文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営方針
当社グループは、「売り手によし、買い手によし、世間によし、三方よし」を規範とし、飼料の生産から食品の販売まで取り扱う垂直型メーカーとして「安全・安心」で「良質」な製品を提供することを通じて、豊かな食文化の実現に貢献することを経営理念としております。
当社グループは、本年4月からの2ヵ年について、前中期経営計画に引き続き、変化を恐れぬ挑戦を継続し続けるものとして「中期経営計画<挑戦> PhaseⅡ <<challenge2024>>」(2023 年3月期~2024年3月期)を策定いたしました。経営資源の更なる選択と集中による構造改革を推し進めて収益力をより強固なものにするとともに、温室効果ガス排出量削減などの環境負荷の軽減に努め、事業活動を通じてSDGsの達成に貢献することを目指してまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、収益力向上による企業価値を表す客観的な指標として売上高経常利益率3%を当面の目標値としております。「中期経営計画<挑戦> PhaseⅡ <<challenge2024>>」では、厳しい事業環境のなか2024年3月期の経常利益率を2%としておりますが、経営計画に掲げる各施策の実施により、盤石な事業基盤の確立に取り組み、安定配当を目指してまいります。
(3) 中長期的な経営戦略
「中期経営計画<挑戦> PhaseⅡ <<challenge2024>>」では、持続的発展を支える事業基盤と収益体制の構築のため、これまで取り組んできた事業戦略「成長投資の推進」「事業ポートフォリオの検討」「財務健全性の強化」「コーポレート・ガバナンスの強化」をベースに、ESG経営の視点を取り入れることで、地域社会とともに持続的に発展・成長する会社を目指してまいります。またDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みを加速して業務プロセス・企業風土・ビジネスモデルの変革に発展させることで全社的な効率化を実現し、収益力の向上につなげることを目指してまいります。
事業戦略とする「成長投資の推進」については、成長事業の規模拡大に向けた集中投資、環境投資による持続的な発展、収益力向上につながるDX推進を進めてまいります。「事業ポートフォリオの検討」については、経営資源を食品事業と飼料事業に集中するとともに、成長分野への積極的な経営資源投入と、グループ会社間での人財交流に取り組みます。「財務健全性の強化」については、有利子負債の削減、適正在庫水準の明確化と在庫圧縮を進めつつ、目標として掲げる「ネットD/Eレシオ 0.8以下」を目指してまいります。「コーポレート・ガバナンスの強化」については、取締役会機能の実効性強化、グループ経営強化を推し進めるとともに、人事制度の改定や従業員教育の充実による人財の活性化に努めてまいります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社を取巻く原料事情は、今後も厳しい状況が続くものと思われます。かねてからの原材料価格高騰に加え、深刻化するウクライナ情勢や急激に進む円安で更なる価格高騰が避けられない状況にあります。魚肉ねり製品の主原料であるすり身、食肉加工品の主原料である豚肉、配合飼料の主原料である魚粉・穀物などは、相場変動により収益を圧迫する要因となります。
このような状況のなか、当社は前中期経営計画において、将来を見据えた磐石な事業基盤の確立を目指して事業再編など構造改革を推し進め、指標とした「自己資本比率 30%以上」「ネットD/Eレシオ 1.0以下」を達成いたしました。しかしながら、長引く新型コロナウイルス感染症拡大の影響から外食需要が低迷するなど、計画2年目においては売上高・経常利益ともに当初計画値を下回る結果となりました。
当社は厳しい経営環境に対応するため、2022年3月に当社グループの組織再編を行いました。連結決算において「その他の事業」にあたる林兼コンピューター株式会社(情報処理事業)と林兼冷蔵株式会社(冷蔵倉庫事業)の株式の全部または一部を売却することで、両社を連結の範囲から除外し、当社の主たる事業である食品事業・飼料事業への経営資源集中を推し進め、事業ポートフォリオの適正化を図りました。さらに、株式譲渡代金を当社グループの財務改善や今後の事業展開に活用することとしております。
今後は食品事業と飼料事業に注力し、両事業セグメントにおいて、原料相場等の事業環境の変化に耐えうる事業基盤の確立を目指し、以下のテーマに取り組んでまいります。なお、当社は2022年4月の組織変更に伴い、これまでの報告セグメント「機能・食品事業」を「食品事業」に名称変更しております。
食品事業
魚肉ねり製品においては、コロナ禍の影響で販売数量が減少するなか、売上拡大に向けて取り組みを強化いたします。介護食や和菓子は新商品を発売するなどにより売上が伸びており、委託給食会社の新規開拓などに努めて更なる販売拡大を目指します。機能性食品素材の「エラスチン」・「ヒシエキス」・「アスコフィラン」については、エビデンス拡充による製品優位性を維持しつつ、海外展開など販路拡大に注力してまいります。
食肉部門においては、事業の中心である霧島黒豚の飼料・養豚・と畜・加工の当社グループ各部門の連携強化による「食肉供給体制の最適化」に引き続き取り組みます。販売部門においては、ブランド戦略に基づく付加価値商品開発、EC市場や輸出など市場開拓を進めます。生産部門においては、生産体制再編による効率化、機械化と省人化を推進するほか、黒豚農場における食品安全・品質確保に係る国際認証取得を進めてまいります。
飼料事業
養魚用飼料においては、海外輸出やマグロ用飼料が大幅に伸張しており、引き続き輸出拡大や大手養殖場への取り組みを強化するとともに、低魚粉飼料の開発、難治性魚病の治療法開発や栄養性疾病の対策確立にも努めてまいります。畜産用飼料においては、霧島黒豚のコストダウン、肉質改善に有効な飼料開発に取り組んでまいります。
なお、新型コロナウイルス感染症は未だに収束には至らず、当社においても外食産業向け売上の低迷、営業活動の停滞など今後も当社グループの事業活動へ影響を及ぼすことも想定されます。ウィズコロナの社会経済活動に適応した事業運営の構築に挑戦することで、適時適切な対応を実施しながら各課題を解決し、その影響を最小限に留めるよう努めてまいります。
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