業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、度重なる緊急事態宣言の発出や解除により、経済活動の制限と緩和が繰り返される状況が続きました。今後、ワクチン接種への期待はあるものの、サプライチェーンにおける供給懸念や資源価格の高騰のほか、ウクライナをめぐる国際情勢などもあり、先行きにつきましては不透明な状況が続くと予想されます。

広告業界におきましては、こうした経済状況により、イベントの開催中止や延期のほか、クライアントの広告活動の自粛などがありましたが、コロナ禍で加速したデジタル化を背景にインターネット広告費が24.7%の伸びとなるなど、新型コロナウイルス感染症の影響緩和もあって、2021年の広告業の売上高は5兆7,314億円、前年比107.0%となりました(特定サービス産業動態統計調査、経済産業省)。

当社グループ商勢圏におきましても、新型コロナウイルス感染症の再拡大に対応した各県の感染警戒レベルの引き上げから、生活者の行動が一部制限され、集客イベントを中心に広告活動の自粛・延期がありましたが、秋以降は新規感染者数の減少を背景に経済活動再開の動きが見られました。しかしながら、年明け以降、新たな変異株の流行による新規感染者数の急増もあって、広告需要は年間をとおして本格的な回復には至りませんでした。

このような環境のもと、当社グループにおきましては、『マーケティングデザイン(お客さまが達成したい目標を設計し実現するパートナーになること)』を日々の営業活動の基本概念とし、コロナ禍で加速したデジタル領域の市場拡大に対応するため、デジタルマーケティング分野(インターネット広告、SNS、EC)の受注拡大に努め、お客さまの課題解決策にデジタル領域を加えたより具体的で高度化した提案活動に取り組んでまいりました。その結果、当社グループの収益は1,938百万円となりました。

利益面につきましては、個々の受注案件の利益率向上に取り組んだ結果、売上総利益率が1.5ポイント改善し、売上総利益は1,451百万円(前期比114.4%)となり、営業利益は59百万円(前期は132百万円の営業損失)、経常利益は75百万円(前期は83百万円の経常損失)となりました。また、収益性の低下が見られた一部の事業用資産に関して減損損失67百万円を特別損失に計上した結果、税金等を差し引いた親会社株主に帰属する当期純損失は25百万円(前期は79百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

○セグメント別の業績

(広告事業)

広告事業におきましては、活動指針『マーケティングデザイン』のもと、顧客満足度の高いサービスの提供に努め、既存事業の事業基盤の再構築のほか、デジタルメディア提案力の強化に取り組むとともに、グループ各拠点間の連携強化、業務提携先との協業、ウェブ広告運用セミナーの開催などに取り組み、新しいビジネスの創造や新しい生活様式等を見据えた企画提案活動に取り組んでまいりました。

その結果、デジタルマーケティング関連の受注がインターネット広告を中心に増加したほか、感染防止策の実施から1年以上が経過したこともあって、地元企業におきまして新しい取組や新しい事業の開始があり、新店舗や新展示場のオープンに関連した受注がありました。また、昨年4月に開催された地元聖火リレーのほか、秋以降から年末にかけて新規感染者数の減少を背景に、経済活動再開の動きが見られる状況となり、旅行・レジャー業などにおきまして広告出稿の回復があったほか、衆院選に関連した広告を受注いたしました。これらのほか、年度末に向けて官公庁受託案件などの約定に基づく計上があり、当社グループの広告事業収益は1,909百万円となりました。

また、内制化の推進による利益率の向上に取り組んだ結果、当連結会計年度末に向けて受注案件の利益率が改善し、セグメント利益は58百万円(前期は136百万円のセグメント損失)となりました。

 

 

(ヘルスケア事業)

ヘルスケア事業におきましては、新型コロナウイルス感染症への予防意識から利用者数の減少がありましたが、利用者確保に向けた積極的な営業に加え、きめ細かな入浴介護サービスに努めた結果、収益は29百万円、セグメント損失(営業損失)は0百万円(前期は1百万円のセグメント利益)となりました。

 

○生産実績および受注実績

当社グループは、広範囲かつ多種多様にわたる広告業務サービスの提供を主たる事業としております。受注実績については、広告業務サービスの内容、構造、形式等が必ずしも一様でないため、その金額あるいは数量を記載しておりません。

また、当社グループは、地域密着型の通所介護施設の運営を行っておりますが、当該事業につきましては介護事業に該当し、主として個人を対象とした業務を行っておりますので、生産および受注実績はありません。

 

○販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
(百万円)

前期比

(%)

 

 

広告事業

6,643

106.4

 

 

テ レ ビ

1,146

105.0

 

 

ラ ジ オ

150

97.8

 

 

新   聞

897

99.8

 

 

雑   誌

201

105.1

 

 

セールスプロモーション

1,100

92.9

 

 

イ ベ ン ト

662

128.8

 

 

屋   外

323

98.5

 

 

インターネット/モバイル

1,467

118.1

 

 

制作・その他

1,143

115.2

 

 

セグメント内の内部売上高

△449

 

ヘルスケア事業

29

95.9

 

グループ合計

6,672

106.4

 

 

広告事業におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大に伴うイベントの開催中止や延期のほか、広告活動の自粛などがありましたが、デジタルマーケティング関連の受注がインターネット広告を中心に増加したほか、感染防止策の実施から1年以上が経過したこともあって、地元企業におきまして新しい取組や新しい事業の開始があり、新店舗や新展示場のオープンに関連した受注から販売額が増加いたしました。

ヘルスケア事業につきましては、新型コロナウイルス感染症への予防意識から利用者数が一時的に減少した結果、販売額が減少いたしました。

 

 

(2) 財政状態の状況

当連結会計年度末における総資産は3,970百万円となり、前連結会計年度末に比べ215百万円の減少となりました。

資産の部では、短期借入の返済による現金及び預金の減少と、受取手形及び売掛金の増加を主な要因として、流動資産は前連結会計年度末に比べ57百万円減少し、1,966百万円となりました。また、収益性の低下が見られた一部の事業用資産に関する減損損失67百万円のほか、時価下落による投資有価証券の減少と、退任取締役の役員保険解約に伴う保険積立金の減少を主な要因として、固定資産は前連結会計年度末に比べ158百万円減少し、2,004百万円となりました。

負債の部では、支払手形及び買掛金の増加と短期借入金の返済、ならびに、1年以内に返済予定である長期借入金および1年以内に償還予定である社債の固定項目から流動項目への振り替えを主な要因として、流動負債は前連結会計年度末に比べ74百万円増加し、1,625百万円となりました。また、長期借入金および社債の流動項目への振替えを主な要因として、固定負債は前連結会計年度末に比べ233百万円減少し、596百万円となりました。

純資産の部は、前連結会計年度末に比べ56百万円減少し、1,748百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純損失の計上と期末配当金の支払いによるものであります。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ278百万円減少し、606百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、使用した資金は88百万円(前連結会計年度は、使用した資金143百万円)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益3百万円、売上債権の増加額231百万円、仕入債務の増加額35百万円、減損損失67百万円および法人税等の支払額16百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、得られた資金は46百万円(前連結会計年度は、得られた資金15百万円)となりました。これは主に保険積立金の解約による収入28百万円および投資不動産の賃貸による収入43百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、使用した資金は237百万円(前連結会計年度は、得られた資金201百万円)となりました。これは主に短期借入金の減少204百万円および配当金の支払15百万円によるものであります。

 

(4) 資本の財源および資金の流動性についての分析

当社グループの資金需要のうち主なものは、営業取引上の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用のほか、保有資産の修繕費用、M&A資金等であります。

当社グループは、毎月の資金繰り計画に基づき、経常的運転資金については短期的な銀行借入により、設備投資や企業買収資金などの経営戦略的事業資金については、原則、長期的な銀行借入によって資金調達することを基本としております。

 

(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

  当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

○経営成績の分析

当連結会計年度における当社グループの経営成績は、収益1,938百万円、営業利益59百万円(前期は132百万円の営業損失)、経常利益75百万円(前期は83百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失25百万円(前年同期は79百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

当社グループの経営成績につきましては、外注費を除く諸費用については変動が少ないため、総売上高(※1)の増減が獲得する売上総利益の額に影響し、売上総利益の獲得状況が営業利益、経常利益の獲得に影響してまいります。

当社グループ商勢圏におきましては、新型コロナウイルス感染症の再拡大に対応した各県の感染警戒レベルの引き上げから、生活者の行動が一部制限され、集客イベントを中心に広告活動の自粛・延期がありましたが、秋以降は新規感染者数の減少を背景に経済活動再開の動きが見られました。しかしながら、年明け以降、新たな変異株の流行による新規感染者数の急増もあって、広告需要は年間をとおして本格的な回復には至りませんでした。このような状況の中、当社グループにおきましては、コロナ禍で加速したデジタル領域の市場拡大に対応するため、デジタルマーケティング分野(インターネット広告、SNS、EC)の受注拡大に努め、お客さまの課題解決策にデジタル領域を加えたより具体的で高度化した提案活動に取り組んでまいりました。その結果、デジタルマーケティング関連の受注がインターネット広告を中心に増加したほか、感染防止策の実施から1年以上が経過したこともあって、地元企業におきまして新しい取組や新しい事業の開始があり、新店舗や新展示場のオープンに関連した受注がありました。また、昨年4月に開催された地元聖火リレーのほか、秋以降から年末にかけて新規感染者数の減少を背景に、経済活動再開の動きが見られる状況となり、旅行・レジャー業などにおきまして広告出稿の回復があったほか、衆院選に関連した広告を受注いたしました。これらのほか、年度末に向けて官公庁受託案件の計上もあって、総売上高につきましては増加いたしました。

当社グループにおきましては、個々の受注案件の利益率改善に努めたことによって売上総利益率(※2)が21.8%(前期比1.5ポイントの改善)となり、営業利益および経常利益につきましては黒字化することができました。しかしながら、収益性の低下が見られた一部の事業用資産に関して減損損失を特別損失に計上した結果、税金等を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益につきましては改善したものの損失となりました。

 

(※1)総売上高は、当社グループの営業活動によって得た販売額の総額であります。2022年3月期期首(2021年4月1日)から適用となった『収益認識に関する会計基準』に準拠した指標ではありませんが、投資者が当社グループの事業規模を判断するうえで重要な指標であると認識し、従前の企業会計原則に基づき算出し、参考情報として開示しております。

(※2)売上総利益率=売上総利益/総売上高

 

○財政状態およびキャッシュ・フローの分析

当連結会計年度末における総資産は3,970百万円となり、前連結会計年度末に比べ215百万円の減少となりました。

当社グループにおきましては、多額の設備投資を必要とする業種ではないため、前述したように総売上高の増減が利益獲得額に影響するとともに、財政状態につきましては、売上のほか仕入を含めた営業取引量の増減が売掛債権および仕入債務の増減等に繋がり、財政状態へ影響を与えることになります。

当連結会計年度末におきましては、受取手形及び売掛金が231百万円増加し、支払手形及び買掛金が35百万円増加したことと、前述した経営成績の改善から、税金等調整前当期純利益が3百万円の黒字となった結果、営業活動によって使用した資金が88百万円となり、営業活動によるキャッシュ・フローは改善いたしました。

当連結会計年度におきましては、当社グループ所有の投資不動産の賃貸による収益のほか、退任取締役に関する役員保険解約に伴う保険積立金の収入があり、当連結会計年度末における投資活動により得られた資金は46百万円となりました。また、当該保険解約のほか収益性の低下が見られた一部の事業用資産に関する減損損失の計上、ならびに、株式市場の環境悪化に伴う投資有価証券の時価評価額の減少から固定資産は前連結会計年度末に比べ233百万円減少いたしました。

当連結会計年度末におきましては、業績に連動した当社グループ資金繰り改善に伴う運転資金の借り入れ(短期借入金)返済を要因として財務活動により使用した資金は237百万円となり、あわせて、流動負債項目の短期借入金が減少しております。

以上の活動を主な要因として、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ278百万円減少し、606百万円となりました。

 

当社グループにおきましては、このように経営成績の成果としての総売上高および利益の獲得額が当社グループの財政状態ならびにキャッシュ・フローへ影響し、その度合いも高いため、経営方針と経営戦略の実現を目指し、前述した経営課題に取り組んでまいります。

なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、当社グループにおきましては、お客さまの新型コロナウイルス感染症に対する予防措置に連動して集客イベントの中止・延期のほか、広告出稿の自粛が生じておりますが、当社グループにおきましては、手元現預金に加え、借入枠の利用が可能であり、当面の資金繰りに関して懸念事項はありません。

 

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