文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、電話帳や地域情報誌の発行単位となっている、それぞれの地域への貢献を経営理念として謳っており、当社グループにとっての利益とは、地域社会のコミュニケーションを促進することによって築き上げられた、お客さまやコミュニティ全体との信頼関係がもたらす成果であって、まさに公共的な使命を果たした結果として実現するものであると考えております。
地域密着型のメディアやソリューションを提供することにより、地方創生に貢献し、当社グループが存続・発展し続け、企業価値を向上させてゆくことこそ、株主のみなさまをはじめ、あらゆるステークホルダーのみなさまに対する最大の貢献であると信じております。
(2)経営環境、経営戦略および事業上の優先的に対処すべき課題
当社グループは、地域住民の生活を豊かにするサステナブルな地域社会の創造を目的として、官民協働の理念に加え、「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」を促進して、地方自治体や地域事業者のプロモーションやビジネスを支援し、地方創生に取り組んでまいります。
今般の新型コロナウイルスは、在宅勤務やネット通販が普及するなどビジネススタイルや生活様式に変革をもたらすとともに、超過密都市である東京を中心とする首都圏から地方への還流が起こり、今後、受け皿として地方創生の拡大が期待されます。
また、ビジネススタイルや生活様式の変革は、デジタル技術の革新も促進し、新しい価値を生み出すイノベーション、デジタル・トランスフォーメーションが世界中あらゆる分野で起きております。このたびの新型コロナウイルス感染の拡大は、政府において、行政事務における電子手続きの導入促進など、デジタル・ガバメントの推進がはかられるとともに、ICTの活用、たとえばAIによるビッグデータの活用や、全てのモノがインターネットにつながるIoT、次世代高速通信サービス5Gによる通信の高速化や大容量化など、いわゆる超スマート社会の到来が現実のものとなってまいりました。
当社グループにおきましても、このような環境変化に対応すべく、メディア事業は出版物にICTを活用した企画を取り入れるなど品質や付加価値の向上をはかるとともに、自治体の行政情報の提供や地域事業者のプロモーション支援を目的としてデジタルサイネージの設置を拡大してまいります。ICT事業はデジタル・ガバメントに対応したAIチャットボットやCMS型ホームページ再構築サービスなどプロモーション支援系サービス、eコマース系サービスなど、ICTを活用したサービスの高度化や開発を進め、地方自治体や地域の事業者に向けた多種多様なサービスで地方創生をトータルプロデュースする「地方創生プラットフォーム企業」を目指してまいります。
あわせて、利益を確保する体制を構築すべく、ひとりひとりの社員の能力や生産性を高めるとともに、一層の原価低減、経費削減に取り組んでまいります。また、コンプライアンスの徹底を経営上の最重要課題と位置付け、さらなる充実をはかってまいります。
これらの施策により、連結売上高、連結経常利益の増加を目指してまいります。
セグメント別の対処すべき課題は次のとおりであります。なお、次期より、従来「ICTソリューション事業」に属していたデジタルサイネージによる地域コミュニケーションメディア事業は、「メディア事業」に移管し、「ICTソリューション事業」はeコマース事業を含めICT全般を取り扱うことを明確にするため「ICT事業」に改称いたします。また、主要製品・サービスの内容は「第1 企業の概況 3 事業の内容」もご参照下さい。
①メディア事業
メディア事業におきまして、行政情報誌『わが街事典』は、平成19年大阪府和泉市にて第1号を発刊し、以来15年で1,000自治体を超える勢いで推移しております。地方創生に貢献すべく、官民協働の理念に則り、行政と地域事業者と市民をつなぐ新たな媒体として築き上げてまいりました。
この官民協働事業は、地方創生を推進する取り組みとして地域社会から期待されております。今後事業の理念の定着をはかるべく、新規発行自治体の開発はもとより、既存発行自治体との改訂版の発行にも尽力してまいります。また超スマート社会への対応をとるべく、ICTを取り入れた行政情報誌として、高度化をはかり常に時代に即したメディアへと進化してまいります。
当社創業以来約70年に亘って地域社会に根付いている50音別電話帳『テレパル50』につきましては、引き続き行政情報の拡充、特集企画の掲載などコンテンツを強化し、コミュニティツールとしての機能をさらに向上するとともに、『Googleマイビジネス』とのメディアミックスなど、プロモーション支援に取り組んでまいります。
また、全国の自治体庁舎やイオンモール等の大型商業施設などに設置するデジタルサイネージ『わが街NAVI』は、自治体のシティプロモーション支援およびデジタル化と地域事業者のプロモーション支援に向けて、拡大強化してまいります。
あわせて、広告集稿にICTを活用するなど営業効率を高め、生産性向上に努めてまいります。
②ICT事業
ICT事業は、自治体および地域事業者のデジタル化を支援する取り組みを推進してまいります。
自治体向けサービスであるCMS型ホームページ再構築サービスは、アクセシビリティの向上など、サービスの高度化等をはかりながら提供自治体数を拡大してまいります。さらに、AIチャットボットによる住民サービスの向上、SNSの活用による地域情報の発信などにより、自治体のシティプロモーションを支援してまいります。また、自治体のインバウンド向けWEB環境の整備・充実を目的とした観光DX事業である『Googleマイビジネス』の拡大にも取り組んでまいります。
当連結会計年度において大分県宇佐市においてシティプロモーション特設サイト『リアル・TOWN』を開始しておりますが、このサイトは行政情報に加え、イベント情報、お得情報、求人情報、地域のSNS情報など、日常生活で利用される利便性の高いリアルな情報を発信する自治体公認準オフィシャルサイトであり、次期は他の自治体においても開設を提案してまいります。
また、地域事業者向けには、『Googleマイビジネス』等の販売に努め、事業者のデジタル・トランスフォーメーション(DX)支援を強化し、地域経済の活性化や効率化を促進してまいります。
eコマース系サービスにつきましては、『わが街とくさんネット』や『食彩ネット』等の物品販売や、バイヤーとのマッチングを目的としたマーケットプレイス型サービス『シイレル』等においては、地域の特産品生産者が特別なノウハウを持たずとも、eコマース市場で販売できるよう、当社で事業者支援をおこない新しい販売チャネルでの販路拡大を支援し、地域経済の活性化に貢献してまいります。また、ふるさと納税支援事業は『わが街ふるさと納税』によるふるさと納税の利用を促進するとともに、自治体へのコンサルティングの拡充により強化してまいります。
③ロジスティクス事業
ロジスティクス事業におきましては、利便性の高いサービスを安価で提供することにより、事業者のコスト削減に貢献し、ひいては地域社会の活性化に貢献してまいります。
DMソリューション事業は、既存の顧客の取引拡大、新規販路の獲得により、取り扱い数の拡大をはかるとともに、当社グループの営業ネットワークの活用により、地方自治体や地域団体など新規顧客を開拓してまいります。また、小型小荷物等配送サービスの取り扱いなど、事業領域の拡大もはかってまいります。
ポスティング事業につきましては、大手クライアントの開拓など、ポスティング領域の拡大をはかってまいります。
④ヘルスケア事業
ヘルスケア事業におきましては、歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士への、歯科医療機械器具・歯科材料の販売の拡大や、歯科医新規開業プランニングやアフターサービス、メンテナンスに積極的に取り組んでまいります。
⑤投資事業
投資事業につきましては、所有不動産の賃料収入に加え、金融商品の運用により収益向上をはかってまいります。さらに、地域の中小事業者の事業承継を支援する取り組みも研究してまいります。
(3)財務上の優先的に対処すべき課題
当社グループの資金状況は、運転資金、設備投資資金、戦略投資資金等の必要資金を主に事業利益から得られる内部留保資金または借入金により調達することとしております。このうち、借入金による資金調達については、短期借入金であり、未行使の借入枠利用により調達することが一般的であります。令和4年3月31日現在、短期借入金の残高は、50百万円であります。
令和4年3月31日現在、長期借入金の残高は1年以内の返済予定額2億26百万円を含めて35億87百万円であります。これは、前連結会計年度におきまして、新本社ビル建設資金及び新型コロナウイルス感染症拡大による影響に備えた手元流動性確保のため、複数の金融機関より調達したものであります。
当社グループは、その健全な財政状態、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力および未行使の借入枠により将来必要な運転資金、設備投資資金、戦略投資資金を確保し、グループ全体の更なる成長に引き続き努めてまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、事業を継続・発展させてゆく上で、収益の源泉となる連結売上高、ならびに経営にともなう通常のコストを差し引いたあとの収益性を判断するため、連結経常利益を重要視しております。
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