(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績等の状況
(財政状態の状況)
当連結会計年度末における資産の合計は、前連結会計年度末に比べて1,706百万円減少し、69,728百万円となりました。負債の合計は、前連結会計年度末に比べて2,618百万円減少し、28,797百万円となりました。純資産の合計は、前連結会計年度末に比べて912百万円増加し、40,930百万円となりました。
(経営成績の状況)
当社グループの当連結会計年度における業績は売上高98,515百万円(前連結会計年度比11.0%増)、売上総利益25,229百万円(前連結会計年度比41.8%増)、営業利益10,922百万円(前連結会計年度比237.0%増)、経常利益14,662百万円(前連結会計年度比236.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益10,231百万円(前連結会計年度比172.8%増)となりました。
当社グループは当連結会計年度より、従来の「マーケティング事業」「シナジー投資事業」の2セグメントを、「デジタルシフト事業」「広告事業」「金融投資事業」の3セグメントに変更しており、以下の前連結会計年度比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。新セグメントにおける業績は次のとおりであります。
<デジタルシフト事業>
デジタルシフト事業は、株式会社デジタルシフト、株式会社リテイギ等を中心に展開されるデジタルシフトコンサル支援、SaaSプロダクト開発・販売、DX人材サービス紹介、及び株式会社SIGNATEを中心に展開されるAI人材プラットフォーム運営・開発等で構成されております。
デジタルシフト事業の当連結会計年度における業績は、売上高は9,055百万円(前連結会計年度比13.9%増)と順調に拡大しましたが、利益項目は先行投資の拡大等により売上総利益2,665百万円(前連結会計年度比9.6%減)、セグメント損失741百万円(前連結会計年度はセグメント利益237百万円)となりました。
<広告事業>
広告事業は、株式会社オプト、ソウルドアウト株式会社を中心に展開されるインターネット広告代理事業及びソリューション開発、販売等で構成されております。
広告事業の当連結会計年度における業績は、採算性の低い案件の見直しに取り組んだ結果、売上高は76,193百万円(前連結会計年度比0.1%減)と横這いとなった一方で、売上総利益は11,355百万円(前連結会計年度比2.3%増)と改善しました。加えて販売管理費の抑制にも取り組んだ結果、セグメント利益3,222百万円(前連結会計年度比88.8%増)となりました。
<金融投資事業>
金融投資事業は、株式会社デジタルホールディングス、Bonds Investment Group株式会社、BIG1号投資事業有限責任組合、BIG2号投資事業有限責任組合、OPT America,Inc.にて運用を行う投資事業等で構成されております。
金融投資事業の当連結会計年度における業績は、営業投資有価証券として当社が保有しておりましたラクスル株式会社の株式売却益を計上したこと等により、売上高は14,184百万円(前連結会計年度比168.6%増)、売上総利益は11,366百万円(前連結会計年度比195.1%増)、セグメント利益は11,059百万円(前連結会計年度比203.9%増)と大きく拡大しました。
<株式会社デジタルホールディングス(以下「HD」という。)管理コスト>
HD管理部門においては、人件費の増加等により、HD管理部門の当連結会計年度における販売費及び一般管理費は2,601百万円(前連結会計年度比11.8%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動及び投資活動により獲得した資金が、財務活動により使用した資金を上回ったことにより、前連結会計年度末(27,054百万円)に比べて10,485百万円増加し、当連結会計年度末には37,539百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は12,135百万円(前連結会計年度は2,179百万円の増加)となりました。
これは主に、投資事業組合運用益が3,786百万円発生したこと、投資活動への調整項目である投資有価証券売却益が687百万円発生したこと及び法人税等の支払が2,700百万円あったものの、税金等調整前当期純利益を15,280百万円計上したこと、売上債権が2,234百万円減少したこと、営業投資有価証券が1,234百万円減少したこと及び減価償却費を690百万円計上したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果増加した資金は2,987百万円(前連結会計年度は1,575百万円の増加)となりました。
これは主に、無形固定資産の取得による支出が846百万円及び、投資有価証券の取得による支出が1,538百万円発生したものの、投資有価証券の売却による収入が694百万円及び、投資有価証券の払戻による収入が4,393百万円発生したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は4,832百万円(前連結会計年度は2,951百万円の増加)となりました。
これは主に、長期借入れによる収入が1,000百万円及び非支配株主からの払込による収入が1,871百万円発生したものの、短期借入金の減少額が1,500百万円、長期借入金の返済による支出が1,286百万円、自己株式の取得による支出が2,028百万円、配当金の支払による支出が775百万円及び非支配株主への払戻による支出が2,056百万円発生したこと等によるものであります。
なお、キャッシュ・フロー指標の推移については、以下のとおりであります。
|
2019年12月期 |
2020年12月期 |
2021年12月期 |
自己資本比率(%) |
44.5 |
43.7 |
46.8 |
時価ベースの自己資本比率(%) |
62.7 |
54.2 |
40.1 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
6.2 |
5.0 |
0.7 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
57.6 |
87.5 |
543.8 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注)1 キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
2 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
③ 仕入及び販売の実績
a.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
仕入高(百万円) |
前年同期比(%) |
デジタルシフト事業 |
5,979 |
127.1 |
広告事業 |
64,491 |
99.5 |
金融投資事業 |
1,509 |
90.4 |
合計 |
71,979 |
101.1 |
(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 実際の仕入額によっております。なお、金融投資事業については当連結会計年度に実行した投資額によっております。
3 セグメント間取引については、相殺消去しております。
b.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
デジタルシフト事業 |
8,615 |
114.6 |
広告事業 |
75,715 |
99.7 |
金融投資事業 |
14,183 |
268.6 |
合計 |
98,515 |
111.0 |
(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
(資産の分析)
当連結会計年度末における資産の合計は、前連結会計年度末に比べて1,706百万円減少し、69,728百万円となりました。
流動資産は59,850百万円となり、前連結会計年度末に比べて4,513百万円減少いたしました。これは主に、現金及び預金が10,485百万円増加したものの、受取手形及び売掛金が2,233百万円減少したこと及び営業投資有価証券が12,915百万円減少したことによるものであります。
固定資産は9,877百万円となり、前連結会計年度末に比べて2,807百万円増加しております。これは主に、投資有価証券が3,361百万円増加したことによるものであります。
(負債の分析)
当連結会計年度末における負債の合計は、前連結会計年度末に比べて2,618百万円減少し、28,797百万円となりました。
流動負債は23,833百万円となり、前連結会計年度末に比べて4,203百万円増加しております。これは主に、短期借入金が1,500百万円減少したものの、1年内返済予定の長期借入金が4,702百万円増加したこと及び未払法人税等が2,150百万円増加したことによるものであります。
固定負債は4,964百万円となり、前連結会計年度末に比べて6,822百万円減少いたしました。これは主に、長期借入金が4,989百万円減少したこと及び繰延税金負債が1,943百万円減少したことによるものであります。
(純資産の分析)
当連結会計年度末における純資産の合計は、前連結会計年度末に比べて912百万円増加し、40,930百万円となりました。
これは主に、その他有価証券評価差額金が6,290百万円減少したこと及び自己株式が2,000百万円増加したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が9,454百万円増加したことによるものであります。
b.当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループが重要視している経営指標は、EBIT、EBITDA、フリー・キャッシュ・フローであります。業績内容をより正確に把握する指標として、税金等調整前当期純利益に支払利息を加算し受取利息を減算したEBIT、EBITにその他金融関連損益、減価償却費、償却費、株式報酬費用及び減損損失を調整したEBITDAを採用しております。
当連結会計年度の連結業績の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況 ① 財政状態及び経営成績等の状況」をご参照ください。
当社グループが先行投資期間として位置付けているデジタルシフト事業においては、売上高は9,055百万円(前連結会計年度比13.9%増)と順調に拡大しましたが、EBITDA△469百万円(前連結会計年度は463百万円)となりました。
一方、広告事業においては採算性の低い案件の見直しに取り組んだ結果、売上高は76,193百万円(前連結会計年度比0.1%減)と横這いとなった一方で、EBITDAは3,511百万円(前連結会計年度比72.6%増)と大きく改善しました。
また、金融投資事業においては、活況な株式市場を背景に営業投資有価証券として当社が保有しておりましたラクスル株式会社の株式売却益を計上したこと等により、EBITDAは16,163百万円(前連結会計年度比127.0%増)と大きく伸長し、連結業績を牽引しました。
HD管理部門コストは、人件費の増加等により、2,601百万円(前連結会計年度比11.8%増)となりました。
この結果、当連結会計年度の業績は売上高98,515百万円 (前連結会計年度比11.0%増)、EBITDA16,888百万円(前連結会計年度比122.5%増)と大きく伸長しました。
また、フリー・キャッシュ・フローは当社グループの事業活動におけるキャッシュ・フロー獲得能力を把握するための指標として採用しております。当社グループの当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは15,123百万円と前連結会計年度比302.7%増となりました。これは主として有価証券の売却等による収入の増加等によるものであります。
c.資本の財源及び資金の流動性
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
また、当社グループでは持続的な企業価値向上のため、強固な財務基盤を維持する一方で、必要な手元流動性を確保した上で事業活動から生み出されるネットキャッシュを成長分野に投下することを基本方針としております。当社グループは金融投資事業でのインターネット関連企業への投資により発生したキャピタルゲイン等を原資として、既存のデジタルシフト事業強化に向けた投資の実施や、デジタルシフト事業に関連する企業等の買収を検討しております。
将来の成長に必要な投資資金や株主還元の為の資金は、前述のとおり自己資金から賄うことを基本方針としておりますが、当社グループの財務状況や資本市場動向に鑑み、コストや機動性等を総合的に精査した上で、金融機関からの借り入れ等外部資金の活用も含め最適な方法による資金調達にて対応する予定です。
d.キャッシュ・フローの分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
e.経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの事業には、景気の変動等によるインターネット広告市場への影響や競合他社の状況、法的規制等、経営成績に重要な影響を与えうる様々なリスク要因があります。詳細につきましては、「2 事業等のリスク」をご参照ください。
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