経営成績等の状況の概要
1.業績
当社グループは、子会社である株式会社リンクスタッフィングが運営する国内人材派遣事業に関して、2022年1月1日をもって株式会社iDA(所在地:東京都渋谷区、代表取締役社長CEO:加福 真介)に譲渡したため、これらの事業を非継続事業に分類しております。このため、売上収益、売上総利益、営業利益については継続事業の金額を表示し、親会社の所有者に帰属する当期利益については、継続事業及び非継続事業の合算を表示しております。また、前年比較については、前年の数値を譲渡後の分類で組み替えた数値で比較しております。
当社グループは、「私たちは、モチベーションエンジニアリングによって、組織と個人に変革の機会を提供し、意味のあふれる社会を実現する」というミッションのもと、心理学・行動経済学・社会システム論などを背景にした当社グループの基幹技術「モチベーションエンジニアリング」を用い、多くの企業と個人の変革をサポートしております。当連結会計年度の日本経済は、ワクチン接種率の向上に伴って新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に緩和され回復傾向にあったものの、新たな変異株が確認されるなど予断を許さない状況が続いており、依然として先行き不透明な状況が続いております。一方、このような経済情勢下の中においても、前連結会計年度に引き続きテレワーク等の働き方の変更に伴う従業員エンゲージメント向上のニーズや、急速なデジタルトランスフォーメーション(以下、「DX」)に伴う個人のスキル強化のニーズはますます高まっていると認識しております。
このような経営環境下、当社グループの売上収益は32,644百万円(前年比106.0%)、売上総利益が15,340百万円(同109.5%)、営業利益が2,066百万円(同240.2%)、親会社の所有者に帰属する当期利益が918百万円(前年は親会社の所有者に帰属する当期損失996百万円)となりました。
当社グループのセグメント区分と事業区分は次のとおりであり、当連結会計年度におけるセグメント・事業別の概況は以下のとおりであります。
なお、株式会社リンクスタッフィングが運営する国内人材派遣事業に関して、2022年1月1日をもって株式会社iDAに譲渡したため、これらの事業を非継続事業に分類しております。
《組織開発ディビジョン》
組織開発ディビジョンでは、当社グループの基幹技術である“モチベーションエンジニアリング”を活用し、法人顧客を対象として、企業を取り巻くステークホルダー(社員・応募者・顧客・株主)との関係構築と関係強化を支援するサービスを展開しております。
当該セグメントでは、当連結会計年度における売上収益は10,819百万円(同109.0%)、セグメント利益は7,534百万円(同110.4%)となりました。当連結会計年度における事業別の概況は以下のとおりであります。
(コンサル・クラウド事業)
当該事業は、社員のモチベーションを組織の成長エンジンとする会社“モチベーションカンパニー”を世に多く創出することをコンセプトとして活動しております。サービス提供手法としては、独自の診断フレームに基づいて従業員エンゲージメントを診断し、採用・育成・制度・風土など、組織人事にかかわる変革ソリューションをワンストップで提供しております。また、クライアント企業自身が従業員エンゲージメントをマネジメントできるクラウドサービスとして、「モチベーションクラウドシリーズ」を展開しております。
当該事業における当連結会計年度の売上収益は8,716百万円(同111.6%)、売上総利益は6,703百万円(同109.1%)となりました。
当連結会計年度においては、引き続き大手企業を中心とした従業員エンゲージメントの向上ニーズを着実に捉え、売上収益は前年比で大幅増加、売上総利益は前年比で増加しました。独立行政法人労働政策研究・研修機構「データブック国際労働比較2019」によれば、日本の労働力人口は世界最速のスピードで減少していくことが予想され、人材の流動化が加速する昨今において、多くの企業の経営における重要課題は自社で活躍する人材の確保や維持へと移行しています。加えて、国際標準化機構による人的資源マネジメントISO30414の発行や、米国での人的資本開示の義務化など、世界的に人的資本開示が活性化しています。こうした状況下において、従業員エンゲージメントや人材開発ニーズは非常に高まっており、そのニーズは長期的に継続すると当社グループとしては考えており、2000年の創業以来、多くの企業の組織変革を支援してきた当社グループにとって大きな機会であると捉えております。引き続き、“モチベーションエンジニアリング”を活用したワンストップソリューションの提供によって、さらなる顧客単価の向上を実現していきます。
また、当社は、2000年の創業以来、企業と従業員のエンゲージメント状態を「診断」するだけでなく、数多くの企業の「組織変革」までを支援してまいりました。「モチベーションクラウドシリーズ」は、従業員エンゲージメント(会社と従業員の相互理解・相思相愛度合い)の向上を実現するHRTech(人材×テクノロジー)領域のクラウドサービスです。創業以来提供してきた組織診断サービスをクラウド化し、2016年7月よりサービス提供を開始いたしました。
現在、株式会社アイ・ティ・アール(以下、ITR)が発行する市場調査レポート「ITR Market View:人材管理市場2021」において、従業員エンゲージメント市場のベンダー別売上金額シェアで4年連続1位(2017~2020年度予測)を獲得しています。
当連結会計年度においては、大手企業への導入強化が奏功し、前年を大きく上回る結果となりました。月会費売上も堅調に推移しており、2021年12月単月における月会費売上の合計額は、240,545千円と伸長しております。
今後は、引き続き大手企業向け新規導入のさらなる強化に加えて、多言語対応の推進によって日本企業のグローバル支社への支援をはじめグローバル展開も進めてまいります。また変革機会における新たなクラウドサービスとして、すでに納品実績のある人材開発サービスを2022年度中にクラウド化し、リリースする予定です。モチベーションクラウドに加えて、その新規クラウドサービスを展開する事で、2022年12月単月におけるモチベーションクラウドシリーズの月会費売上は3.2億円(同133.0%)を見込んでおります。これらの実現に向けて、人材・IT投資も積極的に行うことでクラウドシリーズの展開スピードを加速させ、従業員エンゲージメント市場を牽引してまいります。
(イベント・メディア事業)
当該事業は、企業の“モチベーションカンパニー創り”をサポートするため、事業活動上での様々なコミュニケーションシーンにおけるイベントやメディアを制作しております。イベント制作としては、周年記念イベント、採用説明会、プロモーションイベント、株主総会など、リアル・バーチャルにおける場創りをサポートすることでステークホルダーへの興味喚起や理解促進を支援しております。また、メディア制作としては、社内報、会社説明パンフレット、株主向けのアニュアルレポートなどの紙メディアに加えて、会社ホームページ、IRページ等のWEBメディア、商品説明映像や株主総会動画配信などの映像メディアも手がけております。
当該事業における当連結会計年度の売上収益は2,479百万円(同95.2%)、売上総利益は1,081百万円(同112.6%)となりました。
当連結会計年度については、イベント事業において、引き続き新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、売上収益は前年比減となりました。一方で、オンライン化に伴う粗利率の改善などによって、売上総利益は前年比で大幅に増加しております。
引き続き、WEB、映像を活用したオンラインイベントを推進するとともに、IRに関するWebメディアや映像メディアのサービス提供に注力してまいります。
《個人開発ディビジョン》
個人開発ディビジョンでは、主体的・自立的に自らのキャリアや人生を切り拓く個人を“アイカンパニー(自分株式会社)”と定義して、“アイカンパニー”の輩出を支援しております。具体的には、当社グループの基幹技術である“モチベーションエンジニアリング”をキャリアスクール・学習塾等のビジネスに適用し、小学生から社会人に対して、目標設定から個人の課題把握、学習プランの策定・実行に至るまでワンストップでサービスを提供しております。
当該セグメントの当連結会計年度における売上収益は7,471百万円(同111.0%)、セグメント利益は2,904百万円(同136.9%)となりました。当連結会計年度における事業別の概況は以下のとおりであります。
(キャリアスクール事業)
当該事業は、大学生や社会人を主な対象とした、パソコンスクールの「AVIVA」、資格スクールの「DAIEI」、外国語スクール「ロゼッタストーンラーニングセンター」、「ロゼッタストーンプレミアムクラブ」および「ハミングバード」の5つのサービスブランドを掲げ、個人のキャリア向上を目的としたワンストップのサービスを提供しております。これまでは、教室での受講を主としていましたが、現在は通学・オンラインの両サービスを提供し、継続的な学びのサポートを実現しております。
当該事業における当連結会計年度の売上収益は6,824百万円(同112.4%)、売上総利益は2,596百万円(同144.3%)となりました。
当連結会計年度については、DXスキルニーズの加速に伴いIT講座が伸長するとともに、オンライン化に伴う粗利率の改善が功を奏し、前年を大きく上回る結果となりました。また、DXに向けた従業員のスキル強化ニーズの拡大に伴い、企業内個人向けのDX支援サービスも順調に伸長しております。
今後も引き続き、拠点だけに依存しないバーチャル空間での価値提供によって受講者の成果創出を支援するとともに、ますます拡大が期待されるDX市場において、これまで培ってきたITスキル支援のノウハウや組織開発・マッチングディビジョンの顧客アセットも活用することで、さらなる成長を実現してまいります。
(学習塾事業)
当該事業は一般的な学習塾と異なり、生徒の学力向上はもちろん、世に多くの“アイカンパニー”を輩出することを事業コンセプトに展開しております。サービス内容としては中高生向けの学習塾「モチベーションアカデミア」を展開しており、単なる受験指導にとどまらず、社会で活躍するためのスキル開発の場を提供しております。さらに、中学受験生を対象にした個別指導学習塾「SS-1」を展開しております。将来的には、当社グループのキャリアスクール事業が持つ「プログラミング教育」や「英会話教育」といったアセットも活用し、小学生から高校生まで一気通貫で社会に役立つスキル開発の場を提供することを目指してまいります。また、キャリアスクール事業同様、現在は通学・オンラインの両サービスを提供しています。
当該事業における当連結会計年度の売上収益は651百万円(同97.8%)、売上総利益は310百万円(同96.1%)となりました。
当連結会計年度については、新規入会数は回復傾向にあるものの、1人あたりの単価減少に伴い、売上収益・売上総利益ともに前年比減となりました。なお、当該事業は単一プロダクトになります。
今後も引き続き、授業や面談のオンラインサービスのクオリティのさらなる向上によって新規入会者数を伸長させ、安定的なサービスを提供するとともに、従来の学習塾には成し得ない小学生から高校生、社会人までワンストップのサービス実現を目指してまいります。
《マッチングディビジョン》
マッチングディビジョンでは、当社グループの基幹技術である“モチベーションエンジニアリング”を人材紹介事業に転用した「エンゲージメント・マッチング」をコンセプトにサービスを展開しております。企業が求めるテクニカルスキル要件とのマッチングだけではなく、当社が保有するデータをもとに個人の特性と企業の特性とのマッチングを行うことで、定着率の高いマッチング、いわゆる「求人ニーズのある組織」と「キャリアアップをしたい個人」の相思相愛創りを実現しています。主に、日本で働きたい外国籍人材や、就職希望の学生、転職希望者を対象としております。
当該セグメントの当連結会計年度における売上収益は15,043百万円(同101.3%)、セグメント利益は5,534百万円(同98.2%)なりました。当連結会計年度における事業別の概況は以下のとおりであります。
(海外人材紹介・派遣事業)
当該事業は、全国の小・中・高等学校の外国語指導講師(ALT:Assistant Language Teacher)の派遣および英語指導の請負をサービスとして提供しております。また、顧客との信頼関係や実績が重視されるため、参入障壁が非常に高い本事業において、当社グループは民間企業で圧倒的なNo.1のシェアを確立しております。さらに、外国人雇用ニーズの高まりを捉え、外国人雇用を促進したい企業に外国人の採用・育成・労務サポートをワンストップで提供する事業を展開しております。
日本では、文部科学省の英語教育改革によって、英語学習開始の早期化が進んでいます。2020年度には、小学校3年生から英語教育開始、小学校5年生から正式教科扱いとなった一方で、まだALTの担当授業数が少ない自治体も多いことから、今後も日本における英語教育市場は、引き続き拡大傾向にあると捉えています。
当該事業における当連結会計年度の売上収益は13,123百万円(同101.5%)、売上総利益は3,650百万円(同96.5%)となりました。
当連結会計年度については、入国制限の影響を引き続き受けているものの、雇用の長期化や国内人材採用などが着実に進捗した結果、売上収益は増加しました。一方で、国内採用や入国後の隔離期間のサポート等での原価増の影響を受け、売上総利益は微減となりました。
また、先生方の英語授業準備効率化や英語力・指導力向上を目的に、2021年6月にリリースしたクラウドサービスである「Teachers Cloud」の利用学校数も着実に増加しています。利用学校数は、12月末で全国の公立の小・中・高等学校の約15%にあたる4,300校を超え、2024年には全国の公立の小・中・高等学校の約45%にあたる14,000校への提供を計画しています。引き続き「Teachers Cloud」を通してブランド力を向上させることで、ALT契約のリピート率向上とさらなるシェア拡大を実現してまいります。
(国内人材紹介・派遣事業)
当該事業では、組織の成長において必要となる人材を、人材紹介サービスという形で提供しております。主な事業としては、就職を希望している学生を企業の説明会や面接に接続させる新卒動員・紹介事業、転職を希望している社会人を企業とマッチングさせる中途紹介事業を行っております。前第1四半期連結会計期間より連結対象範囲となったオープンワーク株式会社は、日本最大級の社員クチコミによる転職・就職者向け情報プラットフォーム「OpenWork」の運営を行っており、人材紹介企業への送客やプラットフォーム上でのダイレクト採用サービスの提供を主な収益源としております。
当該事業における当連結会計年度の売上収益は1,943百万円(同99.9%)、売上総利益は1,907百万円(同101.2%)となりました。
主な収益源であるオープンワーク株式会社においては、コロナ禍でも登録ユーザー数、社員クチコミ・評価スコアデータ件数を着実に積み上げており、中でもダイレクト採用サービスは前年比で約180%と大きく成長しています。今後も引き続き、組織開発ディビジョンの顧客基盤の活用や転職候補者のレジュメの増加に加え、マッチング率向上を実現することで、組織と個人の真の相互理解・相思相愛を実現する「エンゲージメント・マッチング」を加速してまいります。
《ベンチャー・インキュベーション》
当社グループでは、各ディビジョンの他に、ベンチャー・インキュベーションを展開しております。ベンチャー・インキュベーションでは、出資に加え、当社グループの組織人事コンサルティングのノウハウなどを提供し、上場を目指す成長ベンチャー企業を組織面からも支援しております。出資先の主な選定基準は、①“モチベーションカンパニー”創りへの共感、②株式上場を目指していること、の2点です。なお、ベンチャー・インキュベーションにて発生した売却益等は、連結財政状態計算書のその他の資本の構成要素に計上致します。
生産、受注及び販売の実績
1.生産実績
当社グループは、コンサルティング業等を主体としており、生産実績の記載はしておりません。
2.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
組織開発ディビジョン |
11,186 |
118.1 |
5,518 |
115.1 |
個人開発ディビジョン |
7,255 |
107.2 |
1,567 |
89.0 |
マッチングディビジョン |
15,197 |
104.4 |
7,684 |
106.5 |
その他 |
4 |
22.0 |
- |
- |
合計 |
33,643 |
109.2 |
14,770 |
107.3 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
(注)2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(注)3 上記には非継続事業からの実績は含んでおりません。
3.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
組織開発ディビジョン |
10,461 |
109.9 |
個人開発ディビジョン |
7,449 |
110.8 |
マッチングディビジョン |
14,728 |
101.4 |
その他 |
4 |
22.0 |
合計 |
32,644 |
106.0 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
(注)2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(注)3 上記には非継続事業からの実績は含んでおりません。
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
1.財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ11,021百万円減少し、30,062百万円となりました。これは主として、東京統合拠点の移転撤退決議等に伴い、使用権資産が8,641百万円減少したこと等によるものです。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ14,752百万円減少し、21,413百万円となりました。これは主として、有利子負債及びその他の金融負債が5,667百万円減少し、東京統合拠点の移転撤退決議等に伴い、リース負債が8,825百万円減少したこと等によるものです。
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末に比べ3,731百万円増加し、8,648百万円となりました。これは主として、自己株式の処分等により、資本剰余金が2,024百万円増加し、自己株式が1,413百万円減少したこと等によるものです。
2.経営成績の分析
(1)売上収益
当連結会計年度の売上収益は、前年比6.0%増の32,644百万円となりました。セグメント別には、組織開発ディビジョンで前年比9.0%増の10,819百万円、個人開発ディビジョンで前年比11.0%増の7,471百万円、マッチングディビジョンで前年比1.3%増の15,043百万円となりました。
(2)売上原価
当連結会計年度の売上原価は、前年比3.1%増の17,304百万円となり、原価率は53.0%となりました。
(3)販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前年比4.5%増の12,625百万円となりました。
(4)営業利益
当連結会計年度の営業利益は、前年比140.2%増の2,066百万円となりました。
(5)親会社の所有者に帰属する当期利益
当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は、918百万円(前年は親会社の所有者に帰属する当期損失996百万円)となりました。
3.キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度において、現金及び現金同等物(以下、「資金」)は1,532百万円減少し、当連結会計年度末の残高は4,917百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローは次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動により獲得した資金は、前年より346百万円増加し、4,316百万円となりました。これは主として、減損損失が前年に比べ1,629百万円減少、営業債権及びその他の債権の増減が前年に比べ676百万円増加、その他が前年に比べ1,205百万円減少したことにより資金が減少した一方で、税引前当期利益が前年に比べ1,233百万円増加、非継続事業からの税引前当期損失が前年に比べ597百万円減少、投資有価証券評価益が前年に比べ563百万円減少、法人所得税の還付額が前年に比べ411百万円増加、法人所得税の支払額が前年に比べ858百万円減少したことにより資金が増加したこと等によるものです。その他の主な減少理由は、基幹システムのライセンス料等の前払費用が224百万円増加したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動により使用した資金は、728百万円(前年は1,969百万円の獲得)となりました。これは主として、前年に発生した連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入が無かったことにより資金が減少したこと等によるものです(前年はオープンワーク株式会社の子会社化に伴い、現金及び現金同等物が2,290百万円増加)。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動により使用した資金は、5,124百万円(前年は1,647百万円の使用)となりました。これは主として、自己株式の売却による収入4,029百万円が発生したことにより資金が増加した一方で、前年に発生した短期借入金の純増減額が無かったこと(前年は3,640百万円増加)、長期借入金の返済による支出が前年に比べ3,796百万円増加したことにより資金が減少したこと等によるものです。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループは、事業に必要な資金を安定的に確保することを基本方針としております。
当社グループの資金需要は、人件費等の運転資金のほか、ソフトウエア開発費用、M&A費用等の事業投資資金があります。これらの資金需要に対して、自己資本または金融機関からの借入による資金調達にて対応していくこととしております。
財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
1.財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「経営成績等の状況の概要 1.業績」、「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.財政状態の分析」、及び「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 2.経営成績の分析」に記載しております。
2.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 3.キャッシュ・フローの分析」に記載しております。
3.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、売上原価の主な構成要素であります人件費、ソフトウェア開発費等の外注費、及び有利子負債の返済及び利息の支払い等があります。また、株主還元については、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。
当連結会計年度末における借入金及びリース負債を含む有利子負債の残高は13,887百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,917百万円となっております。なお、安定的な運転資金の調達方法として、金融機関との間で当座貸越契約を締結しており、当連結会計年度末における当該契約の借入未実行残高は3,600百万円となっております。
なお新型コロナウイルス感染症による財政状態への影響は、現在のところ軽微でありますが、長期戦略の実現に向けて、成長事業への投資や借入金の返済による財務基盤の強化を目的として、自己株式処分による4,202百万円含む、総額4,713百万円の調達を実施しております。
今後の動きについては引き続き注視しつつ、財政状態へ重大な影響を与える可能性のある事象が生じた場合などにおいては、適時に対応の検討を行ってまいります。
また、当社グループは、健全な財務体質、継続的な営業活動によるキャッシュ・フロー創出能力により、今後も事業成長を確保する目的で手元流動性を高める資金調達や、個別投資案件への資金調達は可能であると考えております。
4.重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループにおける重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断方針」に記載しています。
また、新型コロナウイルス感染症の影響等についても同様に、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断方針」に記載しております。
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