以下、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は以下の企業理念を制定し、日本の情報サービス産業において主導的立場を確立し、持続的な事業の成長と高い収益力の実現を通じて、豊かな社会づくりに貢献していくことを目指しております。
①情報技術(IT)を活用した新しく大きく伸びるマーケット(市場)をターゲットとして、先見的なソリューションを企画し、経営資源を優先的に投入することで事業の成長を実現いたします。
②ターゲット市場に対して、製販一体の組織であるビジネスユニットを構え、ビジネスユニットごとの最適なビジネスモデルを構築するとともに、お客様に対して、お客様の事業展開・変革に合わせた最適なサービスを全社横断的に提供する体制を整えることで、事業の差別性と収益性とを実現いたします。
③お客様からの信頼と先進的な技術力こそが競争力の源泉と認識し、その強化・獲得を進めてまいります。
④「業務ソリューション事業」及び「サービスソリューション事業」を事業の柱として構成し、コンサルティングからソリューションの設計、開発、運用・保守までの一貫したサービスを提供いたします。
・「業務ソリューション事業」:特定業種・業務に関する情報システムのソリューションの提供
・「サービスソリューション事業」:ミッションクリティカルな要求に応えるシステムインフラを中心とするサービス及び情報システムに関するフルアウトソーシングサービス(日本製鉄㈱向け)の提供
(2) 対処すべき課題
①2021-2025年度中期事業方針の実現に向けた事業運営
当社は、2030年頃のデジタル社会の到来を見据え、持続的な事業成長に向け、2021年4月に公表した2021-2025年度中期事業方針の実現に向けた事業推進・実行が課題であると捉えております。
足元のIT投資は着実に回復しており、特に、新型コロナウイルス感染症がもたらした社会・経済へのインパクトにより、デジタル化のスピードは一層加速していくものと想定しております。その一方で、経営環境は、新型コロナウイルス感染症影響の長期化や、ウクライナ危機などの地政学リスクに端を発するエネルギー価格の高騰や原材料価格の上昇、内外金利差に伴う円安影響など、景気下振れリスクへの注視が必要との認識です。
(ⅰ)2021-2025年度中期事業方針の概要(2021年4月公表)
(ア)2021-2025年度中期事業方針
中期の事業方針として、以下4点の柱を以て、事業を運営してまいります。
・進展するDXニーズの着実な取り込み
・高付加価値事業と総合的な企業価値の持続的向上
・優秀な人材の獲得・育成の一層の強化
・内部統制・リスクマネジメント徹底の継続
(イ)当社の目指す姿
当社は、中期における目指す姿を「ファーストDXパートナー」と定め、お客様とともにDX実現に向けた課題の解決を目指します。
(ウ)成長戦略
当社は、日本企業のDX本格展開を見据え、顧客との関係性を深化させながら、全社を挙げてDX推進に伴うニーズを最大限に獲得し、事業拡大を目指します。
・注力領域
この中期期間においては、次の4領域について事業成長を牽引する「注力領域」として定め、経営リソースを積極的に投入し、全社成長の加速を図ります。
デジタル製造業
プラットフォーマー支援
デジタルワークプレースソリューション
IT アウトソーシング
・成長に向けた投資
事業基盤強化投資(中期期間投資額:500~750億円)
DX加速投資 (中期期間投資額:100~150億円)
M&A等の投融資
・エンゲージメントの高い組織づくり
(エ)中期事業成長目標
・連結売上高成長率:年率5-6%
・注力領域売上高成長率:年率10%以上
(オ)サステナビリティへの取り組み
(ⅱ)中期事業方針の進捗
中期事業方針の進捗は以下のとおりとなりました。中期事業方針の実現に向け、着実に取り組みを進めてまいります。
(中期事業方針の進捗状況)
注力領域および成長に向けた投資の具体的な取り組みについては以下のとおりです。
(注力領域)
(成長に向けた投資)
②サステナビリティ経営の推進
当社は中期事業方針のとおり、企業理念に基づき、豊かな社会づくりに向けて、ESGの観点での事業活動を通じ、サステナビリティへの取り組みを進めてまいりました。
サステナビリティ経営の推進にあたり、以下のとおり整備に取り組みました。
(ESGメッセージ)
当社は企業理念として、真の価値の創造により、お客様との信頼関係を築き、ともに成長を続け、社会の発展に貢献する旨を定めております。これに基づき、当社は豊かな社会づくりに向けてESGの観点で様々な事業活動に取り組んでおります。また、気候変動対応におけるTCFDへの賛同をはじめ、国連が主導するSDGsにも積極的に取り組み、グローバルな社会の一員として持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
(パーパスを起点とした価値創造プロセスとマテリアリティ)
サステナビリティ経営を推進していくにあたり、当社では、国際統合報告IIRCのフレームワークに準拠して、新たに社会的存在意義としてのパーパスを起点とした価値創造プロセスを整理し、経営の仕組みとして確立することで、真の企業価値の向上を図っていくことといたしました。
サステナビリティ経営の重要課題として定義される下記の5つのマテリアリティを定めました。
・ITを通じた社会課題の解決
・社会インフラとしてのITサービス安定供給
・多様な人材が活躍できる場の創出
・環境負荷低減
・信頼される社会の一員としてのガバナンス/コンプライアンス追求
今後、マテリアリティについては、KPIを設定して、その進捗を測ってまいります。
(サステナビリティ経営の推進体制)
当社では、サステナビリティ経営の推進体制を以下のとおり整備いたしました。
サステナビリティ委員会の委員長は「代表取締役社長」とし、サステナビリティ経営に関わる重要課題への取り組み方針、取り組みの推進状況などを審議、報告いたします。
サステナビリティ委員会で審議された重要事項は、経営会議及び取締役会に報告いたします。
なお、2022年4月、当社のサステナビリティ経営を着実に推進すべく、サステナビリティ推進部を設置しております。
(ESGへの取り組み)
(ⅰ)環境への取り組み
マテリアリティの一つである「環境負荷低減」を踏まえ、従来のISO14000シリーズに準拠した取り組みに、国際的に支持されているTCFD提言を取り込み、環境負荷低減の取り組みを充実いたします。
GHG*排出量削減目標について、以下のとおり定めました。
GHG 排出量削減目標
・2030 年度:Scope1・2排出量の50%削減(2015 年度比)
・2050 年度:Scope1・2排出量のカーボンニュートラル
(*Greenhouse Gas:温室効果ガス)
(ⅱ)社会(人権等)への取り組み
人権については、従業員満足度調査であるエンゲージメントサーベイの実施をはじめ、働きやすく、働きがいのある職場づくりに努めております。
また、当社は「ビジネスと人権に関する行動計画」の策定を契機とした法務省「Myじんけん宣言」プロジェクトに賛同し、宣言を発表いたしました。
(ⅲ)ガバナンスへの取り組み
当社の企業価値の持続的な向上を図るインセンティブを付与するとともに、株主の皆様との一層の価値共有を進めることを目的として、業務執行取締役及び執行役員に対し譲渡制限付株式報酬制度を導入いたしました。
③リスクマネジメントの徹底
事業成長を支えるリスクマネジメントにつきましては、2020年2月に公表した当社の一部の物品仕入販売型取引事案に関する再発防止策等の浸透・定着化に引き続き取り組みます。また、再構築した内部統制PDCAに基づき、各部門が中期・年度事業計画に連動させたリスクマネジメント活動を推進し、網羅的なリスク体系に照らした重要リスク認識の確認及び更新を行います。これらに基づき、リスクコントロールに向けた規程類の整備と運用状況のモニタリング、リスク感度の向上施策等、リスクマネジメントプロセスの一層の強化と当社グループ全体への浸透・定着化に向けた活動を持続的に推進してまいります。あわせてトップメッセージの発信や社員のコンプライアンス教育等を通じ、法令・規則を遵守し高い倫理観をもった行動に努めます。
重要なリスクと認識している、システム構築プロジェクト、サービスビジネス、情報セキュリティ及び労務管理におけるリスク等について引き続き対応に注力してまいります。
システム構築プロジェクトにつきましては、プロジェクト規模の拡大や複雑化・高度化するプロジェクト実態を踏まえプロジェクトリスク管理機構を再構築し、リスクの早期発見、早期対応を図ります。
サービスビジネスリスクについてもリスクモニタリングを強化するとともに、重大障害発生時の訓練など、対応力強化を行います。
情報セキュリティにつきましては、ウイルス対策、外部サイトへのアクセス制限、操作ログ管理等のシステム実装面での対策に加え、規程やガイドラインを改訂し、過誤防止や負荷軽減のため業務プロセスの整備を行い、あわせてe-learningやインシデント訓練を通じセキュリティレベルの向上をさらに推し進めてまいります。
労務管理リスクについては、勤務実態の適正な把握、管理を行うとともに、業務プロセスの標準化、システム化の促進等による業務負荷軽減に取り組みます。またハラスメントリスクに対して、意識啓発活動の継続や教育の徹底、ヘルプライン活用強化等を通じて徹底防止を図ります。
また、大規模な地震、風水害等の自然災害の発生、新型コロナウイルス感染症等のリスクにつきましては、事業活動継続のための対応力の維持、強化に努めます。事業継続計画(BCP)に基づく定期的な防災訓練の実施や安否確認システムの整備の他、クラウドサービス型の社内開発環境プラットフォーム「TetraLink」の活用による国内外での分散開発体制の拡大、テレワーク化の一層の推進等、引き続き事業継続リスクへの対応力強化に取り組んでまいります。
④経営体制の充実
当社は、意思決定の迅速化を図り、取締役会における経営方針等の議論をより充実させるとともに、取締役会の経営に対する監督機能を強化しコーポレート・ガバナンスの一層の充実を図ること等を目的として、2021年6月18日開催の第41期定時株主総会終結の時をもって、「監査役会設置会社」から「監査等委員会設置会社」に移行いたしました。
当社は、定款において取締役の定員を13名以内、取締役のうち、監査等委員である取締役は3名と定め、現在13名の取締役を選任しており、取締役会全体としての、経験・識見・専門性のバランスやジェンダー・国際性等多様性を考慮した上で最適な構成にすることとしております。なお、当社取締役会における社外取締役の割合は3分の1超(13名中5名)であり、取締役会における多角的な検討と意思決定の客観性の確保、経営に対する監督機能の強化が図られております。
引き続き取締役会の実効性評価により抽出した課題や、ジェンダー等多様性を取り入れた取締役会の運営改善等、取締役会を中心としたコーポレート・ガバナンスの充実に取り組み、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。
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