課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、提出日現在において当連結グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

私たち「E・Jグループ」は、現在と未来の人々にとって、真に価値ある環境を求めて「今、なにをすべきか」を常に念頭において、建設コンサルタント事業を中核とするインフラマネジメント全般に係わる事業を拡大・発展してまいります。「環境」「防災・保全」「行政支援」における3つの領域のマネジメント力・技術力をコア・コンピタンスとして、地球レベルから地域レベルまでを対象に、時代や社会が求める新たな事業モデルの構築による収益の向上に意欲的に取り組むことをグループ全体で共有し、社会の進化と人類の豊かさへの願いを胸に、高度化・多様化するニーズに応えて、世界へ羽ばたくコンサルティング企業集団、すなわち「わが国第一級のインフラ・ソリューション・コンサルタントグループ」を目指しております。

 

(2)目標とする経営指標

当連結グループは、持続可能な成長の実現と企業理念の実現を目指すべく、経営指標としては、顧客からの信頼性を反映する指標として売上高、企業の収益性を反映する指標として営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益、投資効率性を反映する指標として自己資本利益率(ROE)を、目標とする経営指標として掲げております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当業界をとりまく今後の経営環境につきましては、新型コロナウイルス感染症の収束状況により影響を受ける状況が継続すると想定され、産業構造や生活様式、デジタル化の加速、価値観の多様化など社会・経済の変化は、より加速していくものと認識しております。一方で、カーボンニュートラル対応やインフラに関わるDX対応、超高齢化社会対応や都市・地域の再生対応など、社会課題解決につながる需要は一層拡大していくものと考えております。

また、国内市場における受注環境につきましては、長期的視点では、国の財政状態の動向等を含め不確定要素も多く、現時点では明確な見通しはやや立てにくい状況にありますが、中期的視点では、気候変動による気象災害の激甚化・頻発化や高度成長期以降に整備されたインフラの老朽化対応の必要性等を背景にして、2020年度には「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」予算措置が講じられたこともあり、少なくとも2025年度までの今後数年間に亘っては、現状水準と同程度の公共事業関係費予算の計上が見込まれること等から、比較的好調な環境が継続するものと思われます。

海外市場においても、国内市場と同様に新型コロナウイルス感染症の収束状況に大きく影響を受ける状況が暫く続くものと思われますが、世界的な移動制限等の制約については徐々に緩和されつつあり、本格的な営業活動再開に向けた道筋も漸く見えつつあります。

こうした状況のなか、当連結グループは、2030年度において、「わが国第一級のインフラ・ソリューション・コンサルタントグループ」として活躍できる企業集団であるべく、2030年度を見据えた長期ビジョン「E・J—Vision2030」を作成し、併せて、直面している課題への対応とビジョン達成に向けた最初のステップとして、2021年度をスタート年とする第5次中期経営計画(2021年度~2024年度)を、2021年7月に策定いたしました。

 

1.長期ビジョン「E・J—Vision2030」の概要

(1)E・Jグループの果たすべき役割

コンセプトを「安心・夢のあるサステナブルな社会の実現に貢献する」といたしました。

国内外における今後の社会課題の変化や社会資本の方向性、E・Jグループのコア・コンピタンス等の特色を踏まえて、グループの果たすべき役割を以下の3つとし、これらの主要な役割を果たしながら、建設コンサルタント業に求められる新たなインフラ整備への貢献を進めてまいります。

①環境負荷軽減への貢献

②持続可能でレジリエントな社会づくりへの貢献

③地域の課題解決と活性化への貢献

(2)長期ビジョンにおける基本方針

ESG経営の概念を根底に置き、基本方針として下記の4つを掲げ、上記の役割を果たしてまいります。

①環境負荷軽減対応の強化

再生可能エネルギー等環境負荷軽減施策の普及を支援し、レジリエントな循環型社会の形成に貢献する。

②持続可能でレジリエントな社会づくりへの貢献

国内外の良質なインフラ整備や維持管理と地域の生活環境向上や活性化施策を通して、「安全・安心な社会づくり」に貢献する。

 

③ダイバーシティ経営の実践

多様な人財の開発・育成を積極的に行い、働きやすく、働きがいのある職場をつくる。

④最適な体制構築のためのガバナンスの強化

コンプライアンスやリスク管理を重視したガバナンス体制を整備し、経営の透明性を高め、ステークホルダーとの関係を強化する。

(3)2030年度における連結業績目標

売上高

500億円

営業利益

60億円

親会社株主に帰属する当期純利益

40億円

自己資本利益率(ROE)

10%以上

 

2.第5次中期経営計画「E・J—Plan2024」の概要

第5次中期経営計画における4年間は、長期ビジョン「E・J—Vision2030」の達成に向けた「基盤整備・強化」の期間として位置づけており、第4次中期経営計画までの課題をもとに、既存事業の強化・深耕や新たなニーズに取り組んでまいります。

(1)第5次中期経営計画の基本方針

①既存事業強化とサービス領域の拡充

a.最先端技術を取り入れ、国土強靭化、老朽化するインフラメンテナンス、環境に配慮したサステナブルな社会インフラの整備、CM等の行政支援のサービスを深化させ、重点課題として取り組む。

b.3つのコア・コンピタンスを基盤にした6つの新重点分野により、今後成長が想定される事業領域の拡大、変革を図る。

c.経済発展とともにインフラ整備市場が拡大する東南アジアを中心に、M&Aも含め海外事業基盤の再構築を図る。

d.研究開発、デジタル機材等への積極的投資によりDX推進を加速し、競争優位性を確保する。

②多様化するニーズへの対応力の強化

a.データ、情報資産、ICT技術を活用した新商品、新サービスを開発する。

b.既存の農林事業を活かした地域課題解決ビジネスを深化させる。(BtoBtoCなど)

c.グリーンインフラ、スマートシティ、物流・ロジスティックス推進等未来型社会インフラへの知見・ノウハウ・技術を獲得し新たなインフラニーズに取り組む。

d.新規事業、技術力強化に必要なアライアンス・M&Aを積極的に行う。

③環境変化に柔軟に対応できる経営基盤の構築

a.バリュ-チェーンの進化により、業務の効率化・生産性の向上・成果品質の確保を図る。

b.グループ総合力を結集し、更なる企業価値向上を目指す。

c.サテライトオフィスやテレワークを活用した多様な働き方を実践し、ダイバーシティを尊重した職場づくりとグループのブランド力強化を行う。

d.イノベーションやマネジメント人財育成の強化を目的とした『企業内学校』の創設と活用及び多様な人財確保によりグループの技術力の向上・人的資源の拡充を目指す。

e.リスクマネジメント・内部統制の強化はもとより、コーポレートガバナンス・コードを踏まえた強固なガバナンス体制の構築と経営の透明性の向上により、株主・投資家との信頼関係を醸成する。

(2)連結業績目標(2024年度)

売上高

385億円

営業利益

48.5億円

親会社株主に帰属する当期純利益

33.5億円

自己資本利益率(ROE)

10%以上

注)2022年5月期の業績を踏まえて、2022年7月12日に目標数値を修正いたしました。

 

(4)会社の優先的に対処すべき課題

新型コロナウイルス感染症による影響の長期化に加えて、ロシアによるウクライナ侵攻など地政学リスクの高まりもあり、社会情勢は一層、不透明な状況が継続するものと想定されますが、当連結グループは、長期ビジョン「E・J—Vision2030」の達成を念頭に、第5次中期経営計画に掲げる基本方針に基づき以下の課題に対処してまいります。

1.事業戦略強化と事業領域の拡大

 3つのコア・コンピタンスを基盤に、最先端技術を取り入れ、国土強靭化、老朽化するインフラ・メンテナンス、環境に配慮した社会インフラの整備やCМ等の行政支援サービスを深化させ、事業戦略を強化すると共に、東南アジアを中心に、М&Aを含めた海外基盤の再構築を進め、事業領域の拡大を目指してまいります。

2.バリューチェーンの全社最適化と経営管理機能の強化

 多様化するニーズへの対応力を強化すべく、㈱エイト日本技術開発内に設立したDX推進室を中心に、効率的・効果的なマネジメントを可能とするシステムの抜本的な再構築に取り組みグループ全体に展開することで、経営管理、組織管理に必要な数値の見える化を具体的に進めてまいります。また、今般のコーポレートガバナンス・コードの改訂に真摯に対応し、経営管理機能の強化を図ると共に、社内の各委員会を厳格に運用することで、取締役会の監督機能の一層の高度化に取り組んでまいります。

3.サステナビリティへの取り組み

 事業環境の変化に柔軟に対応すべく、サステナビリティ・ESGの観点をより一層重視し、持続可能な社会の実現に取り組むべく、以下の課題解決を進めてまいります。足元の状況を含む取り組みの概要は以下に示す通りです。

(1)環境課題(気候変動)に対する取り組み

  当連結グループは、気候変動を重要な経営リスクの1つと捉え、地球環境保全に積極的に取り組んでまいります。

  当連結会計年度では、TCFD(※1)に関する調査を開始し、TCFD提言(※2)への賛同表明、SBTイニシアティブ(※3)の認証取得に対するコミットメントレターの提出を済ませるとともに、パリ協定(※4)が示す「産業革命前からの全世界の平均気温の上昇を1.5℃に抑えるという目標」の達成に向けて、TCFD提言に基づき気候変動対応を検討し、2030年度に達成すべきCO削減目標とその具体策を策定の上、情報を当社のホームページ(URL https://www.ej-hds.co.jp/sustainability/ejsus/tcfd.html)で開示しております。

※1 TCFD:

気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討するために設立された「気候関連財務情報開示タスクフォース」を指し、気候変動に関する情報開示の項目及び内容について提言しております。

※2 TCFD提言:

企業の気候変動関連リスク及び機会とその対応を「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4項目に基づき検討し、その情報を開示する基準を指しております。

※3 SBTイニシアティブ:

複数の気候関連イニシアティブによる共同イニシアティブであり、企業に対し、気候変動による政界の平均気温の上昇を、産業革命前と比べ、1.5℃に抑えるという目標に向けて、科学的知見と整合した削減目標を設定することを推進しております。

※4 パリ協定:

2015年12月にフランス・パリで開催されたCOP21(国連機構変動枠組条約第21回締約国会議)で成立した2020年以降の地球温暖化対策の国際的な枠組みで、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2.0℃より十分低く抑え、1.5℃に抑える努力を追求することを目的とする国際協定を指しております。

(2)社会課題に対する取り組み

  当連結グループは、持続可能な社会の実現に向け、ダイバーシティ経営と働き方改革の両面での推進を軸とした取り組みを継続してまいりました。女性採用比率や管理職比率の拡大、中途採用による多様性の確保はもとより、企業内学校(EJアカデミー)のグループ全体での展開による学ぶ機会の確保、DXの推進による業務効率の向上策の1つとしての基幹システムの刷新や、働き方に係る各種制度の拡充、人的資源管理に関する取り組み等を進めてまいります。

  また、複数のグループ会社が「健康優良法人」に認定され、また、地域活性化のための支援活動も行っております。

 

(3)SDGsに対する取り組み

  長期ビジョンに示す4つの基本方針は、重点的に取り組むべき4つの「ESG経営に関わる重要課題(マテリアリティ)」に基づき定めたものとなっており、事業活動を通じて、社会の持続的成長、すなわちSDGsの目標達成への貢献を目指してまいります。

 

以上の取り組みにより、安定的な収益性と強固な財務体質を堅持し、全てのステークホルダーへの還元を積極的に実施するとともに、E・Jグループ企業価値の更なる向上に努めてまいります。

 

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