業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
 

(1) 経営成績の状況

  ① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況

当連結会計年度(2020年4月1日から2021年3月31日まで)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う急減速とゆるやかな回復を繰り返し、概ね改善傾向にありますが、その速度や程度は製造業、非製造業によって格差が生じています。設備投資は前年割れとなりましたが、回復に向かいつつあります

当社グループと関連の高い建設業界については、新設住宅着工戸数は増加基調にあるものの、依然として低水準にあります。建設工事受注は、公共工事の増加が続くなど、着実に回復しつつあります

このような状況下、当社グループ主力の廃棄物処理・リサイクル事業においては、新型コロナウイルス感染拡大による影響は個社ごとにばらつきがあるものの、全体としては軽微に推移しております。グループ会社は、グループ経営方針である「廃棄物の再資源化」のための受入体制を万全にし、収益機会を取りこぼすことのないよう事業に取り組んでおります。 

再生可能エネルギー事業においては、首都圏最大級の木質バイオマス発電出力を誇る市原グリーン電力株式会社が業績に大きく寄与し、東北地方3カ所の発電所も安定稼働しております

環境エンジニアリング事業においては、新型コロナウイルス感染拡大の不透明感が続く経営環境にありますが、環境コンサルティング事業とともに、廃棄物処理・リサイクル事業、再生可能エネルギー事業との相乗効果を図る製品開発、研究技術開発にも積極的に取り組んでおります。

この結果、当連結会計年度の売上高は42,062百万円(前連結会計年度比11.5%増)、営業利益は4,067百万円(同23.3%増)、経常利益は3,893百万円(同28.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,272百万円(同28.7%増)となりました。

 

 

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比11.5%増加し、42,062百万円となりました。
 新型コロナウイルス感染症の流行によって営業活動が制限されたことによる売上高の減少はあったものの、設備投資効果や災害復興支援事業への参画により売上高は増加し、更に2020年4月に株式を取得し連結の範囲に含めました市原グリーン電力株式会社の影響により売上高は増加しました。

 

(売上総利益)

当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度比16.8%増加し、9,957百万円となりました。

中間処理工場の安定稼働とともに有価物の分選別強化や搬出品の付加価値化のほか、製品化のための設備投資効果によって原価が低減いたしました。災害復興支援事業への参画や最終処分場への投資効果は業績に寄与した一方、一部の投資案件においては稼働安定化に時間を要したこと等から売上総損失となりました。また、電力小売事業において電力卸市場の急激な価格高騰による原価高の影響を受けましたが、市原グリーン電力株式会社の新規連結寄与が大きく、結果、増益となりました。

 

(販売費及び一般管理費)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、事業規模拡大による一般管理費の増加に加え、市原グリーン電力株式会社の新規連結によるのれん償却費の増加が影響し、前連結会計年度比12.7%増加し、5,890百万円となりました。

 

(営業利益)

上記の結果、当連結会計年度の営業利益は前連結会計年度比23.3%増加し、4,067百万円となりました。

 

(営業外損益)

当連結会計年度の営業外収益は、助成金収入、補助金収入の増加等により、前連結会計年度比39.2%増加し、186百万円となりました。
 当連結会計年度の営業外費用は、支払利息、株式交付費等が増加したものの、社債発行費等の減少の影響が上回り、前連結会計年度比11.5%減少し、360百万円となりました

 

(経常利益)

上記の結果、当連結会計年度の経常利益は前連結会計年度比28.7%増加し、3,893百万円となりました。

 

(特別損益)

当連結会計年度において、福島県田村市のバイオマス発電所施設完成に伴い、固定資産取得に係る国庫補助金3,620百万円を特別利益に、圧縮対象補助金の直接減額により固定資産圧縮損3,586百万円を特別損失に計上しております。また、機械式立体駐車場関連損失引当金戻入益218百万円を特別利益に計上しております。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

上記の結果、税金等調整前当期純利益は4,067百万円となり、法人税、住民税及び事業税1,283百万円、法人税等調整額303百万円、非支配株主に帰属する当期純利益209百万円を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は2,272百万円(同28.7%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

各セグメントにおける売上高については、「外部顧客への売上高」の金額、セグメント利益については、「報告セグメント」の金額を記載しております。

 

a. 廃棄物処理・リサイクル事業

株式会社タケエイは、中間処理施設における廃棄物受入れ量は前年同期比で減少したものの、有価物の分選別強化や搬出品の付加価値化、製品化などの原価低減策が功を奏し、営業利益は大きく増加しました。また、福島県内にて参画している東日本大震災復興プロジェクトについては、今期より本格稼働した複数のプロジェクトが貢献しました。搬出品の付加価値化、製品化のための設備投資も推進しております。

その他、廃石膏ボードの再資源化を行う株式会社ギプロは、解体案件の減少による搬入量の低調等により減収減益となりました。株式会社タケエイメタルは、スクラップ価格上昇の影響により直近では回復基調にあります。廃液処理を行うイコールゼロ株式会社は、前期に続いて災害廃棄物処理支援事業が大きく寄与しました。株式会社信州タケエイは、解体案件と産業廃棄物処理事業が好調でした。管理型最終処分場を運営する株式会社北陸環境サービスは、スポット案件も寄与して増収増益となりました。

この結果、セグメント売上高は 24,598百万円 (前連結会計年度比1.2%減)、セグメント利益は3,468百万円(同27.5%増)となりました。

 

b. 再生可能エネルギー事業

第1四半期(2020年6月30日みなし取得日)より連結範囲に含めた市原グリーン電力株式会社は、燃料となる建設廃棄物の木くず等を安定的に受け入れ、高効率発電を継続しております。前期まで廃棄物処理・リサイクル事業に含めておりました株式会社タケエイグリーンリサイクルは、当期より再生可能エネルギー事業に含めており、2020年5月1日に吸収合併した横須賀バイオマス発電事業(旧株式会社横須賀バイオマスエナジー)の収支が改善傾向にあり、安定稼働が定着しつつあります。また、電力販売を行う株式会社大仙こまちパワーと株式会社横須賀アーバンウッドパワーは、2020年12月から2021年1月の電力卸価格高騰に伴う仕入価額の増加により、営業損失となりました

この結果、セグメント売上高は 11,120百万円 (前連結会計年度比84.9%増)、セグメント利益は325百万円(同77.3%増)となりました。

なお、株式会社田村バイオマスエナジーは、2021年4月より営業運転を開始しております。

 

c. 環境エンジニアリング事業

コロナ禍により営業活動が制約される中で、受注高は低位に推移したものの、主力の環境部門において、複数の大型案件が順調に完工しました

この結果、セグメント売上高は 5,229百万円 (前連結会計年度比 7.3%減 )、セグメント利益は 227百万円 (同 3.3%増 )となりました。

なお、機械式立体駐車場関連損失引当金については、当初予定していた補修工事完了の目途が立ちましたので、取り崩しを行いました

 

d. 環境コンサルティング事業

環境保全株式会社は、アスベスト分析及び土壌調査分析事業が堅調に推移しました。株式会社アースアプレイザルは、コロナ禍による営業活動の制約が続き減収減益となりましたが、足元では回復基調にあります。

この結果、セグメント売上高は 1,113百万円 (前連結会計年度比 3.9%減 )、セグメント利益は 122百万円 (同 17.3%減)となりました。

 

  ② 生産、受注及び販売の実績

  a. 生産実績

当社グループの生産実績の内容は販売実績とほぼ一致しているため、「c. 販売実績」を参照ください。なお、当社グループの大半を占める廃棄物処理業における生産実績とは、廃棄物の処理実績を意味しております。

     
  b. 受注状況
   当社グループの大半を占める廃棄物処理業においては、顧客との契約は包括的な契約を主としており、個々の受

  注案件の期間、数量及び金額等について変動要素が多いことから記載を省略しております。

 

 

  c. 販売実績
   当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

廃棄物処理・リサイクル事業

24,598

△1.2

再生可能エネルギー事業

11,120

+84.9

環境エンジニアリング事業

5,229

△7.3

環境コンサルティング事業

1,113

△3.9

合計

42,062

+11.5

 

 (注)  1  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
    2  総販売額に対する割合が10%以上の主要な販売先が無いため、相手先別の記載を省略しております。
    3  セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

(2)財政状態の状況

 

(資    産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は22,388百万円(前連結会計年度末比537百万円の増加)となりました。これは主に、未収入金が1,704百万円増加し、現金及び預金が745百万円、仕掛品が343百万円減少したことによるものです。未収入金の増加は、株式会社田村バイオマスエナジーの発電施設の完成に伴い確定した国庫補助金の未受領額を計上したこと等によるものです。

当連結会計年度末における固定資産の残高は64,306百万円(前連結会計年度末比6,838百万円の増加)となりました。これは主に、機械装置及び運搬具が3,676百万円のれんが3,111百万円増加したことによります。のれん、機械装置及び運搬具の増加は、市原グリーン電力株式会社の子会社化等によるものです

 

(負    債)

当連結会計年度末における負債合計は53,301百万円(前連結会計年度末比1,314百万円の増加)となりました。流動負債の残高は18,173百万円(前連結会計年度末比2,415百万円の増加)となりました。これは主に、短期借入金が3,012百万円増加し、機械式立体駐車場関連損失引当金が468百万円、災害損失引当金が118百万円減少したことによります。

当連結会計年度末における固定負債の残高は35,128百万円(前連結会計年度末比1,101百万円の減少)となりました。これは主に、圧縮未決算特別勘定が1,780百万円減少し、資産除去債務が681百万円増加したことによります。圧縮未決算特別勘定の減少は、株式会社田村バイオマスエナジーの設備投資に係る国庫補助金の受領額を、設備の完成に伴い特別利益の国庫補助金に振替えたことによるものです

 

(純 資 産)

当連結会計年度末における純資産の残高は34,505百万円(前連結会計年度末比6,234百万円の増加)となりました。これは主に、一般募集に伴う新株式の発行及び自己株式の処分と第三者割当に伴う新株式の発行により資本金が1,848百万円、資本剰余金が1,862百万円増加し、自己株式が441百万円減少(純資産の増加要因)したこと、親会社株主に帰属する当期純利益(2,272百万円)と配当額(651百万円)の差引等により利益剰余金が1,586百万円増加したこと、市原グリーン電力株式会社他連結の範囲の変更等により非支配株主持分が537百万円増加したことによります

 

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は10,282百万円前連結会計年度比6.8%減)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

 ① 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動の結果得られた資金は7,401百万円前連結会計年度比38.2%増)となりました。
 これは、主に税金等調整前当期純利益4,067百万円、減価償却費4,151百万円、固定資産圧縮損3,586百万円から、国庫補助金3,620百万円等を差し引いた結果によるものです。

 

 ② 投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動の結果使用した資金は13,607百万円前連結会計年度比70.9%増)となりました。
 これは、主に有形固定資産の取得による支出8,898百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出5,039百万円から、国庫補助金による収入379百万円等を差し引いた結果によるものです。

 

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動の結果得られた資金は5,458百万円前連結会計年度比15.8%増)となりました。
 これは、主に長期借入れによる収入5,157百万円及び株式の発行による収入3,669百万円、短期借入金の増加額 3,012百万円から、長期借入金の返済による支出5,442百万円、配当金の支払額651百万円を差し引いた結果によるものです。

 

 ④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの資金は、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金により充当することを基本としておりますが、最終処分場及び再生可能エネルギー事業の設備投資、廃棄物処理・リサイクル事業の改修等の大型の投資案件に係る資金につきましては資金需要が発生した時点で市場の状況等を勘案の上、銀行借入及び増資等の最適な方法により調達することとしております。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります

  固定資産の減損損失

当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、原則として、事業所又は個々の会社を独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位としてグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては、将来の利益計画に基づき慎重に検討を行っておりますが、その見積りの前提とした条件や仮定に変化が生じた場合、減損処理が必要になる可能性があります。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。

 

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