成、顧客視点での課題発見・要件定義からデジタルサービスやプロダクトの開発・運用までを包括的に支援するサービスを提供しております。

当連結会計年度においては、主に企業のデジタルシフト加速を背景とした既存取引先の順調な拡大を背景として、売上収益は10,514百万円(IFRS ※参考値:前期比14.2%増)と堅調に拡大し、EMC事業に所属するデジタルクリエイター数は900名(前期末比125名増)となりました。

また、新規顧客への提案も積極的に行った結果、EMCモデル提供社数は第4四半期中に大幅に増加し54社(前期末比7社増)となりました。

 

<PGT事業の概況>

PGT(Product Growth Team)事業では、当連結会計年度より従来の「専門スキル保有クリエイター人材の提供」から「新技術領域によるグロース支援」に主眼を置いたサービスへ転換いたしました。主に当事業はデジタル、IT技術投資に積極的であり、成長性が高いインターネットおよびベンチャー企業に対して自律型チームによる顧客のプロダクトをグロースさせる支援を行います。事業内の中核カンパニーであるメンバーズキャリアカンパニーおよびメンバーズエッジカンパニーを中心として、新技術領域やグロース支援領域の職種を創造しております。当連結会計年度においては、高付加価値のエンジニアリング領域特化カンパニーを積極的に立ち上げ、高単価かつ高稼働を実現することで収益性強化を図っており、以下の社内カンパニーを設立いたしました。

・SaaS活用型グロースチーム事業を提供するサースプラスカンパニー(2021年4月設立)

・DevOps推進をプロフェッショナル人材によるチーム提供で支援するデブオプスリードカンパニー(2021年7月設立)

 

このような結果、付加価値の高い専門領域支援サービスの順調な拡大による収益性向上を要因として、PGT事業全体の当連結会計年度の売上収益は5,157百万円(IFRS ※参考値:前期比48.6%増)、顧客数は212社(前期末比36社増)、デジタルクリエイター数は723名(前期末比194名増)となりました。

当事業はデータ領域やUX(※1)等の専門領域支援サービスならびにエンジニア領域の急速な拡大により引き続き順調に成長し、グループ全体の拡大を牽引しております。

 

<当社グループ全体の方針および取組み>

当社グループは、インターネットやデジタルテクノロジーに精通したクリエイター人材の大幅な不足を予測し、先行投資として継続的な採用活動を実施しております。美術・芸術系大学、高等専門学校、四年制大学および大学院等から幅広く採用を行っており、2021年4月には当社グループ合計で前連結会計年度より128名増の364名の新卒社員が入社いたしました(地方拠点を含む。)。当連結会計年度においては新卒社員の配属を前倒しし、6月より順次稼働を開始いたしました。2022年4月にも計画通り484名の新卒社員が入社しております。

グループ全体では、引き続き両事業におけるサービス領域の拡充ならびに新卒社員の早期育成および早期稼働を通して、収益性を高め、採用・育成を中心とした投資を強化してまいります。

また、当社グループにおいては全社的な在宅勤務の推奨やリモート環境の活用を推進しております。今後もより高い成果の創出につながる勤務体系の確立に向けて、オフィス施策および円滑なリモートワーク環境の実現に向けた設備投資を継続的に実施してまいります。

 

なお、当社グループは2022年1月1日を効力発生日として、連結子会社である株式会社メンバーズギフテッドを吸収合併消滅会社、当社を吸収合併存続会社とする合併を行い、社内カンパニーとして再編することにより、経営基盤の強化を行うことといたしました。これは営業・マーケティング、拠点戦略、採用、人材配置、研修体制および管理部門業務をより統合的に実行し、グループ横断で行うことで、当社グループの成長を一層加速させることを目的とするものであります。

 

<連結決算の概況>

当連結会計年度の売上収益は14,938百万円(前期比23.6%増)、営業利益は1,876百万円(前期比48.7%増)、税引前利益は1,896百万円(前期比52.0%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,404百万円(前期比56.7%増)となりました。当連結会計年度においては高付加価値専門領域支援サービスの進展と既存顧客に対するデジタルマーケティング支援の好調を背景に、前期比で売上収益は23.6%増、営業利益は48.7%増と過去最高益を更新し、高い成長率を保持しております。

わが国における新型コロナウイルス感染症の影響や地政学上の問題による経済への影響はまだ不透明なものの、企業のデジタル投資は一段と加速するものと捉えております。そのような環境において、当社グループは引き続き新規顧客の開拓を強化し、また中途採用へ注力することにより利益の源泉であるデジタルクリエイター数の拡充を図ります。併せて専門領域教育への投資を強化し、クリエイターの高単価領域カンパニーへの配置転換等により、一人当たり付加価値売上高の向上に努めてまいります。

 

引き続き、長期ビジョンであるVISION2030(https://www.members.co.jp/ir/pdf/20200508_04.pdf)の達成に向け、重要KPIであるソーシャルクリエイター(※2)10万人、ソーシャルエンゲージメント(※3)総量100億、社員数1万人、営業利益100億円の達成を目指して取組みを推進してまいります。

 

(※1)UX(ユーザーエクスペリエンス):製品やサービスなどを利用するにあたって得られる「体験・経験」のこと。

(※2)ソーシャルクリエイター:デザイン思考を持ち、ビジネスの推進や制度設計、アウトプットを通じて社会課題の解決を図ろうとするクリエイター(職人)志向性の高い人材のこと。

(※3)ソーシャルエンゲージメント:社会課題解決施策としてメンバーズグループが手がけたコンテンツ・プロダクト・サービスに対する接触回数のこと。

 

 

 

②キャッシュ・フローの状況

 

a.キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ1,085百万円増加し、5,226百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は、1,653百万円(前年同期は1,834百万円の獲得)となりました。収入の主な内訳は、税引前利益1,896百万円、減価償却費及び償却費366百万円によるものであり、支出の主な内訳は、法人所得税の支払額578百万円、営業債権及びその他の債権の増加額437百万円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、98百万円(前年同期は57百万円の使用)となりました。支出の主な内訳は、敷金及び保証金の差入による支出87百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、468百万円(前年同期は751百万円の使用)となりました。収入の主な内訳は、新株予約権の行使による収入92百万円によるものであり、支出の主な内訳は、リース負債の返済による支出345百万円、配当金の支払額225百万円によるものであります。

 

b.資金調達の方法及び状況並びに資金の主要な使途を含む資金需要の動向

(ア)持続的な成長のための財務戦略

当社グループは持続的な成長を実現するため、財務の安全性と収益性、およびステークホルダーへの収益還元の優先順位づけとバランスに留意した財務戦略を立案し、実施しております。

 

ⅰ.健全な挑戦のためのリスクに見合った適正現預金の確保

当社グループではクリエイター人材の旺盛な需要を見込み、積極的に体制増強を進めております。しかしながら、固定化した人件費はリスクを伴います。体制増強の推進を担保するためのリスクヘッジ策として、想定する危機を回避できるだけの現預金を常に保持することとし、指標化により管理しております。

具体的にはリーマンショックと同等の経済混乱ならびに、大口顧客との取引中止および信用不和による新規取引ゼロの事態が発生し、いずれもその状態の解消に1.5年から2年かかると想定した場合、最大の赤字幅は月間平均社内総経費の2.8~3.3ヶ月分と試算しております。

したがって、最適現預金を月間社内総経費予算の3ヶ月分と定めております。当連結会計年度(第27期)の最適現預金額は3,489百万円を確保し、第28期の適正現預金額は4,047百万円としております。

 

ⅱ.資本コストを上回る高収益性の確保

資本コストを上回る高い収益性を確保するため、連結ROE指標と事業ROE指標を設定しております。

・連結ROE指標は、事業ROE指標をもとに運営される事業から生み出される利益に加え、適正現預金指標によって保持される現預金を加味した値とし、25%を目標としております。

・事業ROE指標は、メンバーズグループが行う事業が生み出す利益水準を示し、35%を目標としております。事業運営やM&A等、すべての事業における収益面で本指標をクリアすることを前提として行っております。

 

ⅲ.株主還元・配当方針

当社は、株主への利益還元の充実とさらなる企業価値の向上を図る観点から、ミッション実現に向けた新たな事業への投資及び業容の拡大に備えるための内部留保を行うとともに、経営成績の伸長に見合った成果の配分や配当金額の継続的な増額を実施してまいります。この方針に基づき、目標とする配当の指標を中長期的な目標連結親会社所有者帰属持分配当率5%としております。

 

 

(イ)持続的な成長のための事業投資

サービス産業である当社グループにとって、研究開発とは事業投資やサービス開発投資であり、高収益・高成長を持続的に維持するためには当該領域への投資が不可欠であると認識しております。当社グループでは持続的な成長に向けて、サービスの向上・開発に向けた継続的なサービス開発投資、新規事業開発を進めるための投資枠、経費枠の指標を次のとおり設けております。

 

項 目

内 訳

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

指 標

付加価値売上高に

占める割合

事業開発

投資

サービス開発投資

新規事業開発投資

生産性向上投資

EMC推進

329百万円

事業開発投資+人材育成投資

毎期、連結社売(付加価値
売上高)の3.5%~5%

4.4%

人材育成

投資

教育研修費

教育研修部門

総経費

280百万円

 

 

③生産、受注及び販売の実績

a.制作実績

区分

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

ネットビジネス支援事業(千円)

10,199,119

123.99

合計(千円)

10,199,119

123.99

(注)上記金額は、製造原価によっております。

 

b.受注実績

区分

受注高(千円)

 前年同期比(%)

受注残高(千円)

 前年同期比(%)

ネットビジネス支援事業

14,879,876

121.51

692,976

92.17

合計

14,879,876

121.51

692,976

92.17

(注)上記金額は、販売価格によっております。

 

c.販売実績

区分

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

ネットビジネス支援事業(千円)

14,938,719

123.59

合計(千円)

14,938,719

123.59

(注)外部顧客への販売実績において、連結損益計算書の売上収益の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の重要指標・KPIに対する経営成績は次のとおりであります。

重要な指標

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

デジタルクリエイター数(連結)

1,306名

1,623名

+24.3%

デジタルクリエイター数(EMC事業)

775名

900名

+16.1%

デジタルクリエイター数(PGT事業)(注)

529名

723名

+36.7%

付加価値売上高(連結)

11,240百万円

13,961百万円

+24.2%

EMCモデル提供社数

47社

54社

+7社

PGT事業取引社数(注)

176社

212社

+36社

連結親会社所有者帰属持分配当率(DOE)

5.2%

6.2%

+1.0%

(注)2021年4月に「デジタル人材事業」から「PGT(Product Growth Team)事業」に名称を変更しております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

資金需要及び資金調達

当社グループは、事業の競争力を維持・強化することによる持続的な成長を実現するために、事業投資やサービス開発投資や人材育成投資に取り組んでいく考えであります。これらの資金需要は手元資金で賄うことを基本とし、必要に応じて資金調達を実施いたします。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。

 

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