(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。この結果、前連結会計年度と収益の会計処理が異なることから、以下の経営成績に関する説明において増減額及び前期比(%)については、その影響が含まれております。収益認識会計基準等の適用の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)(収益認識に関する会計基準等の適用)」をご参照ください。
①経営成績の状況
当連結会計年度の我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により消費活動や企業活動が制限されたこと等から総じて低調に推移しましたが、直近では行動制限の緩和にともない個人消費が回復したこと等から好転の兆しが見られました。
我が国では、社会の高齢化を背景として医療費の増加が続く中、医療の効率的運営や予防医療の推進が必須の課題となっています。このような状況下、医療の適正かつ効率的な運用を目指す「EBM」(Evidence Based Medicine=科学的根拠に基づく医療)の気運が高まっているほか、国策としても、メタボリックシンドロームに着目した特定健康診査・特定保健指導の導入、全ての健康保険組合等における「データヘルス計画」(レセプト等のデータ分析に基づいた保健事業)の策定及び実施の義務付け等が行われています。また、食品等の機能性表示の規制が緩和され、企業責任によりエビデンス(科学的根拠)をもとに食品等に機能性を表示できる機能性表示食品制度が施行される等、当社グループの事業への追い風となり得る環境の変化が生じています。
このような状況下、当社グループでは、大学発のバイオマーカー技術に基づくエビデンスの構築と活用に関する実績やノウハウ、医学界や医療界における幅広いネットワーク等を活かし、医薬、食品、化粧品、ヘルスケア関連サービス等の様々な領域において、社会のニーズに対応した商品やサービスを開発して提供することにより、事業の拡大を図ってまいる方針であります。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。なお、収益認識会計基準等の適用によるセグメント別の影響額については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) 2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法」をご参照ください。
(生体評価システム)
生体評価システム事業のうち評価試験事業におきましては、主に食品の有効性及び安全性に関する臨床評価試験の受託手数料等266百万円(前期比33.4%増)の売上計上を行いました。また、受注状況につきましては、受注高291百万円(前期比68.8%増)、当連結会計年度末の受注残高は130百万円(前期末比24.7%増)となりました。
生体評価システム事業のうちバイオマーカー開発事業におきましては、売上(前期はなし)、受注高(前期はなし)及び当連結会計年度末の受注残高(前期末はなし)は何れもありませんでした。
生体評価システム事業のうち医薬臨床研究支援事業におきましては、主に糖尿病領域の医師主導型臨床研究の支援業務の受託手数料等285百万円(前期比15.0%減)の売上計上を行いました。また、受注状況につきましては、受注高282百万円(前期比25.2%増)、当連結会計年度末の受注残高は236百万円(前期末比20.1%減)となりました。
これらの結果、生体評価システム事業の業績は、売上高551百万円(前期比3.0%増)、営業利益6百万円(前期は31百万円の営業損失)となりました。
(ヘルスケアサポート)
ヘルスケアサポート事業は、特定保健指導の受託を中心として、企業における社員の健康管理・増進のニーズや個人の健康意識の高まり等に関連した様々なサービスを健康保険組合等に提供する事業であり、生活習慣病の専門医から成る組織である一般社団法人専門医ヘルスケアネットワークと共同で事業展開しております。
当連結会計年度におきましては、契約健康保険組合の増加等により各種サービスの提供件数が拡大傾向で推移し、特定保健指導、被扶養者を対象とした特定健康診査のサポート、糖尿病の重症化予防サービス、レセプト解析の受託手数料等548百万円(前期比21.6%増)の売上計上を行いました。
また、受注状況につきましては、受注高548百万円(前期比21.6%増)、当連結会計年度末の受注残高はありませんでした(前期末はなし)。なお、この事業の受注高は、主に特定保健指導の実績等に応じて事後的に決まるものでありますので、契約締結時点ではなく、当該実績等が確定した時点で計上しております。
この結果、ヘルスケアサポート事業の業績は、売上高548百万円(前期比21.6%増)、営業利益117百万円(前期比63.9%増)となりました。
(化粧品)
化粧品事業におきましては、通信販売部門の売上高は、広告施策等により梃入れを図ったものの販売の減少傾向が続き、156百万円(前期比9.4%減)となりました。一方、卸売部門の売上高は、「モイストクリームマスクPro.」を中心とする中国市場向け商品の販売が、前連結会計年度の下期には減速傾向が生じておりましたが、当連結会計年度においては、アリババ・グループの大規模ショッピングイベント「天猫ダブルイレブン」に向けた出荷が堅調に推移したことに加え、同イベントにおける売上が伸長したこと等から勢いを回復し、4,794百万円(前期比13.1%増)となりました。
この結果、化粧品事業の業績は、売上高4,951百万円(前期比12.2%増)、営業利益1,105百万円(前期比42.2%増)となりました。
(健康補助食品)
健康補助食品事業におきましては、2009年3月より、「疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」から生まれた製品である「イミダペプチド」を販売しており、主力の飲料のほか、ソフトカプセル、錠剤等の多種多様な商品ラインナップを有しております。
当連結会計年度におきましては、費用対効果の確実性の高い媒体を厳選して広告出稿を行った結果、広告宣伝費の投下が計画に対して未消化となったことに加え、広告料の高騰等により広告効率が悪化したこと等から新規顧客の獲得数は伸び悩んだものの、既存顧客向けの販促施策を強化した効果もあり既存顧客への販売は安定的に推移し、概ね前期と同程度の売上高となりました。
この結果、健康補助食品事業の業績は、売上高2,735百万円(前期比0.3%減)、営業利益は200百万円(前期比9.6%減)となりました。
(機能性素材開発)
機能性素材開発事業におきましては、ラクトフェリンをはじめとする機能性素材の開発、販売及び技術供与等を行っており、ラクトフェリン原料の販売、ラクトフェリンの腸溶加工技術及び脂質代謝改善用途に関する特許提供によるライセンス収入、ラクトフェリン等を配合した健康補助食品のOEM供給等による売上を計上しております。
当連結会計年度におきましては、ラクトフェリン原料の販売数量が伸び悩んだこと等から、売上高が減少傾向で推移しました。
この結果、機能性素材開発事業の業績は、売上高558百万円(前期比30.0%減)、営業利益は83百万円(前期比51.4%減)となりました。
これらに加えまして、セグメント間取引の消去や全社費用による営業損失は303百万円(前期は292百万円の営業損失)となりましたので、当連結会計年度の連結売上高は9,347百万円(前期比4.5%増)、連結営業利益は1,208百万円(前期比31.8%増)、連結経常利益は1,253百万円(前期比36.3%増)となりました。
また、特別損失として減損損失を1百万円計上したこと等により、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は1,252百万円(前期比37.9%増)となりました。
これらの結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は809百万円(前期比44.1%増)となりました。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて1,342百万円増加(18.8%増)し、8,489百万円となりました。これは主に、商品が288百万円、その他流動資産が190百万円減少したものの、現金及び預金が1,761百万円、有価証券が200百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて727百万円増加(79.5%増)し、1,642百万円となりました。これは主に、買掛金が232百万円、未払法人税等が214百万円、契約負債(前連結会計年度末は「ポイント引当金」、「前受金」)が188百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて615百万円増加(9.9%増)し、6,847百万円となりました。これは主に、配当金の支払いにより利益剰余金が130百万円、収益認識会計基準等の適用に伴う会計方針の変更による累積的影響額により、期首の利益剰余金が70百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益を809百万円計上したこと等によるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ1,761百万円増加(前期は257百万円の減少)し、当連結会計年度末には6,017百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、2,135百万円(前連結会計年度に使用した資金は107百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,252百万円の計上、棚卸資産の減少額432百万円、仕入債務の増加額232百万円、契約負債の増加額188百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、244百万円(前連結会計年度に使用した資金は24百万円)となりました。これは主に、短期の運用目的で保有している有価証券の取得による支出(純額)200百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、129百万円(前連結会計年度に使用した資金は131百万円)となりました。これは配当金の支払額129百万円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社グループは、サービスの提供にあたり、製品の生産を行っていないため、生産実績について記載すべき事項はありません。
b. 仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年7月1日 至 2022年6月30日) |
前年同期比(%) |
|
化粧品 |
(千円) |
2,670,711 |
87.4 |
健康補助食品 |
(千円) |
935,809 |
102.9 |
機能性素材開発 |
(千円) |
266,489 |
47.2 |
合計 |
(千円) |
3,873,010 |
85.5 |
(注)生体評価システム及びヘルスケアサポートでは商品を取り扱っていないため、仕入実績は記載しておりません。
c. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
生体評価システム |
574,186 |
144.2 |
367,112 |
91.6 |
|
|
評価試験 |
291,949 |
168.8 |
130,486 |
124.7 |
|
バイオマーカー開発 |
- |
- |
- |
- |
|
医薬臨床研究支援 |
282,237 |
125.2 |
236,625 |
79.9 |
ヘルスケアサポート |
548,811 |
121.6 |
- |
- |
|
合計 |
1,122,997 |
132.1 |
367,112 |
91.6 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額は、契約締結日を基準として集計しております。
3.医薬臨床研究支援の受注額は、主に業務遂行及び獲得症例等の実績に応じて決定されるものであり、上記の当該事業の受注高及び受注残高の数値は、契約条件及び臨床研究実施計画等に基づいて算出した受注見込額を含んでおります。また、既受注分について契約条件及び臨床研究実施計画等の変更により受注見込額の増額または減額が生じた場合には、それに応じて受注高及び受注残高の数値に加算または減算を行っております。
4.収益認識会計基準等を当連結会計年度の期首から適用したことにより、従来の方法に比べて、当連結会計年度の医薬臨床研究支援の期首受注残高は55,790千円減少しております。
d. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年7月1日 至 2022年6月30日) |
前年同期比(%) |
||
生体評価システム |
(千円) |
551,962 |
103.0 |
|
|
評価試験 |
(千円) |
266,103 |
133.4 |
|
バイオマーカー開発 |
(千円) |
- |
- |
|
医薬臨床研究支援 |
(千円) |
285,858 |
85.0 |
ヘルスケアサポート |
(千円) |
548,811 |
121.6 |
|
化粧品 |
(千円) |
4,951,423 |
112.2 |
|
健康補助食品 |
(千円) |
2,735,894 |
99.7 |
|
機能性素材開発 |
(千円) |
558,287 |
70.0 |
|
|
報告セグメント計 |
(千円) |
9,346,379 |
104.5 |
調整額 |
(千円) |
1,500 |
100.0 |
|
合計 |
(千円) |
9,347,879 |
104.5 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年7月1日 至 2021年6月30日) |
当連結会計年度 (自 2021年7月1日 至 2022年6月30日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
株式会社トレンドリンクス |
3,919,966 |
43.8 |
4,537,640 |
48.5 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態
当連結会計年度末の財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載の通りであります。
b. 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高9,347百万円、営業利益1,208百万円、経常利益1,253百万円、親会社株主に帰属する当期純利益809百万円となりました。当連結会計年度における経営成績の分析は以下のとおりであります。
売上高の主な内訳は、生体評価システム事業が551百万円(前期比3.0%増)、ヘルスケアサポート事業が548百万円(前期比21.6%増)、化粧品事業が4,951百万円(前期比12.2%増)、健康補助食品事業が2,735百万円(前期比0.3%減)、機能性素材開発事業が558百万円(前期比30.0%減)となっております。化粧品事業において「モイストクリームマスクPro.」を中心とする中国市場向け商品の販売が、前連結会計年度の下期には減速傾向が生じておりましたが、当連結会計年度においては、アリババ・グループの大規模ショッピングイベント「天猫ダブルイレブン」に向けた出荷が堅調に推移したことに加え、同イベントにおける売上が伸長したこと等から増収となり、全社合計では前期比4.5%の増収となりました。
販売費及び一般管理費は3,051百万円(前期比4.5%減)となり、営業利益は1,208百万円(前期比31.8%増)となりました。販売費及び一般管理費の主な増加要因といたしましては、健康補助食品事業において、既存顧客向けの販促施策を強化したこと等によるものであります。一方、主な減少要因といたしましては、化粧品事業において、費用対効果の確実性の高い媒体に厳選して販促活動を行ったこと等によるものであります。
特別損失は、生体評価システム事業に関する減損損失を1百万円計上いたしました。
これらのことから、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は809百万円(前期比44.1%増)となりました。
②経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の通りであります。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a. キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
b. 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品及び原材料の仕入、外注費などの製造費用のほか、人件費、物流費、研究開発費、広告宣伝費等を中心とする販売費及び一般管理費等の支出によるものであります。これらの資金需要につきましては、全て自己資金にて対応しており、外部からの有利子負債残高はありません。
当社グループが持続的に成長するために必要な運転資金及び設備投資資金等については、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、内部留保資金から充当することとしています。
なお、現在の現金及び現金同等物の残高、営業活動から得る現金及び現金同等物の水準については、当面事業を継続していくうえで十分な流動性を確保しているものと考えております。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響についても「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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