課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  当社の本有価証券報告書の提出日現在における「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」は以下の通りです。また、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づき、当社グループが合理的であると判断したものであります。
 

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、「私たちは、モチベーションエンジニアリングによって、組織と個人に変革の機会を提供し、意味のあふれる社会を実現する」をミッションに掲げております。具体的には、基幹技術「モチベーションエンジニアリング」によって顧客の問題解決や願望実現を支援し、組織や個人に多くの変革の機会を提供してまいります。結果として、多くの組織や個人が「夢」や「生きがい」等を通じて沢山の意味を感じとれる社会を実現したいと考えております。

 

(2)目標とする経営指標

 事業の収益性・生産性を重視した経営を行うべく「売上収益営業利益率」を重要な経営指標として位置づけるとともに、規模の拡大にも注力するため、「売上収益」及び「営業利益」も合わせて重要な経営指標として位置づけております。加えて、社会の人材流動化が進み、企業の競争優位の源泉が「事業戦略」から「組織戦略」へと変化している環境を踏まえ、企業の労働市場への適応度を測る「エンゲージメント・レーティング」も非常に重要な経営指標であると位置づけております。

 また、各事業セグメントにおける経営指標として、事業KPI(Key Performance Indicator)を下記の通り設定しております。

 

 組織開発ディビジョン  :モチベーションクラウドシリーズ月会費売上(サブスクリプションモデル)及び

              顧客売上単価(コンサル・クラウドモデル)

 個人開発ディビジョン  :受講者数 及び 受講者売上単価

 マッチングディビジョン :派遣稼働人数

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 私たちは、創業以来20年間、当社独自の基幹技術である「モチベーションエンジニアリング」を基盤に、事業領域を拡大させてきましたが、さらなる成長を実現するためには、事業戦略と組織戦略を高次元でリンクさせることが重要だと考えております。

 

 そのために、長期的な事業戦略としては、各ディビジョンが有する独自のデータベースをつなぐことで組織と個人のエンゲージメントを飛躍的に向上させる「エンゲージメントチェーン」を構築していきます。具体的には、テクノロジーの強化により、人が関わるサービスを高付加価値へシフトさせることで、「テクノロジーとヒューマンタッチサービスの最適化」を図ってまいります。また、長期的な組織戦略としては、社員数の拡大とエンゲージメントスコア向上の同時実現により、従業員エンゲージメントの向上を図ってまいります。

 

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 また、長期戦略の達成に向けて、中期においては、従業員エンゲージメント市場が急成長している中で、創業事業であり、最も利益率が高い組織開発ディビジョンに注力してまいります。中期的な事業戦略としては、コンサル・クラウド事業の売上・売上総利益及び、モチベーションクラウドシリーズの月会費売上を重点指標として掲げ、コンサル・クラウド事業に投資してまいります。組織においては、コンサル・クラウド事業の採用人数、エンゲージメントスコア及び、エンジニア内製化率を重点指標として掲げ、コンサルタントとエンジニアの採用・育成強化に投資してまいります。

 

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 なお、セグメント毎の中長期戦略は下記のとおりです。

 

<組織開発ディビジョン>

 まずは、クラウド事業において、安定的なサブスクリプション売上を積み上げることに注力してまいります。具体的には、大手企業のさらなる導入推進に加えて、診断サーベイの多言語化を推進し、グローバル展開を図ります。また、2022年には、すでに実績のある人材開発サービスを新たにクラウド化することで、2023年以降につながるサブスクリプション積み上げに大きく寄与する予定です。加えて、クラウドからの接続を強化し、診断結果に応じたワンストップコンサルティングを拡大することで、当社グループにしかできない価値提供の実現をさらに加速してまいります。

 

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<個人開発ディビジョン>

 急激な環境変化に適応すべく多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進していますが、従業員のITスキル育成を課題としているケースが多いのが現状です。中長期的には、今後拡大が期待されるITスキル育成市場においてプレゼンスを獲得すべく、アビバブランドで培ってきたノウハウや組織開発ディビジョンの顧客基盤を最大限活用して企業内個人向けのDX支援サービスを強化していきます。従業員エンゲージメント向上に加えて、DXスキル育成による業務効率化支援も同時に行うことで、真の「One for All, All for One」を実現する組織創りを加速していきます。

 

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 加えて、テクノロジーとヒューマンタッチサービスの最適化に向けて、テクノロジーサービスの強化を推進していきます。具体的には、「スキな時に、スキな場所で、INPUT&OUTPUT学習ができる」オンライン学習コンテンツ「SkiP」をリリースし、順次対応講座を拡大するとともに、納品効率の向上や店舗の統廃合を推進していきます。これまでリアルで培ってきた挫折させない学習支援ノウハウに加え、プロダクトのテクノロジー化とサイバーティーチングの強化を推進することで顧客価値を増大させていきます。

 

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<マッチングディビジョン>

 新たなクラウドサービス「Teachers Cloud」によって、さらにブランド力を向上しALTの拡大を目指してまいります。「Teachers Cloud」は、2021年6月にリリースした新たなクラウドサービスで、これまで培ってきた実績とグループのコンサルティングノウハウを活用し、英語授業準備の業務効率化や先生方の英語力や指導力向上を目的としております。教育現場でもデジタル化が急速に推進される中で、教員の生産性と指導力の向上に多くの期待が集まり、リリースから半年で、全国の公立小・中・高等学校数のうち約15%となる4,300校で利用が開始されています。引き続きALT契約自治体に順次導入することでリピート率を向上させるとともに、ブランディング強化によるさらなるシェア拡大を実現していきます。

 

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 また、「OpenWork」の拡大によって組織状態がオープンになってきたことに加え、求職活動時に社員クチコミサイトの閲覧が当たり前※となっている中、引き続き好調なダイレクト採用モデルを強化していきます。具体的には、転職候補者のレジュメの増加に加え、組織開発ディビジョンとの連携強化によって求人数を増加する両翼戦略を推進するとともに、マッチング率の向上を目指します。「OpenWork」を通じた納得感の高い就職・転職の実現と「コンサル・クラウド事業」を通じた企業に対する従業員エンゲージメントの向上支援によって、従業員エンゲージメント市場をさらに活性化させていきます。(※オープンワーク株式会社2018年4月調査。転職者の内74.3%は社員クチコミサイトの利用経験あり。)

 

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 また、今後は日本社会が抱える「労働力人口の減少」、「産業のソフト化・サービス化」、「ワークモチベーションの多様化」といった環境変化を背景に、組織・人材・教育等に関わるビジネス領域の市場は、ますます拡大していくものと思われます。そのような環境下において、これまでに築いてきた当社の競争優位性を活かし、更なる事業成長を遂げていくため、下記4点の優位性強化に努めてまいりたいと考えております。

 

① 基幹技術「モチベーションエンジニアリング」によるオンリーワン性の追求

 当社独自の基幹技術である「モチベーションエンジニアリング」は、モチベーションの観点から問題点を診断する「診断技術」と、診断結果に応じて変革施策を実行する「変革技術」の2つの技術によって構成されており、心理学・社会学・経営学等の学術的背景を保持しながら、創業以来のナレッジを蓄積し、普遍的な技術として進化を遂げてまいりました。この普遍的な基幹技術である「モチベーションエンジニアリング」を全事業に適用することにより、各事業領域において、オンリーワンのポジションを築いております。今後も、各事業で得られたナレッジを「モチベーションエンジニアリング」に常に還元して進化を図り、各事業におけるオンリーワン性を追求することで、優位性を確固たるものにしたいと考えております。

 

② 「モチベーションエンジニアリング」によって培ってきた独自のデータベースの強化

 私たちは、基幹技術「モチベーションエンジニアリング」を基盤として、組織と個人に対して診断と変革サイクルを提供してきた中で、さまざまなデータを取得してきました。組織開発ディビジョンにおいては、20年以上にわたってさまざまな業界、業種、規模の組織診断データを蓄積、個人開発ディビジョンにおいては、M&A後約10年間で、個人のモチベーションタイプやスキルデータを蓄積、さらにマッチングディビジョンでは、2019年のオープンワーク株式会社のM&Aによって、圧倒的な質と量の組織・個人データを取得したことで、モチベーションカンパニー創りとアイカンパニー創りを加速させる土台が整いました。今後は、テクノロジーの強化によって、唯一無二のデータベースをさらに強化したいと考えております。

 

③ 収益の安定性と成長性の両立を実現する事業ポートフォリオ

 当社は、組織開発ディビジョン・個人開発ディビジョン・マッチングディビジョンの3つの事業セグメントで、BtoBからBtoCまで幅広い事業を有しており、事業ポートフォリオによって収益の安定性と成長性の両面を兼ね備えることができております。具体的には、個人開発ディビジョンのキャリアスクール事業やマッチングディビジョンの海外人材紹介・派遣事業が、景気の影響を受けにくく不景気局面でも安定した収益が見込める一方で、組織開発ディビジョンのコンサル・クラウド事業は、景気の影響を受ける事業ではあるものの、市場成長率の高さに伴って今後も収益の成長が見込まれると考えております。更にコンサル・クラウド事業においては、サブスクリプションモデルであるモチベーションクラウドシリーズも順調に拡大しており、事業内での安定性と成長性の両立も進んでおります。今後も、収益の安定性と成長性を両立した経営を推進していくことで、優位性を確固たるものにしたいと考えております。

 

④ 自社における従業員エンゲージメントの向上

 社会の人材流動化が進む中で企業の競争優位の源泉が「事業戦略」から「組織戦略」へと変化しており、企業にとって従業員エンゲージメント(企業と従業員の相互理解・相思相愛度合い)の重要性が非常に高まっております。その環境を踏まえ、当社は従業員エンゲージメントを数値化した指標である「エンゲージメントスコア」を非常に重要な経営指標として位置づけ、当社グループ内でのエンゲージメント向上に努めております。2018年から「エンゲージメントスコア」をランク化した「エンゲージメント・レーティング」を開示していますが、2022年2月は全法人11社中9社が最高ランクである「AAA」となり、高い従業員エンゲージメントを維持し続けています。今後も、エンゲージメントの高い組織づくりに継続して注力し、優位性を確固たるものにしたいと考えております。

 

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(4)会社の対処すべき課題

<経営環境等>

 近年、日本においては、少子高齢化の進行により労働力人口の減少、商品・サービスのソフト化・短サイクル化、ワークモチベーションの多様化などが急速に進行し、組織と個人を取り巻く環境は大きく変化しています。その中で、組織は「従業員エンゲージメントの向上」に取り組まなければ個人から選ばれず、個人は「自立的なキャリア形成」に取り組まなければ企業から選ばれないという二極化が加速していると当社グループとしては認識しております。

 

 上記のような経営環境を踏まえ、事業の拡大スピードと共に様々なステークホルダーの皆様からの期待が一層高まる中、以下を当社グループのディビジョンごとの課題として捉え、その対処に向けて積極的に取り組みたいと考えております。特に、昨今のコロナ禍における働き方の変容や世界的な人的資本開示の流れを受け、従業員エンゲージメント向上のニーズが大手企業を中心に一層高まる中で、当社グループとしては、組織開発ディビジョンへの成長投資に注力していきます。

 

<組織開発ディビジョン>

① モチベーションクラウドシリーズ比率の向上

 事業の安定性と成長性の両立を実現するために、サブスクリプションモデルは非常に有効なビジネスモデルであると考えております。現在、従業員エンゲージメントへの注目は国内外で急速に高まり、さらに非財務面から企業経営を測るモノサシとしての期待が高まっています。そのような状況を追い風にすべく、大手企業のさらなる導入推進に加えて、多言語対応を進めるなどグローバル展開も図ります。また、すでに実績のある人材開発サービスを新たにクラウド化すること等により、モチベーションクラウドシリーズ比率の向上に注力し、安定性と成長性を両立しながら、より生産性の高い事業へと進化させていきます。

 

② クラウドからコンサルティングへの接続強化

 事業の収益性・生産性を継続的に向上させていくためには、クラウドからコンサルティングへの接続が必要不可欠であると考えております。独自の診断フレームに基づいてモチベーションクラウドにて従業員エンゲージメントを診断したうえで、その診断結果に応じて、採用・育成・制度・風土といった組織人事にかかわる変革ソリューションをワンストップで提供できるという強みを活かして、クラウドからコンサルティングへの接続を強化し、より生産性の高い事業へと成長させていきます。

 

 

③ 上場企業におけるエンゲージメント・レーティング開示の普及

 近年、商品市場に加えて労働市場への適応が企業の至上命題となる中、当社グループでは、商品市場への適応度を測る「財務諸表」に加え、労働市場への適応度を測る「エンゲージメント・レーティング(ER)」を経営指標に掲げて経営を行い、自発的・積極的にER結果を開示しています。また、近年世界的に資本市場における「人的資本の開示」が注目を集めていることから、上場企業に対するエンゲージメント・レーティング開示の普及活動に注力していきます。

 

<個人開発ディビジョン>

① 組織開発ディビジョンとシナジーのある企業内個人向けDX支援サービスの強化

 今後拡大が期待されるITスキル育成市場においてプレゼンスを獲得すべく、中長期的には、アビバブランドで培ってきたノウハウや組織開発ディビジョンの顧客基盤を最大限活用して企業内個人向けのDX支援サービスを強化していきます。従業員エンゲージメント向上に加えて、DXスキル育成による業務効率化支援も同時に行うことで、真の「One for All, All for One」を実現する組織創りを加速していきます。

 

② 個人の学びを最大化するテクノロジーサービスの強化

 テクノロジーとヒューマンタッチサービスの最適化に向けて、中長期的にはテクノロジーサービスの強化を推進していきます。オンライン学習コンテンツ「SkiP」をリリースし、順次対応講座を拡大するとともに、納品効率の向上や店舗の統廃合を推進していきます。これまでリアルで培ってきた挫折させない学習支援ノウハウに加え、プロダクトのテクノロジー化とサイバーティーチングの強化を推進することで顧客価値を増大させていきます。

 

<マッチングディビジョン>

① 新たなクラウドサービス「Teachers Cloud」による更なるブランド力の向上及び事業の拡大

 「Teachers Cloud」は、これまで培ってきた実績とグループのコンサルティングノウハウを活用し、英語授業準備の業務効率化や先生方の英語力や指導力向上を目的に、2021年6月にリリースしたクラウドサービスです。引き続きALT契約自治体に順次導入することでリピート率を向上させるとともに、ブランディング強化によるさらなるシェア拡大を実現していきます。

 

② 「モチベーチョンエンジニアリング」を基盤にプラットフォームとエージェント機能の両輪によるフィッティングの実現

 競争優位の源泉である基幹技術「モチベーションエンジニアリング」を基盤にしながら、プラットフォームとエージェント機能の両輪によって、企業と個人のフィッティングを実現しています。「OpenWork」に蓄積された1,000万件を超えるクチコミ情報によって企業の働きがいがスコア化され、このプラットフォームを通じてダイレクト採用することでミスマッチの少ないマッチングを実現。さらに、応募者のスキル・モチベーションタイプの診断結果を踏まえ、スキルフィットだけではなくカルチャーフィットを実現するエージェント機能によって、真のフィッティングを実現していきます。

 

③ オープンワーク株式会社における「ダイレクト採用モデル」の強化

 ダイレクト採用モデルのさらなる強化に向けて、転職候補者のレジュメの増加に加え、組織開発ディビジョンとの連携強化によって求人数を増加する両翼戦略を推進するとともに、マッチング率の向上を目指します。「OpenWork」を通じた納得感の高い就職・転職の実現と「コンサル・クラウド事業」を通じた企業に対する従業員エンゲージメントの向上支援によって、従業員エンゲージメント市場をさらに活性化させていきます。

 

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