課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年3月17日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、「持続可能社会=発展すればするほど自然資本と人間関係資本が増加する社会」の実現を基本理念とし、経営の効率性、健全性及び透明性を確保した上で、株主・顧客・取引先・従業員・地域社会など全てのステークホルダーとの関係性及び利益を重視したステークホルダー経営を目指しております。

 

(2) 目標とする経営指標

 当社グループは、成長性・収益性については売上高、営業利益及び営業利益率を、資本効率についてはROE(株主資本利益率)を経営の重点指標としており、これらの改善及び向上を行うことを目標としております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

 2030年の事業確立を目指し、2021~2023年末までは、市場創造への挑戦期間(=市場創造期)と位置づけ、持続性の向上を目指す企業・自治体向けの新サービス開発に注力いたします。また次の2026年末までの3年間を成長期(=市場展開期)、その次の2029年末までの3年間を拡大期(=市場拡大期)と定め、新サービスの提供拡大と本格的な収益化を目指してまいります。

 

 2022年から2024年末までの3カ年は、市場創造期の2・3年目及び市場展開期の1年目となります。持続可能な企業経営・地域運営支援ニーズが急速に顕在化する時期と考え、以下のサービスの確立と提供に注力いたします。

 

① 持続可能な企業経営への適正な移行戦略に関する市場確立

(イ)Cyano Project(循環型事業創出プログラム)の提供拡大

(ロ)MCPジャパン・ホールディングス株式会社との合弁会社の事業確立

(ハ)協業・共創によるサーキュラー産業ネットワークの確立

 

② 持続可能な地域運営への適正な移行戦略に関する市場創出

(イ)MEGURU STATION®の面的展開

(ロ)地域脱炭素プログラムの開発・提供

(ハ)①-(ハ)と連携した、もの・情報・気持ちの最適解を導く新たな社会基盤の開発及び全国展開準備

 

③ 成長領域における事業拡大と適切な経営支援の投資

(イ)好調なシリコン事業に関する投資

(ロ)環境認証審査サービス、マレーシア事業の提供拡大、新市場開拓

(ハ)①②に関わる事業開発に関する投資

 

④ ①②③を実行するための経営基盤の強化

(イ)他社との戦略的パートナーシップの締結

(ロ)企業文化性の再構築・ステークホルダーとの関係強化

(ハ)良質な経営資源が増幅する仕組みづくりの強化

 

(4) 経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

企業を取り巻く状況に目を向けますと、新型コロナウイルス感染症第6波に伴う活動制限等の影響や、原材料の供給不足や資源価格の高騰といったグローバルサプライチェーンの不安定性の増加、また、世界経済の不確実性拡大や自然災害の頻発など、不透明な状況が続くものと予想されます。一方で、国内外における脱炭素やサーキュラーエコノミーの潮流や、投資家や企業や自治体のESG[環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)]重視の流れが加速しております。こうした背景のもと、企業や自治体において、サプライチェーンとデマンドチェーンのESGの最適化等による“持続性”向上ニーズがこれまで以上に高まってきていると考えております。

このような状況の中で、当社グループは「未来デザイン企業」として“産業と暮らしのRe・デザイン”をテーマに、グループミッションである持続可能な社会の実現に直結する「社会デザイン事業」の確立に向けた商品開発・展開を引き続き推進いたします。2022年は、2021年から3年間の“市場創造への挑戦期間”の2年目であり、ESGの最適化等により、持続可能な企業経営・地域運営を伴走支援する新サービスの開発・進化及び展開に注力いたします。

産業のRe・デザインにおいては、持続可能な経営ニーズを受けて、市場の開拓・深耕と新サービスの進化・展開に注力いたします。具体的には、企業経営の持続性を高め、循環型の事業創出・事業変革(=移行戦略)を支援する「Cyano Project」により、攻めのESG経営コンサルティングや環境BPO(AMITA Smart Eco、100%リサイクルサービス、守りのESG経営コンサルティング)による新市場商品の構築支援など、統合的サポートを展開し、並行してラインナップを強化してまいります。その際には、J-CEPをはじめとした企業・地域との連携により、例えば海洋プラスチック問題も視野に入れたプラスチックの資源循環など、サーキュラーエコノミーの推進活動(資源の最適循環、新たなビジネス創出等)と連動してまいります。

暮らしのRe・デザインにおいては、商品プロトタイプの構築・実証及び事業モデルの確立に注力いたします。中軸サービスとして開発を進めてきた「MEGURU STATION®(めぐるステーション)」を機能改良し、福岡県大刀洗町や神戸市をはじめとする複数地域で仮説検証を実施しながら、地域循環共生社会構築における地域脱炭素プログラムの提供と、環境コストの低減・互助共助の仕組み・ローカルソーシャルビジネスのマネジメント等による地域四大課題(少子高齢化・人口減少・雇用縮小・社会保障費の増大)のソリューション提供によって、自立分散型の統合的タウンマネジメントの中核商品化を目指してまいります。そして、産業のRe・デザインと暮らしのRe・デザインを融合したサービス基盤(プラットフォーム)を構想してまいります。

さらに「社会デザイン事業」の確立に向けた商品開発・展開と並行し、成長期にあるサービス(シリコンスラリー廃液の100%リサイクルサービス、環境認証審査サービス、海外マレーシア事業等)の提供加速等による収益力の強化を推進いたします。また企業文化の再構築(新しい目標管理手法の運用改善、人材育成の強化等)や、ステークホルダーとの関係強化・社会的認知度の向上等に繋がる施策等、良質な経営資源の増幅に向けた仕組みづくりに引き続き取り組んでまいります。

財務上の課題に関連して、当連結会計年度において、経常利益の増加並びに連結子会社である株式会社アミタ持続可能経済研究所の発展的解消のためアミタ株式会社に統合させたことにより株式会社アミタ持続可能経済研究所の税金費用を回収することなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益が増加いたしました。当期純利益の計上により、自己資本比率は改善してきましたが、財務体質の更なる改善に努めてまいります。また、2020年10月30日に15億円のシンジケートローン契約を締結いたしましたが、今後とも各銀行との緊密な連携等により財務基盤を安定化することで、社会情勢の変化に柔軟に対応しつつ、更なる企業価値の向上に向けて邁進してまいります。

 

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