課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当連結会計年度においては、世界及び日本経済に対する新型コロナウイルス感染症の影響からの回復局面にある一方、ウクライナ情勢などの世界情勢の不安定が顕在化し、製造、サービスや消費全般について引き続き予断を許さない状況が推移しました。その中で、当社グループの事業である派遣や請負、とりわけ国内の技術系領域においては顧客企業のニーズが強い状況にあります。市場環境の変化に応じた事業戦略と適正な財務戦略によって、当社グループの持続的な成長が可能と展望しております。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループの事業の存在意義として、また事業遂行における判断基準や価値基準となるものとしてパーパスを設定しております。

事業子会社ではこのパーパスの示す方向のもと、各々の事業特性に沿う経営理念やビジョンをもって経営を行っております。

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( パーパスのビジュアルイメージ )

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(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、財務的な目標の達成状況を判断するため、各事業区分あるいは事業会社毎の成長性と収益性を評価する指標を重視しております。具体的には売上高とその増加率、営業利益とその増加率を社内の目標や評価に設定し、連結決算においてもこれらの項目を重視した継続的な開示と説明で状況を示しております。また、稼働する社員数の増加と稼働率は客観的な非財務の指標として重要であり、同じく開示を行っております。

また、中期経営計画として2025年6月期までを計画期間とする中期経営計画「BY25」を2021年8月に設定しております。当該計画においては、現事業セグメントにおける自立成長とM&Aによる事業拡大を引き続き推進し、2025年6月期の売上高と営業利益(国際会計基準)を目標として示しております。2025年6月期のターゲット目標は、売上高2,500億円、営業利益250億円(売上高比率10%)を展望しており、2022年9月現在(毎年アップデートするローリング形式)でコミットする2025年6月期の計画は、売上高2,000億円、営業利益160億円の計画と見込んでおります。

 

(3)経営戦略等

当社グループは持続的な成長を重視しており、売上収益の伸長と収益性の向上が展望できる領域に対して、当社グループの強みである中途及び新卒の継続的な採用や未経験者からの育成プログラムやスキルアップに寄与する研修等、戦略的かつ機動性をもってリソースの配分をコントロールします。特に国内の技術者の派遣を最重視しており、経営資源を優先的に投下する考えです。

また、事業セグメントを多様化し増やす方針ではなく、現事業セグメントにおける稼働社員数の増加と収益性の向上による自立成長と同セグメント内で成長に寄与するシナジーや補完が見込まれるM&Aや事業子会社の経営統合等を積極的に行う成長戦略としております。

 

(4)経営環境並びに会社の対処すべき課題

当社グループの主力事業である国内の機電・IT領域と建設領域の技術者派遣市場は、従前より人材不足の状況にあり、新型コロナウイルス感染拡大による景気減速後、世界情勢の不安定はあるものの顧客企業の活動回復と共に人材ニーズは回復しており、硬直的な雇用制度や成長技術分野への人材流動性の低さなど構造的社会課題は引き続き続くものと考えております。

特に、国内の労働人口の低下に加え学生の理系離れ等により、長期的には採用マーケットの環境は競合による厳しさを増す傾向にあります。

このような状況において当社グループの対処すべき課題として以下の項目を認知し、持続的な取組みで対処を行ってまいります。

 

①社員の採用

当社グループの持続的な業容拡大のためには、稼働社員数の増加が重要な要素であり、特に技術者の採用は重要な課題と考えております。

世界情勢の不安定があるものの、経済活動の戻りと共に技術者の採用マーケットは非常にタイトであり、採用力が同業他社との優劣を決めるものとなります。当社グループの採用は新卒中途を問わず積極的な採用であり、技術の領域や事業会社の特徴に適した多様なチャネルで採用を推進しております。変化する採用マーケットの状況を敏感に捉えながら、自社サイトでの集客、様々な求人媒体、紹介会社、リファラル採用等の活用や、WEB面談や採用拠点の統廃合等のインフラの機動的な対応により、採用コストの適正な運営と採用戦略のアップデートを常時行っております。また、採用に関するデータを蓄積・解析し、確保した募集母集団においてスキルやキャリア志向を的確に把握したうえで、統計やAIを活用しながら更なる採用の効率化と採用数の増強に取り組んでおります。

 

②社員の育成

当社グループの持続的な業容拡大のためには、社員一人ひとりが顧客企業から信頼される技術や知識、協働などの能力の発揮や向上が重要な要素であり、そのようなスキルを支える仕組みは重要な課題であると考えております。

新型コロナウィルス感染のまん延以後、顧客企業では経験や知識のある技術者の要望が高まっております。これに対し当社グループは新卒等の未経験から技術者として就業できる社員を育成するモデルに特徴と強みがあり、例えばIT領域において即戦力としてニーズが高い資格取得の研修をはじめ、品質保証や建設に関連する資格等への取得支援制度を設けております。また、社員のスキルや就業先での評価や社員の意欲を的確に把握できるよう専任部署等による人的なフォロー体制とタレントマネジメント等のシステムを柔軟に活用した対応を行っております。これによりキャリアの転機や働き方の希望を把握し、新たな業務への異動や研修といった次への可能性の機会を適時設けるように取り組んでおります。

 

③社員の定着

当社グループの持続的な業容拡大のためには、社員の定着が重要な要素であり、安心安全を基本に社員がやりがいをもって就業できることが重要な課題であると考えております。

当社グループは派遣法などに係るコンプライアンスの遵守と共に、長時間労働や健康・安全に関する適正な運用や社内教育に注力し、必要に応じて顧客企業に対し積極的に連携を行うことで、社員が安心して能力を発揮できるよう取り組んでおります。

社員の退職理由には将来のキャリアへの不安や自らのスキルと業務レベルとのミスマッチに関することが多く含まれます。このため定着を高めるには「人」を起点に、社員一人ひとりのフォローを通じてスキルや経験を継続的に把握する一方、多くの顧客企業と常時コンタクトし、適正なマッチングを実現する必要があります。当社グループはその件数及びスピードを重視しDXの更なる活用と全社でのノウハウ共有による向上に取り組んでおります。また、スキル等の把握は、社員の給与・昇給等の決定においても重要であり、同一労働同一賃金を基準として公正に反映できる制度を導入しております。これらにより、当社グループでのワークエンゲージメントを高め定着率の向上に努めております。

 

④M&A

当社グループの持続的な業容拡大のためには、自立成長だけではなくM&Aによる成長は重要な課題であると考えております。

技術者派遣に関連するM&A、特にITソフトウェアの技術者を要する企業への投資額は高い傾向にあります。このため、的確な投資基準の設定と運営方針が重要と考えております。

当社のM&Aは既存の事業ポートフォリオの領域内を原則と考えており、当社グループの経営管理手法、営業・採用とのシナジー、技術者のスキルアップやキャリアアップの可能性の拡大等を都度検証しております。また資本コストを上回る収益性となるか慎重にシナリオを検討したうえで、事業、財務、法務、人事等の項目を審議し、取締役会での最終決定を行うことにしております。また、過去のM&Aに関しては全て定期的にパフォーマンスを検証しており、新たなM&Aの検討やPMIにおいて比較や参考としております。これらにより当社グループに適したM&Aを行い着実に成果に結びつくよう取り組んでおります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループの4つの事業セグメント「機電・IT領域」「建設領域」「製造領域」「海外領域」において優先的に対応するものは「機電・IT領域」と考えております。

特に成長分野としては顧客企業や官公庁がDXへの投資を志向する中で社会的に不足するデジタル人材のニーズに対応するためにIT技術者の派遣の市場は一層拡大していくものと想定しており、早期に顧客企業を開拓しシェアを確保することが課題となります。

現況においては、経験とスキルがあるIT技術者の中途採用の安定的な採用は非常に厳しい状況であり、若手技術者や未経験者の採用と育成から、スムーズに就業へ繋げることが必要となります。当社グループのIT系の事業会社は、各々に得意分野や技術レベルに特徴があり、それらの間で営業連携を高め、技術者のスキルや経験に応じた案件・キャリアパスをグループ内でカバーすることや研修の集約と効率化により強みを発揮できると考えております。またこれらの背景により採用時の幅が広がり採用効率の向上に寄与すると考えております。

 

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