当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症拡大による影響が長期化する中、各種規制緩和等が行われ緩やかな回復が見られたものの、ウクライナ危機に伴う地政学リスクの高まりや物価の急激な高騰など、先行きが不透明な状態が続いております。
当業界では、少子化による学齢人口の減少や教育ニーズの多様化により、一層競争は厳しさを増しております。また、従来の教育サービスのみならず、ICTを活用した教育サービスや、保育園、学童保育等の保育サービスへの需要の高まり等により、経営環境は大きく変化しております。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響が続くなか、オンライン授業のニーズが急速に高まるなど、適切な学習環境を提供することが重要になっております。
このような状況の中で、当社グループは、事業ドメイン「乳幼児から社会人までの教育および保育を基本とする教育企業」の下、主力の学習塾ブランドである「個別指導学院フリーステップ」に加え、クラス指導の学習塾「開成教育セミナー」、認可保育所「かいせい保育園」、外国人留学生を対象とした「開成アカデミー日本語学校」、中上級レベルの韓国語指導に特化した「開成アカデミー韓国語学校」等を運営し、幅広い教育及び保育ニーズに応え、事業展開を行いました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末から201,278千円(2.3%)減少し8,488,452千円、負債合計は、同497,331千円(8.1%)減少し5,673,127千円、純資産合計は、同296,053千円(11.8%)増加し2,815,325千円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度における売上高は12,333,506千円(前年同期比5.9%増)、営業利益は640,452千円(前年同期は営業利益25,363千円)、経常利益は655,878千円(前年同期は経常利益48,331千円)、親会社株主に帰属する当期純利益は331,674千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失106,567千円)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2021年3月26日)を当連結会計年度の期首より適用しております。詳細については、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表「注記事項(会計方針の変更等) 1 収益認識に関する会計基準等の適用」及び2 財務諸表等 (1) 財務諸表「注記事項(会計方針の変更等) 1 収益認識に関する会計基準等の適用」をご参照ください。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
教育関連事業
グループ在籍者数について
(注1)当社グループにおいて例年ピークを迎える11月末時点の在籍者数を記載しております。
(注2)グループ在籍者数は、当社グループが運営する学習塾等に通う者に限り、フランチャイズ教室に通う者は含んでおりません。
(注3)当期より「校内予備校フリーステップ」の通塾生はグループ在籍者数に区分しないこととしたため、前期数値も同基準に合わせて変更しております。
個別指導部門では、主力ブランド「個別指導学院フリーステップ」の強みである「点数アップと大学受験に強いフリーステップ」を継続的にアピールしたこと、当社独自の学習管理システム<LMS(Learning Management System)>である「My Step Log」の運用及び会員サイトの充実等のサービス内容を強化したことにより、期初から塾生数は好調に推移し増加いたしました。クラス指導部門は、大阪市公立中高一貫コースの合格実績が引き続き好調を維持したことで小学生の塾生が増加し、堅調に推移いたしました。
保育部門は新規園児入園により増加、その他の指導部門は、新型コロナウイルス感染症の入国制限等の影響を受けた日本語学校の学生数が減少いたしました。
教室展開について
(注)複数の部門を開講している教室があるため、各部門の合計と直営教場数は一致いたしません。
直営教室は、新規開校した10教室(大阪府3、東京都4、埼玉県2、千葉県1)、直営化した3教室(大阪府2、東京都1)が増加し、閉鎖した4教室(大阪府4)、フランチャイズ化した2教室(大阪府1、東京都1)が減少いたしました。これにより、期末における直営教室数は284教室となりました。
フランチャイズ教室は、新規開校した2教室(大阪府1、千葉県1)、フランチャイズ化した2教室(大阪府1、東京都1)が増加し、直営化した3教室(大阪府2、東京都1)が減少いたしました。これにより、期末におけるフランチャイズ教室数は36教室となりました。
損益について
学習塾部門(個別指導部門、クラス指導部門)では、塾生及び保護者のニーズに応えるため、対面授業と双方向によるオンライン授業を併用し営業いたしました。塾生数の増加、オプション授業や講習会参加者数の増加及び塾生一人当たりの単価が好調に推移したこと等により、売上高は増加いたしました。保育部門では、園児数が堅調に増加したことにより、売上高は増加いたしました。その他の指導部門では、新型コロナウイルス感染症の影響により日本語学校の学生数が減少したものの、WEB広告の受注や学校法人への講師派遣が増加し、売上の減少をカバーいたしました。
また、塾生数増加に伴う給与手当の増加、WEB広告及び新規開校教室の初期認知拡大施策による広告宣伝費の増加等により、費用は増加いたしました。
この結果、売上高は12,253,672千円(前年同期比6.2%増)となり、費用の増加は売上高の伸びで吸収し、セグメント利益(営業利益)は682,919千円(同675.6%増)となりました。なお、教育関連事業の利益水準は大幅に改善し、新型コロナウイルス感染症拡大前の2019年3月期をも上回る結果となりました。
不動産賃貸事業
所有不動産の余剰スペース(賃貸スペース)及びテナントの入居状況に大きな変動はなく、売上高は42,880千円(前年同期比2.6%増)、一部賃貸となった物件の影響等により、セグメント利益(営業利益)は27,992千円(前年同期比17.8%減)となりました。
飲食事業
新型コロナウイルス感染症拡大の影響が依然として続く中、価格改定や固定客の確保等により堅調に推移いたしました。2021年4月に1店舗を閉鎖したため売上高は36,952千円(前年同期比36.4%減)となりましたが、閉鎖店舗の赤字圧縮、既存店舗の運営効率化等によりセグメント損失(営業損失)は17,075千円(前年同期はセグメント損失(営業損失)42,583千円)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,466,511千円となり、前連結会計年度末に比べ、97,637千円増加いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、1,042,517千円(前連結会計年度比782,171千円の収入増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益561,133千円、減価償却費338,739千円、減損損失108,430千円がそれぞれ計上されたものの、法人税等の支払額140,881千円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、190,593千円(前連結会計年度比189,754千円の支出減)となりました。これは主に定期預金の払戻による収入175,012千円、有形固定資産の取得による支出258,653千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、748,796千円(前連結会計年度は126,218千円の収入)となりました。これは主に長期借入れによる収入950,000千円、長期借入金の返済による支出952,366千円、短期借入金の純減少額700,000千円等によるものであります。
a.生産実績
当社グループは塾生に対して学習指導を行うことを主たる業務としておりますので、該当事項はありません。
b.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 金額は、仕入価格によっております。
c.受注実績
当社グループは塾生に対して学習指導を行うことを主たる業務としておりますので、該当事項はありません。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の販売総実績に対する割合については、相手先が塾生及び不特定多数の一般顧客へのものが全体の100分の90以上を占めており、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループの事業セグメントは、教育関連事業、不動産賃貸事業、飲食事業で構成しております。なかでも、教育関連事業は、当連結会計年度における連結売上高の99.4%を占める事業セグメントとなっております。
a.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度より691,647千円(5.9%)増加し、12,333,506千円となりました。売上高の内訳の詳細については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
(売上原価)
当連結会計年度における売上原価は、前連結会計年度より98,301千円(1.0%)増加し、9,846,814千円となりました。これは主として塾生数増加に伴い給与等の人件費が前連結会計年度比134,273千円(2.1%)増の6,391,382千円となったことによるものであります。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前連結会計年度より21,742千円(1.2%)減少し、1,846,239千円となりました。これは主としてシステム保守費用の減少に伴い支払手数料が前連結会計年度比50,994千円(33.4%)減の101,759千円となったことによるものであります。
(営業外収益、営業外費用)
当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度より5,222千円(9.2%)増加し、61,877千円となりました。これは主として助成金収入が前連結会計年度比8,546千円(71.0%)増の20,579千円となったことによるものであります。
また、営業外費用は、前連結会計年度より12,764千円(37.9%)増加し、46,450千円となりました。これは主として貸倒引当金繰入額15,179千円を計上したことによるものであります。
(特別利益、特別損失)
当連結会計年度における特別利益は、前連結会計年度より11,211千円(231.6%)増加し、16,052千円となりました。これは主として投資有価証券売却益7,894千円を計上したことによるものであります。
また、特別損失は、前連結会計年度より12,197千円(12.4%)増加し、110,797千円となりました。これは主として減損損失が前連結会計年度比10,056千円(10.2%)増の108,430千円となったことによるものであります。
b.財政状態の分析
(流動資産)
流動資産は、前連結会計年度末から53,004千円(1.6%)減少し、3,258,607千円となりました。これは主として現金及び預金が前連結会計年度に比べ23,370千円、営業未収入金及び契約資産が同22,621千円減少したことによります。
(固定資産)
固定資産は、前連結会計年度末から148,273千円(2.8%)減少し、5,229,845千円となりました。これは主として建設仮勘定が前連結会計年度に比べ22,110千円増加し、建物及び構築物(純額)が前連結会計年度に比べ82,313千円、差入保証金が同45,376千円、有形固定資産のその他(純額)に含まれる工具、器具及び備品(純額)が同30,875千円、投資有価証券が同23,903千円減少したことによります。
(流動負債)
流動負債は、前連結会計年度末から555,264千円(15.1%)減少し、3,132,738千円となりました。これは主として未払法人税等が前連結会計年度に比べ114,904千円増加し、短期借入金が前連結会計年度に比べ700,000千円減少したことによります。
(固定負債)
固定負債は、前連結会計年度末から57,933千円(2.3%)増加し、2,540,388千円となりました。これは主として長期借入金が前連結会計年度に比べ46,092千円、資産除去債務が同13,543千円増加したことによります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末から296,053千円(11.8%)増加し、2,815,325千円となりました。これは主として利益剰余金が前連結会計年度に比べ303,740千円増加したことによります。
キャッシュ・フローの分析については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については次のとおりであります。
当社グループの資金需要は、教室運営等に係る運転資金、教室開校等に係る設備投資資金であります。短期運転資金の調達は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本とし、長期運転資金及び設備投資資金の調達は金融機関からの長期借入を基本としております。当連結会計年度末における有利子負債(リース債務を含む)の残高は2,842,039千円、現金及び現金同等物の残高は1,466,511千円となっております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、収益性が著しく低下した資産又は資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
回収可能価額の評価の前提条件には、投資期間を通じた将来の収益性の評価や資本コストが含まれますが、これらの条件は長期的な見積りに基づくため、経営環境や市場環境の変化により、回収可能性を著しく低下させる変化が生じた場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、将来の課税所得が十分に確保できること及び回収可能性があると判断した将来減算一時差異について、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性を判断するにあたり慎重に検討しておりますが、繰延税金資産の一部又は全部を回収できないと判断した場合、繰延税金資産を減額し、調整額を費用として計上する可能性があります。
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