課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、企業と生活者を結ぶ情報の橋渡し役として、社会生活の向上と文化の発展に貢献することを経営の基本方針としております。そして、この基本方針のもと、お客さまの課題を提案活動によって解決し、地域の皆様とともに豊かな文化を育て、社会をより楽しく、より美しく、より豊かにすることを目指しております。

また、当社グループは、株主の皆様や取引先をはじめとする様々なステークホルダーに社会的な存在として認められ、共感を得られる経営を目指しており、各ステークスホルダーに対する企業価値を高めることを基本としております。

 

(2) 経営環境および中長期的な会社の経営戦略

2020年度の国内広告業界の売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響が直撃したこともあって4年連続の減少となりましたが、2021年度は影響の緩和とコロナ禍で急速に拡大した各業界のデジタルシフトを背景に、インターネットやデジタル技術を活用した広告の成長が全体を牽引し、国内広告業界の売上高は5兆7,314億円(前年比107.0%)と底堅い伸びとなりました(特定サービス産業動態統計調査、経済産業省)。

新型コロナウイルス感染症の影響は広告業界だけではなく、多くの業界に影響を及ぼしたほか、在宅勤務やオンライン会議、巣ごもり消費やキャッシュレス決済など、生活者に対しても生活様式の変化をもたらすと同時に、インターネットや動画視聴などメディア接触時間の増加と変化をもたらしました。このように、デジタル化の進展や働き方改革に伴うワークスタイルの変化といった従来から進行していた社会環境や日常生活の変化がコロナ禍を受けて加速し、各企業はこのような傾向を受けて、デジタル技術やデジタルツールにより商品・サービスを提供するだけではなく、SNS等をとおしたコミュニケーションを取り入れるなど、デジタル化を推進するビジネスが大きく拡大すると考えられます。

また、当社グループが事業を営むローカルエリアにおきましては、少子高齢化社会が徐々に進行しておりますが、少子高齢化は経済活力を損なうものとしてマイナスに捉えられがちである一方で、社会的課題や市場ニーズの変化から旧来のビジネスモデルとは違った「新たな企業価値」を創出することが期待できます。こうした変化を素早く捉え、適格に適応していくためには、発想の転換や迅速な経営判断が重要であると考えられます。

このようなデジタル化や少子高齢化で社会が大きく変化する時代にあっては、お客さまは経営全般の課題解決策を求めるようになり、お客さまの経営課題全般の解決に役立つ提案をすることが顧客第一の精神となります。また、お客さまは単に良いクリエイティブを提供するだけでは評価しなくなり、新しい商品やサービスを生み出す力を重視するようになると考えられます。

そこで、当社グループにおきましては、「お客さまが達成したい目標を設計し実現するパートナーになること」を今後の当社グループの在り方と定義し、これを『マーケティングデザイン』と称して日々の営業活動の基本概念としております。そして、コロナ禍も相まった厳しい経営環境を乗り越えていくためには、「既存事業の収益改善」と「新しい事業領域の開発」に取り組むことが不可欠であると考えております。また、私たちの提供するサービスは行政や地域に対しても広がります。地域課題から社会的価値を構想し、実現させていくことも当社グループの活動領域であると考えており、企業理念が示すように、「顧客課題を提案活動によって解決し、地域の皆様とともに豊かな文化を育て、社会をより楽しく、より美しく、より豊かにすること」が当社グループの使命であると考えております。

 

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループの外注費を除く諸費用は変動が少なく固定的であるため、当社グループにおきましては、売上総利益の確保が営業利益および経常利益の獲得に大きく影響するという事業特性があります。従いまして、営業の成果である総売上高と連動した収益性の指標として、売上総利益および売上総利益率(=売上総利益/総売上高)を重要な経営指標とし、日々の行動管理・業績管理・人事評価等に連動させ、目標の達成に向けて取り組んでおります。

 

※総売上高は、当社グループの営業活動によって得た販売額の総額であります。2022年3月期期首(2021年4月1日)から適用となった『収益認識に関する会計基準』に準拠した指標ではありませんが、投資者が当社グループの事業規模を判断するうえで重要な指標であると認識し、従前の企業会計原則に基づき算出し、参考情報として開示しております。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題

(1)および(2)に記載の、経営方針および経営戦略を実行していくうえで、当社グループが優先的に対処すべき事業上および財務上の経営課題は以下のとおりであります。

 

〔広告事業〕

① デジタル領域への挑戦

2021年の国内広告業界のンターネット広告売上高は1兆3,721億円(前年比24.7%増)となり(経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」)、当社グループ商勢圏におきましてもデジタル化の波が着実に押し寄せるなか、コロナ禍において、各企業におけるマーケティング活動のデジタル領域へのシフトは昨年に引き続き加速いたしました。

このような中で、当社グループは、インターネット広告などデジタル領域の市場拡大に対応するため、デジタルデザイン室が中心となって、デジタルマーケティング分野(インターネット広告、SNS、EC)の受注拡大に取り組んでまいりました。この分野に対する企業の関心は高く、今後さらなる受注拡大が期待できるとともに、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)への関心も日々高まりを見せております。

そこで、当社グループは、デジタル領域全般の受注拡大をより加速させるため、2022年4月1日付で従来のデジタルデザイン室を局に格上げし、デジタルデザイン局を新設いたしました。デジタルマーケティング分野の提案強化やデジタライゼーション等のデジタル全般に関するお客さまのニーズに即した提案のほか、デジタルを活かした新規事業の企画実施に取り組み、お客さまの成長に貢献できる真のパートナーを目指してまいります。

 

② 新規事業への挑戦

当社グループは、地域密着主義で培ったきめ細かな対応と、四国中国エリアに福岡、東京を加えた拠点ネットワーク、70年の実績に基づくノウハウによってお客さまの様々なニーズに応え、時代に即した提案活動によって、より質の高いコミュニケーション効果の創造に努めてまいりました。しかしながら、前述したような広告業界を含めた社会全体の転換期にあっては、急速な変化に対応したマーケティング戦略の立案が求められております。

当社グループにおきましては、グループ内に蓄積された地域情報のほか、地元に密着した広告会社としてのディレクション力とマーケティング力を最大限に活用し、商品開発、地域産品や観光資源のブランディング、地域産品の販路拡大などに取り組み、当社グループ自身が価値を生み出せる新規事業の創出に取り組んでまいります。

 

③ クリエイティブスタッフの高付加価値化

お客さまが私たち広告会社に期待することにクリエイティブ力があります。素晴らしいクリエイティブワークは後世に残り、新しい顧客の開拓に繋がります。また、マーケティングに基づくクリエイティブもあれば、イノベーションを目指すクリエイティブもあります。お客さまにとって最適なコミュニケーションサービスを提供するためには、お客さまの課題を発見でき、解決すべき方向性を仮設でき、これらに基づくお客さまの価値を高めるサービスの提供が必要になります。つまり、デザインする力、素晴らしいコピーを生みだせる力、的確にマーケティングできる力などの専門的な能力だけではなく、最終的にはこうした力を兼ね備えた総合力が必要になります。

当社グループにおきましては、「無から有を生み出す」というクリエイティビティの原点に立ち戻り、新しいものを生み出す「創造力」や独自の発想で何かを作り出す「独創力」を兼ね備えた人材を育成すべく、クリエイティブスタッフの高付加価値化に取り組んでまいります。

 

④ 課題解決型営業の推進

当社グループは、四国エリア(香川・愛媛・徳島・高知)、中国エリア(岡山・広島)、福岡・東京に拠点を配し、多様化するお客さまの要望にお応えし、質の高いコミュニケーションサービスの提供に努めてまいりました。前述したように、デジタル化へのシフトが加速している中にあっては、当社グループ商勢圏におきましても、デジタル技術が非接触・非対面の手段を提供し、デジタル化できることはデジタル化されていく一方で、デジタル化できない体験や感性といったリアルの価値が再認識されており、このような価値を提供するサービスは今後ますます注目を浴びてくると考えられます。

当社グループにおきましては、このようなリアルの価値にデジタル技術を融合したより具体的で高度化した提案活動に取り組み、お客さまの経営課題の解決策をお客さまとともに考える課題解決型営業をこれまで以上に推進してまいります。

 

⑤ 人材への投資

当社グループの競争力の源泉は人材であり、当社グループにとって最も重要な経営資源であります。お客様に満足いただけるコミュニケーションサービスを提供するためには、優秀な人材の確保と育成が不可欠であり、また、高度化するお客さまのニーズに対応するためには専門的な知識を持った人材の獲得も重要な経営課題であります。

当社グループにおきましては、人材の獲得競争が厳しさを増すなか、適正な人員の確保と優秀な人材の育成を図るため、社内研修や教育制度の強化に加え、継続的な採用活動に取り組んでまいります。

また、社員の「健康」や「働き方」は企業の業績や存続に関係する重要な経営課題であります。当社におきましては、職場環境の整備やモバイルパソコンの導入、グループウェアの機能拡充、クラウド型人材管理ツールの導入などによって、従業員の働く環境の改善を図るとともに、人材への投資を強化してまいりました。今後につきましても、時間外労働の削減に努め、「定時退社日の運用推進」「残業時間の削減」「有給休暇取得率の向上」「仕事と育児の両立支援」などに取り組み、当社グループ各拠点に即した諸施策を推進してまいります。

 

〔ヘルスケア事業〕

① 労働力の確保

当社グループにおきましては、小規模の地域密着型の通所介護サービスを香川県高松市において提供しており、ヘルスケア事業として区分しております。ヘルスケア事業におきましては、介護保険法の改正ならびに介護報酬の改定、介護市場における競争激化、有資格者を含めた従業員確保などの課題がありますが、なかでも、介護サービス需要の拡大に伴い懸念される労働力不足の問題は重要な経営課題と認識しております。

当社グループにおきましては、従業員の定着率の向上のため、従業員の処遇改善の充実、キャリアパス制度の適切な運営、実践に即した教育研修の実施などに取り組んでまいります。

 

〔その他〕

① 新型コロナウイルス感染症への対策

 近時、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、政府や都道府県知事から感染予防行動が発令される事態に至っております。当社グループにおきましては、お客さまの新型コロナウイルス感染症拡大に対する予防措置に連動した集客イベントの中止・延期のほか、広告出稿の自粛による売上高の減少が懸念される状況にあります。

当社グループにおきましては、厳しい状況が上半期中は続くと見込まれますが、そのような中にあっても、お客さまに対し、今、私たちができる事は何かを考え、出来る限りの情報提供や提案をとおしてお客様の課題解決に取り組んでまいります。

また、当社グループにおきましては、社員の時差出勤、リモートワーク等を活用した状況に応じた柔軟な勤務、3つの密(密閉・密集・密接)の回避、職場内感染防止行動の徹底(手洗い・マスク着用・換気等)を推奨し、今後とも感染防止に努めてまいります。

 

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