業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループは、当連結会計年度が連結初年度であり、また、連結子会社の取得日を連結会計年度末日としていることから、当連結会計年度においては、貸借対照表のみを連結しているため、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書及び連結キャッシュ・フロー計算書は作成していません。

そのため、(1) 経営成績、(2) 生産、受注及び販売の実績、(4) キャッシュ・フローの状況に関する記載につきましては、個別財務諸表に係る数値を記載しています。

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものです。

(1) 経営成績

当事業年度(2021年4月1日~2022年3月31日)における我が国経済は、新型コロナウイルスの感染者数が増減を繰り返すなかで、半導体の需給バランスの問題が製造業の大幅減産をもたらし、夏場に落ち込んだ後は持ち直しの兆候も見えましたが、その回復スピードは緩やかなものに留まっています。一方、個人消費は、2021年9月末の緊急事態宣言の解除を受けて外出・宿泊・娯楽などの対面型サービスを中心に回復の兆しが出始めましたが、2022年2月に勃発した欧州での紛争に連動して、世界的なインフレの懸念、円安の大幅進行による物価上昇により、伸びは芳しくない状況が続いています。

このような経済環境のなか、ITサービス市場はDX加速を背景に顧客企業の生産性向上や、AI・RPAを活用した省力化、自動化への投資、人材不足や働き方改革に対応するIT投資により、想定以上の需要増の状況で推移しました。経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査2022年2月分確報」の情報サービス業の項の中から、当社が主に属する「受注ソフトウェア」と「システム等管理運営受託」を合算した業務種類別売上は、2021年4月~2022年2月(累計)で前年同期比15.0%の増加となっています。

 

このような事業環境のもと、当社は昨年度に策定した中長期ビジョン「Quest Vision2030」の第1期である「2021-2023年度・中期経営計画」で掲げた「事業構造の変革」、「産業ポートフォリオの変革」、「事業体質の変革」の基本方針のもと、当事業年度は持続的成長と新たな強みを生み出す準備と仕込みを念頭に活動を展開してきました。その結果、当事業年度における当社の経営成績は次のとおりとなりました。

売上高は、前期比5.6%増の118億7百万円となりました。利益については、営業利益は前期比9.0%増の9億58百万円、経常利益は前期比8.4%増の9億93百万円、当期純利益は前期比8.5%増の6億90百万円となりました。売上高、営業利益、経常利益ともに4年連続で過去最高値を更新しており、中期計画の目標に向けて順調に推移しています。

当事業年度より将来に備えた投資を拡大させており、成長分野における新技術獲得に向けた教育や基幹システム刷新を含めた社内DX活動推進、アフターコロナを念頭に置いた新しい働き方のトライアルとして、本社オフィスの一部フリーアドレス化等を実施しました。また、「Quest Vision2030」の一環で、ステークホルダーからの理解を促進するため、ウェブサイトのリニューアル及び充実を図りました。また、「Quest Positive Action」として、女性が活躍できる場をさらに広げ、SDGsを意識した取り組みの立ち上げ、諸制度の見直しも行っています。企業価値向上、新規ビジネスの創出につながる諸施策についての投資も実施しましたが、顧客需要が前年から大きく増加したことにより、営業利益、経常利益、当期純利益のいずれも対前期比において増加となっています。

なお、当社は上記「Quest Vision2030」に掲げる目標の前倒し実現のために、半導体領域における強みを有する老舗の受託開発会社である株式会社エヌ・ケイの発行済株式の84.6%を2022年3月31日に取得しました。

 

セグメント別の経営成績は次のとおりです。

システム開発事業については、半導体分野顧客、金融分野顧客、移動(自動車・鉄道)分野顧客からの開発案件の増加及びクラウドERP、デジタルワークプレイス等の増加により、売上高は前期比8.4%増の65億76百万円となりました。セグメント利益は増収効果及び稼働率の改善等により前期比10.4%増の11億81百万円となりました。

インフラサービス事業については、半導体分野顧客、公共・社会分野顧客、ヘルスケア・メディカル分野顧客へのインフラ運用サービスやリモートサービス、ネットワークサービス等が拡大し、売上高は前期比2.6%増の52億9百万円となりました。セグメント利益は増収効果により前期比1.6%増の8億67百万円となりました。

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しています。

2.セグメント利益については、全社費用等の配分前で記載しています。

 

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

 ① 生産実績

当社は、プロジェクトごとに作業完了した業務につき、顧客の検収書あるいは当社の完了報告書に基づき売上計上しています。このため、販売実績のほとんどが生産実績であることから、生産実績の記載を省略しています。

 

 ② 受注実績

当事業年度の受注状況をセグメント別に示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

システム開発

6,783,585

+8.9

1,926,374

+11.7

 

 (注) 1.システム開発セグメント以外のセグメントについては、受注に該当する取引形態に相当しないため、記載していません。

2.受注残高は契約金額を記載しています。

 

 ③ 販売実績

当事業年度の販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

システム開発

6,576,608

+8.4

インフラサービス

5,209,235

+2.6

その他

21,192

△37.6

合計

11,807,037

+5.6

 

 (注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しています。

2.「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、受託計算サービス事業及び商品販売事業を含んでいます。

 

 ④ 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

相手先

前事業年度

当事業年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

キオクシア株式会社

2,051,817

18.4

2,373,812

20.1

 

 

(3) 財政状態

<資産>

当連結会計年度末における流動資産は56億84百万円となり、主な内訳は、売掛金28億35百万円、現金及び預金24億76百万円です。固定資産は24億1百万円となり、主な内訳は、投資有価証券11億64百万円、のれん6億22百万円です。

以上の結果、当連結会計年度末における総資産は80億85百万円となりました。

<負債>

当連結会計年度末における流動負債は20億26百万円となり、主な内訳は、賞与引当金6億66百万円、買掛金4億34百万円です。固定負債は3億36百万円となり、主な内訳は、退職給付に係る負債2億86百万円、役員退職慰労引当金45百万円です。

以上の結果、当連結会計年度末における総負債は23億62百万円となりました。

 

<純資産>

当連結会計年度末における純資産は57億22百万円となり、主な内訳は、利益剰余金44億66百万円、その他有価証券評価差額金3億92百万円です。

 

(4) キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は21億66百万円となり、前事業年度末と比較し、8億87百万円減少しました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりです。

<営業活動によるキャッシュ・フロー>

営業活動の結果、4億58百万円の収入となりました。これは主に税引前当期純利益9億93百万円、法人税等の支払額3億11百万円、前払年金費用の増加による資金の減少1億88百万円、売上債権の増加による資金の減少1億47百万円等によるものです。

<投資活動によるキャッシュ・フロー>

投資活動の結果、11億35百万円の支出となりました。これは主に子会社株式の取得による支出11億22百万円によるものです。

<財務活動によるキャッシュ・フロー>

財務活動の結果、2億10百万円の支出となりました。これは主に配当金の支払いによるものです。

 

当社は財務の安全性を重視するとともに、銀行借入に依存しない経営を継続しています。資金の運用は短期的な預金等に限定するとともに、運転資金については内部資金により調達することを原則としています。当社の資本の財源及び資金の流動性について当社の運転資金の需要は、人件費や外注費等の営業費用によるものがその多くを占めていますが、これらの運転資金の需要は、主に営業活動によるキャッシュ・フロー等によりまかなっています。また、設備投資資金等についても、現金及び預金を使用することとしており、安全性を重視しつつも効率的な資金運用を目指しています。当事業年度末における資金は、資産合計の28.1%を占めており、また流動比率は274.8%であることから、十分な流動性を確保しています。

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しています。

 

(6) 経営戦略の現状と見通し

新年度においては、従来から続く新型コロナウイルスの感染リスクに加え、欧州での紛争や東アジアの地政学的リスク、原材料やエネルギー価格の高騰が懸念されています。

このような状況から、経済活動はさらに厳しい状況が継続することが見込まれ、顧客企業のIT投資動向を高い精度で見込むことは難しい状況であると考えています。具体的には、IT投資計画の中止、延期、規模縮小の可能性があることから、お客様と一層の連携強化を進めながら適切な対応を実行していきます。

以上を踏まえ、翌連結会計年度の業績見通しについては、売上高138億10百万円、営業利益8億円、経常利益8億38百万円、親会社株主に帰属する当期純利益5億78百万円を予想しています。

 (注) 業績予想につきましては、本資料作成日時点で入手可能な情報に基づいて当社で判断したものであり、実際の業績がこれらの予想数値と異なる場合があります。

 

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