業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりです。

当第2四半期連結会計期間より、クラウド・コンピューティング契約におけるコンフィギュレーションまたはカスタマイゼーションのコストについて会計方針の変更を行っており、遡及修正後の数値で前期末比較を行っています。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4)重要な会計方針の変更」をご覧ください。

 

①経営成績の状況

2021年12月期連結会計年度(2021年1月1日~2021年12月31日)の業績は、以下のとおりです。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自  2020年1月1日

 至  2020年12月31日)

当連結会計年度

(自  2021年1月1日

 至  2021年12月31日)

前期比

売上収益

11,095

10,004

△9.8

営業利益(△損失)

227

△2,632

税引前当期利益(△損失)

210

△2,595

親会社の所有者に帰属する
当期利益(△損失)

479

△2,380

 

 

当社グループは「毎日の料理を楽しみにする」というミッションの下、日本のみならず世界中の料理のつくり手を増やすべく、料理に関する様々な課題解決に向けた積極的な投資を行っています。このミッションについて、当社グループの事業活動の目的・存在意義を明確にするため、定款に「当会社は、『毎日の料理を楽しみにする』ために存在し、これをミッションとする。」、「世界中のすべての家庭において、毎日の料理が楽しみになった時、当会社は解散する。」という記載をしています。

世界中の人々の生活は資本主義体制の中で非常に豊かになりました。貧困に悩む人は減り、医療技術の革新により人類の寿命は長くなりました。しかしながら、生活は豊かになりましたが、肥満や生活習慣病、バーチャルな人間関係の偏重がもたらす心の病は増加しました。また、「地球」の健康という意味でも、CO2排出量の増加、オゾン層の破壊、土壌や海洋の自浄作用を超えた汚染等大きな犠牲を払ってきました。

外食やデリバリーの普及によって、安くて美味しいものが手軽に食べられるようになりましたが、それらの食品を流通させるために、多くの森林が伐採され、ゴミも増え続けています。結局、今まであった問題を解決する中で、また新たな問題を作っているに過ぎないのではないかと当社グループは考えています。

ひとの健康に必要なものは、食事、運動、睡眠といわれています。世界でもっとも頻度高く行われている社会活動は、家族での食事です。つまり食は、地球にも、ひとにも、社会にも大きな影響を与えているといえます。この食の良し悪しが地球と、ひとと、社会のこれからの分岐点になると思っています。

当社グループは、食の世界を良くするには、「つくり手を増やすこと」が重要だと考えています。資本主義社会では、どうしても利益の追求が優先され、結果、地球の未来を犠牲にすることが多くなりますが、つくり手になると様々な「気づき」が増え、より正しいと思う考えに基づいて「自ら変える力」が強くなります。「つくり手」で居続けてもらうためには、料理が楽しみに、それも、毎日楽しみになる仕組みづくりが必要だと思うのです。料理をもっとクリエイティブで楽しいものにしたい。「つくること」をワクワク楽しいことにしたい。「作業」ではなくどんどんうまくなるものにしたい。料理をとおして、他の人とのつながりが楽しみとなり増えていくようにしたい。そんな風に考えています。

世界中の70億人の中には、すでに料理を楽しんでいる「つくり手」がたくさんいます。そのひとたちのエネルギーや、知恵や、思いや、気持ちが人々を励まし助けになるようなコミュニティをつくりたいと思っています。

新型コロナウイルス感染症が流行し始めてから2年が経過し、世界中の人々の「新しい生活様式」の働き方やライフスタイルは大きく変わりました。未曽有の危機において、心身の健康を維持することの難しさにも直面することになりました。当社グループはこのような環境下でも、個人の生産性を高め、プロダクト開発及び事業推進を加速し、人々の生活に必要不可欠なサービスとなることを目指す中で、「つくり手」や生活者との物理的距離を縮め、料理に関する様々な課題に迅速に対応する必要性を感じ、本社を2021年5月、神奈川県横浜市のWeWorkみなとみらいに移転、在宅勤務やWeWorkの他拠点での勤務を組み合わせる新しい働き方を開始しました。

今後とも当社グループは地球、ひと、社会、の健康を「毎日の料理を楽しみにする」ことによって実現し、企業価値の向上と株主価値の最大化に向けて邁進していきます。

当社グループは、国内においては、料理レシピ検索・投稿サービス「クックパッド」をはじめ、買い物をもっと自由にする生鮮食品EC「クックパッドマート」、料理が楽しくなるマルシェアプリ「Komerco」、料理動画サイネージ「cookpad store TV」や、有名人と一緒に料理を楽しめる「cookpadLive」等の運営を行っています。海外においては、「クックパッド」のグローバルプラットフォームを、世界73カ国、31言語(日本を除く)で展開しています。

当連結会計年度における売上収益は10,004百万円(前期比9.8%減)となりました。これは国内レシピサービス会員売上及び国内レシピサービス広告売上において、売上収益が減少したことによります。販売費及び一般管理費は12,243百万円(前期比16.3%増)となりました。これは主に、国内の新規事業に積極的な投資を行っていること、及び為替の変動により海外の費用が増加したこと等によります。この結果、営業損失は2,632百万円(前期は227百万円の利益)税引前当期損失は2,595百万円(前期は210百万円の利益)となりました。親会社の所有者に帰属する当期損失は、法人税等の計上及び繰延税金資産の取り崩しに伴う法人税等調整額の計上があった一方で、CookpadTV株式会社において非支配持分に帰属する当期損失が発生したことにより2,380百万円となりました。

当社グループは、「毎日の料理を楽しみにする事業」の単一セグメントでありますが、売上収益の内訳は、以下のとおりです。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自  2020年1月1日

 至  2020年12月31日)

当連結会計年度

(自  2021年1月1日

 至  2021年12月31日)

前期比

毎日の料理を楽しみにする事業

11,095

10,004

△9.8

 

国内レシピサービス会員売上

7,323

6,943

△5.2

国内レシピサービス広告売上

2,818

2,080

△26.2

その他売上

953

980

2.8

 

 

当連結会計年度における国内レシピサービス会員売上は6,943百万円(前期比5.2%減)となりました。これは主に、2021年3月下旬より各通信キャリアが提供を開始した低価格プランに移行したユーザーがキャリアによる月額課金決済を継続できない状況となり、自動退会となったことでプレミアム会員数が183.2万人(前期末は200.8万人)となったことによります。
  当連結会計年度における国内レシピサービス広告売上は2,080百万円(前期比26.2%減)となりました。これは主に、「クックパッド」に掲載するバナー広告の売上が減少したこと、ネットワーク広告が、販売数、単価共に下落したこと等によります。
 当連結会計年度におけるその他売上は、980百万円(前期比2.8%増)となりました。通信キャリアとのレベニューシェア型の売上収益がサービス終了に伴い減少したものの、国内の新規事業にかかる売上収益が増加したこと等によります。

 

 

②財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,649百万円減少し、23,863百万円となりました。このうち、流動資産は2,495百万円減少し、22,666百万円となり、非流動資産は153百万円減少し、1,197百万円となりました。

これらの増減の主な要因は、流動資産については、営業活動による支出の増加等により現金及び現金同等物が2,275百万円減少したことによるものです。非流動資産については、クックパッド株式会社の本社移転に伴い有形固定資産が406百万円増加した一方、CookpadTV株式会社の有形固定資産が減損損失の計上により423百万円減少、また同社の繰延税金資産が取り崩しにより234百万円減少したことによるものです。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ232百万円増加し、2,232百万円となりました。このうち、流動負債は161百万円減少し、1,220百万円となり、非流動負債は394百万円増加し、1,011百万円となりました。

これらの増減の主な要因は、流動負債については、未払消費税等が129百万円減少したことによるものです。非流動負債については、クックパッド株式会社及びCookpadTV株式会社の本社移転により新オフィスのリース負債が549百万円増加した一方、クックパッド株式会社の旧本社退去に伴い資産除去債務が199百万円減少したことによるものです。

 

(資本)

当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べ2,881百万円減少し、21,631百万円となりました。この主な要因は、為替の円安影響等によりその他の資本の構成要素が819百万円増加した一方、利益剰余金が2,380百万円減少したこと、非支配株主持分が588百万円減少したこと、及び自己株式の取得により自己株式が733百万円増加したことによるものです。

 

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べ2,275百万円減少し、20,410百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により支出した資金は、1,772百万円となりました。この主な要因は、国内新規事業に関わる費用及び本社移転に伴う一時的な費用の計上により、税引前当期損失2,595百万円が生じたことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により支出した資金は、336百万円となりました。この主な要因は、旧本社退去に伴う資産除去債務の履行201百万円が生じたことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により支出した資金は、1,094百万円となりました。この主な要因は、自己株式の取得による支出733百万円、及びリース負債の返済による支出361百万円が生じたことによるものです。

 

 

④生産、受注及び販売の状況

   (生産実績)

生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしていません。

 

   (受注状況)

当社グループでは概ね受注から役務提供の開始までの期間が短いため、受注状況に関する記載を省略しています。

 

   (販売実績)

当連結会計年度の販売実績については、前述の「(1)経営成績等の状況の概要 ①「経営成績の状況」をご参照ください。

 

  なお、主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。

相手先

前連結会計年度

(自  2020年1月1日

至  2020年12月31日)

当連結会計年度

(自  2021年1月1日

至  2021年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

Apple Inc.

2,429,124

21.9

2,493,319

24.9

株式会社NTTドコモ

2,113,337

19.0

1,711,858

17.1

ストライプジャパン株式会社

1,183,177

10.7

1,394,043

13.9

 

(注)上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準(以下「IFRS」という。)に基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するに当たり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記」に記載のとおりです。

この連結財務諸表の作成に当たっては、経営者が過去の実績や取引状況を勘案し、会計基準の範囲内かつ合理的と考えられる見積り及び判断を行っている部分があり、この結果は資産・負債、収益・費用の数値に反映されています。これらの見積りについては、一部過去の実績に基づく概算数値を用いるために、不確実性が伴っており実際の結果と異なる場合があります。

 

 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 (売上収益)

当連結会計年度における売上収益は10,004百万円(前期比9.8%減)となりました。これは主に、販売数、単価の下落によりネットワーク広告売上が減少したこと、及び各通信キャリアが提供を開始した低価格プランに移行したユーザーがプレミアム会員を自動退会となったことにより国内レシピサービス会員売上が減少したことによります。

 

 (営業損益)

当連結会計年度における営業損失は2,632百万円(前期は227百万円の利益)となりました。これは主に、上記売上収益の減少に加え、販売費及び一般管理費において、国内の新規事業に積極的な投資を行っていること、及び為替の変動により海外の費用が増加したこと等によります。

 

 (親会社の所有者に帰属する当期損益)

親会社の所有者に帰属する当期損失は2,380百万円(前期は479百万円の利益)となりました。これは主に、法人税等の計上及び繰延税金資産の取り崩しに伴う法人税等調整額の計上があった一方で、CookpadTV株式会社において非支配持分に帰属する当期損失が発生したことによります。

 

 ③資本の財源及び資金の流動性についての分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況については、「(1)経営成績等の状況の概要③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

資金需要につきましては、当社は2017年から10年をさらなる大きな成長のための事業基盤創りに再度注力する「投資フェーズ」としており、サービス開発、ユーザーベース獲得、ブランド構築等の事業拡大のための投資を行っていく想定です。これらの資金需要は手元資金で賄うことを基本とし、必要に応じて資金調達を実施します。

 

 ④経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

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