業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、年度前半は新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う「緊急事態宣言」の断続的な発出により経済活動が制限されるなど、予断を許さない状況が続きました。一方、年度後半は昨年9月末をもって同宣言が解除されたことから移動制限や外出自粛が緩和されたことにより回復基調で推移いたしました。しかしながら、年明けより新たな変異株であるオミクロン株が急速に拡大し、再び厳しい経営環境となりました。

 このような状況のもと、当社グループは、どん底から這い上がり復活の狼煙を上げる年とすべく、2021年経営スローガンを「オーバー ザ オーバー」とし、変化対応力及び競争力の高い組織づくり、即ち「超現場主義」による組織力の向上に邁進し、新型コロナウイルス感染症の感染拡大期と収束期、それぞれのフェーズにおける事業環境及び消費動向に適応すべく、スピード感をもって対策を講じました。また、販売面では、更なるブランド価値の向上に拘り、需要の喚起及び創出と新成長エンジン創りに注力いたしました。感染拡大フェーズにおいては、引き続き感染症防止策を徹底するとともに、これまで推進してまいりましたコスト削減、人員体制の最適化、適正在庫の確保などの施策を推進し、経営体質の一層の強化に努めました。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は32,191百万円(前期比38.7%増)、営業利益は1,402百万円(前期は営業損失2,890百万円)、経常利益は2,921百万円(前期は経常損失321百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,915百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失569百万円)となり、2期ぶりに黒字転換いたしました。

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度の売上高は1,131百万円増加し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ4百万円増加しております。詳細につきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)(会計方針の変更)(収益認識に関する会計基準等の適用)」をご参照ください。

 

 セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

 

 

区分

売上高

営業利益または営業損失(△)

前連結

会計年度

(百万円)

当連結

会計年度

(百万円)

増減

(百万円)

前連結

会計年度

(百万円)

当連結

会計年度

(百万円)

増減

(百万円)

シュクレイ

7,626

11,957

4,331

△929

868

1,798

ケイシイシイ

8,176

10,958

2,781

△317

582

899

寿製菓・但馬寿

4,935

6,053

1,117

△860

100

759

販売子会社

2,138

3,006

868

△566

186

379

九十九島グループ

2,047

2,872

824

△649

406

242

その他

539

566

27

27

48

21

小計

25,463

35,415

9,951

△3,295

806

4,102

(調整額)

△2,258

3,223

964

405

595

190

合計

23,204

32,191

8,986

△2,890

1,402

4,292

 

 1)シュクレイ

 シュクレイは、「東京ミルクチーズ工場」の10周年記念商品の発売など、各ブランドにおいて新商品や限定商品の発売などによるブランド訴求力の向上に注力いたしました。また、期間限定出店の推進及び通信販売の強化などに取り組みました。出退店では、昨年6月に渋谷東急フードショーに「THE TAILOR(ザ・テイラー)」を、同年12月にはエキュート品川に新ブランド「FiOLATTE(フィオラッテ)」を出店するなど、計7店の出店及び2店の退店を行いました。その結果、売上高は11,957百万円(前期比56.8%増)、営業利益は868百万円(前期は営業損失929百万円)となりました。

 2)ケイシイシイ

 「ルタオ」ブランドを擁するケイシイシイは、通信販売の強化に注力すると共に、店舗展開では、首都圏で展開している「PISTA&TOKYO(ピスタアンドトーキョー)」、「Now on Cheese♪ (ナウオンチーズ)」、「岡田謹製あんバタ屋」のブランド認知度向上を図るため、限定商品の発売や期間限定出店に取り組みました。その結果、売上高は10,958百万円(前期比34.0%増)となり、営業利益は582百万円(前期は営業損失317百万円)となりました。

 3)寿製菓・但馬寿

 寿製菓・但馬寿は、代理店及びグループ会社との連携強化を図り、新商品開発などに注力いたしました。また、スポーツニュートリション市場向け「プロテインバー」の開発など新市場開拓などに取組みました。山陰地区では、昨年8月に行われたメルカリ社主催の全国インディーズ土産投票において1位を獲得した「因幡の白うさぎ」の販促強化に努めました。その結果、売上高は6,053百万円(前期比22.6%増)、営業損失は100百万円(前期は営業損失860百万円)となりました。

 4)販売子会社

 販売子会社は、交通拠点チャネルを重点に、自家需要に対応した新商品開発及び売場提案に注力いたしました。また、関西地区の販売子会社では、「コンディトライ神戸」及び「京都ヴェネト」ブランドによる通信販売の強化に努めました。出退店では、福岡エリアで1店の出店及び関西エリアで3店の退店を行いました。その結果、売上高は3,006百万円(前期比40.6%増)、営業損失は186百万円(前期は営業損失566百万円)となりました。

 5)九十九島グループ

 九十九島グループは、主力商品「九十九島せんぺい」の発売70周年を記念したキャンペーン展開や博多発の新ブランド「はかたんもん」商品の売場拡販などに取り組みました。新規出店では、本年3月にフレンチトースト専門店「Ivorish(アイボリッシュ)」のギフトショップをJR東京駅「グランスタ東京」に出店するなど3店の出店を行いました。その結果、売上高は2,872百万円(前期比40.3%増)、営業損失は406百万円(前期は営業損失649百万円)となりました。

 6)その他

 その他は、損害保険代理業、健康食品事業、海外(台湾及び香港)における菓子事業が含まれております。売上高は566百万円(前期比5.1%増)となり、営業利益は48百万円(前期比79.1%増)となりました。なお、香港事業は、現在、清算手続き中であります。

 

②財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は、27,470百万円となり前連結会計年度末と比べ2,418百万円増加いたしました。

 主な要因は、現金及び預金の増加(2,603百万円)、受取手形及び売掛金の増加(878百万円)、商品及び製品の増加(555百万円)、機械装置及び運搬具(純額)の減少(379百万円)などによるものです。

(負債)

 負債は、7,113百万円となり前連結会計年度末と比べ1,403百万円増加いたしました。

 主な要因は、未払法人税等の増加(809百万円)、流動負債のその他の増加(304百万円)、未払金の増加(283百万円)などによるものです。

(純資産)

 純資産は、20,356百万円となり前連結会計年度末と比べ1,014百万円増加いたしました。

 主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益計上による増加(1,915百万円)、配当金の支払いによる減少(933百万円)などによるものです。この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ3.1ポイント減少し74.1%となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ2,603百万円増加し、9,912百万円(前期比35.6%増)となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、4,293百万円(前期は82百万円の資金獲得)となりました。

 主な要因は、税金等調整前当期純利益が2,877百万円となり、非資金項目であります減価償却費が1,220百万円になったことによる増加要因があった一方、売上債権の増減額が△872百万円、棚卸資産の増減額が△489百万円となったことによる減少要因によります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、526百万円(前期比12.9%減)となりました。

 主な要因は、有形固定資産の取得による支出が432百万円となったことによります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、1,176百万円(前期比154.1%増)となりました。

 主な要因は、長期借入金の返済による支出239百万円及び配当金の支払額933百万円などの減少要因によります。

(2)生産、受注及び販売の実績

①生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

シュクレイ(千円)

8,627,020

169.9

ケイシイシイ(千円)

9,008,615

124.6

寿製菓・但馬寿(千円)

6,634,494

142.5

九十九島グループ(千円)

3,034,552

152.1

合計(千円)

27,304,681

144.0

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。これは新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、前連結会計年度の製造販売量が減少したことの反動によるものです。

 

②受注実績

当社グループは、基本的に販売計画に基づいた見込生産を行っているため、記載を省略しております。

 

③販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

シュクレイ(千円)

11,957,771

156.8

ケイシイシイ(千円)

10,958,658

134.0

寿製菓・但馬寿(千円)

6,053,059

122.6

販売子会社(千円)

3,006,729

140.6

九十九島グループ(千円)

2,872,098

140.3

 報告セグメント計(千円)

34,848,315

139.8

その他(千円)

566,731

105.1

セグメント間の内部売上高又は振替高(千円)

3,223,341

142.7

合計(千円)

32,191,705

138.7

(注)当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは新型コロナウイルス感染症の感染拡大により前連結会計年度の売上が減少したことの反動によるものでありますが、その内容等については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績の状況の概要 ①経営成績の状況」における各セグメント別の経営成績の状況に記載しております。

(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

①経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ、8,986百万円増加し、32,191百万円(前期比38.7%増)となり、大幅な増収となりました。これは主に、新型コロナウイルス感染拡大の影響を強く受けた前期の反動など、消費活動が緩やかに回復傾向で推移した中において、新規出店や通信販売の強化、季節イベント対策など需要喚起に向けた施策遂行に起因するものであります。

 販売チャネル別で見ますと、前期において「緊急事態宣言」発出により商業施設等が一時休業を余儀なくされた反動及び帰省の回復などにより国内小売が前期比55.3%増の15,324百万円、国内卸売が前期比18.5%増の8,981百万円とそれぞれ増収となり、また、通信販売においても、主力ブランド「ルタオ」を中心に、自社ECサイトの充実や「楽天市場」や「LINE GIFT」などのECモール対策の強化などにより、前期比43.0%増の6,013百万円と続伸いたしました。海外事業は、中国でのフランチャイズ事業が出店数拡大などにより伸長した結果、前期比21.0%増の1,863百万円となりました。

 なお、各セグメントの売上高の状況は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載しております。

(売上総利益率)

 当連結会計年度の売上総利益率は、前連結会計年度に比べ4.5ポイント増加の54.7%(収益認識会計基準適用前ベースでは、57.4%)となりました。これは主に、売上回復に伴い生産稼働率が改善されたこと、また、小売り比率の増加などによるものであります。

(販売費及び一般管理費)

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ1,689百万円増加し、16,219百万円(前期比11.6%増)となり、対売上高比率は、前連結会計年度に比べ12.2ポイント減少の50.4%(収益認識会計基準適用前ベースでは、52.9%)となりました。これは主に、売上回復に伴い、販売促進費及び支払手数料などが増加したこと、前期実施した役員報酬及び従業員賞与の減額を戻した反動及び新規出店などにより人件費が増加したことによるものであります。

(営業利益)

 上記の結果、営業利益は、1,402百万円(前連結会計年度は営業損失2,890百万円)となりました。

 なお、セグメント別の営業利益の状況は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載しております。

(経常利益)

 経常利益は、2,921百万円(前連結会計年度は経常損失321百万円)となりました。これは主に、前期の営業損失から営業利益に転じたことに加え、営業外収益に雇用調整助成金など助成金収入1,425百万円を計上したことによるものであります。

 なお、当社グループは売上高経常利益率を目標指標としており、当該指標の分析等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載しております。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失に、減損損失30百万円を計上し、また、法人税等を962百万円計上したことにより1,915百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失569百万円)となりました。

 

②財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度における財政状態の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載しております。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、運転資金及び設備資金は、主として自己資金及び金融機関からの借入金により充当いたしております。当連結会計年度末における有利子負債の残高は、前連結会計年度末と比較して251百万円減少の725百万円であります。また、現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して2,603百万円増加の9,912百万円であります。

 

 また、複数の金融機関と当座貸越極度を設定することで、将来の事業活動のための手元流動性の確保に努めておりますが、今般発生しました新型コロナウイルスの感染拡大の長期化に備え、当連結会計年度において当座貸越極度額を総額7,800百万円設定(借入実行残高は無し)いたしております。これらにより、当面の事業活動に支障をきたすことはないと判断しておりますが、適宜、手元流動性の確保に対処してまいります。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は、実際の結果と異なる可能性があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用した重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載いたしております。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載いたしております。

 

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