業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、緩やかながら回復傾向にあるものの、通期に亘って世界的に広がるコロナの影響を受けました。一方、3回目のワクチン接種も進んでいることから、感染抑制・重症化防止に繋がることが見込まれ、今後は、より一層の経済回復が期待されます。なお、部品・原材料の不足、エネルギー・食品・生活必需品の価格高騰、米国の金利上昇や円安、地政学リスク等、経済の押し下げ要因も多く、引き続き、注視が必要な状況です。

 当社が属する不動産業界においては、特に東京都心部における新築等の比較的大規模なオフィスビルの空室率が上昇しており、新規成約の賃料水準も下落傾向にあります。一方、当社が保有する中規模オフィスにおいては、底堅い需要が継続しており、テナント様の移転ニーズの受け皿にもなっております。コロナの影響を大きく受けたホテル産業においては、今後、国内の人流の回復が見込まれ、これに伴い売上の増加も期待されますが、インバウンド需要はほぼなく、本格的な回復には時間を要するものと思われます。なお、安定性が高い住宅や物流施設の需要は引き続き堅調さを維持しており、投資需要も底堅い状況が続いております。

 また、世界的に環境課題への取り組みが急務であるなか、わが国でもカーボンニュートラルに向けたエネルギー政策の整備が進んでおり、さらなる政策の強化が期待されます。こうした環境下において、クリーンエネルギー事業の重要性は増しており、当社では、地域および地球に優しい再生可能エネルギーのさらなる創出に注力しております。

 

主な取り組み

 

 当社ではこのような急激な環境の変化に対応し、より信頼性の高い財務基盤の確保と徹底的なキャッシュ・フロー経営を実行しております。また、長期VISION「いちご2030」に沿い、サステナブルな社会を実現するための「サステナブルインフラ企業」として、将来を見据えた戦略的な事業展開を通じて、事業優位性のさらなる強化を図っております。

 その一環として、現存不動産に新たな価値を創造する「心築(しんちく)」(注)を軸とした事業モデルをさらに進化させ「100年不動産」にチャレンジするとともに、クライメイト(気候)・ポジティブに向けて、事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーとすることを目指す国際的なイニシアティブである「RE100」の目標達成年限を、当初の2040年から2025年に15年前倒しすることとし、環境循環型社会に向けた取り組みを加速しております。また、企業に対して気候変動に対する取り組みと情報開示を求める世界的に権威のあるCDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)2021気候変動プログラム評価において、最上位レベルのリーダーシップレベルに位置する「A-」スコアを獲得いたしました。これは当社が属する「不動産所有および開発」カテゴリーの評価における上位13%にあたります。

 さらに、当社は、企業の存在意義は社会貢献であると考えております。事業活動を通じて社会的責任を果たすことを最大の目標としており、その表明とさらなる推進を目的として、「国連グローバル・コンパクト」に署名しております。国連グローバル・コンパクトとは、各企業および団体が責任ある創造的なリーダーシップを発揮することによって、社会の良き一員として行動し、持続可能な成長を実現するための世界的な枠組みです。署名する企業および団体は、10の原則に賛同し、企業トップ自らのコミットメントのもと、その実現に向けて努力を継続することが求められます。

 なお、当社は、資本の効率的活用や投資者を意識した経営観点等、グローバルな投資基準に求められる諸要件を満たす会社で構成されるJPX日経インデックス400に6年連続で選定されております。今後とも、株主価値の最大化に向け、株主重視経営をさらに向上し具現化すべく、全力を尽くしてまいります。

 

 (注)心築(しんちく)について

心築とは、いちごの不動産技術とノウハウを活用し、一つ一つの不動産に心を込めた丁寧な価値向上を図り、現存不動産に新しい価値を創造することをいい、日本における「100年不動産」の実現を目指しており

ます。

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「既存事業の成長と深化」

・ 「心築(しんちく)事業」

 コロナの影響は、不動産のアセットタイプにより状況が大きく異なりました。最も大きな影響を受けたホテルでは、売上が回復傾向にありますが、宿泊ニーズの本格的な回復には時間を要するものと思われます。一方、当社が保有および運営するホテルにおいては、当社が開発したAIレベニューマネジメント(売上管理)システム「PROPERA」の導入により、稼働率については高い水準を維持しております。このPROPERAについては、外販に向けた本格的なプロモーションを開始しており、一義的な顧客ターゲットを複数の外部予約サイトを一元管理するサイトコントローラーのユーザーである宿泊施設20,000棟とし、導入拡大に向け注力しております。商業施設においては業種により状況は異なるものの、概ね回復基調にある一方、コロナ感染者数が高止まりしており、飲食業を中心に各店舗では難しい運営が続いております。引き続き、テナント様とのコミュニケーションを充実させ、対応に取り組んでまいります。

 住宅および物流施設では、コロナによる大きな影響は顕在化しておりません。とりわけ、収益の安定性がより高い住宅においては、投資家の投資需要が継続しており、当社においても売買が活発になっております。

 なお、当期の不動産売却においては、市況を見定めつつ、丁寧な売却活動を継続するなか、当期は、第4四半期に売却による利益の実現が集中いたしました。住宅に加え、オフィスやホテルの売却を行った結果、当期における不動産の売買は売却額458億円、取得額310億円となりました。

 

・ 「アセットマネジメント事業」

 いちごオフィス、いちごホテル、いちごグリーンインフラ投資法人(証券コード9282、以下「いちごグリーン」という。)および、私募ファンド事業への業務支援に注力いたしました。

 当第4四半期においては、いちごオフィスの成長をサポートするため、ブリッジファンドを組成し、当該ブリッジファンドに対し、東京都千代田区および福岡市博多区に所在のオフィスビル4物件(売却総額123億円)を譲渡いたしました。いちごオフィスは、当該ブリッジファンドよりオフィスビル4物件の取得に関する優先交渉権を無償で取得し、将来の優良物件の取得機会を獲得しております。このように、当社は、今後ともいちごオフィスの成長を支援するとともに、当社のアセットマネジメント事業のさらなる成長を図ってまいります。

 また、当社では、資産運用報酬制度について、Jリート市場で唯一、投資主価値に連動し、能動的な運用を促進する完全成果報酬をいちごオフィス、いちごホテルにて導入しております。このため、コロナの影響でホテルオペレーターの収益に連動する変動賃料が発生しないことにより、当社のベース運用フィーが減少するリスクがあります。当期においては、いちごホテルのベース運用フィーがホテル売上の減少に連動してコロナ前に比べ減少しております。全国的にホテルの運営が厳しい状況下において、当社では、グループ会社の博多ホテルズを通じて、いちごホテルが保有するホテルのオペレーションを支援しており、当期末時点で5ホテルを受託しております。また、ホテル売上の減少を踏まえ、いちごホテルの財務基盤のサポートを目的に、当期においては3.7億円の劣後投資法人債を引き受けております。

 

・ 「クリーンエネルギー事業」

 当期は、いちご初の風力発電所「いちご米沢板谷ECO発電所」を含む9発電所(発電出力19MW/前期末比+13%)が発電を開始いたしました。これにより、稼働済み発電所の合計は、60発電所(発電出力169.1MW)まで成長しております。また、翌期に入りすでに2発電所が発電を開始しており、2023年2月期以降、5発電所(発電出力26.0MW)のパイプラインに加え、電力供給の安定性向上に寄与する第3のエネルギーとして、森林の高齢化等の課題に対応し、治山対策、地域経済の活性化に貢献するグリーンバイオマス発電を計画しております。世界的にコロナの影響を受けるなか、市況の変化に左右されず、より安定性の高いクリーンエネルギー事業は、継続的に成長しております。

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「急激な環境変化に対応した成長戦略」

・ 信頼性の高い財務基盤の確保

 当社は、リーマン・ショック以降、借入期間の長期化と借入コスト削減、包括的な金利ヘッジによる金利上昇リスクの低減、無担保資金の調達等の幅広い財務施策の推進により、収益基盤と財務基盤を強化してまいりました。また、当社のESGへの取り組みや貢献等に対する評価を受け、その活動を支援するESGローンを拡充させております。今後もこの方針を継続し、当社の心築をよりサステナブルな事業へ進展させてまいります。

・ 環境循環型社会へ向けた取り組み

 当社は、サステナブルな社会を実現するための「サステナブルインフラ企業」として大きな成長を目指すとともに、豊かさと環境が共存する未来のため「脱炭素社会」に向けた取り組みを加速しております。その一環として、「クライメイト(気候)・ポジティブ」の実現を目指し、温室効果ガスの排出量削減とともに、当社のクリーンエネルギー事業による再生可能エネルギーの創出に全力で取り組んでおります。

 当社および当社が資産運用を行ういちごオフィスならびにいちごホテルが保有する不動産で使用する電力を順次、再生可能エネルギーへ切り替えており、当連結会計年度末において53.2%まで電力契約の切り替えが進捗しております。

 当社では、RE100(注)の目標達成年限を2025年としておりますが、さらなる早期実現に向けて注力し、社会をより良い状態で次世代へ継承するため、資源・エネルギーを守り、環境循環型社会を目指してまいります。

(注)RE100とは、世界で影響力のある企業が、自らの事業で使用する電力を、発電時にCO2を排出しない太陽光、風力、水力、バイオマスなどの再生可能エネルギーで100%調達することにコミットし、将来的に脱炭素(カーボンニュートラル)社会に移行することを目的とする国際イニシアティブです。

 

いちごのクライメイト・ポジティブの実現(CO2削減量/排出量比較)

 

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いちごグループのRE100進捗率                 ■ いちごグループの電力切り替え効果

 

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・ 徹底的なキャッシュ・フロー経営

 当社は、これまでも高いキャッシュの創出力を維持してまいりましたが、この急激な環境の変化に対応し、さらなるキャッシュの創出を図っております。具体的には、当社の心築事業に属する不動産を固定資産化することで、減価償却の税効果によりキャッシュを創出し、将来の成長投資に備えております。なお、当期末における固定資産比率は84.7%(注)です。

(注)当社の心築事業に属する不動産のうち、いちごオーナーズ、セントロ、ストレージプラスの資産を除く不動産を対象としております。

「新規事業の創出・生活基盤となる新たなインフラへの参入」

 当社は、「サステナブルインフラ企業」として、不動産を人々の暮らしをより豊かにするインフラと捉えております。そして、ストック収益比率のさらなる向上と持続的な成長を企図し、既存事業の成長に併せ、不動産を活かした新規事業の創出により新たな収益ドライバーを育てております。

 具体的には、2017年3月に設立いたしました「いちごオーナーズ」では、投資家ニーズの把握、そのニーズを踏まえたレジデンス(住宅)の取得、顧客の拡大といった4年間の取り組みを基盤に、新たに不動産小口化事業「ビルシェア」を開始いたしました。本事業は、個人投資家様の資産運用、分散投資、資産継承の円滑化ニーズに沿った現物不動産の小口化であり、運用期間を12年~15年程度とし、長期の運用によるストック収益が見込めます。

 

いちごオーナーズによる収益力および収益機会の拡大

 

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 また、2019年3月にホテル運営会社「博多ホテルズ」を設立し、数多くのホテルの保有・運用を通して当社がこれまで培ったノウハウを活用し、ホテルのさらなる価値向上と収益拡大を図っております。

 さらに、ホテル事業のさらなる成長を企図し、いちごのAIレベニューマネジメント(売上管理)システム「PROPERA」を開発いたしました。現状の統計プロセスを基にした過去データの複数要因の解析や、予測能力の高い機械学習により、最善の宿泊施設の価格設定を提案し、これにより当社は、ホテルの年間収益を約10~40%向上させております。このPROPERAについては、当期より外販に向け、本格的なプロモーションを展開しており、当第4四半期において全国でビジネスホテルを運営する企業とPROPERAの導入に係る契約締結に至っております。導入対象は、現在運営する44ホテルに加え、当該企業が2024年12月末までに営業を開始する全ホテルを含めております。当社では、まずはPROPERAユーザーのシェア拡大を目指しており、今後もより多くの宿泊施設に提供してまいります。

 

いちごのAIレベニューマネジメントシステム「PROPERA」の強み

 

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 その他、不動産とアニメーションのビジネスシナジーを企図し、押井守総監督、西村純二監督による新作アニメーション「ぶらどらぶ」への独占出資を行っており、当社が秋葉原駅より徒歩4分の位置に保有する「AKIBAカルチャーズZONE」との連動を図っております。

 当社は、2019シーズンよりJリーグの「トップパートナー」に就任し、Jリーグとともに豊かさあふれる地域社会に取り組むとともに、当社およびいちごオフィス、いちごホテル、いちごグリーンの株主・投資主様を対象とした「いちごJリーグ株主・投資主優待」制度を導入しております。当期は、コロナの影響により、スタジアムの収容人数が制限されたほか、試合直前まで収容人数が流動的な状況であったことから、試合チケットの枚数を制限して抽選させていただきました。2022シーズンもその状況は継続しておりますが、トップパートナーとしてJリーグから提供いただく試合チケットを少しでも多くの株主様・投資主様にお届けしてまいります。

 

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業績の詳細

 

当連結会計年度の業績は、売上高56,934百万円(前期比7.2%減)、営業利益10,018百万円(同3.6%増)、経常利益7,471百万円(同4.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益6,473百万円(同28.8%増)となりました。

 

セグメントごとの業績は次のとおりであります。

 

・アセットマネジメント(AM)

当該セグメントの業績につきましては、ベース運用フィーが堅調に推移したことに加え、いちごオフィスにおいて、物件売却に伴う増益に連動して報酬が増加したこと等により、セグメント売上高は2,898百万円(前期比16.9%増)となりました。また、当該セグメントに係る販売費及び一般管理費が減少したことにより、セグメント利益は1,839百万円(同31.0%増)となりました。

 

・心築(しんちく)

当該セグメントの業績につきましては、当期は固定資産の売却が多かったことから、売却に係る利益が特別利益として計上されたこと等により、当該セグメントの売上高は49,203百万円(前期比10.2%減)、セグメント利益は6,069百万円(同7.0%減)となりました。このセグメント利益以外に、当期において心築セグメントに属する固定資産を売却したことに伴い、特別利益として計上した固定資産売却益は3,248百万円です。よって、心築セグメント利益と心築固定資産売却益を合算した利益が、実質的な心築業績となります。

 

・クリーンエネルギー

当該セグメントの業績につきましては、前期に竣工した発電所の売電収入が通期で寄与したことに加え、当期において新たに9つの発電所が売電を開始したこと等により、セグメント売上高は5,362百万円(前期比15.2%増)、セグメント利益は2,134百万円(同16.3%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、46,214百万円となり、前連結会計年度末の50,590百万円と比較して4,375百万円の減少となりました。各キャッシュ・フローとそれらの要因は以下のとおりであります。

 

・営業活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度において、税金等調整前当期純利益9,595百万円、減価償却費5,644百万円等により16,119百万円の資金の増加があった一方、物件の仕入れ等の先行投資にかかる販売用不動産等の増加額が4,458百万円、利息の支払額2,174百万円、法人税等の支払額1,548百万円等があったことにより、営業活動によるキャッシュ・フローは7,939百万円(前年同期は15,463百万円)となりました。

・投資活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローは6,502百万円(前年同期は△15,630百万円)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入12,757百万円および投資有価証券の売却による収入569百万円があった一方、有形固定資産の取得による支出5,798百万円、投資有価証券の取得による支出606百万円、貸付けによる支出290百万円、無形固定資産の取得による支出195百万円があったことによるものです。

 

・財務活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローは△15,360百万円(前年同期は10,167百万円)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額△2,497百万円、長期借入れによる収入26,552百万円、長期借入金の返済による支出32,940百万円、長期ノンリコースローンの返済による支出1,467百万円、自己株式の取得による支出1,499百万円、配当金の支払額3,230百万円があったことによるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社で行う事業につきましては、生産実績を定義することが困難であるため、記載を省略しております。

b.受注実績

当社は、受注生産を行っていないため、受注実績の記載はしておりません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年3月1日

  至 2022年2月28日)

 前年同期比(%)

 アセットマネジメント(百万円)

2,369

22.5

 心築(百万円)

49,202

△10.2

 クリーンエネルギー(百万円)

5,362

15.2

合計(百万円)

56,934

△7.2

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 2020年3月1日

  至 2021年2月28日)

当連結会計年度

(自 2021年3月1日

  至 2022年2月28日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

カペラ1中目黒(合)

カペラ2高円寺南2(合)

カペラ3中目黒2(合)

カペラ4笹塚(合)

カペラ5新宿(合)

カペラ6三軒茶屋(合)

カペラ8巣鴨(合)

カペラ10高田馬場(合)

カペラ11目黒(合)

カペラ12文京茗荷谷(合)

カペラ13中目黒3(合)

カペラ14武蔵小山(合)

カペラ15明大前(合)

カペラ16東新宿(合)

カペラ17四ツ谷(合)

カペラ18千石2(合)

カペラ19高田馬場2(合)

カペラ21上目黒(合)

17,287

28.2

ケンタウリ1日本橋三越前(合)

ケンタウリ2四谷若葉(合)

ケンタウリ3市谷甲良町(合)

ケンタウリ4渋谷宇田川町(合)

ケンタウリ5神宮前(合)

ケンタウリ6中目黒(合)

ケンタウリ7都立大学2(合)

ケンタウリ8池袋(合)

ケンタウリ9代田橋(合)

ケンタウリ10南三軒茶屋(合)

ケンタウリ11東上野(合)

13,384

21.8

A社

6,010

10.6

合同会社KCR1

17,731

31.1

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

4.販売実績が総販売実績の100分の10未満の相手先については記載を省略しております。

5. 当社顧客との秘密保持の取り決めにより、一部、社名の公表は控えさせて頂きます。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載の通りであります。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断をおこなっておりますが、不確実性が内在しているため、将来生じる実際の結果と異なる可能性があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(財政状態の分析)

(資産)

 当連結会計年度末の資産合計は337,887百万円となり、前連結会計年度末と比較して、9,189百万円減少(前期比2.6%減)いたしました。
 これは主に、販売用不動産の増加4,556百万円に対して、物件の売却等による有形固定資産の減少10,353百万円、減損損失等による無形固定資産の減少487百万円があったことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末の負債合計は225,695百万円となり、前連結会計年度末と比較して11,125百万円減少(前期比4.7%減)いたしました。
 これは主に、借入金が8,860百万円減少、ノンリコースローンが1,467百万円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産合計は112,191百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,935百万円増加(前期比1.8%増)いたしました。
 これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上6,473百万円に対し、剰余金の配当3,304百万円、自己株式の取得1,499百万円があったことによるものであります。なお、自己資本比率は29.8%(前期比1.3ポイント増加)となりました。

 

(経営成績の分析)

(売上高)

 連結売上高は、レジデンスや物流施設等の物件の売却による売却益の獲得、新たに竣工した発電所の稼働による売電収入の増加、ベース運用フィーの増加等があったものの、当期は特別利益として計上される固定資産の売却が多く、売上に計上されないこと等により56,934百万円(前期比7.2%減)となりました。

 売上高の主な内訳は、不動産販売収入33,035百万円、不動産賃貸収入15,723百万円、不動産フィー収入2,354百万円および売電収入5,362百万円であります。

 

(営業利益)

 営業利益は、アセットマネジメント事業およびクリーンエネルギー事業の売上総利益が増加したこと等により、10,018百万円(前期比3.6%増)となりました。

 

(営業外損益)

 営業外収益は、前期と比較してデリバティブ評価益が減少し、98百万円となったことから、361百万円(前期比13.4%減)となりました。

 なお、当社では将来の金利上昇リスクに備え、金利スワップ取引(デリバティブ取引)を行っております。

営業外費用は、2,908百万円(前期比0.1%増)となりました。

 主な内訳は、支払利息2,341百万円、融資関連費用157百万円であります。

 

(特別損益)

 特別利益は、3,383百万円(前期比370.0%増)となりました。

 主な内訳は、心築事業における不動産売却による固定資産売却益3,248百万円であります。

 特別損失は、1,259百万円(前期比336.2%増)となりました。

世界的なコロナ拡大による人流抑制を受け、投資案件の精査を行った結果、無形固定資産の減損損失716百万円、投資債権に対する貸倒引当金繰入額493百万円を計上いたしました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 法人税、住民税及び事業税は3,304百万円となりました。また、当連結会計年度において法人税等調整額を△403百万円計上しました。

 これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は6,473百万円となり、前期比28.8%の増加となりました。

 

(3)資金の源泉および流動性についての分析

 「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

(4)資金需要及び財務政策

 当社の事業活動における資金需要の主なものは、不動産の取得およびクリーンエネルギー発電設備の建設に係る資金であります。

 財務政策の状況につきましては、安定した財務体制を構築すべく、調達金利の低減、返済期日分散、借入期間の長期化、および無担保資金の調達等借入条件の改善に積極的に努めてまいりました。また、資金調達手法の多様化を図るため、株式会社格付投資情報センターより、発行体格付を取得致しました。

 

 当期においては、サステナブルな社会を実現するための「サステナブルインフラ企業」として、資金調達においても、ESGの取り組みを強化しており、2021年12月に株式会社みずほ銀行(以下、「みずほ銀行」という。)が組成したサステナビリティ・リンク・ローンによる借入限度額130億円を設定いたしました。サステナビリティ・リンク・ローンは、国際的な指標である「サステナビリティ・リンク・ローン原則」に則り、環境的・社会的に持続可能な経済活動および経済成長を促進し、支援するための仕組みであり、借り手により事前に設定された野心的なサステナビリティ・パフォーマンス目標の達成、過程の情報公開等が条件として付与されています。

本サステナビリティ・リンク・ローンは、リボルビング(枠内で繰り返し借入可能)であり、今後の不動産取得において有効活用してまいります。

 

<本借入の概要>

(1)サステナビリティ・リンク・ローンA

① 借入限度額 :90億円

② 借入先:みずほ銀行

③ 引出期間:2021年12月17日から2025年12月17日(4年間)

④ 最終返済期日:2031年12月17日(10年間)

⑤ 担保:無担保

⑥ 契約締結日:2021年12月17日

 

(2)サステナビリティ・リンク・ローンB

① 借入限度額:40億円

② 借入先:みずほ銀行、朝日信用金庫、滋賀銀行、静岡銀行、広島銀行、福邦銀行

③ 引出期間:2021年12月17日から2024年12月17日(3年間)

④ 最終返済期日:2028年12月17日(7年間)

⑤ 担保:無担保

⑥ 契約締結日:2021年12月17日

 

 また、当社は、株式会社三井住友銀行(以下、「SMBC」という。)が組成した「ESG / SDGs 評価シンジケーション」(以下、「ESG / SDGs ファイナンス」という。)による借入限度額69.01 億円を設定いたしました。

ESG/SDGsファイナンスとは、企業の事業活動が環境・社会・経済にもたらすインパクトを包括的に分析・評価し、サステナブル経営の実現に向けた活動を継続的に支援することを目的とした融資です。SMBC と株式会社日本総合研究所が作成した独自の評価基準に基づき、企業のESG 側面の取り組みや情報開示、SDGs 達成への貢献を評価し、その適切さについての現状分析、今後の課題、課題への取り組み事例などを企業へ還元します。当社は、企業経営において、優れたESG 配慮およびSDGs 達成に向けた取り組みと情報開示が実施されているとご評価いただきました。

 

<本ESG / SDGs ファイナンスの概要>

① 借入限度額:69.01億円

② 借入先 :SMBCをアレンジャー兼エージェントとするシンジケート団

③ 引出期間:2021年12月20日から2022年9月30日

④ 最終返済期日:2028年12月29日(7年間)

⑤ 契約締結日:2021年12月15日

 

その結果、当連結会計年度末において、コーポレート有利子負債の残高は168,538百万円(前期比5.1%減)、ノンリコースローンの残高は40,865百万円(前期比3.5%減)となり、当該残高に係る平均期中調達金利は、それぞれ0.89%(前期比0.03%減)、1.02%(前期比0.04%減)となりました。当連結会計年度末のコーポレート有利子負債残高における長期借入比率は92.6%(前期比0.9%増)、そのうち残存期間5年超の残高は87,509百万円、コーポレート有利子負債全体の平均借入期間は10.1年、平均借入残存期間は6.5年となりました。

また、コーポレート有利子負債残高における無担保借入の割合は24.2%(前期比2.4%増)となりました。

 

(5)経営上の目標の達成状況について

当社は、2019年2月期を最終年度とした中期経営計画「Power Up 2019」で掲げた経営指標をすべて達成し、新たに2020年2月期を初年度とする長期 VISION「いちご 2030」を策定しております。

当社は、サステナブルな社会を実現するための「サステナブルインフラ企業」として、将来を見据えた戦略的な事業展開を通じて事業優位性のさらなる拡充を図り、株主価値の最大化に向け全力を尽くしてまいります。

 

■取り組み期間

 2020年2月期~2030年2月期(11年間)

 

■資本生産性の目標

①ROE(自己資本利益率)期間平均15%以上

 積極的なITや事業への先行投資により、初期はROEの低下が見込まれますが、資本生産性の向上や安定収益基盤の創出により当社の将来ROEを向上させ、長期にわたるROE15%以上の収益構造の確立を図るとともに、株主価値の根幹である1株利益(EPS)の成長を図っており、当期のROE実績は6.5%となっております。

 

②「JPX日経インデックス400」11年間継続の組み入れ

 「JPX日経インデックス400」は、3年平均ROE、3年累積営業利益、時価総額を選定基準とし、資本生産性と価値向上が高い企業により構成される株価指数です。当社は、2030年8月の定期入替時まで11年間継続して組み入れられることを目指しており、現時点においても組み入れがなされております。

 

■キャッシュ創出力の目標

 エコノミック営業キャッシュフロー※ 11年間継続の当期純利益超過

 当社の高いキャッシュフロー創出力は成長投資と株主還元の源泉であり、その創出力の維持とさらなる強化に注力してまいります。なお、当期におけるエコノミック営業キャッシュフローは12,397百万円となっており、親会社株主に帰属する当期純利益6,473百万円を大きく超過しており、引き続き高い水準のキャッシュフローを創出しております。

※エコノミック営業キャッシュフローとは、当社の決算短信の表紙に記載されている「販売用不動産および販売用発電設備の増減額(仕入・売却)の影響を除く営業活動によるキャッシュ・フロー(税引後)」を指します。

 

■安定収益の目標ストック収益比率(2030年2月期)60%以上

 2019年2月期のストック収益比率53%から60%以上へと向上を図ります。同時に、フロー収益に関しても心築売却益中心の収益構造を分散化します。それにより不動産市況の景気循環に左右されにくく、安定性の高い収益構造の構築を実現してまいります。当期のストック収益比率は60%となっており、2019年2月期比で大きな向上がなされております。

 

■株主還元策

 当社は、配当の安定性と透明性、そして成長性に注力し、「安心安定配当」により株主の皆さまからのご支援に報いると同時に、機動的な自社株買いを通じて中長期的な株主価値向上を図ります。

 

①「安心安定配当」の累進的配当政策(Progressive Dividend Policy)

 当社は、2017年2月期より導入した「累進的配当政策」を本期間においても継続いたします。各年度の1株あたり配当金(DPS)を原則として前期比「維持か増配」のみとさせていただき、「減配しない」ことにより、当社の盤石な安定収益基盤が可能にする「安心安定配当」を実現いたします。

 

[累進的配当政策について]

 累進的配当政策とは、株主に対する長期的なコミットメントを示す株主還元策です。株主還元の基準としては「配当性向」が一般的ですが、短期的な利益変動に左右されてしまうため、将来の配当水準は必ずしも明確ではありません。原則として「減配なし、配当維持もしくは増配のみ」を明確な方針とする累進的配当政策は、持続的な価値向上に対する企業から株主へのコミットメントといえます。

 

②DOE(株主資本配当率)3%以上

 安定性が高い株主資本を基準とした「DOE配当政策」も引き続き採用することで、長期にわたり株主資本の成長と連動する、安定的な配当成長を図っており、当期においては3.3%の実績となっており引き続き安定的な配当を維持しております。

 

③機動的な自社株買い

 上述の配当政策とともに、株主価値向上に資する最適資本構成を目指し、機動的な自社株買いを実施いたします。

 当期においては、取得価額総額1,499百万円の自社株買いを実施しております。

 

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